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9.牧畜の村 バラーブ村
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木製の柵の向こう側にあるのは、見渡す限りの牧草だ。遠くにはログハウスのような木の家が、連なっているのが見える。夕方になってしまったせいか、残念ながら動物の姿は無かった。視線を転じれば、近くの柵を補修しているおじさんが見える。
「こんばんはー」
「こんばんは。あれ、冒険者さんがこの村にくるのは珍しいね。どうしたの?」
自分から声をかければ、朗らかな返事が戻ってきた。
「旅の途中なんですが、実は財布を落としてしまって…採取した物を持って来たんですが」
「おや、そうかね…ちょっと待ってくれよー」
普通に返事してくれて良かった。これで冷たくされたら凹むしかないもんな。おじさんの作業を見守っていると、おじさんの横にひっそりと立ったハルが話しかけてくる。
「アキト、前に友人がこちらで取引をしてもらって、助かったって聞いたのでって言って」
「実は、前に友人がこちらで取引をしてもらって、助かったって聞いたので」
「ああ、年に何回かはあるなぁ」
「食料も格別に美味しかったって聞いたって、繰り返してー」
「いただいた食料も格別に美味しかったって聞きました」
「おお、そりゃー嬉しいねぇ!とりあえずこっちにおいでな」
木製の柵を超えてこいと言うので、補修していた所を避けていそいそとよじ登った。おじさんに先導されて広い草原を歩いていけば、やがてログハウスみたいな木の家の前に辿り着いた。
「誰か呼んでくるから、そこに座ってな」
疲れてるだろうと素朴な木製のベンチをすすめられ、ありがたく座らせてもらう。さっきまではそうでもなかったのに、座った途端に一気に疲労感に襲われた。お礼を言うとおじさんは照れくさそうに手をふりながら離れていった。
「ハル、ありがと」
周りには誰もいないのを確認してから、隣に立っているハルに囁く。ハルの言葉を告げてから、明らかにおじさんが優しくなったもんな。
「別に嘘じゃないしね、俺がこの村で食料をわけてもらった事があるんだ」
懐かしそうに村の中を見渡すハルと一緒に、村の様子を眺める。ログハウスみたいな木製の家が立ち並んでいて、窓からは暖かい光が漏れている。辺りに漂っているのは今夜の夕食の香りだろうか。なんだか郷愁を刺激されてしまう。
父さん母さん、元気かな。
父さんは、俺が霊関係の何かに巻き込まれたと思って、あの辺の悪い霊をしめて回ってるだろうな。良い奴らがうまく逃げてくれると良いけど。
父の事を考えている間に、さっきのおじさんが杖を突いたお爺さんと連れだって帰って来た。
「おまたせ、兄ちゃん」
「あ、アキトです」
「アキトか、俺はアックスだ」
「わしはブランじゃ。ブラン爺と呼ばれとるよ」
「あ、良かったら座ってください」
杖が無かったら譲りにくいけど、杖があったら譲りやすいってあるよね。すかさず立ち上がってベンチを譲れば、ブラン爺さんはにっこりと笑いながら腰を下ろした。
「ありがとう」
「いえ、俺もさっきアックスさんに座らせてもらったんです」
「アキト、売りたいものを見せてくれるか?」
「はい、すぐに」
鞄の横にぶら下げていたナーパ草の束を外して、近くにいたアックスさんに手渡す。アックスさんはすぐにそれをブラン爺さんに渡した。ブラン爺さんはじーっと薬草を凝視している。
「あれは鑑定スキルを使う時の動きだよ」
ちらっとハルを見れば、それだけで俺の疑問を理解してくれたらしく、すぐに答えが帰って来た。
「間違いなくナーパ草じゃな」
「そろそろ減ってきてたし、助かるよ」
笑顔のアックスさんに笑い返しつつ、次はジウプの果実を取り出す。
「ジウプの果実!これは嬉しいねぇ!」
「えーと10個あります」
「これはオーブルとミウナに早く伝えてやらないと!」
さっきと比べて、二人の反応がすごい。喜んでくれるなら何よりだけど、ジウプが好物の人がいるとかそういう反応じゃないよな、これ。
「ジウプはね、妊娠中の体調不良にすごく良く効くんだけど、残念ながら加工するとその効果がなくなるんだ」
