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133.テントと焚火
今日の最終目的地である野営地には、夕方になる前に無事に辿り着くことができた。ハルからもルセフさんからも夜の森は危険度が一気に上がるって聞いてたから、タイムリミットに間に合って本当に良かった。
「うん、予定より早い到着だな。皆、お疲れ様」
満足そうなルセフさんはにっこりと笑みを浮かべた。
「おう、お疲れ」
「お疲れー」
「お疲れ様!いっぱい歩いたねー」
「お疲れ様です」
異世界に来て初の野宿だけどハルが一緒にいてくれるし、チームのみんなも一緒だから恐怖心はあまり無い。
興味津々で辺りを見渡してみたけど、ここも昼の休憩所と同じくかなり人の手が入っているみたいだ。地面も森も綺麗に整備されていて、こどもの頃に父親と行ったキャンプ場に似てる気がする。
もちろん元の世界と違って魔物がいるんだから、気を緩めたら駄目なんだとは分かってるんだけどね。でもこの見た目は、ちょっと和んじゃうな。懐かしさを感じながら野営地を眺めていると、ウォルターさんが号令をかけた。
「よし、じゃあ野営準備始めるぞー」
声につられて視線を向ければ、こっちに来いと手招きをされた。
「アキトはここにテント張ってくれるか。ブレイズはこっちだ」
「はい、分かりました」
「はーい」
あの頃は父親が一人で設営してたから、俺がテントを組み立てるのは正真正銘これが初めてだ。上手くできるかちょっと心配してたんだけど、ハルが教えてくれる通りに作業を進めていけばあっという間に無事に完成した。本当にハルには感謝の気持ちしか無いな。
いそいそと設営したばかりのテントの中に潜り込んだ俺は、寝袋を取り出して設置してみた。テントの中は、寝袋を並べるとあとは荷物を置く場所ぐらいしか無い。思ったよりも中は狭いんだけど、それがまた秘密基地感があってちょっとワクワクした。
「うまく設営できたね」
「ハルのおかげだよ、ありがと」
狭いテントの中で、周りに聞こえないようにこっそりとハルに言葉を返す。
「どういたしまして」
笑顔のハルに俺も笑みを返す。チームで移動だとハルと話せないのが寂しかったから今は貴重な充電時間だな。
このままハルと話していたいという誘惑になんとか打ち勝って、俺はテントから這い出した。
「ファリーマ、俺のテントも頼む」
そう言いながらルセフさんが投げたテントを、ファリーマさんは空中できっちりと受け取った。
「はいよ」
「じゃあ、俺は晩飯の準備にとりかかるからなー」
ルセフさんは誰にとも無くそう言うと、半円形に並んだテントから少し離れた場所に陣取った。
「ブレイズ、俺枯れ枝とか集めた方が良いかな?」
隣のテントから同じく這い出てきたブレイズに、こっそり聞いてみる。父親とキャンプに行った時は俺も一緒になって枝を拾ったから、燃やしやすい枝とかは分かると思う。
「ううん、必要ないと思うよ。だってほら、もう用意終わってるし」
ブレイズが指差した先には、既に枯れ枝がこんもりと積み上げられていた。
「あ、本当だ。あれっていつの間に用意したんだろ…?」
「多分移動中に拾って来たんだと思うよ?いつもウォルター兄ちゃんとルセフさんが二人で用意してくれちゃうんだよね」
あ、そうか。この世界には魔道収納鞄があるから、移動しながら良さそうな枯れ枝を拾ってくるなんて事ができるのか。この世界に来てからは魔道収納鞄を便利に使ってるのに、その発想は無かったな。
「ファリーマ、火頼めるか?」
「俺は!今!お前のテント組み立ててるんだよ!」
「ちょっとぐらい手を離せるだろ?」
「今が一番手を離せないのぐらい見たら分かるだろー!というか、テントを頼む前に火の事頼めよ!」
ぽんぽんと言い合いながらも、声が笑っているから威圧感も無い。むしろコントか何かを見ているような気分になってくる。俺は仲良しな二人のやりとりに笑いながら、ルセフさんに近づいていった。
「あの、火魔法だったら俺も使えますけど」
「お、じゃあアキト頼むわ」
「はいっ!」
できる事があって良かったと思いながら、俺は魔力を練り上げるとすぐに火魔法を放った。
すぐに飛び出した火の玉は、無事に枯れ枝に命中すると一瞬で燃え上がった。今回イメージしたのは、もちろん焚火そのものだ。火起こしって結構難しいイメージだったんだけどこの世界では簡単だ。ちまちま着火剤を使って火起こししなくて良いんだもんな。焚火として定着した火をちゃんと確認してから、俺は声を上げた。
「できました」
あれ、なんで無反応なんだろうと視線を上げると、ルセフさんは無言のままじっと焚火を見つめているし、ウォルターさんはこっちを見て絶句していた。ブレイズは我に返ったのか、今は両手で拍手をしながら楽しそうに笑っている。
