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1393.【ハル視点】キースの成長
キースの説明は、兄のひいき目を抜きにしても本当に素晴らしいものだった。
普段から図鑑や本を読むのが大好きなキースだが、ただ読んでいるだけではなくきちんと読み込んで理解し、自分の知識としているんだな。
そう感心してしまうほど、キースの説明は分かりやすかった。もちろん説明の内容もしっかりと正しいものだったし、何よりも俺の意図を汲んでわざと自慢げに説明してくれた所も完璧だった。
さすがキースだな。
「なるほど。幻の薬草であるあのチャノレオを柄として採用してくれた、そのこどもたちの気持ちを汲んで預かってきたのか」
ファーガス兄さんは納得顔で頷くと、ふわりと笑みを浮かべながら続けた。
「そう考えるとハルらしいな」
俺らしいと言われてしまうと、すこし照れくさいな。ファーガス兄さんだってきっとあの姉弟と会っていたら、預かっていたと思うんだが。
「まあね。それに加えて父親もこどもたちも、みんな家族思いの良い人だったから」
「そうなのか…ハルがそこまで言うなら、俺も機会があれば会ってみたいな」
ファーガス兄さんはにっこりと笑うと、屋台なら買いに行けば会えるなとそう続けた。
まあ行きたいなら行ってみても良いだろう。ウルとネスはきっと突然現れた次期領主に驚くだろうが、あの店主はひとしきり驚いた後で普通に干し果物を売りつけそうな気がする。
俺達の会話を興味深そうに聞いていたウィル兄さんが、目をキラキラさせながら口を開いた。
「えー俺も会ってみたーい」
あーウィル兄も興味を持っちゃったのか。
きっとファーガス兄さんよりもウィル兄の方が、屋台まで行くのは早いだろうな。
ファーガス兄さんと比べても同じぐらい多忙なはずなんだが、こういう時はとにかく行動が早いのがウィル兄だ。
こうして好奇心で目をキラキラさせている時は、特にな。
俺が領主一家の一人だと明かしてきたのは、もしかしたら良かったのかもしれない。何も言わずにいきなり領主一家に屋台まで来られるのは、困るだろうからな。
そんな事を考えていると、キースが不意にぽつりと呟いた。
「…あのね、僕もそのこどもたちに会ってみたいな」
アキトはびっくりしたと言いたげに大きく目を見開いているんだが、その後ろにいる他のみんなの反応はもっと激しかった。
俺も含めた全員が、今聞いた言葉があまりにも信じられなくて固まってしまっている。
既に知り合いな人が相手ならともかく、初対面の人を相手にキースから会ってみたいと言ったのは俺の知る限り初めてだ。
「ウルちゃんとネスくんに会いたいの?」
固まっている俺達の代わりに、もじもじしているキースにアキトがそう尋ねてくれた。ありがとう、アキト。すごく助かるよ。
「うん、チャノレオって名前はすっごく有名だけど、見た目はウィル兄でも知らないぐらいでしょう?」
「ああ、そうみたいだね?」
「それなのに模様にチャノレオを選んだって事は、その子たちも図鑑が好きなのかもしれないなって思ったんだ」
ああ、そう言われると、確かにそうかもしれないな。
「うんうん、その可能性はあるよね」
「でしょー?もしその子たちも図鑑が好きだって言うなら会ってみたいし…その…できれば、友達になりたいなって…」
思ったんだけどと小さな声で続けたキースの頭を、アキトそーっと優しく撫でた。
「ちょっと喋っただけなんだけど、ウルちゃんもネスくんも良い子だったよ。だから気が合いそうなら友達になるのも良いかもしれないね」
そうだな。俺もウルとネスなら、キースの友人になってくれるかもしれないと思うよ。
「…っ!アキトくんもそう思ったなら、余計に会ってみたいな!」
ニコニコと笑顔を見せるキースに、アキトも嬉しそうな笑顔を返している。
俺の伴侶候補と弟のやり取りが可愛い。
「父さま、その屋台の子たちにいつか会いに行って良い?」
今日から遠征なんだから、すぐには無理だって分かってる。そう続けた健気なキースに、我に返った父さんはもちろんだと何度も頷いている。
「グレースが帰ってきたら、きっと一緒に行きたいと言うだろうな」
あー…屋台の店主、すまない。
ファーガス兄さんと、ウィル兄、母さんとキースが一緒に行くとなれば、きっと父さんも一緒に行きたいと言い出す。予定が会えばマティさんとジルさんも行くだろう。
「その時は、ハルとアキトに案内して貰わないとな」
笑ってそう続けた父さんに、俺たちも行った方がまだましだろうかと真剣に考えてしまった。
「名残惜しいが、そろそろ出発の時間が近いな」
父さんの視線につられて周囲を確認すれば、少しずつではあるがたしかに既に整列している参加者が増えてきてるな。
「そろそろ行くよ」
そう切り出した父さんはマティさんから順番に、留守番組を両手で抱きしめていく。