困った時のハル様は、尋ねても無いのにきっちり説明してくれました。そうか体調不良の妊婦さんがいるから、あんな反応になったんだな。ブラン爺さんとアックスさんは満足そうに頷いてくれた。
「アキトと言ったね?何が欲しいんだい?」
「えーと…」
「領都までの食料と水、着れそうな上下の服」
「領都までの食料と水、着れそうな上下の服が欲しいです」
ハルの言葉を、そっくりそのまま繰り返す。確かに一番欲しいのはその二つだよな。
「よし、それ以外は金で良いかの?」
「はい!」
「じゃあ、よければ今夜はここに泊まってくと良い」
ブラン爺さんが指さしたのは、ちょうどベンチの後ろに立っていた小屋だ。その建物は、普段は誰も使っていない集会所だそうだ。
「ベッドと椅子ぐらいしか無いがの」
「いえ、ベッドがあるだけで十分です!」
というか、初対面なのに泊めてくれるとは思ってもみなかった。アックスさんは夕食まで軽く請け負ってくれた。俺の嫁の料理はうまいぞーなんて惚気ながらね。
「渡すものは明日の朝までに用意しておくからの」
「はい、あ、これ持っていってください」
そのまま去って行こうとする二人を思わず呼び止めると、大きく目を見開いて固まった。
「普通は同時に交換するものじゃろうに」
「そうだよ、騙される事もあるんだからね…まあここは大丈夫だけど」
ハルも横から口を挟んだ。
「いえ、早く妊婦さんに届けて欲しいですし…お二人の人柄を信じます」
ジウプの果実を見た時のあの喜び方からして、結構ひどい体調不良なんだと思うし。遠慮する二人を説得して、何とか持って行ってもらった。
「まったくアキトは…」
「大丈夫だって、ほら入ろ?」
小屋の中に入ってみると、爽やかな木の香りがした。小さいながらも綺麗に掃除が行き届いた部屋だ。木製の椅子とテーブル、ベッドには薄手の布が置いてあった。暑いからこれが布団代わりなんだろうな。
「うわーめっちゃ快適」
「良かったな」
「泊めてもらえると思ってなかったよ」
「アキトなら泊めてもらえると思ってはいたけど…期待させて無理だったらと思って言ってなかったんだ」
どうやら、村に泊めてもらえるかどうかは、村の人の気持ち次第らしい。そりゃそうだよな。横暴な奴や横柄な奴を、自分の村に入れたい人はいない。もっとも、ハルが心配していたのは、他の冒険者が来ていた場合みたいだ。そんなに泊れる場所があるわけじゃないから、先客がいたら無理なんだって。
村での宿泊事情について説明してもらっていると、アックスさんがやってきた。料理上手な嫁さんと一緒に運んできてくれた夕食は、こぶりのパンが2つと具だくさんのスープだった。種類は分からないけどカラフルな野菜がたっぷり入っていて、鶏肉みたいな肉が見えている。
「うわっ…うまそう…」
「ははは、シーニャの料理は世界一うまいぞー」
「やめてよ、あんた」
照れくさそうに笑うシーニャさんは、ごゆっくりと言い残すと、まだまだ惚気足りなさそうなアックスさんを引きずって帰っていった。
「本当に美味しそうだね」
「ハルは、食べれないんだよね?」
食べれる幽霊に会ったことはないんだけど。一応聞いてみると、ハルは残念そうに頷いた。
「気にせず食べて」
「うん、いただきます」
軽く手を合わせてからスプーンを持ち上げて口に運ぶ。くたくたに煮込まれた野菜はとろける程に柔らかかった。鶏肉みたいな肉をすくって口に運べば、今度はジューシーな肉汁があふれ出てくる。シーニャさん、本当にめちゃくちゃ料理上手だな。はぐはぐと食べすすめつつ、パンをちぎって口に放り込む。全粒粉パンみたいな食感だ。硬めのパンが好きな俺には、好みにばっちり合ってる。
「うっま…」
「ふ…本当に美味しそうに食べるね」
「あ、ごめん」
食べてる所は見たくないって言う奴もいたんだよな。自分がもう食事が出来ないことを突きつけられる気がするって。仲良くしてた幽霊の友人達も、だいたい食事時にはいなくなってたっけ。申し訳なくなってハルの顔色を伺ってみたら、なんとハルは嬉しそうに見守ってくれていた。
「ああ、本当に気にしなくて良いよ。美味しそうに食べてるのは見てて楽しい」
「はーハルは心が広いな!ごちそうさまでした」
