1,502 / 1,563
1501.【ハル視点】隠し部屋
移動中も魔物との遭遇は何度かあったが、先頭を行くミルゴが相手の全ての攻撃をあっさりと受け止めてくれた。
さすがは、ムレングダンジョン最前線攻略組の盾使いだな。どんな魔物がどれだけ予想外な場所から飛び出してきても、不意打ちにすらならないという素晴らしい安定感だった。
ミルゴが軽々と攻撃を受け止めてくれている間に、俺達が反撃するだけだったから簡単だった。
「着いた!ここの部屋から隠し部屋にいけるよ」
背後の俺達をくるりと振り返って、ミルゴはそう教えてくれた。
「部屋に入ったら、向かって左側に見慣れないキノコが生えている場所があるんだ。それが隠し部屋への目印だから、まずはそこへ向かうよ」
「了解です」
「ええ、分かりました」
「見慣れないキノコだな」
どうやらこの短時間のうちに、随分参加者たちから腕前を認められたみたいだな。ミルゴはなかなかにやる奴だと一目置かれたのか、反対意見は出なかった。
当の本人のミルゴは、くすぐったそうにしながらも嬉し気に笑っている。
「これは…できるだけ魔物は倒しながら進んだ方が良いでしょうね」
「よし、それじゃあまずは俺があっち側に走って引きつれてくる」
「では私は魔法の準備をしておきますね」
参加者たちもどんどん案を出し合っている。良い雰囲気だな。
「それじゃあ、突っ込むよー」
へにゃりと笑いながら皆に向かってそう宣言したミルゴは、次の瞬間には部屋の中の魔物たちをジロリと睨みつけた。すごい気迫だなと感心しながら、俺も剣を抜いて構えた。
「はぁ、無事に到着して良かった」
責任は果たせたとばかりにふうーと息を吐き出したミルゴに、俺達は誰一人として反応できなかった。
固まってしまった俺達の視線の先にあるのは、ワイバーンとムレングゴーレム、そしてエイジトレントで溢れかえっている隠し部屋の姿だった。
さすがにワイバーンが群れで飛ぶ回るには、ダンジョンの中では狭すぎるんじゃないか?
ずっとそう思っていたんだが、この隠し部屋は天井がかなり高く作られているようだ。普通のダンジョンの階層と比べたら、少なくとも三倍程の高さはありそうだ。
「はー、広いな!」
「これはさすがに広すぎるでしょう」
「魔物、かなり多いな…」
「多いっていうか…これはもう多すぎるよな」
「よりによってワイバーンが、あんなに大勢で集まっているところなんて初めて見ます」
「いや、設置されてる使い切りの転移の魔道具とやらも…多すぎないか?」
「いったい、いくつあるんだろうな?」
口々にそう感想を述べ出した周囲に、ファーガス兄さんが軽く咳払いをしてから声をかけた。
「ここからは、さらに危険度が上がるだろう。それでもここにいる皆なら、少しも怯まずに対等に戦えると信じている」
頼むぞと続けたファーガス兄さんに、参加者たちは誇らし気にはいと声を揃えて答えた。
「それではまずは私が…」
「ソフラ隊長、抜け駆けか?」
「とんでもない!ロア隊長もぜひご一緒に。まずは私がではなく、私たちが…ですね」
「ああ、それなら良い。全力を尽くそう」
既に現在進行形で魔力を練っているソフラ隊長と、警戒するように弓を構えたロン隊長だ。
二人はぽんぽんと軽口を言い合いながらも、するりとミルゴよりも前に出た。
「それでは、どんどん落としていきますね」
「ああ、とどめを頼む」
そう宣言した二人が動き出すと、本当に嘘のようにボトボトとワイバーンが落下し始めた。攻撃と攻撃の間が、やけに短いな。狙いを定めている時間が無いように感じるぐらいの早さだ。
だがどんどん落ちてくるという事は、きっちり弱点である翼の付け根を狙えているという事だ。
「よし、行くぞ!」
ファーガス兄さんの声かけで我に返った他の参加者たちも、落下したワイバーンのいる方へと大急ぎで駆け出した。
さすがは、ムレングダンジョン最前線攻略組の盾使いだな。どんな魔物がどれだけ予想外な場所から飛び出してきても、不意打ちにすらならないという素晴らしい安定感だった。
ミルゴが軽々と攻撃を受け止めてくれている間に、俺達が反撃するだけだったから簡単だった。
「着いた!ここの部屋から隠し部屋にいけるよ」
背後の俺達をくるりと振り返って、ミルゴはそう教えてくれた。
「部屋に入ったら、向かって左側に見慣れないキノコが生えている場所があるんだ。それが隠し部屋への目印だから、まずはそこへ向かうよ」
「了解です」
「ええ、分かりました」
「見慣れないキノコだな」
どうやらこの短時間のうちに、随分参加者たちから腕前を認められたみたいだな。ミルゴはなかなかにやる奴だと一目置かれたのか、反対意見は出なかった。
当の本人のミルゴは、くすぐったそうにしながらも嬉し気に笑っている。
「これは…できるだけ魔物は倒しながら進んだ方が良いでしょうね」
「よし、それじゃあまずは俺があっち側に走って引きつれてくる」
「では私は魔法の準備をしておきますね」
参加者たちもどんどん案を出し合っている。良い雰囲気だな。
「それじゃあ、突っ込むよー」
へにゃりと笑いながら皆に向かってそう宣言したミルゴは、次の瞬間には部屋の中の魔物たちをジロリと睨みつけた。すごい気迫だなと感心しながら、俺も剣を抜いて構えた。
「はぁ、無事に到着して良かった」
責任は果たせたとばかりにふうーと息を吐き出したミルゴに、俺達は誰一人として反応できなかった。
固まってしまった俺達の視線の先にあるのは、ワイバーンとムレングゴーレム、そしてエイジトレントで溢れかえっている隠し部屋の姿だった。
さすがにワイバーンが群れで飛ぶ回るには、ダンジョンの中では狭すぎるんじゃないか?