おそらく周囲からはただ名残を惜しむ仕草にしか見えないと思うんだが、これは周囲には聞こえずに相手に言葉を伝えられるから恒例なんだよな。
普段から図鑑や本を読むのが大好きなキースだが、ただ読んでいるだけではなくきちんと読み込んで理解し、自分の知識としているんだな。
そう感心してしまうほど、キースの説明は分かりやすかった。もちろん説明の内容もしっかりと正しいものだったし、何よりも俺の意図を汲んでわざと自慢げに説明してくれた所も完璧だった。
さすがキースだな。
「なるほど。幻の薬草であるあのチャノレオを柄として採用してくれた、そのこどもたちの気持ちを汲んで預かってきたのか」
ファーガス兄さんは納得顔で頷くと、ふわりと笑みを浮かべながら続けた。
「そう考えるとハルらしいな」
俺らしいと言われてしまうと、すこし照れくさいな。ファーガス兄さんだってきっとあの姉弟と会っていたら、預かっていたと思うんだが。
「まあね。それに加えて父親もこどもたちも、みんな家族思いの良い人だったから」
「そうなのか…ハルがそこまで言うなら、俺も機会があれば会ってみたいな」
ファーガス兄さんはにっこりと笑うと、屋台なら買いに行けば会えるなとそう続けた。
まあ行きたいなら行ってみても良いだろう。ウルとネスはきっと突然現れた次期領主に驚くだろうが、あの店主はひとしきり驚いた後で普通に干し果物を売りつけそうな気がする。
俺達の会話を興味深そうに聞いていたウィル兄さんが、目をキラキラさせながら口を開いた。
「えー俺も会ってみたーい」
あーウィル兄も興味を持っちゃったのか。
きっとファーガス兄さんよりもウィル兄の方が、屋台まで行くのは早いだろうな。
ファーガス兄さんと比べても同じぐらい多忙なはずなんだが、こういう時はとにかく行動が早いのがウィル兄だ。
こうして好奇心で目をキラキラさせている時は、特にな。
俺が領主一家の一人だと明かしてきたのは、もしかしたら良かったのかもしれない。何も言わずにいきなり領主一家に屋台まで来られるのは、困るだろうからな。
そんな事を考えていると、キースが不意にぽつりと呟いた。
「…あのね、僕もそのこどもたちに会ってみたいな」
アキトはびっくりしたと言いたげに大きく目を見開いているんだが、その後ろにいる他のみんなの反応はもっと激しかった。
俺も含めた全員が、今聞いた言葉があまりにも信じられなくて固まってしまっている。
既に知り合いな人が相手ならともかく、初対面の人を相手にキースから会ってみたいと言ったのは俺の知る限り初めてだ。
「ウルちゃんとネスくんに会いたいの?」
固まっている俺達の代わりに、もじもじしているキースにアキトがそう尋ねてくれた。ありがとう、アキト。すごく助かるよ。
「うん、チャノレオって名前はすっごく有名だけど、見た目はウィル兄でも知らないぐらいでしょう?」
「ああ、そうみたいだね?」
「それなのに模様にチャノレオを選んだって事は、その子たちも図鑑が好きなのかもしれないなって思ったんだ」
ああ、そう言われると、確かにそうかもしれないな。
「うんうん、その可能性はあるよね」
「でしょー?もしその子たちも図鑑が好きだって言うなら会ってみたいし…その…できれば、友達になりたいなって…」
思ったんだけどと小さな声で続けたキースの頭を、アキトそーっと優しく撫でた。
「ちょっと喋っただけなんだけど、ウルちゃんもネスくんも良い子だったよ。だから気が合いそうなら友達になるのも良いかもしれないね」
そうだな。俺もウルとネスなら、キースの友人になってくれるかもしれないと思うよ。
「…っ!アキトくんもそう思ったなら、余計に会ってみたいな!」
ニコニコと笑顔を見せるキースに、アキトも嬉しそうな笑顔を返している。
俺の伴侶候補と弟のやり取りが可愛い。
「父さま、その屋台の子たちにいつか会いに行って良い?」
今日から遠征なんだから、すぐには無理だって分かってる。そう続けた健気なキースに、我に返った父さんはもちろんだと何度も頷いている。
「グレースが帰ってきたら、きっと一緒に行きたいと言うだろうな」
あー…屋台の店主、すまない。
ファーガス兄さんと、ウィル兄、母さんとキースが一緒に行くとなれば、きっと父さんも一緒に行きたいと言い出す。予定が会えばマティさんとジルさんも行くだろう。
「その時は、ハルとアキトに案内して貰わないとな」
笑ってそう続けた父さんに、俺たちも行った方がまだましだろうかと真剣に考えてしまった。
「名残惜しいが、そろそろ出発の時間が近いな」
父さんの視線につられて周囲を確認すれば、少しずつではあるがたしかに既に整列している参加者が増えてきてるな。
「そろそろ行くよ」
そう切り出した父さんはマティさんから順番に、留守番組を両手で抱きしめていく。
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