え、なんだろう、この反応。
「うん、予定より早い到着だな。皆、お疲れ様」
満足そうなルセフさんはにっこりと笑みを浮かべた。
「おう、お疲れ」
「お疲れー」
「お疲れ様!いっぱい歩いたねー」
「お疲れ様です」
異世界に来て初の野宿だけどハルが一緒にいてくれるし、チームのみんなも一緒だから恐怖心はあまり無い。
興味津々で辺りを見渡してみたけど、ここも昼の休憩所と同じくかなり人の手が入っているみたいだ。地面も森も綺麗に整備されていて、こどもの頃に父親と行ったキャンプ場に似てる気がする。
もちろん元の世界と違って魔物がいるんだから、気を緩めたら駄目なんだとは分かってるんだけどね。でもこの見た目は、ちょっと和んじゃうな。懐かしさを感じながら野営地を眺めていると、ウォルターさんが号令をかけた。
「よし、じゃあ野営準備始めるぞー」
声につられて視線を向ければ、こっちに来いと手招きをされた。
「アキトはここにテント張ってくれるか。ブレイズはこっちだ」
「はい、分かりました」
「はーい」
あの頃は父親が一人で設営してたから、俺がテントを組み立てるのは正真正銘これが初めてだ。上手くできるかちょっと心配してたんだけど、ハルが教えてくれる通りに作業を進めていけばあっという間に無事に完成した。本当にハルには感謝の気持ちしか無いな。
いそいそと設営したばかりのテントの中に潜り込んだ俺は、寝袋を取り出して設置してみた。テントの中は、寝袋を並べるとあとは荷物を置く場所ぐらいしか無い。思ったよりも中は狭いんだけど、それがまた秘密基地感があってちょっとワクワクした。
「うまく設営できたね」
「ハルのおかげだよ、ありがと」
狭いテントの中で、周りに聞こえないようにこっそりとハルに言葉を返す。
「どういたしまして」
笑顔のハルに俺も笑みを返す。チームで移動だとハルと話せないのが寂しかったから今は貴重な充電時間だな。
このままハルと話していたいという誘惑になんとか打ち勝って、俺はテントから這い出した。
「ファリーマ、俺のテントも頼む」
そう言いながらルセフさんが投げたテントを、ファリーマさんは空中できっちりと受け取った。
「はいよ」
「じゃあ、俺は晩飯の準備にとりかかるからなー」
ルセフさんは誰にとも無くそう言うと、半円形に並んだテントから少し離れた場所に陣取った。
「ブレイズ、俺枯れ枝とか集めた方が良いかな?」
隣のテントから同じく這い出てきたブレイズに、こっそり聞いてみる。父親とキャンプに行った時は俺も一緒になって枝を拾ったから、燃やしやすい枝とかは分かると思う。
「ううん、必要ないと思うよ。だってほら、もう用意終わってるし」
ブレイズが指差した先には、既に枯れ枝がこんもりと積み上げられていた。
「あ、本当だ。あれっていつの間に用意したんだろ…?」
「多分移動中に拾って来たんだと思うよ?いつもウォルター兄ちゃんとルセフさんが二人で用意してくれちゃうんだよね」
あ、そうか。この世界には魔道収納鞄があるから、移動しながら良さそうな枯れ枝を拾ってくるなんて事ができるのか。この世界に来てからは魔道収納鞄を便利に使ってるのに、その発想は無かったな。
「ファリーマ、火頼めるか?」
「俺は!今!お前のテント組み立ててるんだよ!」
「ちょっとぐらい手を離せるだろ?」
「今が一番手を離せないのぐらい見たら分かるだろー!というか、テントを頼む前に火の事頼めよ!」
ぽんぽんと言い合いながらも、声が笑っているから威圧感も無い。むしろコントか何かを見ているような気分になってくる。俺は仲良しな二人のやりとりに笑いながら、ルセフさんに近づいていった。
「あの、火魔法だったら俺も使えますけど」
「お、じゃあアキト頼むわ」
「はいっ!」
できる事があって良かったと思いながら、俺は魔力を練り上げるとすぐに火魔法を放った。
すぐに飛び出した火の玉は、無事に枯れ枝に命中すると一瞬で燃え上がった。今回イメージしたのは、もちろん焚火そのものだ。火起こしって結構難しいイメージだったんだけどこの世界では簡単だ。ちまちま着火剤を使って火起こししなくて良いんだもんな。焚火として定着した火をちゃんと確認してから、俺は声を上げた。
「できました」
あれ、なんで無反応なんだろうと視線を上げると、ルセフさんは無言のままじっと焚火を見つめているし、ウォルターさんはこっちを見て絶句していた。ブレイズは我に返ったのか、今は両手で拍手をしながら楽しそうに笑っている。
え、なんだろう、この反応。
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