116 / 1,447
115.【ハル視点】トルマルから出発
しおりを挟む
俺が声を掛ける前に、アキトは珍しく起きだしてきた。
「おはよう、ハル!」
元気いっぱいのアキトには、昨日たくさん歩き回った疲れは全く残っていないようだ。ブランカに戻るなり温泉を堪能して、早めに眠ったのが良かったのかもしれない。
身支度を整えたアキトは、いそいそと食堂へ向かった。ブランカの食堂は海が見える日当たりの良い部屋で、景色も楽しめる場所だ。ゆっくりとそこで時間を過ごす宿泊客も多いのに、アキトは食べ終わるなり立ち上がった。
「もう戻るの?」
思わず尋ねた俺に、アキトは周りに見られても不自然にならない程度に頷いてくれた。そのまままっすぐに部屋に戻ると、アキトは部屋の鍵を閉めた。
急ぐ旅でも無いのに、そのまま荷物を整頓し始めたアキトをじっと見つめてしまう。
「もう少し食堂でゆっくりしても良かったのに」
「んー食堂だったらハルと話せないからね」
あっさりとそう理由を告げると、アキトは笑いながら俺を見上げてきた。不意打ちの言葉に、心臓を射抜かれた気分だ。思わずアキトから視線を逸らしてしまった。そうか、俺と話すために部屋に戻ってくれたのか。そう思うと、急にこの時間を嬉しく感じてしまう。
「なあ、そう言えば気になってたんだけど…」
「ん?どうしたの?」
荷物の整理が終わったのか、アキトは窓の外の海をぼんやりと眺めながら口を開いた。
「なあ、帰りって徒歩で帰るの?」
「徒歩だと途中で野宿になるから、直通の馬車に乗った方が良いと思うんだけど」
「ああ!今度ライスを買いにくる時に乗るって言ってたやつ!?」
嬉しそうな言葉に、思わずフハッと笑ってしまった。確かに俺が言った事だが、よほど嬉しく思ってくれたんだろうな。絶対にアキトと一緒に、またトルマルに来ようと俺は密かに決意した。
「うん、それだね。アキト…そろそろ出発しようか?」
アキトはすぐに立ち上がると、慣れた様子で魔道収納鞄を背負った。
馬車乗り場のある西門まで案内するには、大通りから行く方が分かりやすい。だが今は大通りが一番混みあう朝の時間帯だ。俺は比較的空いていそうな狭い小道を選んで、アキトを案内した。この道なら少しくらい話せるかなと考えたせいでもある。
馬車乗り場の話や西門の話をしながら歩いていけば、目的地の西門にはあっという間に辿り着いた。
「アキト、あれが西門だよ」
見えてきた西門を指差せば、アキトは口を開いて大きな門を見上げていた。
「こっちが馬車乗り場に続く道だよ」
トライプールに比べるとかなり小ぶりな建物だが、ここは観光地な事もあり少し装飾がされている。アキトにどう説明しようかなと考えていた俺は、不意にアキトが上げた声に驚いて視線を転じた。
「え、ヨウ!?」
そこにいたのは、触らせてもらったとアキトがはしゃいでいたあの白馬だった。まだ2回目だと言うのに、名前を呼ばれただけでヒヒンと軽く答えるなんて気に入られすぎじゃないか。
「あ、ロズア村まで乗せた冒険者の兄ちゃんじゃないか」
御者もアキトに気づくと、軽い調子で挨拶を交わしている。
「こんにちは!」
「今日は俺たちがトライプールまでの担当なんだが、乗るのかい?」
「はい。今日帰るところで…」
二人が会話をしている間に、白馬がぐいっと鼻を割り込ませたのには驚いた。さあ撫でろと言いたげな仕草に、御者も笑い出した。
「気に入られてるなぁ、よければ撫でてやってくれ」
「ヨウ、覚えててくれたんだな、ありがと」
アキトにはまだ理解できていないようだが、この世界のウマは組んでいる相手以外には滅多に懐かない。アキトが特別好かれているだけなんだが、なんだか悔しいので教えるつもりはない。ウマに嫉妬なんて笑えないなと、思わず苦笑が漏れた。
乗り込んだ馬車は、無事に定刻通りに出発した。
今回の乗客は商人や旅人ばかりで、冒険者はアキトだけのようだ。怪しい気配も無い事を確認して、俺はふうと肩の力を抜いた。
「兄ちゃんは冒険者かい?」
「はい」
「トルマルでは何を買ったかって聞いても良いかね?」
質問をしてきた男は、きちんと情報を集めて商売をする商人のようだ。こういう場所の会話から次の商売のネタを探す商人も多い。
「あ、干し魚とライスを買いました」
アキトの答えが役に立つかは分からないが、素直なアキトの答えに馬車の中の雰囲気が一気に緩んだ。結局周りも巻き込んで、わいわいと話しをすることになったようだ。
どこの土地の何が高く売れるとか、旅先で面白かった場所、珍しい物、おすすめの旅行先の話まで、幅広い話題が飛び交っていてなかなかに楽しそうだった。
休憩で馬車が停まると、乗客たちはぞろぞろと降りていく。アキトも鞄を背負ってすぐに後に続いた。
「ヨウ、お疲れ様」
食事を始めた白馬を、アキトはじっと見つめていた。本当にウマが好きなんだな。微笑ましい気持ちで見つめていると、唐突にアキトが干し魚を取り出した。馬の食事を見て、自分もすこし食べておこうとでも思ったんだろうか。
だが、ちょっと待ってくれ。俺は慌ててアキトを止めた。
