生まれつき幽霊が見える俺が異世界転移をしたら、精霊が見える人と誤解されています

根古川ゆい

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1501.【ハル視点】隠し部屋

 移動中も魔物との遭遇は何度かあったが、先頭を行くミルゴが相手の全ての攻撃をあっさりと受け止めてくれた。

 さすがは、ムレングダンジョン最前線攻略組の盾使いだな。どんな魔物がどれだけ予想外な場所から飛び出してきても、不意打ちにすらならないという素晴らしい安定感だった。

 ミルゴが軽々と攻撃を受け止めてくれている間に、俺達が反撃するだけだったから簡単だった。

「着いた!ここの部屋から隠し部屋にいけるよ」

 背後の俺達をくるりと振り返って、ミルゴはそう教えてくれた。

「部屋に入ったら、向かって左側に見慣れないキノコが生えている場所があるんだ。それが隠し部屋への目印だから、まずはそこへ向かうよ」
「了解です」
「ええ、分かりました」
「見慣れないキノコだな」

 どうやらこの短時間のうちに、随分参加者たちから腕前を認められたみたいだな。ミルゴはなかなかにやる奴だと一目置かれたのか、反対意見は出なかった。

 当の本人のミルゴは、くすぐったそうにしながらも嬉し気に笑っている。

「これは…できるだけ魔物は倒しながら進んだ方が良いでしょうね」
「よし、それじゃあまずは俺があっち側に走って引きつれてくる」
「では私は魔法の準備をしておきますね」

 参加者たちもどんどん案を出し合っている。良い雰囲気だな。

「それじゃあ、突っ込むよー」

 へにゃりと笑いながら皆に向かってそう宣言したミルゴは、次の瞬間には部屋の中の魔物たちをジロリと睨みつけた。すごい気迫だなと感心しながら、俺も剣を抜いて構えた。



「はぁ、無事に到着して良かった」

 責任は果たせたとばかりにふうーと息を吐き出したミルゴに、俺達は誰一人として反応できなかった。

 固まってしまった俺達の視線の先にあるのは、ワイバーンとムレングゴーレム、そしてエイジトレントで溢れかえっている隠し部屋の姿だった。

 さすがにワイバーンが群れで飛ぶ回るには、ダンジョンの中では狭すぎるんじゃないか?

 ずっとそう思っていたんだが、この隠し部屋は天井がかなり高く作られているようだ。普通のダンジョンの階層と比べたら、少なくとも三倍程の高さはありそうだ。

「はー、広いな!」
「これはさすがに広すぎるでしょう」
「魔物、かなり多いな…」
「多いっていうか…これはもう多すぎるよな」
「よりによってワイバーンが、あんなに大勢で集まっているところなんて初めて見ます」
「いや、設置されてる使い切りの転移の魔道具とやらも…多すぎないか?」
「いったい、いくつあるんだろうな?」

 口々にそう感想を述べ出した周囲に、ファーガス兄さんが軽く咳払いをしてから声をかけた。

「ここからは、さらに危険度が上がるだろう。それでもここにいる皆なら、少しも怯まずに対等に戦えると信じている」

 頼むぞと続けたファーガス兄さんに、参加者たちは誇らし気にはいと声を揃えて答えた。

「それではまずは私が…」
「ソフラ隊長、抜け駆けか?」
「とんでもない!ロア隊長もぜひご一緒に。まずは私がではなく、私たちが…ですね」
「ああ、それなら良い。全力を尽くそう」

 既に現在進行形で魔力を練っているソフラ隊長と、警戒するように弓を構えたロン隊長だ。

 二人はぽんぽんと軽口を言い合いながらも、するりとミルゴよりも前に出た。

「それでは、どんどん落としていきますね」
「ああ、とどめを頼む」

 そう宣言した二人が動き出すと、本当に嘘のようにボトボトとワイバーンが落下し始めた。攻撃と攻撃の間が、やけに短いな。狙いを定めている時間が無いように感じるぐらいの早さだ。

 だがどんどん落ちてくるという事は、きっちり弱点である翼の付け根を狙えているという事だ。

「よし、行くぞ!」

 ファーガス兄さんの声かけで我に返った他の参加者たちも、落下したワイバーンのいる方へと大急ぎで駆け出した。
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