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163.【ハル視点】ゆっくりおやすみ
夕日が完全に沈む頃には、チームは領都トライプール近くまで辿り着いていた。北大門が見える距離だから、もうそれほど時間はかからないだろう。
行きよりもかなり速度が上がっていたが、アキトも楽しそうに話しながら歩けていた。この世界に来てすぐの頃よりも、かなり体力がついてきたみたいだな。
北大門前の広場の片隅でチームの皆は向かい合う。これで依頼は無事に終了だな。
「無事に帰ってこれたな、皆お疲れ様」
ルセフは汚れた眼鏡を拭きながら、チームを見渡しそう声をかけた。
「疲れただろうし、宴会は明日にしよう」
「賛成ー」
「早くベッドで寝たいよ」
「分かりました」
続々と賛同の声が上がるなか、ウォルターだけがひきつった顔で振り返った。
「え、飲みにいかないのか?」
嘘だろうと顔に書いてあるようなその表情に、俺はうっかり噴き出しそうになった。
「明日にしようよ、ウォルター兄ちゃん」
「俺はお前の兄貴じゃないっての!」
「行きたければ一人で行って来い。ただし遅刻したら…分かってるな?」
「…我慢します」
「よし。明日の集合は昼頃にギルド前で。朝から報告はしておくから、報酬と食材の精算もその時にな」
チームの場合は、基本的にはリーダーだけで報告を行う事が多い。大人数でおしかけてもギルド職員の迷惑になるだけだから、むしろ推奨されているやり方だ。
「じゃあ今日は解散で。また明日な」
「はい、お疲れさまでした!」
「アキトはすぐ帰るの?」
ブレイズに聞かれたアキトは、そっと屋台に視線を向けた。広場に入った時から気にしているようだったからな。
「ちょっとお腹も空いてきたし、屋台でも覗いてから帰るよ」
「あ、俺も行くー!」
ブレイズは笑顔で三人に手を振った。どうやらアキトと一緒に、屋台に付き合うつもりのようだ。
徐々に屋台が近づいてくると、アキトがちいさく首を傾げた。なんだ出発前のあの屋台だと分かっていて、行きたいと言っていたわけじゃなかったのか。
「出発前に見たあの屋台だよ」
そっと教えれば、アキトは大きく目を見開いた。どうかしたのかと心配になったが、アキトはそっと屋台に近づき店員を見るなりホッと息を吐いた。
「ん?兄ちゃんどうかしたか?」
「あ、いえ、朝早くにこの屋台の設営をしていた女性の方を見たんで、こんな時間までやってるのかとちょっと心配になっただけです」
ああ、そんな事を気にしていたのか。店員は見た目のいかつさに反して、穏やかな気質らしく、アキトの発言に優しく笑みを浮かべた。
「それは俺の母親だな。朝から昼だけ母親がやってて、昼から夜までは俺が担当なんだ。心配してくれてありがとうな」
照れるアキトの横から屋台を覗いたブレイズは、笑顔で口を開いた。
「アキト、これすっごく美味しいんだよ」
「おや、ブレイズ。また来てくれたのか」
「うん、友達連れてきたよー俺両方!」
店員は嬉しそうに笑いながら、鉄板の上で焼いていた丸パンをくるりと裏返した。丸パン自体は様々な屋台で売られているが、中身の具材はそれぞれの屋台ごとに違っている。
「こっちがチーズとスパイスだけ、こっちはチーズと甘辛い肉入りだよ」
「俺も両方で!」
即答で答えたアキトの目が、期待でキラキラしている。こんなに嬉しそうにされたら、丸パンが美味しい他の屋台も教えたくなってくるな。そんな事を考えている間に買い物を終えると、二人は広場のベンチへと足を向けた。
「とりあえずジャムのだけ食べちゃお」
「いいね」
二人が取り出したのは、ジャム入りの小ぶりな丸パンだ。屋台の店員が自分の夜食用に作っていたものを、おまけとしてくれたものだ。
「美味しい!」
「うわーこれも売ってよって言いに行かないと!」
「これは売って欲しいね」
「帰りに言いに行こ?」
「行こう!」
この二人のやりとりは、どうしてこう可愛らしいんだろうな。ブレイズの無邪気さに引きずられてか、アキトも普段よりも子どもっぽくなる気がする。
丸パンを食べ終えたアキトが立ち上がろうとすると、ブレイズがそっとアキトに話しかけた。近くにいる俺には聞こえているが、広場にちらほらといる奴らには聞こえないだろう小さな声だった。
