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377.ハルの家族の話
「えーと、家族の話って言うと、何から話せば良いかな…?」
ゆったりと流れていく窓の外の景色を二人並んで眺めていると、ハルは穏やかな声でそう尋ねてきた。家族の話って言われても、一体どこから話せば良いのかって悩んでるみたいだ。
「じゃあまずは一番上のお兄さんの話から聞かせて欲しいな」
「ああ、一番上はファーガス兄さんだな」
一番上のお兄さんは、ファーガスさんって言うのか。いつか会えるかもしれないからその時のために、ちゃんと名前を覚えておかないとな。ファーガスさんね。
「確か、すごく強い女戦士と結婚したって言ってた人だよね?」
「ああ、よく覚えてたな」
ハルは笑ってから、俺の頭をそっと撫でてくれた。だいぶ落ち着いてきたのか、だいぶ普段どおりのハルに戻ってきたみたいだな。
「ファーガス兄さんと俺は、そうだな…双子みたいだって周りから言われるぐらい似てるんだ」
「え、そんなに!?」
「金髪と紫の瞳もお揃いだからね。…まあ筋肉の量はあっちの方が多いかもしれないけど」
ちょっと悔しそうにそう続けたハルに弟っぽさを感じて、俺は思わず微笑んでしまった。兄弟に張り合おうとするその姿もたまらなく可愛いな。
「ファーガスさんっていくつ上なの?」
「五歳上だな」
双子みたいって言われるほどハルにそっくりな見た目で、五歳年上なのか。それはぜひ見てみたいな。ハルがこう成長するのかなーって参考になりそうだ。
「次兄がさっき会ったウィリアム兄さんで――本人も言ってたけど、目以外は母似だな」
父親は俺と同じ金髪に紫の瞳だからねと丁寧に教えてくれたけど、実はそれは本で読んだから知ってる。
ケイリー・ウェルマールの冒険は、俺の愛読書だからね。あの本を読んでた時はまさかハルのお父さんだとは知らなかったけど、金髪に紫の瞳って説明を読んでまるでハルみたいだなって思ったからよく覚えてる。
今になって思えば、俺の頭の中ではハルをあてはめて読んでた気がする。もしかしてだからあんなにあの本が好きだったのかな。無意識って怖い。
「俺の下の弟はキースっていうんだ」
「弟さん、キースくんっていうんだ」
キースくんも覚えておかないとな。キースくんか。
「ああ。キースは金髪に緑の目をしてるんだけど、僕も紫の目が良かったって小さい頃は大騒ぎしてたなぁー」
少し大きくなると予想外に聞き分けの良い大人しい子で、外を駆け回るよりは室内で本を読んでる方が好きなタイプらしい。
「魔法を使えるようになりたいんだって言ってたけど、どうなったかな」
アキトに会ったら魔法について教えてって大騒ぎすると思うよ。楽し気にそう続けたハルは、さっきの弟らしい顔から一気にお兄ちゃんらしい表情に変わっていた。前も思ったけど、弟さんの事可愛がってるんだな。
「四兄弟か…兄弟が多いの羨ましいなぁ」
「アキトは兄弟はいなかったの?」
「うん、俺は一人っ子だったから」
「そうなのか」
「あ、でも母さんは朗らかで明るい人だったから、こどもの遊びにも付き合ってくれてたよ」
「そうか、良いお母様だな」
優しい笑顔でそう言われると、ほわりと胸が温かくなった。
「ハルのお母さんは、どんな人?」
「あー…強い人だな」
「強いんだ?」
「物理的に強い。アキトの好きなあの本ではあえて触れられてなかったけど、父と一緒に魔物退治に行くぐらいには強いぞ」
「えーと…辺境領の魔物はこの辺りよりも強いのも出るって言ってなかったっけ?」
ゆるりと首を傾げて尋ねれば、ハルは苦笑を浮かべて頷いた。
「ああ、明らかに強いのも出るけど、母に関しては問題にならないな。母は元冒険者なんだよ。しかも――金級の」
「えー!金級の元冒険者なの!?」
驚いてついつい大きな声を出してしまったけど、この部屋もきっちり防音結界が張られてるから周りには聞こえていない筈だ。
「ソロで金級だった母は、スタンピードの依頼で辺境領に来たんだけど…最前線で戦ってた父と意気投合したらしいよ」
辺境領の跡継ぎなのに最前線にいたのか。さすがケイリー・ウェルマールさんだな。
「へーすごいね」
「ああ、すごいだろう?」
「あれ?でもそんなにすごい人なのに、なんであの本では一切触れてなかったの?」
「そこに触れてしまうと物語の主人公が変わってしまうから…じゃないかな。あれは副官がケイリー・ウェルマールの偉業を広めるために書いたからね」
