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350.レーウェ川の流れ
建物と建物の間を縫うように、俺達は四人並んで薄暗い路地を進んで行った。人がすれ違うのもやっとな狭い小道を抜けた瞬間、俺とカーディは思わず揃って感嘆の声を上げた。
「「うわぁー…」」
「二人とも、何かありましたか!?って…これはっ…」
心配してくれたのか慌てた様子で路地から走り出てきたクリスさんも、息を飲んで目の前の景色を眺めている。
「ああ…これはすごいな」
こんな場所があるなんてさすがに俺も知らなかったなとさらりと言ってのけたハルでさえ、目の前に急に現れた絶景に見惚れていた。
俺達四人が揃って視線を奪われているのは、キラキラと太陽の光を反射しながら流れていく美しいレーウェ川の流れだった。同じ高さから見ても見惚れるくらいには綺麗な川だったけど、橋の上から見ると本当に圧倒されてしまう美しさだ。
緩やかに流れる涼しげな水の音を聞きながら視線を巡らせれば、遠くにはいくつかの船が浮かんでいるのが見えた。
あれは移動のための船なのか、それとも漁のための船なのか。そんなことは俺には分からないけれど、ゆっくりと動いていく船に自然と視線が惹きつけられた。
不意にパシャリと魚の跳ねた音がしたけれど、残念ながら魚の姿は見えなかった。
「すごい…綺麗な景色…」
目の前の景色に見惚れたまま、俺はぽつりと呟いた。
「時間つぶしに川でも眺めてろって言ってたが」
カーディも川を見つめたまま俺の言葉に答える。
「…そういうレベルじゃないよな…これ?」
「ええ、何なら観光客からお金を取れるぐらいの絶景だと思います」
クリスさんは口ではそんな事を言いながらも、無心に景色を眺めていた。
「よっぽどカーディさんとクリスの言葉が嬉しかったんだろうな」
「え?でもあれだけ美味い店なら言われ慣れてるだろう?」
微笑みながらそう告げたハルの言葉に、カーディは不思議そうに尋ねた。
「いや、逆にいつも混んでるから、味の感想を言ってくれる客は少ないんじゃないか?」
あ、そう言われると確かにそうかもしれない。普段は忙しそうな人気店なら、逆に言い難いかもしれない。
「ああ、確かに。いつもは買ったらすぐに屋台の前から離れますね」
「あー…確かに次の客の邪魔になるからって、いつも受け取ったらすぐ離れるな。感想言った事ないかもしれない」
納得した二人に、ハルは褒められて嬉しくない人はいないだろうと笑って続けた。
「しかもあんな風に裏表なく、心から褒められたらな」
「ええ、カーディには裏表なんて全くありませんからね!カーディが心からの感想を素直に伝えたからこそ、あの店主の心を動かしたんですね!つまりこの景色はカーディのおかげと言っても過言では…」
急に勢いづいてカーディの良さについて語りだしたクリスさんの口を、カーディは慣れた様子でパシリと片手で塞いだ。そのままキスでもするのかと言うぐらい、ぐいっと顔を近づける。
「クリス、そういうのは昨日で終わりにしたはずだ」
「むーむー」
「もう言うなよ?分かったか?」
ジロッと睨みつけながら低い声で尋ねるカーディに、クリスさんは口を塞がれたままこくこくと素直に頷いている。周りから見れば喧嘩みたいに見えるかもしれないやり取りだけど、俺は笑ってそんな二人を見つめていた。
だってすごい勢いで凄んでるけど、明らかにカーディの耳は真っ赤なんだよな。多分目の前で褒めちぎられるのが、単純に恥ずかしかったんだろうな。
「面白い二人だな」
気づけば隣に来ていたハルは、そう言いながらきゅっと手を繋いでくれた。うん、やっぱりハルの手があるだけで一気に安心するな。
「うん、お似合いの二人だね」
「まあな…でも、俺達だってお似合いの恋人同士だろう?」
悪戯っぽい笑顔を浮かべたハルを、俺はまじまじと見上げた。
正直周りから見てお似合いかどうかなんて自信は無いんだよね。だってハルはこんなに格好良くて優しくてすごい人なんだから、俺じゃ釣り合わないとか思われるかもしれない。でも、他でも無いハルがお似合いだって言ってくれるなら、否定するのも違うだろう。
「うん、俺達もお似合いだよね」
