生まれつき幽霊が見える俺が異世界転移をしたら、精霊が見える人と誤解されています

根古川ゆい

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1470.眩い光

「アキト、こっちだ」

 そう声をかけられた俺は、すぐにマチルダさんが隠れている木の影へと駆け寄った。

 さあ、問題はここからだよね。

 俺はすぐにもう一度魔力を練り直すと、木々の合間からたまに見える空を飛ぶ二頭のワイバーンに視線を向けながら次のつぶてを作りだした。

 ワイバーンたちからすれば目の前で一気に三頭もの仲間が打ち落とされたわけだから、当然なんだけどかなり警戒を強めてる。

 今残ってるのはさっきから揉めてた二頭なんだけど、さすがに揉めてる場合じゃないって判断したみたいだ。

 今は残る二頭で地面の方を睨みながら、注意深く飛んでいる。

 お互いに死角を作らないためなのかすれすれの距離まで近づいて飛んでるから、正直かなり狙いにくいな。

 ただ幸いにも俺達がどこにいるかまでは、まだ見えていないっぽいんだよね。倒した魔物を回収してるし、みんなで木の影に隠れたのがうまく作用してるみたいだ。

「アキトの魔法は本当にすごいな。まさかこんなに早く三頭も落としてしまうとは…」

 ワイバーンから目は離さずに、隣にいたマチルダさんが不意にそう呟いた。

「グレースからアキトはすご腕だって聞いてたから、ずっとどんな魔法を使うんだろうって気になってたんだが…正直、期待以上の魔法だったよ」
「えっと…ありがとうございます」

 ここまで率直に真正面から褒められると、ちょっと照れくさい。いや、もちろん嬉しいんだけどね。

 もしこちらを見て言われてたらもっと照れてたから、ワイバーンを見ながらで良かったかも。

「申し訳ありません」

 不意にそう謝ってきたのは、マチルダさんの向こう側に隠れていた、あの案内役の騎士さんだった。

「え?何の話です?」
「さきほどアキト様がワイバーンを落とせると言った時、私は信じきれませんでした。リヤの弓でも届かないのに、魔法で落とせるのかと…」

 驚いて思わずそちらを見てしまったんだけど、案内役の騎士さんはまるで恐ろしい重罪の告白をしているみたいな表情でそう続けた。

「いえ、あの俺の魔法がどの程度かも知らなかったんですから、当然ですよ」
「しかし魔鳥ルダリオンを落としたと言われた時に気付くべきでした…」

 もう一度申し訳ありませんと続けた騎士さんに、俺は全く気にしていませんからと小声で応える。

「私はできると思っていましたが…まさかここまでとは…」
「本当に凄まじいですね」
「魔法部隊の方にも負けていませんよ」

 近くの木に隠れている人たちも、口々に小声で褒めてくれた。

「俺からすれば、落とせたとしてもとどめは刺せないので…みなさんのおかげですよ」
「はー…アキトは本当に…もっと自分の手柄を誇っても良いんだぞ?」

 マチルダさんには、呆れ顔でそう言われてしまった。

「それにしても…ここからはすこし厄介そうだな」
「そうですよね。どうしましょうか…」

 ここからだと、翼の付け根の光る部分がちゃんと見えないんだよね。どうするべきかと考えていると、突然俺達がいる場所の真後ろに眩い光が現れた。

「な、なんだ…?」
「この光は…いったい?」

 戸惑いながらも木の陰からは出ずにしっかりと武器を構えたみんなの横で、俺は大きく目を見開いた。

 この眩しい光は、俺とキースくんが誘拐されたあの時に見た光にそっくりだ。

 何の前触れもなく、領都内に現れた魔物たち。領都内から、いきなり盗賊団のアジトへ連れていかれた俺たち。

 たったそれだけの共通点だけど、もしかしたら今回のこの魔物騒ぎにも使い切りの転移の魔道具が使われているのかもしれない。

「マチルダさん、もしかしたら魔物が来るのかもしれません」

 確信はないけど、でも警戒しておいて損はないはず。そう考えた俺が押し殺した声でそう告げれば、マチルダさんは冷静に説明をと続けた。

「俺とキースくんが攫われた時、これに似た光を見ました」
「なるほど…魔道具での転移の可能性か…全員、警戒態勢」

 マチルダさんがそう言いながらパパッと手を動かせば、その場の半数が光へ、残りの半数がワイバーンへと視線を向けた。

 眩い光が収まった瞬間、そこに現れたのは巨大なゴーレムだった。

「ムレングゴーレム…嘘だろ…」

 そう呟いた使用人さんの声で、俺は目のまえの魔物がムレングゴーレムだと知った。
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