203 / 1,561
202.二人で食事
騎士団本部の訓練場で魔法を披露した後、俺は騎士の皆さんに囲まれていた。
「あの、お腹空いてませんか?」
「うちの食堂、一般公開はされてないんですけど、アキトさんなら歓迎しますよ」
「ハロルドさんと一緒にどうです?」
一定の距離は保ってくれてるし、ぐいぐい近づいてくるわけじゃないんだけど、マッチョな人ばっかりだから囲まれると威圧感がすごい。
「おまえら、近すぎ」
すぐに近づいてきてくれたハルは、そう言うと周りの騎士達をじろりと睨んだ。
「ちゃんと距離取ってますよ?」
「え、これでも近いですか?」
「ああ、まだ近すぎるな」
不服そうな騎士に、ハルはにっこりとわざとらしい笑みを浮かべて見せた。途端に騎士の人達が一歩下がった事に、俺はくすりと笑ってしまった。
「今日は二人で食事するんだから、邪魔するなよ」
「ああ、もう部屋の用意はしてあるぞ」
「ありがとう。じゃあアキト、行こうか」
すっと差し出された手を反射的に握り返せば、周りから歓声が巻き起こった。
「わーいいなー」
「めっちゃ幸せそうだな」
人前で手を繋いでしまった事に赤くなりながら、俺はハルに手を引かれて歩き出した。
案内されたのは、来客用に使うのだという豪華な応接室だった。
「派手だからアキト好みじゃないとは思うんだけど、ちょっとだけ我慢してね」
ハルは申し訳なさそうにそう言ってくれたけど、俺の視線はテーブルに釘付けだった。
「それは良いんだけど…料理すごいね」
そう室内に入った時には既に、テーブルの上には所せましと料理が並んでいたんだ。美味しそうな料理を見て、一気にお腹が空いた気がする。
よく考えたら、俺3日もご飯食べてないんだもんな。
「お腹が空いてきた?」
「うん、すっごく」
「それは良かった。魔力切れの後は、食欲が戻ったらもう安心だって言われてるんだ」
ハルは満面の笑みを浮かべて、そう教えてくれた。
「色々と話したいことはあるけど、まずは座って食べようか」
「うん!」
テーブルを挟んで、ハルと向かい合って腰を下ろす。
「「いただきます」」
重なった言葉には驚いたけど嬉しくて、俺はちらりとハルを見た。
「アキトが言うのを聞いてて、ずっと言ってみたかったんだよね」
「俺は嬉しいよ」
「アキトが嫌じゃないなら、これからも言わせてもらおうかな」
テーブルの上に並んだ料理は、どれを食べても美味しかった。彩りまで計算されたお店の料理とは違って、見た目は本当に適当に盛られてるんだけど味は美味しい。
「この肉の煮込み、美味しい!」
思わずそう声を上げれば、ハルも肉の煮込みを口に運んだ。
「あ、本当だ、美味しいね」
たったそれだけのやりとりで、また泣きそうになってしまった。だって今まではただ食べるのを見守るだけだったハルが、こうやって一緒に食事してくれてるんだよ。感動するでしょう。
「俺さ、ハルと美味しいって言い合いながら食べれるの嬉しい」
持て余した感情を素直にそう口にすれば、ハルも俺もすごく嬉しいって笑ってくれた。
食事をしながら話していたんだけど、どうやらこの料理は騎士の人が交代で作っているらしい。
「え、これって騎士の人が作ってるの?」
「料理っていうのは、なかなか良い鍛錬になるからね」
大量に作るとなると計算も必要だし、計画性も段取りを考える力もいる。美味しくできれば達成感もあるかららしい。
「それってハルも料理できるって事?」
「もちろん。今度アキトに食べてもらいたいな」
「うわー楽しみ!俺も上手じゃないけど、ハルに料理食べて欲しいな」
「じゃあお互いに作ろうか、約束ね」
さらりと交わされた約束が嬉しすぎて、俺はふにゃりと笑みを浮かべてから頷いた。
「あの、お腹空いてませんか?」
「うちの食堂、一般公開はされてないんですけど、アキトさんなら歓迎しますよ」
「ハロルドさんと一緒にどうです?」
一定の距離は保ってくれてるし、ぐいぐい近づいてくるわけじゃないんだけど、マッチョな人ばっかりだから囲まれると威圧感がすごい。
「おまえら、近すぎ」
すぐに近づいてきてくれたハルは、そう言うと周りの騎士達をじろりと睨んだ。
「ちゃんと距離取ってますよ?」
「え、これでも近いですか?」
「ああ、まだ近すぎるな」
不服そうな騎士に、ハルはにっこりとわざとらしい笑みを浮かべて見せた。途端に騎士の人達が一歩下がった事に、俺はくすりと笑ってしまった。
「今日は二人で食事するんだから、邪魔するなよ」
「ああ、もう部屋の用意はしてあるぞ」
「ありがとう。じゃあアキト、行こうか」
すっと差し出された手を反射的に握り返せば、周りから歓声が巻き起こった。
「わーいいなー」
「めっちゃ幸せそうだな」
人前で手を繋いでしまった事に赤くなりながら、俺はハルに手を引かれて歩き出した。
案内されたのは、来客用に使うのだという豪華な応接室だった。
「派手だからアキト好みじゃないとは思うんだけど、ちょっとだけ我慢してね」
ハルは申し訳なさそうにそう言ってくれたけど、俺の視線はテーブルに釘付けだった。
「それは良いんだけど…料理すごいね」
そう室内に入った時には既に、テーブルの上には所せましと料理が並んでいたんだ。美味しそうな料理を見て、一気にお腹が空いた気がする。
よく考えたら、俺3日もご飯食べてないんだもんな。
「お腹が空いてきた?」
「うん、すっごく」
