生まれつき幽霊が見える俺が異世界転移をしたら、精霊が見える人と誤解されています

根古川ゆい

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230.デートの続き

 店を出て大通りまで移動した俺たちは、二人並んでのんびりと歩いていた。

 いつも裏道とか路地ばかり通ってたから知らなかったんだけど、こんなお昼過ぎの微妙な時間帯でもかなり人は多いみたいだ。

 依頼帰りらしき冒険者達や、買い出し中の住民達、急ぎ足で歩いて行く商人達、そしてデートを楽しんでいる恋人達もいるみたいだ。俺たちもちゃんと恋人同士に見えてるのかななんて、そんな事をついつい考えてしまう。

「アキト?どうかした?」

 ちょっと心配そうに顔を覗き込んでくるハルに、俺は慌てて手を振った。

「なんでもないんだ、意外に人が多いんだなって思ってただけで」

 慌ててごまかした言葉だったけど、ハルは納得してくれたみたいで笑顔を浮かべた。

「ああ、大通りはあまり来てなかったから」
「そうそう。あーそれにしても本当に美味しかったね、白狼亭のステーキ!」
「アキトにも気に入ってもらえて良かったよ」
「うん、本当に気に入ったよ。だって追加注文までしちゃったぐらいだし」

 そう、実は気に入り過ぎて追加注文までしちゃったんだ。

 一人前食べ終えたら、もうちょっと食べたいなって自然とそう思ったんだ。周りのお客さんが、あんなにバンバン追加注文してた理由が俺にも理解できてしまった。

 でもあのボリューム満点なステーキをもう一人前食べるのは、俺の胃袋的に絶対に無理だ。そう思ったから諦めるつもりだったんだけど、もし食べきれなかったらハルが食べてくれるって言うからお言葉に甘えて注文したんだ。

 結果?半分でもう無理かもってなったよ。結果俺は1.5人前。ハルはまさかの2.5人前をペロッとたいらげたよ。

「すごい食べさせちゃったけど、ハル、胸悪かったりしない?」
「いや、全然大丈夫だよ」

 特に無理した様子もなく、ハルはいつも通りの笑顔で答えてくれた。どうやら本当に問題は無いみたいだと分かって、俺はホッと息を吐いた。

「また行きたいな」
「ああ、また行こう」
「ローガンさんにも会いたいし」

 俺がそう呟けば、ハルはフフッと笑った。

「甥っ子認定されてたし、きっとローガンも喜ぶよ」

 そうだと俺も嬉しいな。



 さて、目的だった食事は無事に終わったわけだけど、なんだかこのまま帰るのももったいない気がする。思わず立ち止まった俺にハルはすぐに気づいて振り返った。

「どうかした?」

 俺の顔を覗き込んできた甘くとろけるハルの笑顔に、道行く人の視線が集まっているのが分かる。男女問わずすっごい見られてるね。モテるとは思ってたけど、正直想像以上だな。

 でもハルは俺の恋人なんで。そう思いながらそっと手を伸ばせば、ハルはすぐに嬉しそうに手を繋いでくれた。しかもばっちり恋人繋ぎだ。

「このまま戻るのはもったいないかなーって考えてたんだ」
「俺も同じ事を考えてたよ」

 お揃いだねと目を細めて笑ったハルに俺も思わず笑い返せば、遠くの方でキャーと声が上がった。今のハルの表情に叫んでしまう気持ちは、分からなくも無いな。だって大人の色気たっぷりな、あまりに魅力的な笑顔だったから。

「じゃあ買い物にでも行かない?」
「行きたい!」
「アキトはどこか行きたいとこある?」
「詳しくないから、ここが良いって思いつかないな。ハルは何か欲しいものとかある?」
「んー…そうだな、冒険者用の食器かな」
「冒険者用の食器?」

 ハルは俺より大先輩の冒険者なんだから、当然冒険者用の食器ぐらい持ってる筈だ。
 
「え、でもハルも持ってるでしょ?」
「もちろん持ってはいるよ。でも…」

 急に言い淀んだハルは、頬を赤く染めて恥ずかしそうに続けた。

「せっかく二人で一緒に冒険者をできるなら、揃いの食器が欲しいなって思ったんだけど……あー俺、浮かれすぎてて恥ずかしいな」

 びっくりした。あまりの可愛さにびっくりした。さっきはあんなに大人の男の色気たっぷりな笑顔を見せていたのに、急にこんなに可愛くなるとかずるくない?

 ハルって格好良いのに可愛い所もあって、大人の色気があるのに子どもっぽい所もあるんだよな。知れば知るほど、ハルの事を好きになってしまう気がする。

「そんな事ないよ!お揃いの食器嬉しい!」
「本当?引いてない?」
「引いてない!ハルのおすすめのお店に連れていってくれる?」
「もちろん、こっちだよ」

 ハルは繋いだ手を軽く引いて、そのまま歩き出した。
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