1,388 / 1,561
1387.【ハル視点】可愛いと可愛い
ああ、キースは本当にアキトを慕っているんだな。その笑顔を見ただけで、どれだけアキトに懐いているのかが手に取るように分かる。そんな表情だった。
出迎えるアキトの方も、ニコニコと嬉しそうな笑顔だ。
伴侶候補と弟の仲が良いのは、俺としてもうれしい事だ。
それにしても、あんなに人見知りだったキースに、ここまで距離を詰める相手ができるとはな。
感心している間にアキトを目指して一直線に駆け寄ってきたキースは、アキトの後ろに立っている俺に気付くと、パァァッとさらに嬉しそうな笑顔になった。
「あー、ハル兄もいる!」
この表情の変化は、兄として嬉しいな。
「ああ、いるよ。…なんでだ?」
いると思っていなかったのかと聞いてみれば、キースはごめんね変な意味じゃないんだよと慌てた様子で続けた。
「参加者さんたちはあっちの方に集まってるから、ここにいるのはアキトくんだけだと思ってたんだ」
そう言われて周りを見てみれば、確かにこの辺りにいるのは軍服でも無ければ武器や防具も身につけていない人が多いな。
この辺りにいるのは見送りに来た伴侶や伴侶候補、それに家族たちなんだろうな。何人か、知り合いの伴侶や親などが混ざっているから間違いないだろう。
「なるほど、そういう意味か。俺もあちらに行かないと駄目だが、アキトと一緒にたった今着いた所だからな」
笑いながらそう説明すれば、キースはニコニコと笑顔を浮かべて答えた。
「そうなんだー!」
その場でぴょんぴょんと何度も小さく飛び跳ねているのが、何とも可愛らしい。会えて嬉しいと、全身を使って伝えてくれているのが分かる。
周りの人たちも微笑ましそうにキースを見ているな。領主一家の一員だと気づいている人もいれば、単に可愛らしいこどもだと見ている人もいそうな雰囲気だ。
アキトはそんなキースにそっと手を伸ばすと、優しく頭を撫で始めた。キースは嫌がるでも照れるでも無く、ただ嬉しそうに目を細めてされるがままになっている。
うん、今日もアキトとキースは可愛いな。
「そういえば、キースくんは行進は見ずに先に来てたんだね?」
「うん、そうなんだ。僕も…できれば行進は見たかったんだけどね」
答えるキースは、少し悔しそうな表情だ。
なんでも行進が始まると一気に人が増えるから、まだこどものキースには危険だと言われ止められたらしい。
見られなかったキースは可愛そうだと思うんが、申し訳ないがそこは俺も同意見だな。出発前にキースが怪我でもしていたら、俺達だって遠征に身が入らないかもしれない。
「キースくんは我慢できてえらいね」
「え…?そ、そうかな?」
優しく褒められたキースはびっくりした様子でアキトを見てから、照れくさそうに笑った。まさかそこを褒められるとは、思わなかったんだろうな。
「ウィル兄とジルさんと来たのか?」
俺が横からそう尋ねてみれば、キースはううんと首を振った。
「二人は準備があるからって大急ぎで大門に向かったから一緒には来れなかったんだ」
「じゃあここまでは、誰と一緒に来たの?」
アキトの質問に、キースはあっさりと答えた。
「えっとね、使用人のみんなと一緒に来たんだ」
周りをぐるりと見回したアキトは、騎士たちが集まっている場所でぴたりと視線を止めた。
ああ、たしかにそこに数人の使用人たちがいるな。その数人もわざと騎士に紛れるように振る舞っているようなんだが、しっかり顔を覚えているアキトはすぐに気づいたようだ。
「そうか、それなら安心だな」
「うん、みんなのお勧めのお店とか教えてもらったんだ」
どうやら使用人たちに囲まれての移動も、楽しいものだったようだ。本屋さんとお菓子のお店、あと屋台も教えてもらったよと笑顔で報告してくれた。
ああ、このままキースとアキトと話していたいんだが、近づいてくる存在感のある気配がそれを許してはくれない。
「くわしい話しを聞きたい所だけど、そろそろ行かないと駄目そうだな」
俺がそう口にした瞬間、大門の方から爆発的な大歓声が聞こえてきた。父さんたちの行進が、徐々に大門に近づいてきている。
「遠征が終わったら話すね」
「ああ、そうしてくれ」
