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264.行きたい場所と二つの小道
「今日の依頼分も無事に終わったし、帰ろうか」
すっと立ち上がったハルはそう言うなり、しゃがみこんで採取をしていた俺に当然のように手を差し伸べた。こういう所が王子様っぽいよねなんて考えながらもその手をきゅっと掴めば、ぐいっと腕の力だけで俺の体は引き上げられた。
すごい力だな。あれだけ筋肉があれば当然なのかな。思わず綺麗に筋肉のついたハルの体を思い浮かべてしまった俺は、ごまかすように慌てて答えた。
「うん、帰ろう!」
何ならこのまま手を繋いで歩きたい気分だけど、今は危険もある採取先だから我慢だ。黒鷹亭に着いたら手を繋いで欲しいってお願いしてみようかな。
俺達は二人並んで、まだまばらにしか人がいない草原を歩き出した。
「今日は早く終わったね」
「ああ、レボネの花をアキトがあっさり見つけたからね」
「え、でもホワイトブランカはハルがあっさり見つけたよね?」
「いやアキトだよ」
「ううん、ハルだよ」
「でも」
「いやいや」
歩きながらそう言い合っていた俺達は、顔を見合わせると二人同時に吹きだした。二人とも一歩も引かずに、相手のおかげだって言い合ってるんだもんね。冷静になると笑ってしまうやり取りだ。
「二人とも運が良かったおかげで早く終わったって事にしようか」
「賛成!」
「ちょっと時間が出来たからどうしようか?」
「んー…冒険者ギルドは?」
「今日の報告は明日でも問題ないから、どこかアキトが行きたい場所があれば行こうか?」
行きたい場所かぁ。黒鷹亭に着いたら手を繋いでもらいたいし、正直に言えばキスもそれ以上の事もしたい。でもさすがにこんな場所でそれを口にしない程度の常識はある。だっていくら人が少ないって言っても、誰が聞いてるか分からない外だからね。
「うーん…」
「ゆっくり考えて良いから、何か思いついたら教えて」
そんな風に優しく言われてしまうと、逆に何か一つぐらい場所を上げたいと思ってしまった。でもいくら考えても何も思いつかない。
ハルと一緒ならこんな地味な草原だってびっくりするぐらい楽しいし、ハルがいなかったら景色が綺麗だという高台からの眺望も味気なく感じたからな。ハルが一緒ならどこでも良いって答えるのは反則だろうか。それが俺の本音なんだけどな。
考えながらも周りの景色を眺めていた俺は、不意に目に飛び込んできた小道にゆるりと首を傾げた。なんで二つも小道があるんだろう?
「あれ…?」
「どうかした?」
「俺達が来たのはこっちだよね?じゃああっちはどこに繋がってるの?」
俺は二つの小道を順番に指差しながら、そうハルに尋ねてみた。来た時も当然そこにあったんだろうけど、全く気付いてなかったんだよね。
「ああ、あっちは北門につながってるんだ」
「え、北門!?」
南門から来たよね?とびっくりしちゃったけど、何でもコノーア草原はどちらの門からも同じくらいの距離にあるんだって。
「ただ、朝早くは北門の方が混雑するからね」
だからあえて朝は南門を選んだんだってハルは教えてくれた。
「そうなんだ…まだまだ知らない事がいっぱいあるんだなー」
「ゆっくり覚えていけば良いよ」
これからはいつも一緒にいるんだしと笑ったハルに、俺も自然と笑みを返した。ハルはこういう事もはっきり言葉にしてくれる。そういう所もすごく好きだと思う。
「あ、良い事考えついたかも!」
「良い事?」
「北門に帰れば、アキトの好きなウマが見れるかもしれないよ」
「え?…いいの?」
馬が走ってる姿を見るのは大好きだから俺は嬉しいけど、ハルは退屈しないのかな。だって俺、見惚れちゃって会話もできなくなると思うんだよ。前もそうだったから絶対そうなると思う。
「もちろん」
「でも俺、馬見てたら話せないから…」
「大丈夫だよ。俺もウマは好きだし、もし飽きたらアキトを見てるから問題ないよ」
「えー…俺見て楽しい?」
「俺にとっては何より楽しいよ」
そうなのか。ハルが楽しいならまあ良いか。
「じゃあ、北門から帰りたい!」
それでできれば馬を見たいと続ければ、ハルは嬉しそうに俺の希望を受け入れてくれた。