「ハルさん?の事は、チームの皆にも言わないから安心してね」
「え、でもチームの皆に秘密なんて」
慌てた様子でアキトが返す。
「みんな秘密ぐらいあるから、大丈夫だよ」
ブレイズは笑顔でそう断言すると、にんまりと笑みを浮かべてみせたた。そうかブレイズはこれが言いたくて、アキトの屋台についてきてくれたのか。
「じゃあ、また明日ね!」
「うん、また明日」
アキトは去っていくブレイズに手を振ってから、俺をちらりと見上げた。
「ハル、黒鷹亭に帰ろっか」
「ああ、帰ろう。きっとレーブンが待ちかねてるよ」
俺は本気でそう思ったんだけど、アキトは冗談だと思ったのか楽しそうに笑い出した。
俺の予想通り、レーブンはアキトの顔を見るなり嬉しそうに笑ってみせた。たまたま居合わせた他の宿泊客が三度見するような笑顔だったが、アキトにとってはいつも通りのレーブンだ。
「お帰り、アキト」
「レーブンさん、ただいま帰りました」
「調査依頼はどうだった?初のチームとの依頼だったんだろう?」
「勉強にもなりましたし、楽しかったです」
「そうか、それなら良かった。今日はゆっくり休めよ」
はいと元気よく返事したアキトに、レーブンはおやすみと手を振った。
自室に戻ると、アキトは買い込んできた丸パンを幸せそうに食べ始めた。
「これすごく美味しい!」
「ああ、確かに美味しそうだな」
「ハル、この丸いやつの料理名って知ってる?」
「それは丸パンって呼ばれてるな」
名前を教えれば、アキトは楽しそうに笑いだした。
「そのまんまのネーミングだね」
「ねーみんぐ?」
「あ、ごめん。そのままの名づけだなって」
「ああ、確かにそのままだな」
周りを気にせずに会話ができるのは久しぶりだ。テントの中ではできるだけ声をひそめて喋っていたからな。一方通行じゃない会話はやっぱり楽しくて、自然と笑みがこぼれてしまう。
「はーお腹いっぱいになったら急に眠くなってきた」
「野営はどうしても疲れが貯まるものだからね」
「結構寝れてたと思うんだけどなー」
そう言いながら、アキトは浄化魔法を使うとパパッと楽な服に着替えだした。潔い脱ぎっぷりにしなやかな背中がちらりと見えてしまって、俺は慌てて視線を反らした。
「明日は待ち合わせ時間も遅いし、ゆっくりできそうだね」
「うん、昼待ち合わせだもんね」
「11時になっても起きてこなかったら、俺が起こすから安心して寝て良いよ」
アキトは嬉しそうにふにゃりと笑うと、おやすみなさいと囁いた。
「ゆっくりおやすみ、アキト」
起こすと約束した時間よりもかなり早く、アキトは目を覚ました。
野営地と比べると、きっと睡眠の質が段違いなんだろう。ここがどこかを確かめるように、ぼんやりと周りを見渡していたアキトの目が俺を捕らえた。
「おはよう、アキト」
「おはよう、ハル」
ベッドから出てきたアキトは時間を確認すると、魔道収納鞄に手をいれて悩みだした。
「ねえ、ハル。これの食べ方って分かる?」
そう言ってアキトが差し出したのは、以前市場で商人からもらったレグという野菜だった。灰色の石のような見た目だが、皮を剥けばそのまま食べられる。
「皮を剥けばそのまま食べられるよ。その下の所からめくれば簡単に剥けるから」
「うわっツルンと剥けた!桃みたいだ!」
「ももっていうのは知らないな」
アキトはレグに齧りつくと、そのとろける甘さに頬を押さえた。実はかなりの高級品なんだが、そんなことを知らないアキトはひたすらに幸せそうだった。アキトはレグの味が好きだと覚えておこう。
木の実の入ったパンとレグで、アキトは軽めの朝食を終えた。
のんびりと二人で歩いてギルド前に辿り着くと、そこにはブレイズが一人で立ち尽くしていた。
「アキト、おはよ」
「おはよう、ブレイズ。待たせちゃった?」
「ううん。ルセフさんはもう中だけど、俺以外はまだだよ」
アキトは早く来るかなと思ってたと、ブレイズは自慢げな笑みを浮かべた。
昨日の屋台の丸パンが美味しかった話で盛り上がり、その流れでおすすめ屋台について二人は話しだした。ブレイズは果物の氷菓子の屋台を、アキトはお気に入りのピリ辛肉サンドの屋台をおすすめしあっている。
