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199.【ハル視点】アキトの目覚め
どんどん暗くなっていく室内に魔道具の灯りを灯せば、ほっとするような温かい光が室内を照らす。ベッドの横に置かれた俺専用の椅子に座り、俺はそっとアキトの顔を覗き込んだ。
幸せそうに眠っているアキトの顔色は、倒れた時と比べればだいぶ良くなってきている。もうすぐ起きると先生は言っていたけどなと見つめ続けていると、不意にアキトの目がうっすらと開いた。茶色がかったアキトの目が、まっすぐに俺の目を見つめてくる。
「ハル」
小さな声がそっと俺の名前を呼んだ瞬間、こらえきれなかった涙がじわりと滲んだ。ただの魔力切れと聞いていても、もうすぐ起きると言われていても怖くて仕方が無かった。アキトが大切だから、起きなかったらどうしようとそんな事ばかり考えてしまっていたんだ。
「おはよう、アキト」
「おはよ、ハル」
「アキト、触れても良い?」
目の前にいるアキトが本物か、どうしても触れて確かめたくなった。
「…っ!…もちろん!」
すぐに帰ってきた言葉に、俺は恐る恐る手を伸ばした。そっとアキトの手に触れてきゅっと握りしめれば、アキトもすぐにぎゅっと握り返してくれた。
「俺いまハルに触れてる」
「ああ、俺も今、アキトに触れてるな」
そんな普通なら当たり前の事に感動して泣いて、あまりにしまらない再会に二人して笑い合った。
やっと触れ合えるようになった事が素直に嬉しい。何だかこのまま離れがたい気がして、俺たちは手を握り合ったまま話し始めた。
「アキト」
「ん、なに?」
「ありがとう。俺の毒を取り除いてくれて」
きちんとお礼の言葉は伝えたけれど、表情には気持ちが出てしまっていたようだ。
「ねえ、なんでそんなに複雑そうなの?」
「だって、アキトはあの後、魔力切れで三日も寝てたんだよ…?」
救ってもらった側がこんな事をいうのもどうかとは思うけど、アキトが目を覚ますまで三日も経っている。その間生きた心地がしなかった俺は、ついついそう口にしてしまった。アキトは怒るでも無く、驚いた顔で固まった。
「え、その日の夜かと思ってたよ」
「無理させちゃったから、手放しでは喜べないんだよ」
結局、俺はアキトにあの魔法を使わせてしまったんだから。アキトの答えを緊張しながら待っていると、アキトは慌てた顔で声を上げた。
「あー!俺レーブンさんに連絡してない!」
本気で心配そうな様子に肩透かしをくらった気分になりながらも、ケルビンがちゃんと伝えに言った事を伝えれば、アキトはホッと息を吐いた。
「アキトは…なんだかいつも通りだね」
「ああ、うん。いつも通りだよ」
「あんな事があったのに?」
「だってハルを助けられるなら、魔力切れくらいなんて事ないからね」
その言葉は嬉しいけれど、もっと自分の体を大事にして欲しい。そう思うと自然に眉間にしわが寄っていた。アキトは仕方ないなと言いたげに、優しく笑った。
「もし逆の立場だったらって想像してみて?」
「は?」
「俺が意識不明で、ハルは助けられる可能性のある魔法を持っているとする。その状態で、助けたら魔力切れになるけどって言われたら、ハルならどうする?」
「魔力切れなんて気にせずに、なりふり構わずに助けるな」
思わず即答してしまった。そんなの当たり前の事だ。
「別に自分を大切にしてないとかじゃないんだ。ただハルが大事だっただけ」
アキトの言葉がじわじわと胸の中に染みてくる。ただ大事だったからあの魔法を使っただけか。アキトらしいというかなんというか。
「そうか…うん、ありがとう」
「どういたしまして!」
俺たちは顔を見合わせると、自然と笑いあった。
「安心したら、何かちょっと眠くなってきた」
アキトの目はとろんとし始めていて、今にも閉じそうな状態だっだ。
「魔力切れの後は、とにかく寝るのが一番の治療法だからね」
「そうなんだ?」
「目が覚めたって事はかなり魔力は回復してる筈だけど、まだ完璧じゃないんだよ」
「そっか」
「寝るまでここにいるからね。おやすみ、アキト」
ぎゅっと手を握ってそう伝えれば、アキトはふにゃりと柔らかく笑ってくれた。
「おやすみ、ハル」
「ああ、良い夢を」
目を覚ます頃には部屋に戻ってくるつもりで、アキトの眠る部屋を後にした。きっちりと鍵を閉めてから廊下を見れば、壁にもたれて俺を待っているケルビンの姿があった。
「アキトは?」
「目を覚ましたよ」
気にはなっていたけれど、邪魔はしないように配慮したってところだろうか。
「ハロルド、お前これからどうするつもりだ?」
「まだ考えてる途中だけど、アキトを一人にするつもりは無いよ」
「はーやっぱりな」
ある程度予想はできていたのか、ケルビンは驚いた様子もなく苦笑を洩らした。
「お前は反対するか?」
「いや、お前が副団長の頃なら絶対無理だったけど、今なら問題は少ないだろうよ」
「ありがとな、相棒」
「素直なお前なんて珍しすぎるだろ、相棒。アキトに似てきたか?」
