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318.ティシーの森
のんびりと休憩時間を堪能して英気を養った俺達は、元気いっぱいで次の目的地であるティシーの森へと向かう事になった。
今俺達がいるナルイット領は、トライプールと比べても起伏が少ない地形みたいだ。平坦な道が延々と続くから、思った以上に歩きやすい。
途中で冒険者らしき人達とも何組かすれ違ったけれど、ハルの言った通りティシーの森へと向かう人は全くいないみたいだ。全員が同じ方向に向かっていくって事は、ハルとクリスさんが名前を出してた何とかの森へ行くのかな。
むしろ何故そっちへ行くのかと言いたげな不思議そうな顔で見られるのには、ちょっとだけ笑ってしまった。
「なぁ、ファルブラキノコってそんなに有名な素材なのか?俺は知らないんだが…」
カーディさんは、申し訳なさそうにぽつりと尋ねた。あ、そこは俺も気になってたけど、常識的に知らないとまずい事だったら困るからあえて尋ねてなかったんだよね。聞いてくれてありがとう、カーディさん。
「ああ、一年の内にで二週間程しか取れないキノコだから無理も無いよ」
笑顔を浮かべたハルの答えに、俺は驚いて叫んだ。
「「二週間!?」」
はからずも俺とカーディさんの言葉が綺麗にハモッたよね。
「ええ、たった二週間です」
面白い素材ですよとクリスさんは笑顔で応じた。
「冒険者であるハルはともかく、なんでクリスが知ってるんだ?」
「ああ、ファルブラキノコは魔道具の素材になるんだよ」
「キノコが魔道具の素材…?」
え、料理に使うとか薬の材料とかじゃなくて、魔道具にキノコを使うの?嘘だろうと思わず視線を向けたハルは、苦笑を浮かべながらも本当だよと教えてくれた。
「えーと、何の魔道具だ?」
考え込みながらもそう尋ねたカーディさんに、クリスさんは優しく語りかける。
「着火の魔道具って分かる?」
「え、あのライタ?」
「あれの核には、ファルブラキノコの胞子が使われてるんだよ」
「そうなのか!?あれって火石を使ってるんじゃないのか?」
「その火を維持させるのにはあの胞子が相性が良くて…」
真剣な顔をしたクリスさんとカーディさんは、着火の魔道具の構造と製造工程について話し始めた。魔道具ってそうやって作られてるんだと聞き流しながら、俺はぼんやりとさっきの言葉について考えていた。
着火の魔道具でライタって、絶対にライターの事だよね。魔道具の話でも異世界人の名づけらしきものが出てくるのかぁ。密かに感心していると、ハルが心配そうに俺の方をちらりと見た。
あ、やっぱりライタは異世界人絡みなんだな。ハルの心配そうな視線だけで分かったよ。俺がどんな反応をするか気にしてくれたんだろうけど、だいぶ慣れてきた気がするから大丈夫だよ。思ったよりもこの世界、異世界人が色々やらかしてるみたいだからね。
俺は後ろを歩く二人に見えないように、ハルに向かって笑みを浮かべて見せた。
魔道具の話から何故か手に入りにくい素材の話に流れ、さらに手に入りにくい食材の話になって、最終的にはナルイット領の美味しい食べ物の話に辿り着いた。
川魚の美味しさについて語る後ろの二人の話を聞いていると、不意にハルが声をかけてきた。
「アキト、そこの道を左に入ったら、ティシーの森だよ」
ハルが指差したのは、伸びきった木の枝がアーチ状になっている道だった。何だか森というより、隠された不思議な家とかに繋がってそうだな。そう思ってしまうぐらいには、ファンタジー映画とかにありそうな入口だった。
どこかに連れていかれたりしないよね。そんな事を考えながらアーチをくぐったけれど、道は普通に森の中に繋がっていた。ただ何だかすごく違和感がある。
「ねぇ、ハル。ここって何か、道幅が広くない?」
「ああ、トライプールに慣れるとそう思うよね」
「ナルイット領の道は、トライプール領よりも確実に広いですね」
「こっちに慣れてる奴は、逆にトライプール領に行ったら道が狭すぎるってびっくりするらしいぞ?」
ああ、そう言われると確かにそうか。どっちを基準にして考えるかって話だもんな。
「ちなみにもっと広い道の領もあれば、道がずっとぐねぐねと蛇行してるっていう領もあるよ」
悪戯っぽく笑って教えてくれたハルに、俺はうーんと考えこんだ。
「広いのはともかく、蛇行はちょっと困りそうだね」
「ああ、方向感覚が狂うって言われてるね」
「でも、ハルなら大丈夫でしょ?」
思わずそう尋ねれば、ハルはびっくりした顔をしてからふにゃりと笑みを浮かべた。
「ああ、アキトを迷わせたりしないよ」
「うん、頼りにしてる」