ぜひ聞きたいと答えた俺が歩き出そうとした瞬間、アキトに呼び止められた。
「あ、ハル!出発式が終わってからも…少しぐらいは話せるの?」
そうだ。それを言うのを忘れていたな。
「ああ、見送りの人たちに挨拶をするための時間があるから」
「そっか。それじゃあキースくんと一緒に待ってるね」
「そうしてくれ」
出迎えるアキトの方も、ニコニコと嬉しそうな笑顔だ。
伴侶候補と弟の仲が良いのは、俺としてもうれしい事だ。
それにしても、あんなに人見知りだったキースに、ここまで距離を詰める相手ができるとはな。
感心している間にアキトを目指して一直線に駆け寄ってきたキースは、アキトの後ろに立っている俺に気付くと、パァァッとさらに嬉しそうな笑顔になった。
「あー、ハル兄もいる!」
この表情の変化は、兄として嬉しいな。
「ああ、いるよ。…なんでだ?」
いると思っていなかったのかと聞いてみれば、キースはごめんね変な意味じゃないんだよと慌てた様子で続けた。
「参加者さんたちはあっちの方に集まってるから、ここにいるのはアキトくんだけだと思ってたんだ」
そう言われて周りを見てみれば、確かにこの辺りにいるのは軍服でも無ければ武器や防具も身につけていない人が多いな。
この辺りにいるのは見送りに来た伴侶や伴侶候補、それに家族たちなんだろうな。何人か、知り合いの伴侶や親などが混ざっているから間違いないだろう。
「なるほど、そういう意味か。俺もあちらに行かないと駄目だが、アキトと一緒にたった今着いた所だからな」
笑いながらそう説明すれば、キースはニコニコと笑顔を浮かべて答えた。
「そうなんだー!」
その場でぴょんぴょんと何度も小さく飛び跳ねているのが、何とも可愛らしい。会えて嬉しいと、全身を使って伝えてくれているのが分かる。
周りの人たちも微笑ましそうにキースを見ているな。領主一家の一員だと気づいている人もいれば、単に可愛らしいこどもだと見ている人もいそうな雰囲気だ。
アキトはそんなキースにそっと手を伸ばすと、優しく頭を撫で始めた。キースは嫌がるでも照れるでも無く、ただ嬉しそうに目を細めてされるがままになっている。
うん、今日もアキトとキースは可愛いな。
「そういえば、キースくんは行進は見ずに先に来てたんだね?」
「うん、そうなんだ。僕も…できれば行進は見たかったんだけどね」
答えるキースは、少し悔しそうな表情だ。
なんでも行進が始まると一気に人が増えるから、まだこどものキースには危険だと言われ止められたらしい。
見られなかったキースは可愛そうだと思うんが、申し訳ないがそこは俺も同意見だな。出発前にキースが怪我でもしていたら、俺達だって遠征に身が入らないかもしれない。
「キースくんは我慢できてえらいね」
「え…?そ、そうかな?」
優しく褒められたキースはびっくりした様子でアキトを見てから、照れくさそうに笑った。まさかそこを褒められるとは、思わなかったんだろうな。
「ウィル兄とジルさんと来たのか?」
俺が横からそう尋ねてみれば、キースはううんと首を振った。
「二人は準備があるからって大急ぎで大門に向かったから一緒には来れなかったんだ」
「じゃあここまでは、誰と一緒に来たの?」
アキトの質問に、キースはあっさりと答えた。
「えっとね、使用人のみんなと一緒に来たんだ」
周りをぐるりと見回したアキトは、騎士たちが集まっている場所でぴたりと視線を止めた。
ああ、たしかにそこに数人の使用人たちがいるな。その数人もわざと騎士に紛れるように振る舞っているようなんだが、しっかり顔を覚えているアキトはすぐに気づいたようだ。
「そうか、それなら安心だな」
「うん、みんなのお勧めのお店とか教えてもらったんだ」
どうやら使用人たちに囲まれての移動も、楽しいものだったようだ。本屋さんとお菓子のお店、あと屋台も教えてもらったよと笑顔で報告してくれた。
ああ、このままキースとアキトと話していたいんだが、近づいてくる存在感のある気配がそれを許してはくれない。
「くわしい話しを聞きたい所だけど、そろそろ行かないと駄目そうだな」
俺がそう口にした瞬間、大門の方から爆発的な大歓声が聞こえてきた。父さんたちの行進が、徐々に大門に近づいてきている。
