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233.衝撃的な事実
部屋の中に入って鍵を閉めると、すぐに防音結界が発動する。
ハルいわく、宿で使われている鍵と連動した防音結界の魔道具は、多少音を減らす程度のものから完全に音を遮断するものまで種類が豊富にあるらしい。
「黒鷹亭はさすがに良いものを使ってるね」
「それって鑑定とかしたって事?」
「いや、違うよ」
ハルは笑いながら、もう一度鍵を開けてから俺をちらりと見た。
「外の音を聞いてみて」
「分かった」
言われるがままに耳を澄ませば、外から聞こえてくるのは雑多な音の集まりだった。
部屋に戻っていく冒険者たちのわいわいと話す声。これから何を食べるか相談している楽し気な声。酔っ払いなのか歌ってる人の声まで聞こえてくる。
それ以外にも重装備を身に着けているのかズシンと響くような足音や、軽やかに廊下を駆けていく誰かの足音も聞こえてくる。
「今の時間は結構うるさいんだね」
「じゃあ鍵をかけるよ」
ハルがカチリと鍵を回した瞬間、廊下を行き来している宿泊客の声も足音も、何もかもが完全に聞こえなくなった。
「分かった?」
悪戯っぽく尋ねてくるハルに、俺は大きく頷いた。確かに鑑定するまでも無いな。明らかに外の音が全く聞こえなくなったから、良い魔道具を使ってるのは間違いない。
そんな所にもこだわってくれてるんだなと感心していると、不意にハルが俺を見つめているのに気づいた。
「ハル?」
「おかえり、アキト」
「え、一緒に帰って来たのにおかえり?」
思わずそう聞き返した俺に、ハルは楽し気に笑いながら答えた。
「言いたいなと思ったんだけど、駄目だった?」
おかえりって言う機会なんて幽霊の時も滅多になかったから。これもアキトと一緒にしたい事の一つだよなんて言われたら、もう俺に言える事なんて一つしかないよね。
「ただいま、ハル」
「うん、ありがとう、アキト」
満足そうなハルが話を終わらせてしまう前にと、俺も慌てて口を開いた。折角なら、俺もおかえりって言いたい。
「じゃあ俺からも!おかえり、ハル」
「ただいま…あー…うん、何だか照れるね」
「…分かる」
新婚みたいなやりとりだなとか一瞬思ってしまったせいで、余計に恥ずかしい。何だか頬が熱い気がするけど、これはきっと気のせいだ。俺はごまかすように声を上げた。
「あ、装備外さないとね!」
かなり無理やりかつ唐突な話題転換だったけど、ハルはすぐにこの提案に乗ってくれた。こういう所で俺の顔が赤いとか指摘しないあたりが、大人の余裕なのかな。そういう所もたまらなく好きなんだけど。
結局ハルの優しさに甘えて、俺たちはそれぞれ装備を解除する事になった。
マントを外して、剣を下ろし、あちこちにあるベルトや紐を緩めていく。そうやってどんどん装備を解除していたら、ふと衝撃的な事実に気づいてしまったんだ。
あれ、もしかして俺たち二人同じ部屋で寝るって事!?
生身での初デートに浮かれすぎてて、同じ部屋にベッドが二つ並んでる意味とか理解できてなかったんだよ。ベッドが並んでるの見て、こっそり喜んでる場合じゃなかった。
えーと、ちょっと待ってね。ちょっとだけ整理させて欲しい。今ハルと俺は部屋の中に二人きりで、しかも防音結界もばっちり発動してる。多少声を出したりなんかしたって、外に聞こえる事は絶対に無いって事だよね。
「アキト、俺はもう装備外し終わったよ」
「ひゃいっ!」
変な事を考えていたせいで、明らかに声が裏返ってしまった。
「どうかした?」
ゆるく首を傾げて近づいてくるハルは、装備を解除したせいで露出度が上がってる!とは言っても、腕まくりしてるのと胸元がはだけてるぐらいだけど!そのちょっとの違いで、ハルの大人の色気が駄々洩れになってる気がする。
「な、何でもないよ」
幽霊の時は服装は一切変わらなかったから、何というか破壊力がすごい。
ハルいわく、宿で使われている鍵と連動した防音結界の魔道具は、多少音を減らす程度のものから完全に音を遮断するものまで種類が豊富にあるらしい。
「黒鷹亭はさすがに良いものを使ってるね」
「それって鑑定とかしたって事?」
「いや、違うよ」
ハルは笑いながら、もう一度鍵を開けてから俺をちらりと見た。
「外の音を聞いてみて」
「分かった」
言われるがままに耳を澄ませば、外から聞こえてくるのは雑多な音の集まりだった。
部屋に戻っていく冒険者たちのわいわいと話す声。これから何を食べるか相談している楽し気な声。酔っ払いなのか歌ってる人の声まで聞こえてくる。
それ以外にも重装備を身に着けているのかズシンと響くような足音や、軽やかに廊下を駆けていく誰かの足音も聞こえてくる。
「今の時間は結構うるさいんだね」
「じゃあ鍵をかけるよ」
ハルがカチリと鍵を回した瞬間、廊下を行き来している宿泊客の声も足音も、何もかもが完全に聞こえなくなった。
「分かった?」
悪戯っぽく尋ねてくるハルに、俺は大きく頷いた。確かに鑑定するまでも無いな。明らかに外の音が全く聞こえなくなったから、良い魔道具を使ってるのは間違いない。
そんな所にもこだわってくれてるんだなと感心していると、不意にハルが俺を見つめているのに気づいた。
「ハル?」
「おかえり、アキト」
「え、一緒に帰って来たのにおかえり?」
思わずそう聞き返した俺に、ハルは楽し気に笑いながら答えた。
「言いたいなと思ったんだけど、駄目だった?」
おかえりって言う機会なんて幽霊の時も滅多になかったから。これもアキトと一緒にしたい事の一つだよなんて言われたら、もう俺に言える事なんて一つしかないよね。
「ただいま、ハル」
「うん、ありがとう、アキト」
満足そうなハルが話を終わらせてしまう前にと、俺も慌てて口を開いた。折角なら、俺もおかえりって言いたい。
「じゃあ俺からも!おかえり、ハル」
「ただいま…あー…うん、何だか照れるね」
「…分かる」
新婚みたいなやりとりだなとか一瞬思ってしまったせいで、余計に恥ずかしい。何だか頬が熱い気がするけど、これはきっと気のせいだ。俺はごまかすように声を上げた。
「あ、装備外さないとね!」
かなり無理やりかつ唐突な話題転換だったけど、ハルはすぐにこの提案に乗ってくれた。こういう所で俺の顔が赤いとか指摘しないあたりが、大人の余裕なのかな。そういう所もたまらなく好きなんだけど。
結局ハルの優しさに甘えて、俺たちはそれぞれ装備を解除する事になった。
マントを外して、剣を下ろし、あちこちにあるベルトや紐を緩めていく。そうやってどんどん装備を解除していたら、ふと衝撃的な事実に気づいてしまったんだ。
あれ、もしかして俺たち二人同じ部屋で寝るって事!?
生身での初デートに浮かれすぎてて、同じ部屋にベッドが二つ並んでる意味とか理解できてなかったんだよ。ベッドが並んでるの見て、こっそり喜んでる場合じゃなかった。
えーと、ちょっと待ってね。ちょっとだけ整理させて欲しい。今ハルと俺は部屋の中に二人きりで、しかも防音結界もばっちり発動してる。多少声を出したりなんかしたって、外に聞こえる事は絶対に無いって事だよね。
「アキト、俺はもう装備外し終わったよ」
「ひゃいっ!」
変な事を考えていたせいで、明らかに声が裏返ってしまった。
「どうかした?」
ゆるく首を傾げて近づいてくるハルは、装備を解除したせいで露出度が上がってる!とは言っても、腕まくりしてるのと胸元がはだけてるぐらいだけど!そのちょっとの違いで、ハルの大人の色気が駄々洩れになってる気がする。
「な、何でもないよ」
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