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111.帰路に就く
今日は珍しくすっきりと起きられた俺は、朝から食堂へ行き朝食を済ませた。
ブランカの食堂は海が見える日当たりの良い部屋で、色とりどりの果物や野菜をたっぷり使った朝食はやっぱり最高に美味しかった。
今は部屋に戻って荷物を片付けつつ、ハルと一緒に部屋でまったりしている所だ。
「もう少し食堂でゆっくりしても良かったのに」
「んー食堂だったらハルと話せないからね」
素直に理由を告げれば、ハルは照れくさそうに目を逸らした。その照れた顔を見ると、頭をわしゃわしゃって撫でたくなるんだよな。触れないから撫でれないんだけど。俺はワキワキと手を動かした。
「なあ、そう言えば気になってたんだけど…」
「ん?どうしたの?」
窓の外の海をぼんやりと眺めながら、俺は口を開いた。
「なあ、帰りって徒歩で帰るの?」
「徒歩だと途中で野宿になるから、直通の馬車に乗った方が良いと思うんだけど」
「ああ!今度ライスを買いにくる時に乗るって言ってたやつ!?」
俺の発言を聞くなり、ハルはフハッと声をあげて笑い出した。
「うん、それだね。アキト…そろそろ出発しようか?」
頷いた俺はすぐに立ち上がると、中身の詰まった魔道収納鞄を背負った。
旅が終わってしまうという寂しさももちろんあるけど、また来れば良いんだ。俺は笑顔で部屋を後にした。
トルマルの白壁と青屋根も、だいぶ見慣れてきた気がする。道はまだまだ覚えられそうにないけど、もしかしたらハルもこうやって少しずつ慣れながら覚えていったのかな。そんな事を想像しながら、俺はトルマルの路地を歩いて行く。
「ねぇ、ハル。そういえば、馬車乗り場なんてあったっけ?」
「トルマルの入口はふたつあってね。入ってきたのは南門、馬車乗り場があるのは西門だよ」
なるほど。門の近くには建物なんてなかったのにって、ちょっと不思議だったんだよな。
「ということは今は西門に向かってるの?」
「そうだよ」
こんな何気ない事を話しながら歩けるのが嬉しい。トライプールにもトルマルみたいに、こういう路地がいっぱいあれば良いのにな。そうしたらこうやって話しながら移動できるのに。
「アキト、あれが西門だよ」
そう言ってハルが指差したのは、南門とは比べ物にならないほどの立派な門だった。ああ、こっちが主要な門なんだなと見ただけで分かる。
「こっちが馬車乗り場に続く道だよ」
ハルが教えてくれた道をゆっくりと進んでいくと、小さな建物が遠くに見えてきた。トライプールの馬車乗り場と比べるとあまりにサイズ感が違いすぎて、本当にここ?と思わず聞きたくなる。
ゆっくりとカーブしている道をそのまま歩いていくと、建物の前にはすでに馬車が停まっていた。あれ、何か見覚えがあるんだけど。立派な体格の白馬で、艶のあるたてがみは真っ白だ。あれはもしかして。
「え、ヨウ!?」
思わず声をあげた俺に、白馬はちらりとこちらを見るとヒヒンと軽く答えてくれた。
「あ、ロズア村まで乗せた冒険者の兄ちゃんじゃないか」
御者のおじさんは俺に気づくと、軽い調子で挨拶してくれた。
「こんにちは!」
「今日は俺たちがトライプールまでの担当なんだが、乗るのかい?」
「はい。今日帰るところで…」
おじさんと向かい合って話していると、ヨウがぐいっと鼻を割り込ませてきた。御者のおじさんはふふっと笑い出す。
「気に入られてるなぁ、よければ撫でてやってくれ」
「ヨウ、覚えててくれたんだな、ありがと」
お礼を言いながら、ありがたく撫でさせてもらう。つるつるすべすべの毛並みが今日も最高だった。しばらくすると満足したのか、ヨウはふいっと自分から顔を背けた。どうやら終わりみたいだ。撫でさせてくれてありがとうな。
「じゃあ、俺チケット買ってきますね」
「おう、出発まではまだ20分はあるから急がなくて良いからな」
「はーい」
乗り込んだヨウの引く馬車は、無事に定刻通りに出発した。
今回の乗客は商人や旅人ばかりで、冒険者は俺だけみたいだった。
「兄ちゃんは冒険者かい?」
「はい」
「トルマルでは何を買ったかって聞いても良いかね?」
「あ、干し魚とライスを買いました」
市場調査なのか商人さんが聞いてきたのに答えた所から始まって、結局周りも巻き込んでわいわいと話しをすることになった。
どこの土地の何が高く売れるとか、旅先で面白かった場所、珍しい物、おすすめの旅行先の話まで、幅広い話題が飛び交っている。ハルがあれこれと追加説明をしてくれるおかげで、書き留めたい情報もどんどん増えていく。