昼から歩きっぱなしだったから、自覚は無かったけどお腹空いてたんだな。
「食事が終わったなら、通貨について話しておこうか」
「あ、助かる。お願いします」
「こんばんはー」
「こんばんは。あれ、冒険者さんがこの村にくるのは珍しいね。どうしたの?」
自分から声をかければ、朗らかな返事が戻ってきた。
「旅の途中なんですが、実は財布を落としてしまって…採取した物を持って来たんですが」
「おや、そうかね…ちょっと待ってくれよー」
普通に返事してくれて良かった。これで冷たくされたら凹むしかないもんな。おじさんの作業を見守っていると、おじさんの横にひっそりと立ったハルが話しかけてくる。
「アキト、前に友人がこちらで取引をしてもらって、助かったって聞いたのでって言って」
「実は、前に友人がこちらで取引をしてもらって、助かったって聞いたので」
「ああ、年に何回かはあるなぁ」
「食料も格別に美味しかったって聞いたって、繰り返してー」
「いただいた食料も格別に美味しかったって聞きました」
「おお、そりゃー嬉しいねぇ!とりあえずこっちにおいでな」
木製の柵を超えてこいと言うので、補修していた所を避けていそいそとよじ登った。おじさんに先導されて広い草原を歩いていけば、やがてログハウスみたいな木の家の前に辿り着いた。
「誰か呼んでくるから、そこに座ってな」
疲れてるだろうと素朴な木製のベンチをすすめられ、ありがたく座らせてもらう。さっきまではそうでもなかったのに、座った途端に一気に疲労感に襲われた。お礼を言うとおじさんは照れくさそうに手をふりながら離れていった。
「ハル、ありがと」
周りには誰もいないのを確認してから、隣に立っているハルに囁く。ハルの言葉を告げてから、明らかにおじさんが優しくなったもんな。
「別に嘘じゃないしね、俺がこの村で食料をわけてもらった事があるんだ」
懐かしそうに村の中を見渡すハルと一緒に、村の様子を眺める。ログハウスみたいな木製の家が立ち並んでいて、窓からは暖かい光が漏れている。辺りに漂っているのは今夜の夕食の香りだろうか。なんだか郷愁を刺激されてしまう。
父さん母さん、元気かな。
父さんは、俺が霊関係の何かに巻き込まれたと思って、あの辺の悪い霊をしめて回ってるだろうな。良い奴らがうまく逃げてくれると良いけど。
父の事を考えている間に、さっきのおじさんが杖を突いたお爺さんと連れだって帰って来た。
「おまたせ、兄ちゃん」
「あ、アキトです」
「アキトか、俺はアックスだ」
「わしはブランじゃ。ブラン爺と呼ばれとるよ」
「あ、良かったら座ってください」
杖が無かったら譲りにくいけど、杖があったら譲りやすいってあるよね。すかさず立ち上がってベンチを譲れば、ブラン爺さんはにっこりと笑いながら腰を下ろした。
「ありがとう」
「いえ、俺もさっきアックスさんに座らせてもらったんです」
「アキト、売りたいものを見せてくれるか?」
「はい、すぐに」
鞄の横にぶら下げていたナーパ草の束を外して、近くにいたアックスさんに手渡す。アックスさんはすぐにそれをブラン爺さんに渡した。ブラン爺さんはじーっと薬草を凝視している。
「あれは鑑定スキルを使う時の動きだよ」
ちらっとハルを見れば、それだけで俺の疑問を理解してくれたらしく、すぐに答えが帰って来た。
「間違いなくナーパ草じゃな」
「そろそろ減ってきてたし、助かるよ」
笑顔のアックスさんに笑い返しつつ、次はジウプの果実を取り出す。
「ジウプの果実!これは嬉しいねぇ!」
「えーと10個あります」
「これはオーブルとミウナに早く伝えてやらないと!」
さっきと比べて、二人の反応がすごい。喜んでくれるなら何よりだけど、ジウプが好物の人がいるとかそういう反応じゃないよな、これ。
「ジウプはね、妊娠中の体調不良にすごく良く効くんだけど、残念ながら加工するとその効果がなくなるんだ」
困った時のハル様は、尋ねても無いのにきっちり説明してくれました。そうか体調不良の妊婦さんがいるから、あんな反応になったんだな。ブラン爺さんとアックスさんは満足そうに頷いてくれた。
「アキトと言ったね?何が欲しいんだい?」
「えーと…」
「領都までの食料と水、着れそうな上下の服」
「領都までの食料と水、着れそうな上下の服が欲しいです」