なんとも平和な情報交換を続ける二人を、俺は楽しく見守っていた。今日もアキトが楽しそうで何よりだ。
行きよりもかなり速度が上がっていたが、アキトも楽しそうに話しながら歩けていた。この世界に来てすぐの頃よりも、かなり体力がついてきたみたいだな。
北大門前の広場の片隅でチームの皆は向かい合う。これで依頼は無事に終了だな。
「無事に帰ってこれたな、皆お疲れ様」
ルセフは汚れた眼鏡を拭きながら、チームを見渡しそう声をかけた。
「疲れただろうし、宴会は明日にしよう」
「賛成ー」
「早くベッドで寝たいよ」
「分かりました」
続々と賛同の声が上がるなか、ウォルターだけがひきつった顔で振り返った。
「え、飲みにいかないのか?」
嘘だろうと顔に書いてあるようなその表情に、俺はうっかり噴き出しそうになった。
「明日にしようよ、ウォルター兄ちゃん」
「俺はお前の兄貴じゃないっての!」
「行きたければ一人で行って来い。ただし遅刻したら…分かってるな?」
「…我慢します」
「よし。明日の集合は昼頃にギルド前で。朝から報告はしておくから、報酬と食材の精算もその時にな」
チームの場合は、基本的にはリーダーだけで報告を行う事が多い。大人数でおしかけてもギルド職員の迷惑になるだけだから、むしろ推奨されているやり方だ。
「じゃあ今日は解散で。また明日な」
「はい、お疲れさまでした!」
「アキトはすぐ帰るの?」
ブレイズに聞かれたアキトは、そっと屋台に視線を向けた。広場に入った時から気にしているようだったからな。
「ちょっとお腹も空いてきたし、屋台でも覗いてから帰るよ」
「あ、俺も行くー!」
ブレイズは笑顔で三人に手を振った。どうやらアキトと一緒に、屋台に付き合うつもりのようだ。
徐々に屋台が近づいてくると、アキトがちいさく首を傾げた。なんだ出発前のあの屋台だと分かっていて、行きたいと言っていたわけじゃなかったのか。
「出発前に見たあの屋台だよ」
そっと教えれば、アキトは大きく目を見開いた。どうかしたのかと心配になったが、アキトはそっと屋台に近づき店員を見るなりホッと息を吐いた。
「ん?兄ちゃんどうかしたか?」
「あ、いえ、朝早くにこの屋台の設営をしていた女性の方を見たんで、こんな時間までやってるのかとちょっと心配になっただけです」
ああ、そんな事を気にしていたのか。店員は見た目のいかつさに反して、穏やかな気質らしく、アキトの発言に優しく笑みを浮かべた。
「それは俺の母親だな。朝から昼だけ母親がやってて、昼から夜までは俺が担当なんだ。心配してくれてありがとうな」
照れるアキトの横から屋台を覗いたブレイズは、笑顔で口を開いた。
「アキト、これすっごく美味しいんだよ」
「おや、ブレイズ。また来てくれたのか」
「うん、友達連れてきたよー俺両方!」
店員は嬉しそうに笑いながら、鉄板の上で焼いていた丸パンをくるりと裏返した。丸パン自体は様々な屋台で売られているが、中身の具材はそれぞれの屋台ごとに違っている。
「こっちがチーズとスパイスだけ、こっちはチーズと甘辛い肉入りだよ」
「俺も両方で!」
即答で答えたアキトの目が、期待でキラキラしている。こんなに嬉しそうにされたら、丸パンが美味しい他の屋台も教えたくなってくるな。そんな事を考えている間に買い物を終えると、二人は広場のベンチへと足を向けた。
「とりあえずジャムのだけ食べちゃお」
「いいね」
二人が取り出したのは、ジャム入りの小ぶりな丸パンだ。屋台の店員が自分の夜食用に作っていたものを、おまけとしてくれたものだ。
「美味しい!」
「うわーこれも売ってよって言いに行かないと!」
「これは売って欲しいね」
「帰りに言いに行こ?」
「行こう!」
この二人のやりとりは、どうしてこう可愛らしいんだろうな。ブレイズの無邪気さに引きずられてか、アキトも普段よりも子どもっぽくなる気がする。
丸パンを食べ終えたアキトが立ち上がろうとすると、ブレイズがそっとアキトに話しかけた。近くにいる俺には聞こえているが、広場にちらほらといる奴らには聞こえないだろう小さな声だった。
「ハルさん?の事は、チームの皆にも言わないから安心してね」
「え、でもチームの皆に秘密なんて」
慌てた様子でアキトが返す。