「それは良かった。魔力切れの後は、食欲が戻ったらもう安心だって言われてるんだ」
ハルは満面の笑みを浮かべて、そう教えてくれた。
「色々と話したいことはあるけど、まずは座って食べようか」
「うん!」
テーブルを挟んで、ハルと向かい合って腰を下ろす。
「「いただきます」」
重なった言葉には驚いたけど嬉しくて、俺はちらりとハルを見た。
「アキトが言うのを聞いてて、ずっと言ってみたかったんだよね」
「俺は嬉しいよ」
「アキトが嫌じゃないなら、これからも言わせてもらおうかな」
テーブルの上に並んだ料理は、どれを食べても美味しかった。彩りまで計算されたお店の料理とは違って、見た目は本当に適当に盛られてるんだけど味は美味しい。
「この肉の煮込み、美味しい!」
思わずそう声を上げれば、ハルも肉の煮込みを口に運んだ。
「あ、本当だ、美味しいね」
たったそれだけのやりとりで、また泣きそうになってしまった。だって今まではただ食べるのを見守るだけだったハルが、こうやって一緒に食事してくれてるんだよ。感動するでしょう。
「俺さ、ハルと美味しいって言い合いながら食べれるの嬉しい」
持て余した感情を素直にそう口にすれば、ハルも俺もすごく嬉しいって笑ってくれた。
食事をしながら話していたんだけど、どうやらこの料理は騎士の人が交代で作っているらしい。
「え、これって騎士の人が作ってるの?」
「料理っていうのは、なかなか良い鍛錬になるからね」
大量に作るとなると計算も必要だし、計画性も段取りを考える力もいる。美味しくできれば達成感もあるかららしい。
「それってハルも料理できるって事?」
「もちろん。今度アキトに食べてもらいたいな」
「うわー楽しみ!俺も上手じゃないけど、ハルに料理食べて欲しいな」
「じゃあお互いに作ろうか、約束ね」
さらりと交わされた約束が嬉しすぎて、俺はふにゃりと笑みを浮かべてから頷いた。
あなたにおすすめの小説
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
料理の上手さを見込まれてモフモフ聖獣に育てられた俺は、剣も魔法も使えず、一人ではドラゴンくらいしか倒せないのに、聖女や剣聖たちから溺愛される
向原 行人
ファンタジー
母を早くに亡くし、男だらけの五人兄弟で家事の全てを任されていた長男の俺は、気付いたら異世界に転生していた。
アルフレッドという名の子供になっていたのだが、山奥に一人ぼっち。
普通に考えて、親に捨てられ死を待つだけという、とんでもないハードモード転生だったのだが、偶然通りかかった人の言葉を話す聖獣――白虎が現れ、俺を育ててくれた。
白虎は食べ物の獲り方を教えてくれたので、俺は前世で培った家事の腕を振るい、調理という形で恩を返す。
そんな毎日が十数年続き、俺がもうすぐ十六歳になるという所で、白虎からそろそろ人間の社会で生きる様にと言われてしまった。
剣も魔法も使えない俺は、少しだけ使える聖獣の力と家事能力しか取り柄が無いので、とりあえず異世界の定番である冒険者を目指す事に。
だが、この世界では職業学校を卒業しないと冒険者になれないのだとか。
おまけに聖獣の力を人前で使うと、恐れられて嫌われる……と。
俺は聖獣の力を使わずに、冒険者となる事が出来るのだろうか。
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
【完結】転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
拾われたのはたぶん僕です 〜ポンコツ魔法使いと騎士団の平和な大事件〜
ニア。
BL
崖から落ちただけなのに、騎士団長に拾われました。
真面目に生きてきた魔法使いモーネ。
ただ薬草を採ろうとして滑落しただけなのに、なぜか王国最強の騎士団長イグラムに連れて行かれ、騎士団で暮らすことに。
しかしこの魔法使い、少しだけ普通ではありません。
回復魔法を使えば何かが増え、
補助魔法を使えば騎士団が浮き、
気づけば庭はプリンになります。
——本人はちゃんとやっています。
巻き込まれる騎士団と、なぜか楽しそうな団長。
さらに弟子や王子、ドラゴンまで加わって、騎士団は今日も平和に大騒ぎ。
これは、ポンコツ魔法使いが真面目に頑張るたびに世界が少し壊れる、騒がしくて優しいファンタジーです。
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
美形×平凡の子供の話
めちゅう
BL
美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか?
──────────────────
お読みくださりありがとうございます。
お楽しみいただけましたら幸いです。
お話を追加いたしました。
BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください
わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。
まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!?
悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。