ハルの言葉を、そっくりそのまま繰り返す。確かに一番欲しいのはその二つだよな。
「よし、それ以外は金で良いかの?」
「はい!」
「じゃあ、よければ今夜はここに泊まってくと良い」
ブラン爺さんが指さしたのは、ちょうどベンチの後ろに立っていた小屋だ。その建物は、普段は誰も使っていない集会所だそうだ。
「ベッドと椅子ぐらいしか無いがの」
「いえ、ベッドがあるだけで十分です!」
というか、初対面なのに泊めてくれるとは思ってもみなかった。アックスさんは夕食まで軽く請け負ってくれた。俺の嫁の料理はうまいぞーなんて惚気ながらね。
「渡すものは明日の朝までに用意しておくからの」
「はい、あ、これ持っていってください」
そのまま去って行こうとする二人を思わず呼び止めると、大きく目を見開いて固まった。
「普通は同時に交換するものじゃろうに」
「そうだよ、騙される事もあるんだからね…まあここは大丈夫だけど」
ハルも横から口を挟んだ。
「いえ、早く妊婦さんに届けて欲しいですし…お二人の人柄を信じます」
ジウプの果実を見た時のあの喜び方からして、結構ひどい体調不良なんだと思うし。遠慮する二人を説得して、何とか持って行ってもらった。
「まったくアキトは…」
「大丈夫だって、ほら入ろ?」
小屋の中に入ってみると、爽やかな木の香りがした。小さいながらも綺麗に掃除が行き届いた部屋だ。木製の椅子とテーブル、ベッドには薄手の布が置いてあった。暑いからこれが布団代わりなんだろうな。
「うわーめっちゃ快適」
「良かったな」
「泊めてもらえると思ってなかったよ」
「アキトなら泊めてもらえると思ってはいたけど…期待させて無理だったらと思って言ってなかったんだ」
どうやら、村に泊めてもらえるかどうかは、村の人の気持ち次第らしい。そりゃそうだよな。横暴な奴や横柄な奴を、自分の村に入れたい人はいない。もっとも、ハルが心配していたのは、他の冒険者が来ていた場合みたいだ。そんなに泊れる場所があるわけじゃないから、先客がいたら無理なんだって。
村での宿泊事情について説明してもらっていると、アックスさんがやってきた。料理上手な嫁さんと一緒に運んできてくれた夕食は、こぶりのパンが2つと具だくさんのスープだった。種類は分からないけどカラフルな野菜がたっぷり入っていて、鶏肉みたいな肉が見えている。
「うわっ…うまそう…」
「ははは、シーニャの料理は世界一うまいぞー」
「やめてよ、あんた」
照れくさそうに笑うシーニャさんは、ごゆっくりと言い残すと、まだまだ惚気足りなさそうなアックスさんを引きずって帰っていった。
「本当に美味しそうだね」
「ハルは、食べれないんだよね?」
食べれる幽霊に会ったことはないんだけど。一応聞いてみると、ハルは残念そうに頷いた。
「気にせず食べて」
「うん、いただきます」
軽く手を合わせてからスプーンを持ち上げて口に運ぶ。くたくたに煮込まれた野菜はとろける程に柔らかかった。鶏肉みたいな肉をすくって口に運べば、今度はジューシーな肉汁があふれ出てくる。シーニャさん、本当にめちゃくちゃ料理上手だな。はぐはぐと食べすすめつつ、パンをちぎって口に放り込む。全粒粉パンみたいな食感だ。硬めのパンが好きな俺には、好みにばっちり合ってる。
「うっま…」
「ふ…本当に美味しそうに食べるね」
「あ、ごめん」
食べてる所は見たくないって言う奴もいたんだよな。自分がもう食事が出来ないことを突きつけられる気がするって。仲良くしてた幽霊の友人達も、だいたい食事時にはいなくなってたっけ。申し訳なくなってハルの顔色を伺ってみたら、なんとハルは嬉しそうに見守ってくれていた。
「ああ、本当に気にしなくて良いよ。美味しそうに食べてるのは見てて楽しい」
「はーハルは心が広いな!ごちそうさまでした」
昼から歩きっぱなしだったから、自覚は無かったけどお腹空いてたんだな。
「食事が終わったなら、通貨について話しておこうか」
「あ、助かる。お願いします」
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騎士×妖精
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