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1399.【ハル視点】魔法部隊
気配探知というのは、冒険者や商人、旅人の間では特に人気のあるスキルだ。
例え練度が低くても、それを持っているだけで魔物や盗賊からの不意打ちを減らす事ができるからな。
だが残念ながら領によっては、気配探知は弱者のスキルだと馬鹿にするような風潮もある。
特に一部の脳まで鍛え過ぎたのだろう騎士たちからは、そんなものが無くても魔物も盗賊も真正面から叩きのめせば良いなんて意見が飛び出してくるのだから笑うしか無い。
もちろんここ辺境領には、そんな馬鹿はいない。
何なら騎士の訓練の中にも、衛兵の訓練の中にも、当たり前のように気配探知が組み込まれているぐらいだからな。
おそらく他の地域と比べても、気配探知の技術は群を抜いているだろう。
ちなみに我が領でも気配探知が特に得意なのは、母グレースだ。
そんな母さんの気まぐれによってごく稀に行われる特別講義は、なかなかの倍率の高さにも関わらずかなりの数の申し込みがある。
そんな領だからこそ、魔物に気づいてハッと身構える参加者はどんどん増えていく。
一直線にこちらへと向かってくる魔物の気配を探っていると、魔法部隊の隊長であるソフラがちらりと俺達の方を振り返った。
いや、彼の視線の先は父さんだな。
後ろを向いたままでも問題なくウマを走らせている辺り、騎乗の技術もかなり高いようだ。
「ここは、まずは私が出ても良いでしょうか?」
律儀に許可を得ようとするソフラさんに、父さんは一瞬も迷う素振りを見せずに即座に答えた。
「ああ、ソフラの隊にまかせた」
「ハッ、おまかせください」
誇らし気にそう返したソフラ隊長は、すぐに前を向いた。同じく気合を入れなおした様子の周囲の隊員たちに、手だけで我が隊が先行すると指示を飛ばしている。
一気に加速した魔法部隊の隊員たちは、集団からかなりの距離を取ってから少しだけその場で速度を落とした。
うん、ちょうどその辺りだな。
良い位置取りだと感心していると、隊員たちの目の前の森から巨大な魔物が飛び出してきた。メキメキと木々をなぎ倒しながら近づいてきたのは、驚くほど巨大な真っ白なワイルドボアだった。
いったい何を食べればここまで大きくなれるんだ?そう尋ねたくなるほどの大きさだった。
いや、あれはもしかしたら変異種なのかもしれないな。色が白いのも珍しいが、あの巨体。しかも牙が三対もあるワイルドボアなんて俺も初めて見たからな。
「あれは…変異種か?」
「うん、そうみたいだねー」
どうやらファーガス兄さんも、俺と同じ事を考えたらしい。ウィル兄は何故かまじまじと興味深そうにワイルドボアを見つめている。
それにしても、こちらに向かってきていた魔物は、ワイルドボアだったのか。
人とウマがこれほどいる集団に近づいてきた事にも、ある意味で納得はできるな。
ボア系の魔物はどの種類もそうなんだが、走り出すと何かにぶつかるまで絶対に止まらないし誰が相手であっても絶対に引かない。
例えドラゴンとぶつかりそうな状況だとしても、避けようとなんてしないのがボア種だ。
おそらくこのワイルドボアは、森の中を一直線に駆け抜けてきたんだろう。その途中で、運悪く俺達の進路とぶつかったんだと思う。
「ギュアアァァアア!」
威嚇のための叫び声にも、魔法部隊の隊員たちは怯む様子もなかった。すぐに魔力を練り始めたが、誰よりも早かったのは予想通り隊長のソフラだった。
ずっと周囲を警戒して魔力を練り続けていただけあって、とにかく初動が早いんだよな。
それなら魔法使いは全員そうすれば良いのにと思うかもしれないが、これもそう簡単な話しでも無い。
魔法を発動せずにひたすら練り上げるだけでも、すこしずつ魔力は消費されてしまう。何より繊細な魔力操作は、とにかく疲れるものだ。
