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224.白狼亭へ
「あー駄目だ。全然覚えてないや」
白狼亭に行くのは二度目だから、ハルに案内してもらわなくても辿り着ける。そう思ってたんだけど、びっくりするぐらい道を覚えていない事が判明した。
ハルがいなくなった事がショックすぎて、道を覚えようとか考える事が出来てなかったんだよね。それにしてもここまで何も覚えてないとは思ってなかった。
「じゃあ俺が案内するね」
「うん、お願い」
まかせてと笑ったハルは、迷わずに道を選んで歩き出した。
「ちなみにその時は、一人でどうやって辿り着いたの?」
「ああ、目についた雑貨屋さんで買い物してから、白狼亭の場所を聞いたんだ」
軽い気持ちであの日の行動を教えたら、何故か絶賛されてしまって驚いた。なんでも素性の分からないその辺の通行人に尋ねるよりも、その方が何倍も安全なんだそうだ。嘘を教えられたり、変なところに連れて行かれる可能性が一気に減るんだって。
「特に表通りは、店主に調査が入ってからしかお店が開けないからね」
表通りにあるお店の店主は、信用して良いんだとハルは教えてくれた。
「そうなんだ?丁寧に道を教えてくれたのは覚えてるよ」
道順はさっぱりだし、店の場所も覚えてないんだけどね。
「壁の狼の絵は見た?」
「うん、あれすごいよね」
大きな壁画みたいに壁に描かれてた狼は、迫力がすごかったからはっきり覚えてる。今にも動き出しそうな躍動感のある狼だった。
「あれはね、白狼亭の味に惚れ込んだ画家が描いたって噂があるんだ」
「へーそうなんだ」
「本当かどうかは分からないけどね」
「迫力すごかったから、本当に有名な画家の人が描いたのかもしれないよね」
なんて事のない話をしながら、俺たちは並んで道を歩いていく。今までは人目がある所での会話はできなかったから、こうやって周りの人の目を気にせずに話せるのがすごく嬉しい。色んな話をしながら歩いていけば、あっという間に白狼亭の前まで辿り着いた。
人気店だけあって今日もお客さんはたくさんいるみたいだ。活気に溢れたやり取りが店の外まで聞こえてくるし、辺りには肉の焼ける食欲を刺激する香りがただよっている。
「ハル、俺…お腹鳴りそう」
「俺は鳴りそうじゃなくて、もう鳴ったかも」
おどけてそう答えたハルに笑いながら、俺たちは店へと足を踏み入れた。どこか無骨な店構えに反して、店内は驚くほど清潔に保たれていた。レンガ作りの壁がなんだかすごくファンタジー世界の酒場って感じがする。
「ステーキ二人前!」
「はいよ!」
「こっち三人前!あと酒も三人前!」
「ちょっと待ってくれー」
注文の声と店員の威勢の良い返事がぽんぽんと飛び交う店内は、圧倒されてしまいそうなぐらいには賑やかだった。俺一人だと注文できないかもしれないなと思わず遠い目になってしまう。
「アキト、こっち」
「うん」
店員の邪魔にならないように慌てて空いていたテーブルに移動すれば、鉄板を持った店員は笑顔でお礼を言ってから通り過ぎていった。筋肉質な人しかいないのは、あの重そうな鉄板をいくつも運ぶだめなんだろうか。
「すごい賑やかだね」
「ここはいつもこんな感じだね。メニューはステーキか酒しか無いんだけど…どうする?」
「んー今日はお酒は良いかな」
「じゃあステーキだね。アキト…注文してみる?」
ハルは悪戯っぽい笑顔を浮かべると、楽しそうにそう尋ねてくる。いま絶対俺がギルドの酒場で注文できなかった時の事思い出してるよね。
「ハールー!注文通らないって分かって言ってるでしょ?」
「ごめんごめん、ただの冗談だから怒らないで」
笑ったハルはすうと息を吸うと、特に張り上げたわけでも無いのに不思議と通る声で注文をした。
「こっちステーキ三人前頼む!」
「はーい!」
「えーと…三人前?」
「俺はいつも二人前は食べるから」
