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376.船の中の個室
いつもはハルに手を引かれて歩く事が多いからか、俺がハルの手を引いてるっていうのは何だかすごく新鮮だ。ハルはまだ落ち込んでるのか、手を引かれるままに素直に歩いてついてきてくれている。そんな姿も可愛いとか思っちゃうんだよなぁ。
もうほとんどの乗客は部屋に入った後なのか、廊下を歩いている客はもう俺とハルだけみたいだ。船員さんは結構いろんな所にいるけどね。
船内の長い廊下を辺りを見回しながら歩いていくと、ようやく緑の魔石がついたドアを見つける事ができた。
この船の部屋の鍵は少し変わっていて、あのカードみたいな鍵についてた魔石の色と、同じ色のドアだけが開くんだって。これはさっきすれ違った船員さんが教えてくれたんだけど、面白い仕組みだよね。それに宝探しみたいでちょっと楽しい。
ただ俺が覚えてるのは魔石が緑色だったって事ぐらいだから、ちょっと自信が無い。緑にも色んな色があるからね。この色で合ってるかな?と視線を向ければ、ハルはスッとカードを取り出して見せてくれた。
「アキト、すごいね。一瞬見ただけだったのに、色まで覚えてたんだ」
感心したように褒めてくれるハルに、俺は笑って答えた。
「あー…ハルに教えてもらった素材探しのコツのせいじゃないかな?」
図鑑とかで確認した色をきっちり覚えてから素材を探すってのが、素材探しのコツなんだよね。それがすっかり習慣になってるって事だと思う。
「それは…嬉しいな」
はにかんだ笑みを浮かべたハルがカードをドアに近づければ、すぐにかちゃりと音を立てて鍵が開いた。
一歩部屋の中に入れば、そこはまるで高級ホテルのような空間だった。雑誌とかテレビとかで見た事があるだけで、ここまで豪華なホテルに泊まった事なんて無いけど。
しかも部屋の中がとにかく広い。ここが船の中だって事を忘れそうなぐらいの広さなのに、奥にはまだドアがあるみたいだ。これも空間魔法の応用とかってやつなのかな。
入ってすぐの部屋には荷物置き場と、シックだけど高級感のあるテーブルと椅子が並んでいた。テーブルの上には、果物と飲み物の入った瓶がいくつか並んでいる。これはウェルカムドリンクみたいなやつなのかな。
「広いね」
「ああ、ここまで広いとは…」
ハルもこの広さにはさすがに驚いたみたいで、興味深そうに室内を眺めている。いそいそと荷物置き場に荷物を置いた俺達は、浄化魔法をかけるとすぐに奥の部屋へと進んだ。
奥の部屋には、綺麗に整えられた寝心地の良さそうなベッドと大きな窓があった。窓の前には景色を眺めるためのソファが一つ据えられている。
「うわぁーすごいね」
「ああ、すごいな」
そういえばクリスさんが、部屋からは外の景色も見れるって言ってたな。そんな事を思い出しながら俺はソファに腰を下ろした。
振動とか揺れが一切ないから気づかなかったけれど、いつの間にか船は出港していたみたいだ。窓の外の景色は緩やかに変化していて、キラキラと光を反射する水面や遠くに見える森や山も綺麗に見える。
ちらりと視線を向ければ、ハルは立ち尽くしたまま俺をじっと見つめていた。
「ハル?」
「アキト…あの…」
「話ならちゃんと聞くから、まずはここに座らない?」
自分の隣のソファをぽんぽんと叩いて促せば、ハルはすぐに隣に座ってくれた。まだ不安定そうなハルを安心させるべく、俺はきゅっとハルの手を握った。
「改めて、傷付けてごめんね」
「謝らなくて良いって言ったよ?」
「言ってくれてたけど、謝りたくて…ごめん。別れるって言わないでくれてありがとう」
「いや、俺もごめんね」
「何でアキトが謝るの?」
あの時は嫉妬して怒っちゃったけど落ち着いてから考えたら、俺がハルを信じきれなかったって事だよなって思ったんだ。ハルが俺にくれる愛情を信じ切れてたら、嫉妬とか怒りよりも前にその人は誰って聞けたと思うんだ。
「ハルを信じてその人は誰って聞けなかったから――かな」
「いや、誤解させた俺が絶対に悪い!」
必死に言いつのるハルに、俺は笑って答えた。
「じゃあさ、ハルの家族の話、聞かせて?」
「え…」
「文官と結婚したって言ってたお兄さんがウィリアムさんだよね?」
