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148.ヒュージスライム戦
様子見をしていたヒュージスライムは、向かってくる俺たちを本格的に敵と認識したらしい。ぷるぷると体を揺らしたかと思うと、俺たちを狙って立て続けに酸を放ってきた。
酸を利用した遠距離攻撃は、射程距離こそ長いが速度はそれほどでも無いようだ。飛んできたその攻撃を、俺たちは余裕を持って回避することができた。
「良かった。そこまで速くは無さそうだね」
「うん、これぐらいなら大丈夫そうだ」
まずは様子見と言いながら、ブレイズはコアを狙って矢を放った。狙いを定める時間もろくに無いような速射だったけれど、放たれた矢はコアに向かってまっすぐに飛んでいく。さすが元狩人、狙いの正確さがすごい。このまま当たるかと思った瞬間、ヒュージスライムの体内でコアがぐいんと動いた。
「あーやっぱり動くか」
「それに思ったよりも分解の能力が高そうだよ、見て、俺の矢」
ブレイズの言葉に目をこらすと、さっき取り込まれたばかりの矢がじわりじわりと溶けていく所だった。しかも木製の部分だけでなく、矢尻の鉄製の部分までがすぐに消えてしまった。
「うわ―…」
「これは剣で攻撃なんかしたら、剣ごと腕が溶かされそうだね」
想像してしまった俺は眉間にしわを寄せたまま、一気に魔力を練り上げた。
「これならどうかな」
発動したのは、俺が一番得意な土魔法だ。二つ作った土のつぶてを、すこしだけ時間をずらして左右から飛ばしてみる。
コアを避難させた所にもう1つのつぶてで狙うという単純な作戦だったけど、ヒュージスライムはその作戦を見透かしたように今度はコアを下へと移動させた。
「ああ、ここまで大きくなってると、やっぱり知能がかなり高くなってるな」
ハルの言葉に俺も小さく頷きを返した。土魔法で作った二つのつぶても、じゅわじゅわと溶かされてあっという間に消えてしまった。ごみの処理には便利そうなんだけどななんて、関係ない事をつい考えてしまった。
「コアの移動は自由自在って感じだな」
ヒュージスライムを見つめたまま話しかけてきたブレイズは、自分めがけて飛んできた酸をすかさず避けた。
「しかも、どの向きでも動かせるって感じだよね」
答えながら俺もひょいっと飛んできた酸を避ける。避けるの自体はそれほど難しくないけれど、地面に落ちた酸はじゅわっと音を立てながらそこに生えていた雑草を溶かしていく。本当にすごい威力だな。もし避けられなかったら骨まで溶けそうで笑えない。
「アキト、つぶてっていくつまで同時に出せる?」
「え、三つまでしかやった事ない!」
こんなところで嘘をついても仕方ないからと素直にそう口に出せば、ブレイズはすぐに尋ねてきた。
「五ついけるかやってみて」
頷いてからすぐさま魔力を練り出せば、五つのつぶては簡単に出来た。ただ敵が大きいからか、つぶてがすごく小さく見えるんだよね。もっと大きくできないかなとイメージしながら更に魔力を注ぎ込めば、さっきよりも二回りは大きなつぶてが出来上がった。
「大きさもいじれるのか」
「初めてやったけど、できたね」
「あーこれがファリーマさんの言ってた感覚派か」
きっとファリーマさんがいたら大騒ぎだったろうなと楽しそうに笑いながら、ブレイズはどんどん飛んでくる酸を踊るように避けていく。
「きっとそうだね」
笑顔で答えた俺もつぶてを空中で維持したまま、飛んでくる酸を避け続ける。何だかはたからみたらジャグリング中の大道芸人みたいに見えそうだ。
「アキト、俺に続けて攻撃してくれる?」
ちらりと横目に見えたブレイズの顔は、ニヤリと笑っていた。その手には三本の矢がきっちりと握られている。え、もしかして三本同時?そう思ったけど、自信ありそうなブレイズの姿に、俺はあえて何も言わなかった。
