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36.受付を占拠する巨大キノコはシュールすぎる
何事もなく領都まで辿り着いた俺たちは、大門近くの公園広場に立ち寄った。ここで軽く買い食いをして、遅めの昼食にするためだ。屋台を見て回って選んだのは、焼肉と野菜を薄いナンのようなもので挟んだ軽食だ。
お昼時をすこし過ぎたからか、公園の中にあるベンチにもぽつぽつと空きがあった。夏の日差しをさえぎってくれる木陰のベンチに腰を下ろすと、爽やかな風が汗ばんだ体を冷やしてくれる。
「いただきます」
こういうのはちまちま食べても美味しくないんだよなと、俺は大きく口を開いて思いっきりかぶりついた。
何の肉かは分からないけど、ちょっと噛み応えのある肉はしっかりと香辛料が効いていてスパイシーだ。一緒に挟んである野菜のシャキシャキ感もあって、ちょっとクセになる味だ。あっという間に食べ終わった俺を、ハルは楽しそうに見つめていた。
「ごちそうさまでした」
「うん。じゃあ、ギルドへ行こうか」
ハルは今日はお店の前を通るルートを選んだみたいだ。ちらちらと色んなお店に視線をやりながら歩いて行くと、あっという間にギルドに着いた。
冒険者ギルド併設の酒場の喧噪は、前以上のものだった。正直軽く引いてしまったけど、前みたいに固まらずにすぐに受付へと歩き出せた。
時間が違うとギルドの中にいる冒険者の数も違うらしい。中にいたのは新人からベテランらしき人まで様々だった。
「あいつ、今日キニーアの森にいたよな」
「ああ、採取もせずに奥にいったやつだろ?」
「あの場所が一番らくに採取できる場所なのになー」
「誰か教えてやればいいのに」
受付近くの隅の方に集まっていたのは、どうやらキニーアの森にいた冒険者達みたいだ。
馬鹿にしたような言葉に感じ悪いなとは思ったけど、こういうのは相手にするだけ疲れるだけだから、無視に限る。俺は何も聞こえていないような顔で受付に向かう。歩きながらちらりとハルを見れば、無表情な上に冒険者たちを睨みつけていた。気にしなくて良いからって言いたいけど、ここでそんなことは口にできない。頼む、落ち着いてくれ、ハル。
「アキトさん、おかえりなさい」
メロウさんは顔を合わせるなり、そう言って微笑んでくれる。すごい癒し効果だ。
「ただいま帰りました、メロウさん」
ただいまだけだとなんだか恥ずかしくて、なんとなく帰りましたを追加してみた。メロウさんは朗らかに笑って椅子を勧めてくれる。
「お疲れ様でした。さて、今回は何を納品されますか?」
俺は鞄の中から2枚の依頼書と、素材を取り出していく。スリーシャ草は3束、ポルの実は袋ごと取り出した。
「スリーシャ草が3束。これは品質が良いですね」
「あ、そっちはポルの実なので、気を付けてください」
依頼書は一応先に提出してるけど、毒が心配だった俺はつい口を出してしまった。
「はい、ありがとうございます」
余計なお世話かと思ったけど、穏やかな声で応じてくれたメロウさんは、すかさず手袋を嵌めてから中身の確認に移った。
「ポルの実が8こ、確かに」
「おい、あいつあの短時間でスリーシャ草とポルの実だと?」
「俺たちのスリーシャ草は発育不足って言われたのに…」
後ろから何か聞こえてくるけど、何も聞こえない振りを続ける。簡単に採取できる場所を選んだなら、発育不足なのも仕方ないと思うよ。
「あ、あと…もう一つあるんですけど」
「はい、こちらに出していただいたら」
「えっと、重いんですけど良いですか?」
「え?ええ、ここは頑丈ですから大丈夫ですよ」
鞄の口を開いてはみたけど、取り出し方が分からずに少し悩んでしまう。いつもは手を入れて取り出すけど、持てない時はどうするんだ。
「アキト、そのまま口を押さえたままで、取り出したいものを思い浮かべて」
ハルに言われた通りにすれば、受付の台の上にどどんと巨大黒キノコが飛び出した。受付ブースを占拠する黒キノコの図は、あまりにシュールだ。
「これは……黒曜キノコ…ですね」
へーそんな名前なんだこの黒キノコ。メロウさんの姿は見えなくなったけど、あっち側で鑑定してくれてるんだろうな。のほほんとそんなことを考えていると、後ろで騒めきが起きた。
「黒曜キノコだ」
「あいつ新人だろ?見たこと無いよな?」
「何日か前に冒険者登録しに来た奴だ」
「えー新人の森にもあったのかよー!採りにいけば良かったー!」
今度の声は悪意のある新人冒険者たちではなく、純粋に感心しているらしいベテラン冒険者の声みたいだ。視界を黒キノコに塞がれたまま、俺は冷静に分析する。
「アキトさん、すこしお待ちくださいね」
「え?あ…はい」