あーメモが取りたいと思いながら、俺は笑顔で周りの乗客と話し続けていた。
ブランカの食堂は海が見える日当たりの良い部屋で、色とりどりの果物や野菜をたっぷり使った朝食はやっぱり最高に美味しかった。
今は部屋に戻って荷物を片付けつつ、ハルと一緒に部屋でまったりしている所だ。
「もう少し食堂でゆっくりしても良かったのに」
「んー食堂だったらハルと話せないからね」
素直に理由を告げれば、ハルは照れくさそうに目を逸らした。その照れた顔を見ると、頭をわしゃわしゃって撫でたくなるんだよな。触れないから撫でれないんだけど。俺はワキワキと手を動かした。
「なあ、そう言えば気になってたんだけど…」
「ん?どうしたの?」
窓の外の海をぼんやりと眺めながら、俺は口を開いた。
「なあ、帰りって徒歩で帰るの?」
「徒歩だと途中で野宿になるから、直通の馬車に乗った方が良いと思うんだけど」
「ああ!今度ライスを買いにくる時に乗るって言ってたやつ!?」
俺の発言を聞くなり、ハルはフハッと声をあげて笑い出した。
「うん、それだね。アキト…そろそろ出発しようか?」
頷いた俺はすぐに立ち上がると、中身の詰まった魔道収納鞄を背負った。
旅が終わってしまうという寂しさももちろんあるけど、また来れば良いんだ。俺は笑顔で部屋を後にした。
トルマルの白壁と青屋根も、だいぶ見慣れてきた気がする。道はまだまだ覚えられそうにないけど、もしかしたらハルもこうやって少しずつ慣れながら覚えていったのかな。そんな事を想像しながら、俺はトルマルの路地を歩いて行く。
「ねぇ、ハル。そういえば、馬車乗り場なんてあったっけ?」
「トルマルの入口はふたつあってね。入ってきたのは南門、馬車乗り場があるのは西門だよ」
なるほど。門の近くには建物なんてなかったのにって、ちょっと不思議だったんだよな。
「ということは今は西門に向かってるの?」
「そうだよ」
こんな何気ない事を話しながら歩けるのが嬉しい。トライプールにもトルマルみたいに、こういう路地がいっぱいあれば良いのにな。そうしたらこうやって話しながら移動できるのに。
「アキト、あれが西門だよ」
そう言ってハルが指差したのは、南門とは比べ物にならないほどの立派な門だった。ああ、こっちが主要な門なんだなと見ただけで分かる。
「こっちが馬車乗り場に続く道だよ」
ハルが教えてくれた道をゆっくりと進んでいくと、小さな建物が遠くに見えてきた。トライプールの馬車乗り場と比べるとあまりにサイズ感が違いすぎて、本当にここ?と思わず聞きたくなる。
ゆっくりとカーブしている道をそのまま歩いていくと、建物の前にはすでに馬車が停まっていた。あれ、何か見覚えがあるんだけど。立派な体格の白馬で、艶のあるたてがみは真っ白だ。あれはもしかして。
「え、ヨウ!?」
思わず声をあげた俺に、白馬はちらりとこちらを見るとヒヒンと軽く答えてくれた。
「あ、ロズア村まで乗せた冒険者の兄ちゃんじゃないか」
御者のおじさんは俺に気づくと、軽い調子で挨拶してくれた。
「こんにちは!」
「今日は俺たちがトライプールまでの担当なんだが、乗るのかい?」
「はい。今日帰るところで…」
おじさんと向かい合って話していると、ヨウがぐいっと鼻を割り込ませてきた。御者のおじさんはふふっと笑い出す。
「気に入られてるなぁ、よければ撫でてやってくれ」
「ヨウ、覚えててくれたんだな、ありがと」
お礼を言いながら、ありがたく撫でさせてもらう。つるつるすべすべの毛並みが今日も最高だった。しばらくすると満足したのか、ヨウはふいっと自分から顔を背けた。どうやら終わりみたいだ。撫でさせてくれてありがとうな。
「じゃあ、俺チケット買ってきますね」
「おう、出発まではまだ20分はあるから急がなくて良いからな」
「はーい」
乗り込んだヨウの引く馬車は、無事に定刻通りに出発した。
今回の乗客は商人や旅人ばかりで、冒険者は俺だけみたいだった。
「兄ちゃんは冒険者かい?」
「はい」
「トルマルでは何を買ったかって聞いても良いかね?」
「あ、干し魚とライスを買いました」
市場調査なのか商人さんが聞いてきたのに答えた所から始まって、結局周りも巻き込んでわいわいと話しをすることになった。
どこの土地の何が高く売れるとか、旅先で面白かった場所、珍しい物、おすすめの旅行先の話まで、幅広い話題が飛び交っている。ハルがあれこれと追加説明をしてくれるおかげで、書き留めたい情報もどんどん増えていく。
あーメモが取りたいと思いながら、俺は笑顔で周りの乗客と話し続けていた。
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