「みんな秘密ぐらいあるから、大丈夫だよ」
ブレイズは笑顔でそう断言すると、にんまりと笑みを浮かべてみせたた。そうかブレイズはこれが言いたくて、アキトの屋台についてきてくれたのか。
「じゃあ、また明日ね!」
「うん、また明日」
アキトは去っていくブレイズに手を振ってから、俺をちらりと見上げた。
「ハル、黒鷹亭に帰ろっか」
「ああ、帰ろう。きっとレーブンが待ちかねてるよ」
俺は本気でそう思ったんだけど、アキトは冗談だと思ったのか楽しそうに笑い出した。
俺の予想通り、レーブンはアキトの顔を見るなり嬉しそうに笑ってみせた。たまたま居合わせた他の宿泊客が三度見するような笑顔だったが、アキトにとってはいつも通りのレーブンだ。
「お帰り、アキト」
「レーブンさん、ただいま帰りました」
「調査依頼はどうだった?初のチームとの依頼だったんだろう?」
「勉強にもなりましたし、楽しかったです」
「そうか、それなら良かった。今日はゆっくり休めよ」
はいと元気よく返事したアキトに、レーブンはおやすみと手を振った。
自室に戻ると、アキトは買い込んできた丸パンを幸せそうに食べ始めた。
「これすごく美味しい!」
「ああ、確かに美味しそうだな」
「ハル、この丸いやつの料理名って知ってる?」
「それは丸パンって呼ばれてるな」
名前を教えれば、アキトは楽しそうに笑いだした。
「そのまんまのネーミングだね」
「ねーみんぐ?」
「あ、ごめん。そのままの名づけだなって」
「ああ、確かにそのままだな」
周りを気にせずに会話ができるのは久しぶりだ。テントの中ではできるだけ声をひそめて喋っていたからな。一方通行じゃない会話はやっぱり楽しくて、自然と笑みがこぼれてしまう。
「はーお腹いっぱいになったら急に眠くなってきた」
「野営はどうしても疲れが貯まるものだからね」
「結構寝れてたと思うんだけどなー」
そう言いながら、アキトは浄化魔法を使うとパパッと楽な服に着替えだした。潔い脱ぎっぷりにしなやかな背中がちらりと見えてしまって、俺は慌てて視線を反らした。
「明日は待ち合わせ時間も遅いし、ゆっくりできそうだね」
「うん、昼待ち合わせだもんね」
「11時になっても起きてこなかったら、俺が起こすから安心して寝て良いよ」
アキトは嬉しそうにふにゃりと笑うと、おやすみなさいと囁いた。
「ゆっくりおやすみ、アキト」
起こすと約束した時間よりもかなり早く、アキトは目を覚ました。
野営地と比べると、きっと睡眠の質が段違いなんだろう。ここがどこかを確かめるように、ぼんやりと周りを見渡していたアキトの目が俺を捕らえた。
「おはよう、アキト」
「おはよう、ハル」
ベッドから出てきたアキトは時間を確認すると、魔道収納鞄に手をいれて悩みだした。
「ねえ、ハル。これの食べ方って分かる?」
そう言ってアキトが差し出したのは、以前市場で商人からもらったレグという野菜だった。灰色の石のような見た目だが、皮を剥けばそのまま食べられる。
「皮を剥けばそのまま食べられるよ。その下の所からめくれば簡単に剥けるから」
「うわっツルンと剥けた!桃みたいだ!」
「ももっていうのは知らないな」
アキトはレグに齧りつくと、そのとろける甘さに頬を押さえた。実はかなりの高級品なんだが、そんなことを知らないアキトはひたすらに幸せそうだった。アキトはレグの味が好きだと覚えておこう。
木の実の入ったパンとレグで、アキトは軽めの朝食を終えた。
のんびりと二人で歩いてギルド前に辿り着くと、そこにはブレイズが一人で立ち尽くしていた。
「アキト、おはよ」
「おはよう、ブレイズ。待たせちゃった?」
「ううん。ルセフさんはもう中だけど、俺以外はまだだよ」
アキトは早く来るかなと思ってたと、ブレイズは自慢げな笑みを浮かべた。
昨日の屋台の丸パンが美味しかった話で盛り上がり、その流れでおすすめ屋台について二人は話しだした。ブレイズは果物の氷菓子の屋台を、アキトはお気に入りのピリ辛肉サンドの屋台をおすすめしあっている。
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小説家になろう様でも2023年 03月07日 15時11分から投稿しています。