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1488.【ハル視点】脱出手段
「冒険者たちの迅速な対応のおかげで、盗賊団の捕縛は無事に終わった。この後は、各自分担してここからの脱出を試みる事になる」
いくら領民たちを信じているとは言っても、やはり心配は心配だからなと父さんはそう続けた。ここで虚勢を張っても、仕方ないからな。
「異論は無いが…その分担はどう決めるつもりだ?」
「まずは、あいつらの魔物寄せのせいで集まってきていた魔物の討伐が…どうなっているかの確認をしてからだな」
父さんがそう口にすれば、すかさずファーガス兄さんが声を張った。
「魔物討伐組、報告を頼む!」
遠くまで響く腹から出た声に、すぐにハッと声が返ってくる。ファーガス兄さんに負けないぐらいの大きな声だ。
「報告いたします。集まってきた魔物の残りは5体のみ…いえ、たった今4体になりましたっ!」
おお、順調に減ってきているみたいだな。相手をするのが面倒な魔物も普通に混ざっていたと思うんだが、集団での戦闘に慣れているだけの事はあるな。
「おお、さすがだな!予想以上の速度だ!」
誇らし気に笑った父さんがそう叫び返せば、討伐に向かっていた集団からは即座に歓声があがった。褒められたとか、やったーとか大騒ぎしている声が聞こえてくる。
「よっしゃ、のこり4体!」
「気合入れていくぞ!」
あー…うん。何だかさっきの父さんの声かけのせいで、さらに倒す速度が上がりそうだな。
「魔物は良しとして、問題はどこからこの部屋を出るかなんだが…」
「壁を壊して廊下へと移動するか、床を壊して違う階層へと移動するか。それともあの爆破された場所の瓦礫をどけるか…だな」
「三択か…」
「あー、壁を狙うのは…俺はお勧めしないぞ」
最初に口を開いたのは、冒険者ギルドのギルマス、リヤンだった。
「無駄に硬くて、壊すだけでも絶対に時間が掛かるからな」
「たしかにそうだねー。でもさー、それなら床も止めておいた方が良いと思うよー?」
ウィル兄はいつもと変わらないのんびりとした口調で、そう続けた。
何でもさっき魔物討伐のために前線に出た時に、ウィル兄さんはしっかり爆破された現場も見てきたらしい。
「あれだけの爆発だったのに、床にひび一つなかったからね」
「…あの規模の爆発でも無傷か…それはたしかに無理だな」
あっさりとそう答えた父さんは、それなら爆破された地点から脱出しようと即決した。
「物理攻撃でやるべきか、それとも魔法攻撃でやるべきか…」
父さんがそう呟けば、ファーガス兄さんも黙って考え込んでしまった。
「もし物理攻撃でやるつもりなら、武器は斧とか槌に限定した方が良いだろうな。頑丈な武器を持ってる奴らにしないと、いざ脱出できても武器が無いなんて事態になると困る」
例えばここが街道沿いとかならまだしも、今いるのはムレングダンジョンの下層だからな。脱出できれば勝ちってわけでも無い。
思わずそう口を挟めば、たしかにと頷きが返ってきた。
まあ納得できてる奴も、納得できてない奴もいるみたいだけどな。
斧と槌を使ってる奴らはさすがハル様だとかまかせろとか叫んでいたし、それ以外の武器を使っている奴らは嘘だろうとかまさかとか叫んでいた。
俺だって可能なら障害物の破壊に参加したいが、剣では無理だろうと諦めたんだ。お前たちもどうか分かってくれ。
「俺は魔法攻撃もありじゃないかなーって思うんだけどなー?まだ余力はあるだろうしー」
「はっ!我らにおまかせくださいっ!」
「全力を尽くします!」
おお、魔法使い部隊も張り切っているな。
「…あの、すこし良いでしょうか?」
控え目にそう声をかけてきたのは、魔道具技師のマルクだ。
「ああ、もちろんだ。何か案があるなら教えてくれ」
「その…一般的な爆弾では無いんですが…同じような効果を出せる魔道具なら私がいくつか持っているんですが…」
「おお、魔道具か!」
魔道具技師がダンジョン内まで一緒に来てくれる事なんて、本当に数えるほどしかない。だから珍しい魔道具を持っている可能性まで、考えなかったんだよな。
「はい、ですが…ダンジョン内で使用した事はありません。…さっきの爆発でも床にひび一つ入らなかったなら、いけるかなと…」