さらりとハルはそう言ったけど、隣のテーブルの客が食べてるステーキすっごい大きいんだけど。そのぐらい食べないと、ハルみたいな筋肉質な体型にはなれないんだろうか。俺もよく食べる方だけど、さすがにあれは無理だ。
白狼亭に行くのは二度目だから、ハルに案内してもらわなくても辿り着ける。そう思ってたんだけど、びっくりするぐらい道を覚えていない事が判明した。
ハルがいなくなった事がショックすぎて、道を覚えようとか考える事が出来てなかったんだよね。それにしてもここまで何も覚えてないとは思ってなかった。
「じゃあ俺が案内するね」
「うん、お願い」
まかせてと笑ったハルは、迷わずに道を選んで歩き出した。
「ちなみにその時は、一人でどうやって辿り着いたの?」
「ああ、目についた雑貨屋さんで買い物してから、白狼亭の場所を聞いたんだ」
軽い気持ちであの日の行動を教えたら、何故か絶賛されてしまって驚いた。なんでも素性の分からないその辺の通行人に尋ねるよりも、その方が何倍も安全なんだそうだ。嘘を教えられたり、変なところに連れて行かれる可能性が一気に減るんだって。
「特に表通りは、店主に調査が入ってからしかお店が開けないからね」
表通りにあるお店の店主は、信用して良いんだとハルは教えてくれた。
「そうなんだ?丁寧に道を教えてくれたのは覚えてるよ」
道順はさっぱりだし、店の場所も覚えてないんだけどね。
「壁の狼の絵は見た?」
「うん、あれすごいよね」
大きな壁画みたいに壁に描かれてた狼は、迫力がすごかったからはっきり覚えてる。今にも動き出しそうな躍動感のある狼だった。
「あれはね、白狼亭の味に惚れ込んだ画家が描いたって噂があるんだ」
「へーそうなんだ」
「本当かどうかは分からないけどね」
「迫力すごかったから、本当に有名な画家の人が描いたのかもしれないよね」
なんて事のない話をしながら、俺たちは並んで道を歩いていく。今までは人目がある所での会話はできなかったから、こうやって周りの人の目を気にせずに話せるのがすごく嬉しい。色んな話をしながら歩いていけば、あっという間に白狼亭の前まで辿り着いた。
人気店だけあって今日もお客さんはたくさんいるみたいだ。活気に溢れたやり取りが店の外まで聞こえてくるし、辺りには肉の焼ける食欲を刺激する香りがただよっている。
「ハル、俺…お腹鳴りそう」
「俺は鳴りそうじゃなくて、もう鳴ったかも」
おどけてそう答えたハルに笑いながら、俺たちは店へと足を踏み入れた。どこか無骨な店構えに反して、店内は驚くほど清潔に保たれていた。レンガ作りの壁がなんだかすごくファンタジー世界の酒場って感じがする。
「ステーキ二人前!」
「はいよ!」
「こっち三人前!あと酒も三人前!」
「ちょっと待ってくれー」
注文の声と店員の威勢の良い返事がぽんぽんと飛び交う店内は、圧倒されてしまいそうなぐらいには賑やかだった。俺一人だと注文できないかもしれないなと思わず遠い目になってしまう。
「アキト、こっち」
「うん」
店員の邪魔にならないように慌てて空いていたテーブルに移動すれば、鉄板を持った店員は笑顔でお礼を言ってから通り過ぎていった。筋肉質な人しかいないのは、あの重そうな鉄板をいくつも運ぶだめなんだろうか。
「すごい賑やかだね」
「ここはいつもこんな感じだね。メニューはステーキか酒しか無いんだけど…どうする?」
「んー今日はお酒は良いかな」
「じゃあステーキだね。アキト…注文してみる?」
ハルは悪戯っぽい笑顔を浮かべると、楽しそうにそう尋ねてくる。いま絶対俺がギルドの酒場で注文できなかった時の事思い出してるよね。
「ハールー!注文通らないって分かって言ってるでしょ?」
「ごめんごめん、ただの冗談だから怒らないで」
笑ったハルはすうと息を吸うと、特に張り上げたわけでも無いのに不思議と通る声で注文をした。
「こっちステーキ三人前頼む!」
「はーい!」
「えーと…三人前?」
「俺はいつも二人前は食べるから」
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