しかもその繊細な作業を、ウマに乗って駆け抜けながら…だからな。すごいというよりも恐ろしささえ感じる。
例え練度が低くても、それを持っているだけで魔物や盗賊からの不意打ちを減らす事ができるからな。
だが残念ながら領によっては、気配探知は弱者のスキルだと馬鹿にするような風潮もある。
特に一部の脳まで鍛え過ぎたのだろう騎士たちからは、そんなものが無くても魔物も盗賊も真正面から叩きのめせば良いなんて意見が飛び出してくるのだから笑うしか無い。
もちろんここ辺境領には、そんな馬鹿はいない。
何なら騎士の訓練の中にも、衛兵の訓練の中にも、当たり前のように気配探知が組み込まれているぐらいだからな。
おそらく他の地域と比べても、気配探知の技術は群を抜いているだろう。
ちなみに我が領でも気配探知が特に得意なのは、母グレースだ。
そんな母さんの気まぐれによってごく稀に行われる特別講義は、なかなかの倍率の高さにも関わらずかなりの数の申し込みがある。
そんな領だからこそ、魔物に気づいてハッと身構える参加者はどんどん増えていく。
一直線にこちらへと向かってくる魔物の気配を探っていると、魔法部隊の隊長であるソフラがちらりと俺達の方を振り返った。
いや、彼の視線の先は父さんだな。
後ろを向いたままでも問題なくウマを走らせている辺り、騎乗の技術もかなり高いようだ。
「ここは、まずは私が出ても良いでしょうか?」
律儀に許可を得ようとするソフラさんに、父さんは一瞬も迷う素振りを見せずに即座に答えた。
「ああ、ソフラの隊にまかせた」
「ハッ、おまかせください」
誇らし気にそう返したソフラ隊長は、すぐに前を向いた。同じく気合を入れなおした様子の周囲の隊員たちに、手だけで我が隊が先行すると指示を飛ばしている。
一気に加速した魔法部隊の隊員たちは、集団からかなりの距離を取ってから少しだけその場で速度を落とした。
うん、ちょうどその辺りだな。
良い位置取りだと感心していると、隊員たちの目の前の森から巨大な魔物が飛び出してきた。メキメキと木々をなぎ倒しながら近づいてきたのは、驚くほど巨大な真っ白なワイルドボアだった。
いったい何を食べればここまで大きくなれるんだ?そう尋ねたくなるほどの大きさだった。
いや、あれはもしかしたら変異種なのかもしれないな。色が白いのも珍しいが、あの巨体。しかも牙が三対もあるワイルドボアなんて俺も初めて見たからな。
「あれは…変異種か?」
「うん、そうみたいだねー」
どうやらファーガス兄さんも、俺と同じ事を考えたらしい。ウィル兄は何故かまじまじと興味深そうにワイルドボアを見つめている。
それにしても、こちらに向かってきていた魔物は、ワイルドボアだったのか。
人とウマがこれほどいる集団に近づいてきた事にも、ある意味で納得はできるな。
ボア系の魔物はどの種類もそうなんだが、走り出すと何かにぶつかるまで絶対に止まらないし誰が相手であっても絶対に引かない。
例えドラゴンとぶつかりそうな状況だとしても、避けようとなんてしないのがボア種だ。
おそらくこのワイルドボアは、森の中を一直線に駆け抜けてきたんだろう。その途中で、運悪く俺達の進路とぶつかったんだと思う。
「ギュアアァァアア!」
威嚇のための叫び声にも、魔法部隊の隊員たちは怯む様子もなかった。すぐに魔力を練り始めたが、誰よりも早かったのは予想通り隊長のソフラだった。
ずっと周囲を警戒して魔力を練り続けていただけあって、とにかく初動が早いんだよな。
それなら魔法使いは全員そうすれば良いのにと思うかもしれないが、これもそう簡単な話しでも無い。
魔法を発動せずにひたすら練り上げるだけでも、すこしずつ魔力は消費されてしまう。何より繊細な魔力操作は、とにかく疲れるものだ。
しかもその繊細な作業を、ウマに乗って駆け抜けながら…だからな。すごいというよりも恐ろしささえ感じる。
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