「分かった」
三本の矢を器用にセットして、ブレイズは相変わらずのぶれない姿勢で弓を引き絞った。
「行くよっ!」
ブレイズが放った矢は、じわりと縦に広がりながら飛んで行く。ヒュージスライムはコアをどこに動かすか一瞬だけ迷ったようだけど、何とか矢を避けて右半身へとコアを動かした。
「アキト!」
ブレイズが移動できる場所を半分まで絞り込んでくれたおかげで、俺も余裕を持って狙うことができる。ふうと息を吐いて集中してから、俺は五つのつぶてを次々に飛ばしていく。最初の三つで、ブレイズがやったのと同じように半分を更に半分に絞り込む。
これで移動できる場所はまた狭くなった。
「よしっ!」
真後ろからハルの声が聞こえてくる。ああ、今も後ろにいてくれてるんだと感じながら、俺は残りの二つでコアを狙った。
追い詰められたコアが、体内で逃げ惑う。狭い範囲を動き続けているコアにかすりはしたけれど、きっちりと命中はしなかった。
「ああっ」
残念そうなブレイズの声が聞こえた時には、俺はもう魔力を練り上げていた。次もこんなにうまくコアを分断できるとは限らない。出来る限りの速さで、さっきと同じ大き目のつぶてを思い浮かべる。よし、できた。
「まだまだ!」
声と同時に放ったつぶては、まっすぐに飛んでいくと動き回っていた真っ白なコアを撃ち抜いた。ヒュージスライムの体は、ぶるぶるっと震えると水のような液体状になって地面へと落ちて動かなくなった。
「…倒した?」
「うん。アキトすごかった!」
「ブレイズの三本同時もすごかったよ!あれがなかったら移動できる場所を減らすなんて思いつかなかった!」
お互いに褒め合っている俺たちに、ハルは満足そうに笑って声をかけた。
「二人ともすごかったよ。頑張ったね」
この言葉がブレイズにも聞こえれば良いのにと思いながら、俺はハルに向かって笑みを浮かべた。
酸を利用した遠距離攻撃は、射程距離こそ長いが速度はそれほどでも無いようだ。飛んできたその攻撃を、俺たちは余裕を持って回避することができた。
「良かった。そこまで速くは無さそうだね」
「うん、これぐらいなら大丈夫そうだ」
まずは様子見と言いながら、ブレイズはコアを狙って矢を放った。狙いを定める時間もろくに無いような速射だったけれど、放たれた矢はコアに向かってまっすぐに飛んでいく。さすが元狩人、狙いの正確さがすごい。このまま当たるかと思った瞬間、ヒュージスライムの体内でコアがぐいんと動いた。
「あーやっぱり動くか」
「それに思ったよりも分解の能力が高そうだよ、見て、俺の矢」
ブレイズの言葉に目をこらすと、さっき取り込まれたばかりの矢がじわりじわりと溶けていく所だった。しかも木製の部分だけでなく、矢尻の鉄製の部分までがすぐに消えてしまった。
「うわ―…」
「これは剣で攻撃なんかしたら、剣ごと腕が溶かされそうだね」
想像してしまった俺は眉間にしわを寄せたまま、一気に魔力を練り上げた。
「これならどうかな」
発動したのは、俺が一番得意な土魔法だ。二つ作った土のつぶてを、すこしだけ時間をずらして左右から飛ばしてみる。
コアを避難させた所にもう1つのつぶてで狙うという単純な作戦だったけど、ヒュージスライムはその作戦を見透かしたように今度はコアを下へと移動させた。
「ああ、ここまで大きくなってると、やっぱり知能がかなり高くなってるな」
ハルの言葉に俺も小さく頷きを返した。土魔法で作った二つのつぶても、じゅわじゅわと溶かされてあっという間に消えてしまった。ごみの処理には便利そうなんだけどななんて、関係ない事をつい考えてしまった。
「コアの移動は自由自在って感じだな」