「アキト、そのままなら良いんだけど、もし火魔法で温めるつもりならもう少し離れた方が良いよ」
一体何から離れるんだろうと軽く首を傾げたアキトに、俺は急いで説明した。
ウマは近くで魔法を発動すると、攻撃されるかもと身構える。そう伝えれば、アキトは焦った様子で少し離れた森の近くまで移動してくれた。ウマが好きなアキトにはとても伝えられなかったが、身構えたウマに対して少しでも敵意を見せれば襲われる事もある。アキトは気に入られているから大丈夫だとは思うが、断言できない以上警戒するべきだ。
「うん、ここまでくれば大丈夫」
俺がそう声をかければ、アキトは慣れた様子で火魔法を発動して干し魚をあぶりだした。この距離でも、白馬は食事を止めてこちらを見た。威嚇する様子もなくただこちらを見ているウマは、アキトには敵意を感じ無かったのだろう。
「ハル、教えてくれてありがとう」
「いいんだ。ウマの前では気をつけてね」
「うん、分かった」
火魔法であぶった干し魚は、アキトの口にあったみたいだ。幸せそうにかじりつく姿を、ついまじまじと見つめてしまう。食事をしているアキトの姿は、本当にどれだけ見ても飽きないんだよな。
「ハル、あの人見える?」
言われた方角を見れば、そこには女性の霊体が立っていた。
「見える。あれは霊体だな」
「だよね?何か寂しそうで、すごく気になるんだけど」
寂しそうで気になる、か。アキトらしいとは思うけれど、わざわざ自分から関わりを持たなくても良くないかなんて思ってしまった。
「あの雰囲気からして危険な霊じゃないと思うんだけど…時間が無いから無理かな?」
どうしようと困ったように口にするアキトに、俺はふうと大きく息を吐いた。
「今は休憩中だから、ここで途中下車すると伝えれば時間は問題無いよ」
「あ、そっか!さすがハル」
この場所からなら、もう徒歩でも今日中に帰れるぐらいの距離だ。それほど魔物が多い地域でも無いし、俺が案内すれば迷う事も無いだろう。すぐに御者に声を掛けに行こうとしたアキトを、俺はそっと呼び止めた。
「アキト。危ない事に関わって欲しくは無いんだけど…俺もアキトの優しさで助けてもらった身だから強くは言えない」
きょとんと見上げてくるアキトの目を、じっと見据えて声をかける。
「もし危険があると思ったら、まずは逃げること。約束できる?」
「うん、約束する」
「じゃあ良いよ。行こう」
「おはよう、ハル!」
元気いっぱいのアキトには、昨日たくさん歩き回った疲れは全く残っていないようだ。ブランカに戻るなり温泉を堪能して、早めに眠ったのが良かったのかもしれない。
身支度を整えたアキトは、いそいそと食堂へ向かった。ブランカの食堂は海が見える日当たりの良い部屋で、景色も楽しめる場所だ。ゆっくりとそこで時間を過ごす宿泊客も多いのに、アキトは食べ終わるなり立ち上がった。
「もう戻るの?」
思わず尋ねた俺に、アキトは周りに見られても不自然にならない程度に頷いてくれた。そのまままっすぐに部屋に戻ると、アキトは部屋の鍵を閉めた。
急ぐ旅でも無いのに、そのまま荷物を整頓し始めたアキトをじっと見つめてしまう。
「もう少し食堂でゆっくりしても良かったのに」
「んー食堂だったらハルと話せないからね」
あっさりとそう理由を告げると、アキトは笑いながら俺を見上げてきた。不意打ちの言葉に、心臓を射抜かれた気分だ。思わずアキトから視線を逸らしてしまった。そうか、俺と話すために部屋に戻ってくれたのか。そう思うと、急にこの時間を嬉しく感じてしまう。
「なあ、そう言えば気になってたんだけど…」
「ん?どうしたの?」
荷物の整理が終わったのか、アキトは窓の外の海をぼんやりと眺めながら口を開いた。
「なあ、帰りって徒歩で帰るの?」
「徒歩だと途中で野宿になるから、直通の馬車に乗った方が良いと思うんだけど」
「ああ!今度ライスを買いにくる時に乗るって言ってたやつ!?」
嬉しそうな言葉に、思わずフハッと笑ってしまった。確かに俺が言った事だが、よほど嬉しく思ってくれたんだろうな。絶対にアキトと一緒に、またトルマルに来ようと俺は密かに決意した。
「うん、それだね。アキト…そろそろ出発しようか?」
アキトはすぐに立ち上がると、慣れた様子で魔道収納鞄を背負った。
馬車乗り場のある西門まで案内するには、大通りから行く方が分かりやすい。だが今は大通りが一番混みあう朝の時間帯だ。俺は比較的空いていそうな狭い小道を選んで、アキトを案内した。この道なら少しくらい話せるかなと考えたせいでもある。
馬車乗り場の話や西門の話をしながら歩いていけば、目的地の西門にはあっという間に辿り着いた。
「アキト、あれが西門だよ」
見えてきた西門を指差せば、アキトは口を開いて大きな門を見上げていた。
「こっちが馬車乗り場に続く道だよ」
トライプールに比べるとかなり小ぶりな建物だが、ここは観光地な事もあり少し装飾がされている。アキトにどう説明しようかなと考えていた俺は、不意にアキトが上げた声に驚いて視線を転じた。
「え、ヨウ!?」