からかうようなケルビンの言葉に、俺はにっこりと笑みを浮かべて答えた。
「アキトに似てくるなら光栄だよ」
幸せそうに眠っているアキトの顔色は、倒れた時と比べればだいぶ良くなってきている。もうすぐ起きると先生は言っていたけどなと見つめ続けていると、不意にアキトの目がうっすらと開いた。茶色がかったアキトの目が、まっすぐに俺の目を見つめてくる。
「ハル」
小さな声がそっと俺の名前を呼んだ瞬間、こらえきれなかった涙がじわりと滲んだ。ただの魔力切れと聞いていても、もうすぐ起きると言われていても怖くて仕方が無かった。アキトが大切だから、起きなかったらどうしようとそんな事ばかり考えてしまっていたんだ。
「おはよう、アキト」
「おはよ、ハル」
「アキト、触れても良い?」
目の前にいるアキトが本物か、どうしても触れて確かめたくなった。
「…っ!…もちろん!」
すぐに帰ってきた言葉に、俺は恐る恐る手を伸ばした。そっとアキトの手に触れてきゅっと握りしめれば、アキトもすぐにぎゅっと握り返してくれた。
「俺いまハルに触れてる」
「ああ、俺も今、アキトに触れてるな」
そんな普通なら当たり前の事に感動して泣いて、あまりにしまらない再会に二人して笑い合った。
やっと触れ合えるようになった事が素直に嬉しい。何だかこのまま離れがたい気がして、俺たちは手を握り合ったまま話し始めた。
「アキト」
「ん、なに?」
「ありがとう。俺の毒を取り除いてくれて」
きちんとお礼の言葉は伝えたけれど、表情には気持ちが出てしまっていたようだ。
「ねえ、なんでそんなに複雑そうなの?」
「だって、アキトはあの後、魔力切れで三日も寝てたんだよ…?」
救ってもらった側がこんな事をいうのもどうかとは思うけど、アキトが目を覚ますまで三日も経っている。その間生きた心地がしなかった俺は、ついついそう口にしてしまった。アキトは怒るでも無く、驚いた顔で固まった。
「え、その日の夜かと思ってたよ」
「無理させちゃったから、手放しでは喜べないんだよ」
結局、俺はアキトにあの魔法を使わせてしまったんだから。アキトの答えを緊張しながら待っていると、アキトは慌てた顔で声を上げた。
「あー!俺レーブンさんに連絡してない!」
本気で心配そうな様子に肩透かしをくらった気分になりながらも、ケルビンがちゃんと伝えに言った事を伝えれば、アキトはホッと息を吐いた。
「アキトは…なんだかいつも通りだね」
「ああ、うん。いつも通りだよ」
「あんな事があったのに?」
「だってハルを助けられるなら、魔力切れくらいなんて事ないからね」
その言葉は嬉しいけれど、もっと自分の体を大事にして欲しい。そう思うと自然に眉間にしわが寄っていた。アキトは仕方ないなと言いたげに、優しく笑った。
「もし逆の立場だったらって想像してみて?」
「は?」
「俺が意識不明で、ハルは助けられる可能性のある魔法を持っているとする。その状態で、助けたら魔力切れになるけどって言われたら、ハルならどうする?」
「魔力切れなんて気にせずに、なりふり構わずに助けるな」
思わず即答してしまった。そんなの当たり前の事だ。
「別に自分を大切にしてないとかじゃないんだ。ただハルが大事だっただけ」
アキトの言葉がじわじわと胸の中に染みてくる。ただ大事だったからあの魔法を使っただけか。アキトらしいというかなんというか。
「そうか…うん、ありがとう」
「どういたしまして!」
俺たちは顔を見合わせると、自然と笑いあった。
「安心したら、何かちょっと眠くなってきた」
アキトの目はとろんとし始めていて、今にも閉じそうな状態だっだ。
「魔力切れの後は、とにかく寝るのが一番の治療法だからね」
「そうなんだ?」
「目が覚めたって事はかなり魔力は回復してる筈だけど、まだ完璧じゃないんだよ」
「そっか」
「寝るまでここにいるからね。おやすみ、アキト」
ぎゅっと手を握ってそう伝えれば、アキトはふにゃりと柔らかく笑ってくれた。
「おやすみ、ハル」
「ああ、良い夢を」
目を覚ます頃には部屋に戻ってくるつもりで、アキトの眠る部屋を後にした。きっちりと鍵を閉めてから廊下を見れば、壁にもたれて俺を待っているケルビンの姿があった。
「アキトは?」
「目を覚ましたよ」
気にはなっていたけれど、邪魔はしないように配慮したってところだろうか。
「ハロルド、お前これからどうするつもりだ?」
「まだ考えてる途中だけど、アキトを一人にするつもりは無いよ」
「はーやっぱりな」
ある程度予想はできていたのか、ケルビンは驚いた様子もなく苦笑を洩らした。
「お前は反対するか?」
「いや、お前が副団長の頃なら絶対無理だったけど、今なら問題は少ないだろうよ」
「ありがとな、相棒」
「素直なお前なんて珍しすぎるだろ、相棒。アキトに似てきたか?」
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「アキトに似てくるなら光栄だよ」
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