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209.【ハル視点】アキトと一緒にいるために
書類仕事をするために借りた部屋の中で、俺は書類や手紙の処理に追われていた。
騎士団本部の執務室でやれば良いなんてケルビンは言っていたが、そうしたらアキトが会いたい時に会いにこれないから却下した。騎士団の中枢とも言える執務室に、客人を入れるのはさすがに無理だ。
ノックの音にどうぞと答えれば、すぐにドアが開けられた。
「なんだケルビンか」
「なんだとは失礼だな。アキトじゃなくて悪かったな」
笑いながら言ったケルビンに、俺は軽く手を振った。
「いや、悪かった。どうしたんだ?」
「お前が待ってた手紙が来たから届けにきた」
「ありがたいが…お前が届けなくても良かったんだぞ?」
今日の配達当番がいるだろうにと首を傾げれば、ケルビンは苦笑を浮かべる。
「お前が起きてからディエゴが張り切っててな、ちょっとぐらい休憩させてくれよ」
「ちょっとなら良いんだが…お前のちょっとは信頼できないからな」
いつも通りの軽口を叩きながら手紙の束を見てみれば、待っていた手紙が全て揃っていた。
「これで揃ったな」
俺が呟いた瞬間に響いたノックの音に、ケルビンはびくりと体を揺らした。
「どうぞ」
「おい待ってくれよ、ハロルド!」
「失礼します。やっぱりここにいたんですね、ケルビン団長殿?」
現れたディエゴは、わざとらしいにっこり笑顔でそう言った。
「違うんだ!今俺はこの手紙を届けに来ただけで!」
「わざわざ配達当番から奪い取ってまで、ですか?」
ああ、そこからバレてるなら怒られても仕方ないな。かばってやるつもりなんてかけらも無い俺は、そっと手紙を開いた。
「だいたい貴方はすぐにサボるんですから」
「悪かったって!」
わいわいと言い合うのを聞きながして読み進めれば、王都からの手紙には遠まわしな文章で俺の要望を受け入れるという内容が書き込まれていた。
「よしっ!王都から許可が出た!」
思わずぐっと握りこぶしを作った俺の叫びに、二人は言い合いを止めてこちらを見た。
「特別任務、通ったんですか?」
「根回ししまくったとは言え、ちょっとあっさりすぎないか?」
本当に通ったのかと心配そうな二人に、俺は笑みを浮かべて答えた。
「冒険者ギルドから、本来ならダンジョンにしかいない魔物が普通の場所にいた件を報告して貰ったからな」
「お前…冒険者ギルドにまで根回ししてたのかよ」
呆れた顔のケルビンの隣で、ディエゴは尊敬の眼差しで俺を見つめてくる。
「アキトと一緒にいるためならそれぐらいするだろう」
「それにしてもダンジョンにしかいない魔物って何だ?どこに出たんだ?」
「あー…防音結界の魔道具って今持ってるか?」
もちろんと頷いたケルビンは、すぐに腰に着けた小型の魔道収納鞄から魔道具を取り出した。大事な物は持ち歩くあたりが、こいつもすっかり冒険者らしくなったな。
「発動は私が」
ディエゴがすかさず起動してくれるのを待って、俺はようやく口を開いた。
「アキトから聞いたんだが…クロユの森でゴーレム、ストイン湖の辺りではクラ―ウ茸が普通に生えてたそうだ」
実際には幽霊の俺も見てはいたんだが、ここにはディエゴもいるからこう言うしかない。ケルビンはちらりと俺を見て、分かってるぞと笑みを浮かべた。
「どっちも冒険者ギルドで調査に入ってくれてるんだが、結果が出る前に報告だけ上げてもらった」
「何かの前触れでしょうか…」
「その可能性を考える必要があるだろうと思ってな」
「なるほど。急に特別任務とか言い出したのは、調査に回るためってのもあったのか」
「ああ、それもある」
まあその状況をうまく利用して、アキトと一緒にいれるように手をまわしたと言った方が正しいけどな。
「アキトを騎士団に入れるのは考えながったのか?」
「考えたけど…アキトは楽しそうに冒険するからな」
邪魔をしたくないと思うのも仕方ないだろう。
「はーアキトには甘いな」
呆れたように言われても、ただの事実だから何とも思わないな。
「それで任命式はいつなんだ?」
「3日後だな」
「3日!?」
また急だなと言い出したケルビンの腕を、がっしりとディエゴが掴んだ。
「この手紙と同時に報告書が来ている筈ですが…あなたが執務室にいてくれれば、先に知って手配を始められていましたね?」
すごく良い笑顔で尋ねるディエゴに、ケルビンは即座に謝罪すると急いで部屋を出ていった。
「お騒がせしました、ハロルド先輩」
「いや、お疲れ様」