ずっとそう思っていたんだが、この隠し部屋は天井がかなり高く作られているようだ。普通のダンジョンの階層と比べたら、少なくとも三倍程の高さはありそうだ。
「はー、広いな!」
「これはさすがに広すぎるでしょう」
「魔物、かなり多いな…」
「多いっていうか…これはもう多すぎるよな」
「よりによってワイバーンが、あんなに大勢で集まっているところなんて初めて見ます」
「いや、設置されてる使い切りの転移の魔道具とやらも…多すぎないか?」
「いったい、いくつあるんだろうな?」
口々にそう感想を述べ出した周囲に、ファーガス兄さんが軽く咳払いをしてから声をかけた。
「ここからは、さらに危険度が上がるだろう。それでもここにいる皆なら、少しも怯まずに対等に戦えると信じている」
頼むぞと続けたファーガス兄さんに、参加者たちは誇らし気にはいと声を揃えて答えた。
「それではまずは私が…」
「ソフラ隊長、抜け駆けか?」
「とんでもない!ロア隊長もぜひご一緒に。まずは私がではなく、私たちが…ですね」
「ああ、それなら良い。全力を尽くそう」
既に現在進行形で魔力を練っているソフラ隊長と、警戒するように弓を構えたロン隊長だ。
二人はぽんぽんと軽口を言い合いながらも、するりとミルゴよりも前に出た。
「それでは、どんどん落としていきますね」
「ああ、とどめを頼む」
そう宣言した二人が動き出すと、本当に嘘のようにボトボトとワイバーンが落下し始めた。攻撃と攻撃の間が、やけに短いな。狙いを定めている時間が無いように感じるぐらいの早さだ。
だがどんどん落ちてくるという事は、きっちり弱点である翼の付け根を狙えているという事だ。
「よし、行くぞ!」
ファーガス兄さんの声かけで我に返った他の参加者たちも、落下したワイバーンのいる方へと大急ぎで駆け出した。
あなたにおすすめの小説
捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~
水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。
死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!?
「こんなところで寝られるか!」
極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く!
ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。
すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……?
「……貴様、私を堕落させる気か」
(※いいえ、ただ快適に寝たいだけです)
殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。
捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!
聖女の兄で、すみません!
たっぷりチョコ
BL
聖女として呼ばれた妹の代わりに異世界に召喚されてしまった、古河大矢(こがだいや)。
三ヶ月経たないと元の場所に還れないと言われ、素直に待つことに。
そんな暇してる大矢に興味を持った次期国王となる第一王子が話しかけてきて・・・。
BL。ラブコメ異世界ファンタジー。
人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます
七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。
歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。
世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。
気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。
転生エルフの天才エンジニア、静かに暮らしたいのに騎士団長に捕まる〜俺の鉄壁理論は彼の溺愛パッチでバグだらけです〜
たら昆布
BL
転生したらエルフだった社畜エンジニアがのんびり森で暮らす話
騎士団長とのじれったい不器用BL
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
空港清掃員58歳、転生先の王宮でも床を磨いたら双子に懐かれ、国王に溺愛される
木風
恋愛
羽田空港で十五年、黙々と床を磨いてきた清掃員・田中幸子(58)は事故死し、没落寸前の子爵令嬢エルシアとして転生する。
婚約破棄の末に家を追われた彼女が選んだのは、王宮の清掃員――前世の技で空気まで変わるほど磨き上げていく仕事だった。
やがて母を亡くした双子王子王女に懐かれ、荒れた執務室の主である喪中の国王とも距離が縮まり……。
「泣くなら俺の胸で」――床も心も磨き直す、清掃令嬢の溺愛成り上がり。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。