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1402.【ハル視点】弓部隊
ソフラ隊長の前でどんな事をすれば良いかと衛兵たちが相談している間に、ワイルドボアは音を立てて地面へと倒れこんだ。
「完了しました」
「ああ、見事な連携だな」
短いが心からの賛辞のこもった父さんの言葉に、魔法部隊は全員揃ってバッとウマの背で姿勢を正した。ソフラ隊長は誇らし気に笑いながら、光栄ですと返している。
「ウィリアム隊長、後続まで何の問題もなく停止しました」
「わかった、ありがとー」
「ハッ」
報告が終わるなりスルスル後ろへと下がって行ったのは、おそらくウィル兄の隊の隊員なんだろうな。
これだけの大人数で移動している場合は、突然先頭が止まってしまえば後続が対応しきれず問題が起こる事がある。怪我で済めばまだ良いが、下手をすれば命にも関わる。
今回は魔法部隊がある程度の距離をしっかりと稼いでから攻撃してくれたおかげで、ウマ同士の接触も起こらず、人と人がぶつかりあうような事もなかったようだ。
報告を受けたウィル兄はすぐに父さんとファーガス兄さんへと視線を向けたが、二人から聞こえていたと視線だけで告げられた。そのまま何も言わずに、視線をワイルドボアへと向けた。
次はこの魔物を解体するために、担当の部隊にも連絡をいれる必要があるな。
今回は後続の部隊に、解体が特に得意な者を多く配置していると聞いている。
もしこのままここに放置すれば他の魔物を呼んでしまうだけだし、食料はいくらあっても良い。素材だってきちんと回収すれば、遠征の費用の足しになるだろう。
まあこれだけ大きいと解体するのも大変だろうな。あ、いや解体が得意な者たちなら、やりがいがあると張り切る可能性もあるな。
そんな事を考えていると、指示を受けた数人の騎士がウマから下りワイルドボアの方へと歩き出した。後続部隊が来るまでの見張り役だろう。
「警戒っ!上空から鳥型の魔物の気配が近づいてきます!」
唐突にそう叫んだのは、弓部隊の一人の隊員だった。驚いて気配探知を上空へと向ければ、確かに遠くから近づいてくる気配を感じる。俺とほぼ同時に上を向いた人たちも、みんなが驚き目を大きくしている。
「魔物の種類は不明ですが、大きさからしてB級以上と思われます!」
他の隊員がそう叫んだ。
「領主様、今度は私が…」
弓部隊のロア隊長の落ち着いた声に、父さんはこくりと頷いた。
「ああ、ロアに頼もう」
「ハッ、おまかせあれ!」
嬉しそうに叫んだロア隊長は、巨大な弓と鋭く尖った矢尻のついた矢を一息で取り出した。ほぼ真上を向いて弓を引き絞るロア隊長の姿に、周囲にいた全員が息を飲んだ。
さすがにあれは当てるのは難しいだろうな。眩しい太陽が真上にあるせいで、鳥の姿はかなり見え難い。
大勢の人とウマがいるとは思えないほど静まりかえったなか、ひゅんっと風を切る音が響いた。
命中したかどうかは、鳥型の魔物のけたたましい叫び声が教えてくれた。
「片目に命中しました!」
目を細めて確認していた弓部隊の隊員が、そう叫ぶ。
この距離から、しかもあんな不自然な体勢での攻撃なのに、それでも片目に当てられるのか。
一撃で片目を失う事になった鳥型の魔物は、ギャアギャアとひとしきり鳴いてから、ロアをギロリと睨みつけた。誰がさっきの攻撃をしたのかを、しっかり把握しているようだ。これはある程度の知恵がある魔物みたいだな。
可能性のある魔物は何だろうと考えていると、視線の先で鳥型の魔物が動いた。どうやら一気に降下して、ロアを倒すつもりのようだ。
ロア隊長は特に慌てた様子もなくウマを走らせると、集団から少しだけ離れる。周りを巻き込まないための距離を確保してから、また上を見上げて弓を構えている。
「A級、ケセルです!」
そんな声がどこかから聞こえてきた。これも多分弓部隊の誰か…なんだろうな。
それにしても、ケセルだったのか。
ケセルという鳥型の魔物は、他の魔物や人が倒した魔物を横から奪っていくという厄介な性質のある魔物だ。
苦労して倒した魔物をかっさらっていくと、冒険者からはものすごく嫌われている魔物だ。