「あ、ああ」
今回は運悪く誤解しちゃったけど、次は誤解したくないからもっとハルの事を知りたい。そう伝えれば、ハルはくしゃりと泣き出しそうな笑みを浮かべてから口を開いた。
もうほとんどの乗客は部屋に入った後なのか、廊下を歩いている客はもう俺とハルだけみたいだ。船員さんは結構いろんな所にいるけどね。
船内の長い廊下を辺りを見回しながら歩いていくと、ようやく緑の魔石がついたドアを見つける事ができた。
この船の部屋の鍵は少し変わっていて、あのカードみたいな鍵についてた魔石の色と、同じ色のドアだけが開くんだって。これはさっきすれ違った船員さんが教えてくれたんだけど、面白い仕組みだよね。それに宝探しみたいでちょっと楽しい。
ただ俺が覚えてるのは魔石が緑色だったって事ぐらいだから、ちょっと自信が無い。緑にも色んな色があるからね。この色で合ってるかな?と視線を向ければ、ハルはスッとカードを取り出して見せてくれた。
「アキト、すごいね。一瞬見ただけだったのに、色まで覚えてたんだ」
感心したように褒めてくれるハルに、俺は笑って答えた。
「あー…ハルに教えてもらった素材探しのコツのせいじゃないかな?」
図鑑とかで確認した色をきっちり覚えてから素材を探すってのが、素材探しのコツなんだよね。それがすっかり習慣になってるって事だと思う。
「それは…嬉しいな」
はにかんだ笑みを浮かべたハルがカードをドアに近づければ、すぐにかちゃりと音を立てて鍵が開いた。
一歩部屋の中に入れば、そこはまるで高級ホテルのような空間だった。雑誌とかテレビとかで見た事があるだけで、ここまで豪華なホテルに泊まった事なんて無いけど。
しかも部屋の中がとにかく広い。ここが船の中だって事を忘れそうなぐらいの広さなのに、奥にはまだドアがあるみたいだ。これも空間魔法の応用とかってやつなのかな。
入ってすぐの部屋には荷物置き場と、シックだけど高級感のあるテーブルと椅子が並んでいた。テーブルの上には、果物と飲み物の入った瓶がいくつか並んでいる。これはウェルカムドリンクみたいなやつなのかな。
「広いね」
「ああ、ここまで広いとは…」
ハルもこの広さにはさすがに驚いたみたいで、興味深そうに室内を眺めている。いそいそと荷物置き場に荷物を置いた俺達は、浄化魔法をかけるとすぐに奥の部屋へと進んだ。
奥の部屋には、綺麗に整えられた寝心地の良さそうなベッドと大きな窓があった。窓の前には景色を眺めるためのソファが一つ据えられている。
「うわぁーすごいね」
「ああ、すごいな」
そういえばクリスさんが、部屋からは外の景色も見れるって言ってたな。そんな事を思い出しながら俺はソファに腰を下ろした。
振動とか揺れが一切ないから気づかなかったけれど、いつの間にか船は出港していたみたいだ。窓の外の景色は緩やかに変化していて、キラキラと光を反射する水面や遠くに見える森や山も綺麗に見える。
ちらりと視線を向ければ、ハルは立ち尽くしたまま俺をじっと見つめていた。
「ハル?」
「アキト…あの…」
「話ならちゃんと聞くから、まずはここに座らない?」
自分の隣のソファをぽんぽんと叩いて促せば、ハルはすぐに隣に座ってくれた。まだ不安定そうなハルを安心させるべく、俺はきゅっとハルの手を握った。
「改めて、傷付けてごめんね」
「謝らなくて良いって言ったよ?」
「言ってくれてたけど、謝りたくて…ごめん。別れるって言わないでくれてありがとう」
「いや、俺もごめんね」
「何でアキトが謝るの?」
あの時は嫉妬して怒っちゃったけど落ち着いてから考えたら、俺がハルを信じきれなかったって事だよなって思ったんだ。ハルが俺にくれる愛情を信じ切れてたら、嫉妬とか怒りよりも前にその人は誰って聞けたと思うんだ。
「ハルを信じてその人は誰って聞けなかったから――かな」
「いや、誤解させた俺が絶対に悪い!」
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「じゃあさ、ハルの家族の話、聞かせて?」
「え…」
「文官と結婚したって言ってたお兄さんがウィリアムさんだよね?」
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