マルクは確信は無いんですと、自信なさそうにそう続けた。
いくら領民たちを信じているとは言っても、やはり心配は心配だからなと父さんはそう続けた。ここで虚勢を張っても、仕方ないからな。
「異論は無いが…その分担はどう決めるつもりだ?」
「まずは、あいつらの魔物寄せのせいで集まってきていた魔物の討伐が…どうなっているかの確認をしてからだな」
父さんがそう口にすれば、すかさずファーガス兄さんが声を張った。
「魔物討伐組、報告を頼む!」
遠くまで響く腹から出た声に、すぐにハッと声が返ってくる。ファーガス兄さんに負けないぐらいの大きな声だ。
「報告いたします。集まってきた魔物の残りは5体のみ…いえ、たった今4体になりましたっ!」
おお、順調に減ってきているみたいだな。相手をするのが面倒な魔物も普通に混ざっていたと思うんだが、集団での戦闘に慣れているだけの事はあるな。
「おお、さすがだな!予想以上の速度だ!」
誇らし気に笑った父さんがそう叫び返せば、討伐に向かっていた集団からは即座に歓声があがった。褒められたとか、やったーとか大騒ぎしている声が聞こえてくる。
「よっしゃ、のこり4体!」
「気合入れていくぞ!」
あー…うん。何だかさっきの父さんの声かけのせいで、さらに倒す速度が上がりそうだな。
「魔物は良しとして、問題はどこからこの部屋を出るかなんだが…」
「壁を壊して廊下へと移動するか、床を壊して違う階層へと移動するか。それともあの爆破された場所の瓦礫をどけるか…だな」
「三択か…」
「あー、壁を狙うのは…俺はお勧めしないぞ」
最初に口を開いたのは、冒険者ギルドのギルマス、リヤンだった。
「無駄に硬くて、壊すだけでも絶対に時間が掛かるからな」
「たしかにそうだねー。でもさー、それなら床も止めておいた方が良いと思うよー?」
ウィル兄はいつもと変わらないのんびりとした口調で、そう続けた。
何でもさっき魔物討伐のために前線に出た時に、ウィル兄さんはしっかり爆破された現場も見てきたらしい。
「あれだけの爆発だったのに、床にひび一つなかったからね」
「…あの規模の爆発でも無傷か…それはたしかに無理だな」
あっさりとそう答えた父さんは、それなら爆破された地点から脱出しようと即決した。
「物理攻撃でやるべきか、それとも魔法攻撃でやるべきか…」
父さんがそう呟けば、ファーガス兄さんも黙って考え込んでしまった。
「もし物理攻撃でやるつもりなら、武器は斧とか槌に限定した方が良いだろうな。頑丈な武器を持ってる奴らにしないと、いざ脱出できても武器が無いなんて事態になると困る」
例えばここが街道沿いとかならまだしも、今いるのはムレングダンジョンの下層だからな。脱出できれば勝ちってわけでも無い。
思わずそう口を挟めば、たしかにと頷きが返ってきた。
まあ納得できてる奴も、納得できてない奴もいるみたいだけどな。
斧と槌を使ってる奴らはさすがハル様だとかまかせろとか叫んでいたし、それ以外の武器を使っている奴らは嘘だろうとかまさかとか叫んでいた。
俺だって可能なら障害物の破壊に参加したいが、剣では無理だろうと諦めたんだ。お前たちもどうか分かってくれ。
「俺は魔法攻撃もありじゃないかなーって思うんだけどなー?まだ余力はあるだろうしー」
「はっ!我らにおまかせくださいっ!」
「全力を尽くします!」
おお、魔法使い部隊も張り切っているな。
「…あの、すこし良いでしょうか?」
控え目にそう声をかけてきたのは、魔道具技師のマルクだ。
「ああ、もちろんだ。何か案があるなら教えてくれ」
「その…一般的な爆弾では無いんですが…同じような効果を出せる魔道具なら私がいくつか持っているんですが…」
「おお、魔道具か!」
魔道具技師がダンジョン内まで一緒に来てくれる事なんて、本当に数えるほどしかない。だから珍しい魔道具を持っている可能性まで、考えなかったんだよな。
「はい、ですが…ダンジョン内で使用した事はありません。…さっきの爆発でも床にひび一つ入らなかったなら、いけるかなと…」
マルクは確信は無いんですと、自信なさそうにそう続けた。
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