あーなるほど。そういう理由なら分からなくも無いな。あれはあくまでケイリー・ウェルマールの冒険だからね。
ゆったりと流れていく窓の外の景色を二人並んで眺めていると、ハルは穏やかな声でそう尋ねてきた。家族の話って言われても、一体どこから話せば良いのかって悩んでるみたいだ。
「じゃあまずは一番上のお兄さんの話から聞かせて欲しいな」
「ああ、一番上はファーガス兄さんだな」
一番上のお兄さんは、ファーガスさんって言うのか。いつか会えるかもしれないからその時のために、ちゃんと名前を覚えておかないとな。ファーガスさんね。
「確か、すごく強い女戦士と結婚したって言ってた人だよね?」
「ああ、よく覚えてたな」
ハルは笑ってから、俺の頭をそっと撫でてくれた。だいぶ落ち着いてきたのか、だいぶ普段どおりのハルに戻ってきたみたいだな。
「ファーガス兄さんと俺は、そうだな…双子みたいだって周りから言われるぐらい似てるんだ」
「え、そんなに!?」
「金髪と紫の瞳もお揃いだからね。…まあ筋肉の量はあっちの方が多いかもしれないけど」
ちょっと悔しそうにそう続けたハルに弟っぽさを感じて、俺は思わず微笑んでしまった。兄弟に張り合おうとするその姿もたまらなく可愛いな。
「ファーガスさんっていくつ上なの?」
「五歳上だな」
双子みたいって言われるほどハルにそっくりな見た目で、五歳年上なのか。それはぜひ見てみたいな。ハルがこう成長するのかなーって参考になりそうだ。
「次兄がさっき会ったウィリアム兄さんで――本人も言ってたけど、目以外は母似だな」
父親は俺と同じ金髪に紫の瞳だからねと丁寧に教えてくれたけど、実はそれは本で読んだから知ってる。
ケイリー・ウェルマールの冒険は、俺の愛読書だからね。あの本を読んでた時はまさかハルのお父さんだとは知らなかったけど、金髪に紫の瞳って説明を読んでまるでハルみたいだなって思ったからよく覚えてる。
今になって思えば、俺の頭の中ではハルをあてはめて読んでた気がする。もしかしてだからあんなにあの本が好きだったのかな。無意識って怖い。
「俺の下の弟はキースっていうんだ」
「弟さん、キースくんっていうんだ」
キースくんも覚えておかないとな。キースくんか。
「ああ。キースは金髪に緑の目をしてるんだけど、僕も紫の目が良かったって小さい頃は大騒ぎしてたなぁー」
少し大きくなると予想外に聞き分けの良い大人しい子で、外を駆け回るよりは室内で本を読んでる方が好きなタイプらしい。
「魔法を使えるようになりたいんだって言ってたけど、どうなったかな」
アキトに会ったら魔法について教えてって大騒ぎすると思うよ。楽し気にそう続けたハルは、さっきの弟らしい顔から一気にお兄ちゃんらしい表情に変わっていた。前も思ったけど、弟さんの事可愛がってるんだな。
「四兄弟か…兄弟が多いの羨ましいなぁ」
「アキトは兄弟はいなかったの?」
「うん、俺は一人っ子だったから」
「そうなのか」
「あ、でも母さんは朗らかで明るい人だったから、こどもの遊びにも付き合ってくれてたよ」
「そうか、良いお母様だな」
優しい笑顔でそう言われると、ほわりと胸が温かくなった。
「ハルのお母さんは、どんな人?」
「あー…強い人だな」
「強いんだ?」
「物理的に強い。アキトの好きなあの本ではあえて触れられてなかったけど、父と一緒に魔物退治に行くぐらいには強いぞ」
「えーと…辺境領の魔物はこの辺りよりも強いのも出るって言ってなかったっけ?」
ゆるりと首を傾げて尋ねれば、ハルは苦笑を浮かべて頷いた。
「ああ、明らかに強いのも出るけど、母に関しては問題にならないな。母は元冒険者なんだよ。しかも――金級の」
「えー!金級の元冒険者なの!?」
驚いてついつい大きな声を出してしまったけど、この部屋もきっちり防音結界が張られてるから周りには聞こえていない筈だ。
「ソロで金級だった母は、スタンピードの依頼で辺境領に来たんだけど…最前線で戦ってた父と意気投合したらしいよ」
辺境領の跡継ぎなのに最前線にいたのか。さすがケイリー・ウェルマールさんだな。
「へーすごいね」
「ああ、すごいだろう?」
「あれ?でもそんなにすごい人なのに、なんであの本では一切触れてなかったの?」
「そこに触れてしまうと物語の主人公が変わってしまうから…じゃないかな。あれは副官がケイリー・ウェルマールの偉業を広めるために書いたからね」
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