そこにいたのは、触らせてもらったとアキトがはしゃいでいたあの白馬だった。まだ2回目だと言うのに、名前を呼ばれただけでヒヒンと軽く答えるなんて気に入られすぎじゃないか。
「あ、ロズア村まで乗せた冒険者の兄ちゃんじゃないか」
御者もアキトに気づくと、軽い調子で挨拶を交わしている。
「こんにちは!」
「今日は俺たちがトライプールまでの担当なんだが、乗るのかい?」
「はい。今日帰るところで…」
二人が会話をしている間に、白馬がぐいっと鼻を割り込ませたのには驚いた。さあ撫でろと言いたげな仕草に、御者も笑い出した。
「気に入られてるなぁ、よければ撫でてやってくれ」
「ヨウ、覚えててくれたんだな、ありがと」
アキトにはまだ理解できていないようだが、この世界のウマは組んでいる相手以外には滅多に懐かない。アキトが特別好かれているだけなんだが、なんだか悔しいので教えるつもりはない。ウマに嫉妬なんて笑えないなと、思わず苦笑が漏れた。
乗り込んだ馬車は、無事に定刻通りに出発した。
今回の乗客は商人や旅人ばかりで、冒険者はアキトだけのようだ。怪しい気配も無い事を確認して、俺はふうと肩の力を抜いた。
「兄ちゃんは冒険者かい?」
「はい」
「トルマルでは何を買ったかって聞いても良いかね?」
質問をしてきた男は、きちんと情報を集めて商売をする商人のようだ。こういう場所の会話から次の商売のネタを探す商人も多い。
「あ、干し魚とライスを買いました」
アキトの答えが役に立つかは分からないが、素直なアキトの答えに馬車の中の雰囲気が一気に緩んだ。結局周りも巻き込んで、わいわいと話しをすることになったようだ。
どこの土地の何が高く売れるとか、旅先で面白かった場所、珍しい物、おすすめの旅行先の話まで、幅広い話題が飛び交っていてなかなかに楽しそうだった。
休憩で馬車が停まると、乗客たちはぞろぞろと降りていく。アキトも鞄を背負ってすぐに後に続いた。
「ヨウ、お疲れ様」
食事を始めた白馬を、アキトはじっと見つめていた。本当にウマが好きなんだな。微笑ましい気持ちで見つめていると、唐突にアキトが干し魚を取り出した。馬の食事を見て、自分もすこし食べておこうとでも思ったんだろうか。
だが、ちょっと待ってくれ。俺は慌ててアキトを止めた。
「アキト、そのままなら良いんだけど、もし火魔法で温めるつもりならもう少し離れた方が良いよ」
一体何から離れるんだろうと軽く首を傾げたアキトに、俺は急いで説明した。
ウマは近くで魔法を発動すると、攻撃されるかもと身構える。そう伝えれば、アキトは焦った様子で少し離れた森の近くまで移動してくれた。ウマが好きなアキトにはとても伝えられなかったが、身構えたウマに対して少しでも敵意を見せれば襲われる事もある。アキトは気に入られているから大丈夫だとは思うが、断言できない以上警戒するべきだ。
「うん、ここまでくれば大丈夫」
俺がそう声をかければ、アキトは慣れた様子で火魔法を発動して干し魚をあぶりだした。この距離でも、白馬は食事を止めてこちらを見た。威嚇する様子もなくただこちらを見ているウマは、アキトには敵意を感じ無かったのだろう。
「ハル、教えてくれてありがとう」
「いいんだ。ウマの前では気をつけてね」
「うん、分かった」
火魔法であぶった干し魚は、アキトの口にあったみたいだ。幸せそうにかじりつく姿を、ついまじまじと見つめてしまう。食事をしているアキトの姿は、本当にどれだけ見ても飽きないんだよな。
「ハル、あの人見える?」
言われた方角を見れば、そこには女性の霊体が立っていた。
「見える。あれは霊体だな」
「だよね?何か寂しそうで、すごく気になるんだけど」
寂しそうで気になる、か。アキトらしいとは思うけれど、わざわざ自分から関わりを持たなくても良くないかなんて思ってしまった。
「あの雰囲気からして危険な霊じゃないと思うんだけど…時間が無いから無理かな?」
どうしようと困ったように口にするアキトに、俺はふうと大きく息を吐いた。
「今は休憩中だから、ここで途中下車すると伝えれば時間は問題無いよ」
「あ、そっか!さすがハル」
この場所からなら、もう徒歩でも今日中に帰れるぐらいの距離だ。それほど魔物が多い地域でも無いし、俺が案内すれば迷う事も無いだろう。すぐに御者に声を掛けに行こうとしたアキトを、俺はそっと呼び止めた。
「アキト。危ない事に関わって欲しくは無いんだけど…俺もアキトの優しさで助けてもらった身だから強くは言えない」
きょとんと見上げてくるアキトの目を、じっと見据えて声をかける。
「もし危険があると思ったら、まずは逃げること。約束できる?」
「うん、約束する」
「じゃあ良いよ。行こう」
435
あなたにおすすめの小説
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。
キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ!
あらすじ