賑やかな二人がいなくなった静かな部屋で、俺はふうと息を吐いた。アキトと一緒にいるためだと思えば、こんな細かい作業だって苦では無い。気合を入れ直すと、俺は目の前の書類へと視線を向けた。
騎士団本部の執務室でやれば良いなんてケルビンは言っていたが、そうしたらアキトが会いたい時に会いにこれないから却下した。騎士団の中枢とも言える執務室に、客人を入れるのはさすがに無理だ。
ノックの音にどうぞと答えれば、すぐにドアが開けられた。
「なんだケルビンか」
「なんだとは失礼だな。アキトじゃなくて悪かったな」
笑いながら言ったケルビンに、俺は軽く手を振った。
「いや、悪かった。どうしたんだ?」
「お前が待ってた手紙が来たから届けにきた」
「ありがたいが…お前が届けなくても良かったんだぞ?」
今日の配達当番がいるだろうにと首を傾げれば、ケルビンは苦笑を浮かべる。
「お前が起きてからディエゴが張り切っててな、ちょっとぐらい休憩させてくれよ」
「ちょっとなら良いんだが…お前のちょっとは信頼できないからな」
いつも通りの軽口を叩きながら手紙の束を見てみれば、待っていた手紙が全て揃っていた。
「これで揃ったな」
俺が呟いた瞬間に響いたノックの音に、ケルビンはびくりと体を揺らした。
「どうぞ」
「おい待ってくれよ、ハロルド!」
「失礼します。やっぱりここにいたんですね、ケルビン団長殿?」
現れたディエゴは、わざとらしいにっこり笑顔でそう言った。
「違うんだ!今俺はこの手紙を届けに来ただけで!」
「わざわざ配達当番から奪い取ってまで、ですか?」
ああ、そこからバレてるなら怒られても仕方ないな。かばってやるつもりなんてかけらも無い俺は、そっと手紙を開いた。
「だいたい貴方はすぐにサボるんですから」
「悪かったって!」
わいわいと言い合うのを聞きながして読み進めれば、王都からの手紙には遠まわしな文章で俺の要望を受け入れるという内容が書き込まれていた。
「よしっ!王都から許可が出た!」
思わずぐっと握りこぶしを作った俺の叫びに、二人は言い合いを止めてこちらを見た。
「特別任務、通ったんですか?」
「根回ししまくったとは言え、ちょっとあっさりすぎないか?」
本当に通ったのかと心配そうな二人に、俺は笑みを浮かべて答えた。
「冒険者ギルドから、本来ならダンジョンにしかいない魔物が普通の場所にいた件を報告して貰ったからな」
「お前…冒険者ギルドにまで根回ししてたのかよ」
呆れた顔のケルビンの隣で、ディエゴは尊敬の眼差しで俺を見つめてくる。
「アキトと一緒にいるためならそれぐらいするだろう」
「それにしてもダンジョンにしかいない魔物って何だ?どこに出たんだ?」
「あー…防音結界の魔道具って今持ってるか?」
もちろんと頷いたケルビンは、すぐに腰に着けた小型の魔道収納鞄から魔道具を取り出した。大事な物は持ち歩くあたりが、こいつもすっかり冒険者らしくなったな。
「発動は私が」
ディエゴがすかさず起動してくれるのを待って、俺はようやく口を開いた。
「アキトから聞いたんだが…クロユの森でゴーレム、ストイン湖の辺りではクラ―ウ茸が普通に生えてたそうだ」
実際には幽霊の俺も見てはいたんだが、ここにはディエゴもいるからこう言うしかない。ケルビンはちらりと俺を見て、分かってるぞと笑みを浮かべた。
「どっちも冒険者ギルドで調査に入ってくれてるんだが、結果が出る前に報告だけ上げてもらった」
「何かの前触れでしょうか…」
「その可能性を考える必要があるだろうと思ってな」
「なるほど。急に特別任務とか言い出したのは、調査に回るためってのもあったのか」
「ああ、それもある」
まあその状況をうまく利用して、アキトと一緒にいれるように手をまわしたと言った方が正しいけどな。
「アキトを騎士団に入れるのは考えながったのか?」
「考えたけど…アキトは楽しそうに冒険するからな」
邪魔をしたくないと思うのも仕方ないだろう。
「はーアキトには甘いな」
呆れたように言われても、ただの事実だから何とも思わないな。
「それで任命式はいつなんだ?」
「3日後だな」
「3日!?」
また急だなと言い出したケルビンの腕を、がっしりとディエゴが掴んだ。
「この手紙と同時に報告書が来ている筈ですが…あなたが執務室にいてくれれば、先に知って手配を始められていましたね?」
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「いや、お疲れ様」
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