「遠征が終わったら話すね」
「ああ、そうしてくれ」
ぜひ聞きたいと答えた俺が歩き出そうとした瞬間、アキトに呼び止められた。
「あ、ハル!出発式が終わってからも…少しぐらいは話せるの?」
そうだ。それを言うのを忘れていたな。
「ああ、見送りの人たちに挨拶をするための時間があるから」
「そっか。それじゃあキースくんと一緒に待ってるね」
「そうしてくれ」
あなたにおすすめの小説
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
料理の上手さを見込まれてモフモフ聖獣に育てられた俺は、剣も魔法も使えず、一人ではドラゴンくらいしか倒せないのに、聖女や剣聖たちから溺愛される
向原 行人
ファンタジー
母を早くに亡くし、男だらけの五人兄弟で家事の全てを任されていた長男の俺は、気付いたら異世界に転生していた。
アルフレッドという名の子供になっていたのだが、山奥に一人ぼっち。
普通に考えて、親に捨てられ死を待つだけという、とんでもないハードモード転生だったのだが、偶然通りかかった人の言葉を話す聖獣――白虎が現れ、俺を育ててくれた。
白虎は食べ物の獲り方を教えてくれたので、俺は前世で培った家事の腕を振るい、調理という形で恩を返す。
そんな毎日が十数年続き、俺がもうすぐ十六歳になるという所で、白虎からそろそろ人間の社会で生きる様にと言われてしまった。
剣も魔法も使えない俺は、少しだけ使える聖獣の力と家事能力しか取り柄が無いので、とりあえず異世界の定番である冒険者を目指す事に。
だが、この世界では職業学校を卒業しないと冒険者になれないのだとか。
おまけに聖獣の力を人前で使うと、恐れられて嫌われる……と。
俺は聖獣の力を使わずに、冒険者となる事が出来るのだろうか。
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
【完結】転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
無能の騎士~退職させられたいので典型的な無能で最低最悪な騎士を演じます~
紫鶴
BL
早く退職させられたい!!
俺は労働が嫌いだ。玉の輿で稼ぎの良い婚約者をゲットできたのに、家族に俺には勿体なさ過ぎる!というので騎士団に入団させられて働いている。くそう、ヴィがいるから楽できると思ったのになんでだよ!!でも家族の圧力が怖いから自主退職できない!
はっ!そうだ!退職させた方が良いと思わせればいいんだ!!
なので俺は無能で最悪最低な悪徳貴族(騎士)を演じることにした。
「ベルちゃん、大好き」
「まっ!準備してないから!!ちょっとヴィ!服脱がせないでよ!!」
でろでろに主人公を溺愛している婚約者と早く退職させられたい主人公のらぶあまな話。
ーーー
ムーンライトノベルズでも連載中。
拾われたのはたぶん僕です 〜ポンコツ魔法使いと騎士団の平和な大事件〜
ニア。
BL
崖から落ちただけなのに、騎士団長に拾われました。
真面目に生きてきた魔法使いモーネ。
ただ薬草を採ろうとして滑落しただけなのに、なぜか王国最強の騎士団長イグラムに連れて行かれ、騎士団で暮らすことに。
しかしこの魔法使い、少しだけ普通ではありません。
回復魔法を使えば何かが増え、
補助魔法を使えば騎士団が浮き、
気づけば庭はプリンになります。
——本人はちゃんとやっています。
巻き込まれる騎士団と、なぜか楽しそうな団長。
さらに弟子や王子、ドラゴンまで加わって、騎士団は今日も平和に大騒ぎ。
これは、ポンコツ魔法使いが真面目に頑張るたびに世界が少し壊れる、騒がしくて優しいファンタジーです。
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
美形×平凡の子供の話
めちゅう
BL
美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか?
──────────────────
お読みくださりありがとうございます。
お楽しみいただけましたら幸いです。
お話を追加いたしました。