すっと立ち上がったハルはそう言うなり、しゃがみこんで採取をしていた俺に当然のように手を差し伸べた。こういう所が王子様っぽいよねなんて考えながらもその手をきゅっと掴めば、ぐいっと腕の力だけで俺の体は引き上げられた。
すごい力だな。あれだけ筋肉があれば当然なのかな。思わず綺麗に筋肉のついたハルの体を思い浮かべてしまった俺は、ごまかすように慌てて答えた。
「うん、帰ろう!」
何ならこのまま手を繋いで歩きたい気分だけど、今は危険もある採取先だから我慢だ。黒鷹亭に着いたら手を繋いで欲しいってお願いしてみようかな。
俺達は二人並んで、まだまばらにしか人がいない草原を歩き出した。
「今日は早く終わったね」
「ああ、レボネの花をアキトがあっさり見つけたからね」
「え、でもホワイトブランカはハルがあっさり見つけたよね?」
「いやアキトだよ」
「ううん、ハルだよ」
「でも」
「いやいや」
歩きながらそう言い合っていた俺達は、顔を見合わせると二人同時に吹きだした。二人とも一歩も引かずに、相手のおかげだって言い合ってるんだもんね。冷静になると笑ってしまうやり取りだ。
「二人とも運が良かったおかげで早く終わったって事にしようか」
「賛成!」
「ちょっと時間が出来たからどうしようか?」
「んー…冒険者ギルドは?」
「今日の報告は明日でも問題ないから、どこかアキトが行きたい場所があれば行こうか?」
行きたい場所かぁ。黒鷹亭に着いたら手を繋いでもらいたいし、正直に言えばキスもそれ以上の事もしたい。でもさすがにこんな場所でそれを口にしない程度の常識はある。だっていくら人が少ないって言っても、誰が聞いてるか分からない外だからね。
「うーん…」
「ゆっくり考えて良いから、何か思いついたら教えて」
そんな風に優しく言われてしまうと、逆に何か一つぐらい場所を上げたいと思ってしまった。でもいくら考えても何も思いつかない。
ハルと一緒ならこんな地味な草原だってびっくりするぐらい楽しいし、ハルがいなかったら景色が綺麗だという高台からの眺望も味気なく感じたからな。ハルが一緒ならどこでも良いって答えるのは反則だろうか。それが俺の本音なんだけどな。
考えながらも周りの景色を眺めていた俺は、不意に目に飛び込んできた小道にゆるりと首を傾げた。なんで二つも小道があるんだろう?
「あれ…?」
「どうかした?」
「俺達が来たのはこっちだよね?じゃああっちはどこに繋がってるの?」
俺は二つの小道を順番に指差しながら、そうハルに尋ねてみた。来た時も当然そこにあったんだろうけど、全く気付いてなかったんだよね。
「ああ、あっちは北門につながってるんだ」
「え、北門!?」
南門から来たよね?とびっくりしちゃったけど、何でもコノーア草原はどちらの門からも同じくらいの距離にあるんだって。
「ただ、朝早くは北門の方が混雑するからね」
だからあえて朝は南門を選んだんだってハルは教えてくれた。
「そうなんだ…まだまだ知らない事がいっぱいあるんだなー」
「ゆっくり覚えていけば良いよ」
これからはいつも一緒にいるんだしと笑ったハルに、俺も自然と笑みを返した。ハルはこういう事もはっきり言葉にしてくれる。そういう所もすごく好きだと思う。
「あ、良い事考えついたかも!」
「良い事?」
「北門に帰れば、アキトの好きなウマが見れるかもしれないよ」
「え?…いいの?」
馬が走ってる姿を見るのは大好きだから俺は嬉しいけど、ハルは退屈しないのかな。だって俺、見惚れちゃって会話もできなくなると思うんだよ。前もそうだったから絶対そうなると思う。
「もちろん」
「でも俺、馬見てたら話せないから…」
「大丈夫だよ。俺もウマは好きだし、もし飽きたらアキトを見てるから問題ないよ」
「えー…俺見て楽しい?」
「俺にとっては何より楽しいよ」
そうなのか。ハルが楽しいならまあ良いか。
「じゃあ、北門から帰りたい!」
それでできれば馬を見たいと続ければ、ハルは嬉しそうに俺の希望を受け入れてくれた。
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