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53.魔法を使った討伐依頼
※魔物を倒す描写があります。苦手な方はお気をつけください※
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
昨日は魔法授業の疲れが出たのか、宿に帰ってすぐに眠ってしまったみたいだ。夕方に宿まで帰ってきたところまでは覚えてるんだけど、それ以降の記憶は一切ない。ハルに起こしてもらわなかったら、昼過ぎまで寝てたかもしれない。
「起こしてくれてありがと。俺、寝ちゃったんだ?」
「帰りに買った串焼きだけ食べたら、すぐ寝てしまったな」
目をこすりながら、朝になったら起こしてってお願いだけしてから寝たらしいよ。ハルはこのまま寝かせておくべきか悩んだけど、頼まれたから起こしてくれたんだって。目覚まし係させまくってて、本当にごめん。
「んー疲れたのかな?」
「うん、あれだけ魔法を使えば疲れるよね」
「なあ…ハル…俺、魔力切れ寸前だったって可能性はある?」
もしそうだとしたら、昨日の回数以上の魔法を放ったら危ないって事になるよな。そう思って聞いてみたんだけど、ハルはすぐに首を振って否定してくれた。
もし魔力切れ寸前なら、食欲は一切無くなるんだって。お腹が空いたって感じるうちは魔力が切れかけじゃないって事か。判断基準として覚えておこう。
「ハル、今日は討伐依頼に行きたいんだ」
突然そんなことを言い出したからか、ハルは驚いた顔で俺を振り返った。そんなに予想外だったのかな。そりゃあ、採取の方が楽しいんだけどね。魔法を使えるようになったって言っても、的相手での話だ。魔物相手の魔法での立ち回りはしっかり考えないと駄目だと思うんだ。
「そうか、じゃあギルドへ行こうか」
そんな俺の気持ちを説明しなくても、ハルはあっさりそう言ってくれた。
図鑑でちょっと勉強したとはいえまだまだ魔物に詳しいとは言えないから、今回もハルにおまかせで依頼を選んでもらうことに決めた。
ハルが選んだのは、スライム3体と、トレント草1体の討伐依頼だった。トレント草って草?草だけど採取依頼じゃなくて討伐依頼なのか?と思わず首を傾げてしまった。
ハルは俺が言いたい事を分かってくれたみたいで、すぐに説明してくれた。
「トレント草は移動ができる植物で、種を飛ばして遠距離で攻撃してきたりもするから、なかなか厄介な魔物なんだ。アキトが持ってる図鑑にも載ってるよ」
今日はギルドに来たのが遅かったから、ギルド内は普段よりもかなり空いている。俺はハルと一緒にギルドの壁際に移動してから、図鑑を開いた。
「トレント草…トレント草…あった」
ページには赤いチューリップみたいな、大き目の花の絵が描いてあった。移動もできる植物魔物なので注意が必要と書いてある。つたを伸ばして絡みついてきたり、遠距離攻撃をしてくることもある。火魔法に弱く、逆に水魔法は全く効かないと書いてあった。
「トレント草が成長したら、トレントっていう木に擬態する魔物になるって言われてるんだ。真偽のほどは分からないんだけどね」
笑ってそう言ったハルの言葉を、いつものくせで図鑑に書き込んでしまった。誰も見てなかったかなと周りを見回してみたけど、幸い冒険者はこちらを見ていなかったみたいだ。
「じゃあ、行こうか。今日はルムンの森だね」
洞窟には来たことがあったけど、ルムンの森の森部分を探索するのは初めてだ。
きょろきょろしながら前を行くハルの背中を追っていると、不意に見えた果物が何となく美味しそうに見えて、うっかり目が釘付けになってしまった。
見た目は巨峰のぶどうに似てるけど、色が一粒ずつ違っていて七色をしている。それにしても、すっかりカラフルな果物とか野菜に慣れたよなぁ、俺。
「ハル、待って」
あ、冒険者の気配が無いって言われてないのに、つい話しかけちゃった。やらかしたかなと思ったけど、笑顔で振り返ってくれたから大丈夫だったみたいだ。
「これはナドナの果実!よく見つけたね!」
「みつけたっていうか、何となく美味しそうに見えて」
「これは本当に美味しいよ。アキトが食べる用と、他にもいくつか採っていくと良いよ」
許可が出たので、喜んで採取させてもらった。後で食べるの楽しみだ。
しばらく歩いていくと、やっとハルは足を止めた。
「このへんが良いかな」
「案内ありがと、ハル」
「どういたしまして。まずはスライムが2体来そうだよ」
「分かった」
身構えるとつい剣に手が行っちゃうけど、今日は魔法で倒すんだから剣は必要ないのかな。ちらとハルを見ると、剣も構えても良いんだよと教えてくれた。
「もし魔法が当たらなかった時には剣も必要だよ?」
「あ、そっか」
ドロシーさんぐらい百発百中ならいらないけど、俺には必要な備えだよな。剣を構えた状態で魔力を練り始めると、すぐに2体のスライムが飛び出してきた。
「スライム相手なら、おすすめは土魔法だよ」
図鑑にはスライムにおすすめの属性は載ってなかったけど、ハルが言うなら土属性にしよう。俺の前に、先のとがったつぶてが2つ浮かび上がった。
ドロシーさんに教えてもらいながら試行錯誤してるうちに、つぶては粘土製じゃなくてコンクリート製になったんだ。おかげで当たりさえすれば、かなりのダメージを与えられるようになった…と思う。
しっかりと狙いを定めてからつぶてを放てば、スライム2体はコアを撃ち抜かれて一瞬で水になった。
「十分に使いこなせてるね、すごいよ、アキト」
「ありがとう」