素直にそう言葉を返せば、ハルは俺の頭をぽんぽんと撫でた。
今俺達がいるナルイット領は、トライプールと比べても起伏が少ない地形みたいだ。平坦な道が延々と続くから、思った以上に歩きやすい。
途中で冒険者らしき人達とも何組かすれ違ったけれど、ハルの言った通りティシーの森へと向かう人は全くいないみたいだ。全員が同じ方向に向かっていくって事は、ハルとクリスさんが名前を出してた何とかの森へ行くのかな。
むしろ何故そっちへ行くのかと言いたげな不思議そうな顔で見られるのには、ちょっとだけ笑ってしまった。
「なぁ、ファルブラキノコってそんなに有名な素材なのか?俺は知らないんだが…」
カーディさんは、申し訳なさそうにぽつりと尋ねた。あ、そこは俺も気になってたけど、常識的に知らないとまずい事だったら困るからあえて尋ねてなかったんだよね。聞いてくれてありがとう、カーディさん。
「ああ、一年の内にで二週間程しか取れないキノコだから無理も無いよ」
笑顔を浮かべたハルの答えに、俺は驚いて叫んだ。
「「二週間!?」」
はからずも俺とカーディさんの言葉が綺麗にハモッたよね。
「ええ、たった二週間です」
面白い素材ですよとクリスさんは笑顔で応じた。
「冒険者であるハルはともかく、なんでクリスが知ってるんだ?」
「ああ、ファルブラキノコは魔道具の素材になるんだよ」
「キノコが魔道具の素材…?」
え、料理に使うとか薬の材料とかじゃなくて、魔道具にキノコを使うの?嘘だろうと思わず視線を向けたハルは、苦笑を浮かべながらも本当だよと教えてくれた。
「えーと、何の魔道具だ?」
考え込みながらもそう尋ねたカーディさんに、クリスさんは優しく語りかける。
「着火の魔道具って分かる?」
「え、あのライタ?」
「あれの核には、ファルブラキノコの胞子が使われてるんだよ」
「そうなのか!?あれって火石を使ってるんじゃないのか?」
「その火を維持させるのにはあの胞子が相性が良くて…」
真剣な顔をしたクリスさんとカーディさんは、着火の魔道具の構造と製造工程について話し始めた。魔道具ってそうやって作られてるんだと聞き流しながら、俺はぼんやりとさっきの言葉について考えていた。
着火の魔道具でライタって、絶対にライターの事だよね。魔道具の話でも異世界人の名づけらしきものが出てくるのかぁ。密かに感心していると、ハルが心配そうに俺の方をちらりと見た。
あ、やっぱりライタは異世界人絡みなんだな。ハルの心配そうな視線だけで分かったよ。俺がどんな反応をするか気にしてくれたんだろうけど、だいぶ慣れてきた気がするから大丈夫だよ。思ったよりもこの世界、異世界人が色々やらかしてるみたいだからね。
俺は後ろを歩く二人に見えないように、ハルに向かって笑みを浮かべて見せた。
魔道具の話から何故か手に入りにくい素材の話に流れ、さらに手に入りにくい食材の話になって、最終的にはナルイット領の美味しい食べ物の話に辿り着いた。
川魚の美味しさについて語る後ろの二人の話を聞いていると、不意にハルが声をかけてきた。
「アキト、そこの道を左に入ったら、ティシーの森だよ」
ハルが指差したのは、伸びきった木の枝がアーチ状になっている道だった。何だか森というより、隠された不思議な家とかに繋がってそうだな。そう思ってしまうぐらいには、ファンタジー映画とかにありそうな入口だった。
どこかに連れていかれたりしないよね。そんな事を考えながらアーチをくぐったけれど、道は普通に森の中に繋がっていた。ただ何だかすごく違和感がある。
「ねぇ、ハル。ここって何か、道幅が広くない?」
「ああ、トライプールに慣れるとそう思うよね」
「ナルイット領の道は、トライプール領よりも確実に広いですね」
「こっちに慣れてる奴は、逆にトライプール領に行ったら道が狭すぎるってびっくりするらしいぞ?」
ああ、そう言われると確かにそうか。どっちを基準にして考えるかって話だもんな。
「ちなみにもっと広い道の領もあれば、道がずっとぐねぐねと蛇行してるっていう領もあるよ」
悪戯っぽく笑って教えてくれたハルに、俺はうーんと考えこんだ。
「広いのはともかく、蛇行はちょっと困りそうだね」
「ああ、方向感覚が狂うって言われてるね」
「でも、ハルなら大丈夫でしょ?」
思わずそう尋ねれば、ハルはびっくりした顔をしてからふにゃりと笑みを浮かべた。
「ああ、アキトを迷わせたりしないよ」
「うん、頼りにしてる」
素直にそう言葉を返せば、ハルは俺の頭をぽんぽんと撫でた。
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