生まれつき幽霊が見える俺が異世界転移をしたら、精霊が見える人と誤解されています

根古川ゆい

文字の大きさ
380 / 1,561

379.伝えたかった事

「アキト、俺の伴侶になってくれないかな?」
「え…」

 ちょっとだけ待って欲しい。伴侶っていうのは、この世界でいう所の夫婦の事だよね。そうだよね?クリスとカーディさんみたいな関係を伴侶って呼ぶんだったよね?

 えーと、つまり今ハルは俺と結婚したいって言ってくれてる!?

 あまりに予想外の言葉に驚きすぎた俺は、固まったままギギギとハルを見返した。

「あ、もちろん今すぐにこの場で結婚して欲しいとか、さすがにそんな無茶は言わないよ?」

 固まってしまった俺の反応を嫌がっていると誤解でもしたのか、ハルは慌てた様子で続けた。

「もしアキトさえ良ければ、俺の伴侶候補になって欲しいって意味なんだ」
「あの…ハル。伴侶候補っていうのはどういう意味…?」

 いや、もちろんニュアンスは分かってるんだけどさ。もし俺が勘違いしてるだけだったら悲しすぎるからね。こういう事は率直に尋ねてみるに限る。

「あー、もしかしてアキトの世界にはそんな言葉は無かったのかな?」
「うん、無かったね」

 なるほど、じゃあ説明するねと続けたハルによると、伴侶候補っていうのはこの世界で言う結婚を前提に付き合ってる人達の関係を言うんだって。

「えーっと…つまりは婚約者って事?」
「うん、そうだね。貴族が交わすのは婚約で、一般的には伴侶候補の方が通りが良いかな」

 俺は一応貴族だけど今は表向きは冒険者だから伴侶候補の方がふさわしいかと思ってと、ハルはさらりとその言葉を選んだ理由まで教えてくれた。

「なるほど…説明ありがと」
「どういたしまして」

 説明して貰って全ての疑問は解けた。さっきのは俺の勘違いでも何でもなくて、ハルが俺に対してプロポーズしてくれたって事になるのか。じわじわと嬉しさが湧いてくる。

「やっぱり早すぎるかな?恋人になってからまだそんなに時間も経ってないのに、急ぎ過ぎじゃないかって思われるかなと言えずにいたんだ」

 ハルはそこで言葉を区切ると、苦笑しながら俺の手を握りしめた手にきゅっと力を込めた。

「影響受けてて格好悪いんだけど……クリスとカーディさんの関係を見てたら、伴侶って良いなって思ったんだ」

 うん、伴侶って良いなって、二人のやりとりを見てて俺も思ったよ。やっぱり恋人同士よりも距離が近いというか、阿吽の呼吸とかがあるんだよね。咄嗟に言葉には出来なかったけど、俺はこくこくと頷いて同意を返した。

「伴侶候補ならいつでも隣にいるのが当たり前だし、周りからももうすぐ伴侶になる二人として見てもらえるんだ」

 余計なちょっかいを出してくる人も減ると思うんだよねと、ハルはさらりと続けた。余計なちょっかいって言われる程、俺はモテないと思うんだけどな。それならハルの方がモテるんじゃないかと思うんだけど。

「あー…それに伴侶候補って立場があれば、もうアキトを不安にさせたりしないかなって気持ちもちょっとだけあるんだけどね…」

 ああ、さっきのウィリアムさんとのやりとりで誤解させたの、まだ引きずってたのか。

「でもこれだけは断言できるよ。俺はアキトとずっと一緒にいたいし、いずれは家族にもなりたいって心の底から思ってる……アキトは?」

 まっすぐに見つめてきたハルの気持ちに答えたたいと、俺は震える声で答えた。

「うん…俺も。俺もハルとずっと一緒にいたいし、いずれは家族になりたいって思ってるよ。早すぎるなんて思わない」
「っ!じゃあ…!」

 パァァッと笑顔になったハルの目をまっすぐに見据えて、俺は口を開いた。

「俺をハルの伴侶候補にして欲しい」

 はっきりと口に出してそう伝えれば、ハルは感極まったように目を輝かせた。

「ありがとう、アキトッ!」

 そう叫ぶなり、ハルはガバッと俺に抱き着いてきた。ギュウギュウとそのまま両腕で抱きしめられると、自然と頬が緩んでしまう。良かったぁーと叫ぶハルの声を聞きながら、俺は幸せに浸って目をつぶった。
感想 377

あなたにおすすめの小説

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。 ★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

料理の上手さを見込まれてモフモフ聖獣に育てられた俺は、剣も魔法も使えず、一人ではドラゴンくらいしか倒せないのに、聖女や剣聖たちから溺愛される

向原 行人
ファンタジー
母を早くに亡くし、男だらけの五人兄弟で家事の全てを任されていた長男の俺は、気付いたら異世界に転生していた。 アルフレッドという名の子供になっていたのだが、山奥に一人ぼっち。 普通に考えて、親に捨てられ死を待つだけという、とんでもないハードモード転生だったのだが、偶然通りかかった人の言葉を話す聖獣――白虎が現れ、俺を育ててくれた。 白虎は食べ物の獲り方を教えてくれたので、俺は前世で培った家事の腕を振るい、調理という形で恩を返す。 そんな毎日が十数年続き、俺がもうすぐ十六歳になるという所で、白虎からそろそろ人間の社会で生きる様にと言われてしまった。 剣も魔法も使えない俺は、少しだけ使える聖獣の力と家事能力しか取り柄が無いので、とりあえず異世界の定番である冒険者を目指す事に。 だが、この世界では職業学校を卒業しないと冒険者になれないのだとか。 おまけに聖獣の力を人前で使うと、恐れられて嫌われる……と。 俺は聖獣の力を使わずに、冒険者となる事が出来るのだろうか。 ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

【完結】転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

拾われたのはたぶん僕です 〜ポンコツ魔法使いと騎士団の平和な大事件〜

ニア。
BL
崖から落ちただけなのに、騎士団長に拾われました。 真面目に生きてきた魔法使いモーネ。 ただ薬草を採ろうとして滑落しただけなのに、なぜか王国最強の騎士団長イグラムに連れて行かれ、騎士団で暮らすことに。 しかしこの魔法使い、少しだけ普通ではありません。 回復魔法を使えば何かが増え、 補助魔法を使えば騎士団が浮き、 気づけば庭はプリンになります。 ——本人はちゃんとやっています。 巻き込まれる騎士団と、なぜか楽しそうな団長。 さらに弟子や王子、ドラゴンまで加わって、騎士団は今日も平和に大騒ぎ。 これは、ポンコツ魔法使いが真面目に頑張るたびに世界が少し壊れる、騒がしくて優しいファンタジーです。

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

美形×平凡の子供の話

めちゅう
BL
 美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか? ────────────────── お読みくださりありがとうございます。 お楽しみいただけましたら幸いです。 お話を追加いたしました。

BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください

わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。 まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!? 悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。