ある程度近づいてくるのをしばらく待ってから、ロア隊長はまた弓矢を放った。
「完了しました」
「ああ、見事な連携だな」
短いが心からの賛辞のこもった父さんの言葉に、魔法部隊は全員揃ってバッとウマの背で姿勢を正した。ソフラ隊長は誇らし気に笑いながら、光栄ですと返している。
「ウィリアム隊長、後続まで何の問題もなく停止しました」
「わかった、ありがとー」
「ハッ」
報告が終わるなりスルスル後ろへと下がって行ったのは、おそらくウィル兄の隊の隊員なんだろうな。
これだけの大人数で移動している場合は、突然先頭が止まってしまえば後続が対応しきれず問題が起こる事がある。怪我で済めばまだ良いが、下手をすれば命にも関わる。
今回は魔法部隊がある程度の距離をしっかりと稼いでから攻撃してくれたおかげで、ウマ同士の接触も起こらず、人と人がぶつかりあうような事もなかったようだ。
報告を受けたウィル兄はすぐに父さんとファーガス兄さんへと視線を向けたが、二人から聞こえていたと視線だけで告げられた。そのまま何も言わずに、視線をワイルドボアへと向けた。
次はこの魔物を解体するために、担当の部隊にも連絡をいれる必要があるな。
今回は後続の部隊に、解体が特に得意な者を多く配置していると聞いている。
もしこのままここに放置すれば他の魔物を呼んでしまうだけだし、食料はいくらあっても良い。素材だってきちんと回収すれば、遠征の費用の足しになるだろう。
まあこれだけ大きいと解体するのも大変だろうな。あ、いや解体が得意な者たちなら、やりがいがあると張り切る可能性もあるな。
そんな事を考えていると、指示を受けた数人の騎士がウマから下りワイルドボアの方へと歩き出した。後続部隊が来るまでの見張り役だろう。
「警戒っ!上空から鳥型の魔物の気配が近づいてきます!」
唐突にそう叫んだのは、弓部隊の一人の隊員だった。驚いて気配探知を上空へと向ければ、確かに遠くから近づいてくる気配を感じる。俺とほぼ同時に上を向いた人たちも、みんなが驚き目を大きくしている。
「魔物の種類は不明ですが、大きさからしてB級以上と思われます!」
他の隊員がそう叫んだ。
「領主様、今度は私が…」
弓部隊のロア隊長の落ち着いた声に、父さんはこくりと頷いた。
「ああ、ロアに頼もう」
「ハッ、おまかせあれ!」
嬉しそうに叫んだロア隊長は、巨大な弓と鋭く尖った矢尻のついた矢を一息で取り出した。ほぼ真上を向いて弓を引き絞るロア隊長の姿に、周囲にいた全員が息を飲んだ。
さすがにあれは当てるのは難しいだろうな。眩しい太陽が真上にあるせいで、鳥の姿はかなり見え難い。
大勢の人とウマがいるとは思えないほど静まりかえったなか、ひゅんっと風を切る音が響いた。
命中したかどうかは、鳥型の魔物のけたたましい叫び声が教えてくれた。
「片目に命中しました!」
目を細めて確認していた弓部隊の隊員が、そう叫ぶ。
この距離から、しかもあんな不自然な体勢での攻撃なのに、それでも片目に当てられるのか。
一撃で片目を失う事になった鳥型の魔物は、ギャアギャアとひとしきり鳴いてから、ロアをギロリと睨みつけた。誰がさっきの攻撃をしたのかを、しっかり把握しているようだ。これはある程度の知恵がある魔物みたいだな。
可能性のある魔物は何だろうと考えていると、視線の先で鳥型の魔物が動いた。どうやら一気に降下して、ロアを倒すつもりのようだ。
ロア隊長は特に慌てた様子もなくウマを走らせると、集団から少しだけ離れる。周りを巻き込まないための距離を確保してから、また上を見上げて弓を構えている。
「A級、ケセルです!」
そんな声がどこかから聞こえてきた。これも多分弓部隊の誰か…なんだろうな。
それにしても、ケセルだったのか。
ケセルという鳥型の魔物は、他の魔物や人が倒した魔物を横から奪っていくという厄介な性質のある魔物だ。
苦労して倒した魔物をかっさらっていくと、冒険者からはものすごく嫌われている魔物だ。
ある程度近づいてくるのをしばらく待ってから、ロア隊長はまた弓矢を放った。
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