「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」
貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。
冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。
彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。
「旦那様は俺に無関心」
そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。
バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!?
「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」
怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。
えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの?
実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった!
「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」
「過保護すぎて冒険になりません!!」
Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。
すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
ユィリと皆の動画つくりました! お話にあわせて、ちょこちょこあがる予定です。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
植物チートを持つ俺は王子に捨てられたけど、実は食いしん坊な氷の公爵様に拾われ、胃袋を掴んでとことん溺愛されています
水凪しおん
BL
日本の社畜だった俺、ミナトは過労死した末に異世界の貧乏男爵家の三男に転生した。しかも、なぜか傲慢な第二王子エリアスの婚約者にされてしまう。
「地味で男のくせに可愛らしいだけの役立たず」
王子からそう蔑まれ、冷遇される日々にうんざりした俺は、前世の知識とチート能力【植物育成】を使い、実家の領地を豊かにすることだけを生きがいにしていた。
そんなある日、王宮の夜会で王子から公衆の面前で婚約破棄を叩きつけられる。
絶望する俺の前に現れたのは、この国で最も恐れられる『氷の公爵』アレクシス・フォン・ヴァインベルク。
「王子がご不要というのなら、その方を私が貰い受けよう」
冷たく、しかし力強い声。気づけば俺は、彼の腕の中にいた。
連れてこられた公爵邸での生活は、噂とは大違いの甘すぎる日々の始まりだった。
俺の作る料理を「世界一美味い」と幸せそうに食べ、俺の能力を「素晴らしい」と褒めてくれ、「可愛い、愛らしい」と頭を撫でてくれる公爵様。
彼の不器用だけど真っ直ぐな愛情に、俺の心は次第に絆されていく。
これは、婚約破棄から始まった、不遇な俺が世界一の幸せを手に入れるまでの物語。
(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。
キノア9g
BL
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。
木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。
色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。
ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。
捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。
彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──?
騎士×妖精
【完結】父を探して異世界転生したら男なのに歌姫になってしまったっぽい
御堂あゆこ
BL
超人気芸能人として活躍していた男主人公が、痴情のもつれで、女性に刺され、死んでしまう。
生前の行いから、地獄行き確定と思われたが、閻魔様の気まぐれで、異世界転生することになる。
地獄行き回避の条件は、同じ世界に転生した父親を探し出し、罪を償うことだった。
転生した主人公は、仲間の助けを得ながら、父を探して旅をし、成長していく。
※含まれる要素
異世界転生、男主人公、ファンタジー、ブロマンス、BL的な表現、恋愛
※小説家になろうに重複投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる