生まれつき幽霊が見える俺が異世界転移をしたら、精霊が見える人と誤解されています

根古川ゆい

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242.痛くは無い※

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 ベッドの上に寝転がったまま密かに緊張していると、気づけばハルは小さな瓶を手に持っていた。鞄も部屋の前に置いてきた筈なのに、一体どこから取り出したんだろう。

「それなに?」

 思わずそう尋ねてみれば、ハルはすぐに瓶を俺の目の前に移動させてくれた。

 細かい装飾がされた明らかに高級品らしき小瓶を、俺はまじまじと見つめた。中に入っているのは、淡い桃色の液体みたいだ。ハルが瓶を軽く振れば、粘り気のある液体がちゃぷりと揺れた。

「これは特製のポーションだよ。これがあると痛みが減るからね」

 ああ、なるほど。つまりこれは、この世界のいわゆるローションみたいなものなのかな。異世界だとこういう時にもポーションを使うんだ。ファンタジーだなと感心しながら見つめていれば、ハルは片手だけで器用に瓶の蓋を開いてみせた

「アキト、良かったら嗅いでみる?」

 言われるがままに瓶に鼻を近づけてみると、見た目に反して爽やかな植物の香りがした。色から想像したのはもっと甘ったるい香りだったから、こんなに爽やかな香りなんてかなり意外だ。

 うん、でも俺この香り好きだな。何だか安心する香りだ。

「いい香りだね」
「気に入ったなら良かった」

 嬉しそうに笑ったハルは、特製ポーションをたっぷりと手のひらに取り出した。ふわりと爽やかな森のような香りが室内に広がると、それだけで自然と体の力が抜けていく気がする。

「ひゃっ…」

 不意にハルの指が後ろに触れた瞬間、俺は思わず悲鳴みたいな声を上げてしまった。

 心配そうに俺の顔を覗き込んできたハルに、自分から口づける事で大丈夫だとアピールする。今はまともに言葉が話せそうにないと思ったからね。咄嗟の行動だったけど、ハルにはちゃんと伝わったみたいだ。

「続けるよ」

 特製ポーションでぬめりを帯びた指は、じわじわと俺の中へと侵入してくる。

「くっ…ぁ…っ」
「痛い?」

 痛くはないけど変な感じだ。特別痛いわけじゃないんだけど、ただ異物感というか違和感がすごい。

 軽く首を横に振って痛くは無いと主張すれば、ハルはホッと息を吐いた。ハルと繋がるためなら、ちょっとぐらい痛くても我慢できると思うんだけど。

「…んっ…くっ」

 ゆっくりと押し込まれた指は、そのままゆっくりと抜けていく。

 指一本でもこんなに狭いのに、本当にハルのを受け入れられるようになるんだろうか。さっき一瞬だけ見てしまったハルのものは、明らかに俺のより大きかった。俺が狭すぎるからってできなかったらどうしよう。そんな事をついつい考えてしまった。

「もう一回、入れるよ」

 ハルの声にハッと意識を戻せば、今度はさっきよりもスムーズにハルの指は俺の中に入ってきた。さっきまであんなに入りにくかったのに、一体何があったんだ。

「えっ…なっ…で?」
「ああ、特製ポーションを足したからね」

 俺の疑問にあっさりと答えたハルは、慎重に指を動かし始めた。ぬめりが増したせいか、異物感も違和感も一気に減った。それどころか、ちょっとだけ気持ち良いような気さえしてくる。特製ポーションの効果がすごすぎる。

「んっ…あっ」

 気持ち良いと、喘ぎ声って自然と出るものなんだな。知らなかった。

「アキト、可愛い」

 不意にかけられた言葉にそっと視線を上げると、ハルは欲望に目をギラつかせながら俺を見下ろしていた。ああ、俺の喘ぎ声で少しは煽られてくれてるのかな。そうだったらすごく嬉しい。

「ハ、ル…」
「どうしたの?」

 目だけはいつものハルと違うけど、優しい声で聞き返してくれる辺りがやっぱりハルだな。

「ハル、は、かっこいい…よ」

 指を止めてくれたおかげで、何とか言葉にして伝える事ができた。

「アキトには敵わないな」

 くしゃりと笑ったハルは、そっと俺の額にキスをしてくれた。
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