ヒュージスライムを見つめたまま話しかけてきたブレイズは、自分めがけて飛んできた酸をすかさず避けた。
「しかも、どの向きでも動かせるって感じだよね」
答えながら俺もひょいっと飛んできた酸を避ける。避けるの自体はそれほど難しくないけれど、地面に落ちた酸はじゅわっと音を立てながらそこに生えていた雑草を溶かしていく。本当にすごい威力だな。もし避けられなかったら骨まで溶けそうで笑えない。
「アキト、つぶてっていくつまで同時に出せる?」
「え、三つまでしかやった事ない!」
こんなところで嘘をついても仕方ないからと素直にそう口に出せば、ブレイズはすぐに尋ねてきた。
「五ついけるかやってみて」
頷いてからすぐさま魔力を練り出せば、五つのつぶては簡単に出来た。ただ敵が大きいからか、つぶてがすごく小さく見えるんだよね。もっと大きくできないかなとイメージしながら更に魔力を注ぎ込めば、さっきよりも二回りは大きなつぶてが出来上がった。
「大きさもいじれるのか」
「初めてやったけど、できたね」
「あーこれがファリーマさんの言ってた感覚派か」
きっとファリーマさんがいたら大騒ぎだったろうなと楽しそうに笑いながら、ブレイズはどんどん飛んでくる酸を踊るように避けていく。
「きっとそうだね」
笑顔で答えた俺もつぶてを空中で維持したまま、飛んでくる酸を避け続ける。何だかはたからみたらジャグリング中の大道芸人みたいに見えそうだ。
「アキト、俺に続けて攻撃してくれる?」
ちらりと横目に見えたブレイズの顔は、ニヤリと笑っていた。その手には三本の矢がきっちりと握られている。え、もしかして三本同時?そう思ったけど、自信ありそうなブレイズの姿に、俺はあえて何も言わなかった。
「分かった」
三本の矢を器用にセットして、ブレイズは相変わらずのぶれない姿勢で弓を引き絞った。
「行くよっ!」
ブレイズが放った矢は、じわりと縦に広がりながら飛んで行く。ヒュージスライムはコアをどこに動かすか一瞬だけ迷ったようだけど、何とか矢を避けて右半身へとコアを動かした。
「アキト!」
ブレイズが移動できる場所を半分まで絞り込んでくれたおかげで、俺も余裕を持って狙うことができる。ふうと息を吐いて集中してから、俺は五つのつぶてを次々に飛ばしていく。最初の三つで、ブレイズがやったのと同じように半分を更に半分に絞り込む。
これで移動できる場所はまた狭くなった。
「よしっ!」
真後ろからハルの声が聞こえてくる。ああ、今も後ろにいてくれてるんだと感じながら、俺は残りの二つでコアを狙った。
追い詰められたコアが、体内で逃げ惑う。狭い範囲を動き続けているコアにかすりはしたけれど、きっちりと命中はしなかった。
「ああっ」
残念そうなブレイズの声が聞こえた時には、俺はもう魔力を練り上げていた。次もこんなにうまくコアを分断できるとは限らない。出来る限りの速さで、さっきと同じ大き目のつぶてを思い浮かべる。よし、できた。
「まだまだ!」
声と同時に放ったつぶては、まっすぐに飛んでいくと動き回っていた真っ白なコアを撃ち抜いた。ヒュージスライムの体は、ぶるぶるっと震えると水のような液体状になって地面へと落ちて動かなくなった。
「…倒した?」
「うん。アキトすごかった!」
「ブレイズの三本同時もすごかったよ!あれがなかったら移動できる場所を減らすなんて思いつかなかった!」
お互いに褒め合っている俺たちに、ハルは満足そうに笑って声をかけた。
「二人ともすごかったよ。頑張ったね」
この言葉がブレイズにも聞こえれば良いのにと思いながら、俺はハルに向かって笑みを浮かべた。
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