魔法を使うと、魔物ってこんなに簡単に倒せるんだ。すごい力だけど、ちょっと怖い気もする。
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昨日は魔法授業の疲れが出たのか、宿に帰ってすぐに眠ってしまったみたいだ。夕方に宿まで帰ってきたところまでは覚えてるんだけど、それ以降の記憶は一切ない。ハルに起こしてもらわなかったら、昼過ぎまで寝てたかもしれない。
「起こしてくれてありがと。俺、寝ちゃったんだ?」
「帰りに買った串焼きだけ食べたら、すぐ寝てしまったな」
目をこすりながら、朝になったら起こしてってお願いだけしてから寝たらしいよ。ハルはこのまま寝かせておくべきか悩んだけど、頼まれたから起こしてくれたんだって。目覚まし係させまくってて、本当にごめん。
「んー疲れたのかな?」
「うん、あれだけ魔法を使えば疲れるよね」
「なあ…ハル…俺、魔力切れ寸前だったって可能性はある?」
もしそうだとしたら、昨日の回数以上の魔法を放ったら危ないって事になるよな。そう思って聞いてみたんだけど、ハルはすぐに首を振って否定してくれた。
もし魔力切れ寸前なら、食欲は一切無くなるんだって。お腹が空いたって感じるうちは魔力が切れかけじゃないって事か。判断基準として覚えておこう。
「ハル、今日は討伐依頼に行きたいんだ」
突然そんなことを言い出したからか、ハルは驚いた顔で俺を振り返った。そんなに予想外だったのかな。そりゃあ、採取の方が楽しいんだけどね。魔法を使えるようになったって言っても、的相手での話だ。魔物相手の魔法での立ち回りはしっかり考えないと駄目だと思うんだ。
「そうか、じゃあギルドへ行こうか」
そんな俺の気持ちを説明しなくても、ハルはあっさりそう言ってくれた。
図鑑でちょっと勉強したとはいえまだまだ魔物に詳しいとは言えないから、今回もハルにおまかせで依頼を選んでもらうことに決めた。
ハルが選んだのは、スライム3体と、トレント草1体の討伐依頼だった。トレント草って草?草だけど採取依頼じゃなくて討伐依頼なのか?と思わず首を傾げてしまった。
ハルは俺が言いたい事を分かってくれたみたいで、すぐに説明してくれた。
「トレント草は移動ができる植物で、種を飛ばして遠距離で攻撃してきたりもするから、なかなか厄介な魔物なんだ。アキトが持ってる図鑑にも載ってるよ」
今日はギルドに来たのが遅かったから、ギルド内は普段よりもかなり空いている。俺はハルと一緒にギルドの壁際に移動してから、図鑑を開いた。
「トレント草…トレント草…あった」
ページには赤いチューリップみたいな、大き目の花の絵が描いてあった。移動もできる植物魔物なので注意が必要と書いてある。つたを伸ばして絡みついてきたり、遠距離攻撃をしてくることもある。火魔法に弱く、逆に水魔法は全く効かないと書いてあった。
「トレント草が成長したら、トレントっていう木に擬態する魔物になるって言われてるんだ。真偽のほどは分からないんだけどね」
笑ってそう言ったハルの言葉を、いつものくせで図鑑に書き込んでしまった。誰も見てなかったかなと周りを見回してみたけど、幸い冒険者はこちらを見ていなかったみたいだ。
「じゃあ、行こうか。今日はルムンの森だね」
洞窟には来たことがあったけど、ルムンの森の森部分を探索するのは初めてだ。
きょろきょろしながら前を行くハルの背中を追っていると、不意に見えた果物が何となく美味しそうに見えて、うっかり目が釘付けになってしまった。
見た目は巨峰のぶどうに似てるけど、色が一粒ずつ違っていて七色をしている。それにしても、すっかりカラフルな果物とか野菜に慣れたよなぁ、俺。
「ハル、待って」
あ、冒険者の気配が無いって言われてないのに、つい話しかけちゃった。やらかしたかなと思ったけど、笑顔で振り返ってくれたから大丈夫だったみたいだ。
「これはナドナの果実!よく見つけたね!」
「みつけたっていうか、何となく美味しそうに見えて」
「これは本当に美味しいよ。アキトが食べる用と、他にもいくつか採っていくと良いよ」
許可が出たので、喜んで採取させてもらった。後で食べるの楽しみだ。
しばらく歩いていくと、やっとハルは足を止めた。
「このへんが良いかな」
「案内ありがと、ハル」
「どういたしまして。まずはスライムが2体来そうだよ」
「分かった」
身構えるとつい剣に手が行っちゃうけど、今日は魔法で倒すんだから剣は必要ないのかな。ちらとハルを見ると、剣も構えても良いんだよと教えてくれた。
「もし魔法が当たらなかった時には剣も必要だよ?」
「あ、そっか」
ドロシーさんぐらい百発百中ならいらないけど、俺には必要な備えだよな。剣を構えた状態で魔力を練り始めると、すぐに2体のスライムが飛び出してきた。
「スライム相手なら、おすすめは土魔法だよ」
図鑑にはスライムにおすすめの属性は載ってなかったけど、ハルが言うなら土属性にしよう。俺の前に、先のとがったつぶてが2つ浮かび上がった。
ドロシーさんに教えてもらいながら試行錯誤してるうちに、つぶては粘土製じゃなくてコンクリート製になったんだ。おかげで当たりさえすれば、かなりのダメージを与えられるようになった…と思う。
しっかりと狙いを定めてからつぶてを放てば、スライム2体はコアを撃ち抜かれて一瞬で水になった。
「十分に使いこなせてるね、すごいよ、アキト」
「ありがとう」
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