わざとおどけてそう返せば、ハルは満足そうに笑って頷いてくれた。
「「うわぁー…」」
「二人とも、何かありましたか!?って…これはっ…」
心配してくれたのか慌てた様子で路地から走り出てきたクリスさんも、息を飲んで目の前の景色を眺めている。
「ああ…これはすごいな」
こんな場所があるなんてさすがに俺も知らなかったなとさらりと言ってのけたハルでさえ、目の前に急に現れた絶景に見惚れていた。
俺達四人が揃って視線を奪われているのは、キラキラと太陽の光を反射しながら流れていく美しいレーウェ川の流れだった。同じ高さから見ても見惚れるくらいには綺麗な川だったけど、橋の上から見ると本当に圧倒されてしまう美しさだ。
緩やかに流れる涼しげな水の音を聞きながら視線を巡らせれば、遠くにはいくつかの船が浮かんでいるのが見えた。
あれは移動のための船なのか、それとも漁のための船なのか。そんなことは俺には分からないけれど、ゆっくりと動いていく船に自然と視線が惹きつけられた。
不意にパシャリと魚の跳ねた音がしたけれど、残念ながら魚の姿は見えなかった。
「すごい…綺麗な景色…」
目の前の景色に見惚れたまま、俺はぽつりと呟いた。
「時間つぶしに川でも眺めてろって言ってたが」
カーディも川を見つめたまま俺の言葉に答える。
「…そういうレベルじゃないよな…これ?」
「ええ、何なら観光客からお金を取れるぐらいの絶景だと思います」
クリスさんは口ではそんな事を言いながらも、無心に景色を眺めていた。
「よっぽどカーディさんとクリスの言葉が嬉しかったんだろうな」
「え?でもあれだけ美味い店なら言われ慣れてるだろう?」
微笑みながらそう告げたハルの言葉に、カーディは不思議そうに尋ねた。
「いや、逆にいつも混んでるから、味の感想を言ってくれる客は少ないんじゃないか?」
あ、そう言われると確かにそうかもしれない。普段は忙しそうな人気店なら、逆に言い難いかもしれない。
「ああ、確かに。いつもは買ったらすぐに屋台の前から離れますね」
「あー…確かに次の客の邪魔になるからって、いつも受け取ったらすぐ離れるな。感想言った事ないかもしれない」
納得した二人に、ハルは褒められて嬉しくない人はいないだろうと笑って続けた。
「しかもあんな風に裏表なく、心から褒められたらな」
「ええ、カーディには裏表なんて全くありませんからね!カーディが心からの感想を素直に伝えたからこそ、あの店主の心を動かしたんですね!つまりこの景色はカーディのおかげと言っても過言では…」
急に勢いづいてカーディの良さについて語りだしたクリスさんの口を、カーディは慣れた様子でパシリと片手で塞いだ。そのままキスでもするのかと言うぐらい、ぐいっと顔を近づける。
「クリス、そういうのは昨日で終わりにしたはずだ」
「むーむー」
「もう言うなよ?分かったか?」
ジロッと睨みつけながら低い声で尋ねるカーディに、クリスさんは口を塞がれたままこくこくと素直に頷いている。周りから見れば喧嘩みたいに見えるかもしれないやり取りだけど、俺は笑ってそんな二人を見つめていた。
だってすごい勢いで凄んでるけど、明らかにカーディの耳は真っ赤なんだよな。多分目の前で褒めちぎられるのが、単純に恥ずかしかったんだろうな。
「面白い二人だな」
気づけば隣に来ていたハルは、そう言いながらきゅっと手を繋いでくれた。うん、やっぱりハルの手があるだけで一気に安心するな。
「うん、お似合いの二人だね」
「まあな…でも、俺達だってお似合いの恋人同士だろう?」
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正直周りから見てお似合いかどうかなんて自信は無いんだよね。だってハルはこんなに格好良くて優しくてすごい人なんだから、俺じゃ釣り合わないとか思われるかもしれない。でも、他でも無いハルがお似合いだって言ってくれるなら、否定するのも違うだろう。
「うん、俺達もお似合いだよね」
わざとおどけてそう返せば、ハルは満足そうに笑って頷いてくれた。
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