また買い取りの書類を作ってくれるのかな。
そう思っていた俺は、あっと言う間にまたギルマス室に連れて行かれた。なんで。
お昼時をすこし過ぎたからか、公園の中にあるベンチにもぽつぽつと空きがあった。夏の日差しをさえぎってくれる木陰のベンチに腰を下ろすと、爽やかな風が汗ばんだ体を冷やしてくれる。
「いただきます」
こういうのはちまちま食べても美味しくないんだよなと、俺は大きく口を開いて思いっきりかぶりついた。
何の肉かは分からないけど、ちょっと噛み応えのある肉はしっかりと香辛料が効いていてスパイシーだ。一緒に挟んである野菜のシャキシャキ感もあって、ちょっとクセになる味だ。あっという間に食べ終わった俺を、ハルは楽しそうに見つめていた。
「ごちそうさまでした」
「うん。じゃあ、ギルドへ行こうか」
ハルは今日はお店の前を通るルートを選んだみたいだ。ちらちらと色んなお店に視線をやりながら歩いて行くと、あっという間にギルドに着いた。
冒険者ギルド併設の酒場の喧噪は、前以上のものだった。正直軽く引いてしまったけど、前みたいに固まらずにすぐに受付へと歩き出せた。
時間が違うとギルドの中にいる冒険者の数も違うらしい。中にいたのは新人からベテランらしき人まで様々だった。
「あいつ、今日キニーアの森にいたよな」
「ああ、採取もせずに奥にいったやつだろ?」
「あの場所が一番らくに採取できる場所なのになー」
「誰か教えてやればいいのに」
受付近くの隅の方に集まっていたのは、どうやらキニーアの森にいた冒険者達みたいだ。
馬鹿にしたような言葉に感じ悪いなとは思ったけど、こういうのは相手にするだけ疲れるだけだから、無視に限る。俺は何も聞こえていないような顔で受付に向かう。歩きながらちらりとハルを見れば、無表情な上に冒険者たちを睨みつけていた。気にしなくて良いからって言いたいけど、ここでそんなことは口にできない。頼む、落ち着いてくれ、ハル。
「アキトさん、おかえりなさい」
メロウさんは顔を合わせるなり、そう言って微笑んでくれる。すごい癒し効果だ。
「ただいま帰りました、メロウさん」
ただいまだけだとなんだか恥ずかしくて、なんとなく帰りましたを追加してみた。メロウさんは朗らかに笑って椅子を勧めてくれる。
「お疲れ様でした。さて、今回は何を納品されますか?」
俺は鞄の中から2枚の依頼書と、素材を取り出していく。スリーシャ草は3束、ポルの実は袋ごと取り出した。
「スリーシャ草が3束。これは品質が良いですね」
「あ、そっちはポルの実なので、気を付けてください」
依頼書は一応先に提出してるけど、毒が心配だった俺はつい口を出してしまった。
「はい、ありがとうございます」
余計なお世話かと思ったけど、穏やかな声で応じてくれたメロウさんは、すかさず手袋を嵌めてから中身の確認に移った。
「ポルの実が8こ、確かに」
「おい、あいつあの短時間でスリーシャ草とポルの実だと?」
「俺たちのスリーシャ草は発育不足って言われたのに…」
後ろから何か聞こえてくるけど、何も聞こえない振りを続ける。簡単に採取できる場所を選んだなら、発育不足なのも仕方ないと思うよ。
「あ、あと…もう一つあるんですけど」
「はい、こちらに出していただいたら」
「えっと、重いんですけど良いですか?」
「え?ええ、ここは頑丈ですから大丈夫ですよ」
鞄の口を開いてはみたけど、取り出し方が分からずに少し悩んでしまう。いつもは手を入れて取り出すけど、持てない時はどうするんだ。
「アキト、そのまま口を押さえたままで、取り出したいものを思い浮かべて」
ハルに言われた通りにすれば、受付の台の上にどどんと巨大黒キノコが飛び出した。受付ブースを占拠する黒キノコの図は、あまりにシュールだ。
「これは……黒曜キノコ…ですね」
へーそんな名前なんだこの黒キノコ。メロウさんの姿は見えなくなったけど、あっち側で鑑定してくれてるんだろうな。のほほんとそんなことを考えていると、後ろで騒めきが起きた。
「黒曜キノコだ」
「あいつ新人だろ?見たこと無いよな?」
「何日か前に冒険者登録しに来た奴だ」
「えー新人の森にもあったのかよー!採りにいけば良かったー!」
今度の声は悪意のある新人冒険者たちではなく、純粋に感心しているらしいベテラン冒険者の声みたいだ。視界を黒キノコに塞がれたまま、俺は冷静に分析する。
「アキトさん、すこしお待ちくださいね」
「え?あ…はい」
また買い取りの書類を作ってくれるのかな。
そう思っていた俺は、あっと言う間にまたギルマス室に連れて行かれた。なんで。
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