395 / 1,561
394.二人の秘密※
あんな色気の無い誘い文句でも、ハルはこんなに喜んでくれるんだな。
じわじわと嬉しさが込み上げてきた俺は、抱きこまれたままの体をぐいっと精一杯伸ばして、ハルの唇に口づけた。無理な体勢のせいで本当に触れるぐらいの軽いキスになっちゃったけど、ちゃんと届いて良かった。
ハルは小さく身じろいでから、無言のままじっと俺を見つめてきた。
「ハル、しよ?」
はっきりとそう告げた瞬間、ハルの目の色が変わったのが分かった。明らかに欲望の色が滲んでいるその目に見つめられると、それだけでたまらなく興奮する。
うっすらと開いたハルの唇が近づいてくるのを、俺も同じくうっすらと口を開いて受け入れる。
「んぅ…む…う…」
遠慮なく舌を絡めとってくる深い深い口づけに翻弄されている間に、ハルの手にはいつの間にか小さな瓶が握られていた。前も気になってたけど、それってどこから出したんだろう。
「ね…ハル」
「ん?どうしたの?」
少し唇が離れた瞬間にそっと声をかければ、ハルはすぐに応えてくれた。
「それさ…どこから、出したの?」
「ああ、言ってなかったね」
ハルはそう言うと、俺の目の前にそっと左手をかざして見せた。お揃いの伴侶候補の腕輪と並んでいる細い腕輪を、ハルの指先がそっと撫であげる。
ん?それってハルがずっと前からつけてる腕輪だよね。たしか騎士団で眠ってた時もつけてた気がする。ハルに似合ってるなと思って観察した事があるから、印象深かったんだ。
「この腕輪はね、ダンジョン産の魔道具なんだけど…実はこれには魔導収納鞄みたいな機能があるんだよ」
「え…そうなの?それはすごいね!?」
「あー、まあ容量はすごく小さいんだけどね」
この腕輪には両手に乗せれる程度の物しか入らないらしいけど、それでも十分すごいものだよね。ぱっと見は普通の腕輪なのに、荷物が収納できるなんて夢のアイテムだと思う。
「ダンジョンで見つけてからずっと愛用してるんだ。あ、他の人には内緒にしてね?」
ハルは運よく自分で見つけたらしいけど、こういう腕輪の形の魔導収納機能のある魔道具はかなり珍しい物なんだって。市場にも滅多に出回らないものらしい。
だから今までは誰にも言わず、存在をひた隠しながらこっそり使ってきたんだそうだ。
「えっと、それって…家族にも言ってないの?」
「ああ、ファーガス兄さんも似たようなものは持ってたけど、言った事は無いよ」
もしかしたら見抜かれてるかもしれないけどねと、ハルは苦笑しながらそう続けた。
家族にも教えてないような大事な物を、俺には教えてくれるんだ。
「教えてくれてありがと、ハル」
「どういたしまして」
「ちゃんと秘密にするからね」
「うん、ありがとう…でも今は…」
爽やかに笑ったハルは、流れるように呪文を唱えてみせた。え、と思う間もなく、ハルの指先が淡いオレンジ色の光をまとう。
「後ろ、触って良い?」
律儀にそう尋ねられて、俺はやっとその指先の光が浄化魔法の光だと気づいた。こくこくと頷いてそっと控え目に足を開けば、俺の後孔にハルの指がそっと優しく触れた。
すぐにホワッと体内が温かくなる。きちんと浄化されたみたいだ。
「アキト、無理だと思ったら、ちゃんと止めてね?」
「ん、分かった」
相変わらずハルは優しいなと思いながら素直に頷けば、ハルは瓶の蓋を片手で器用に開けてみせた。蓋を開けるだけでまるで爽やかな森のような香りが、ふわりと室内に広がっていく。
うん、やっぱりこの香り好きだな。前はこの香りでリラックスできたんだけど、今は何だかドキドキしてしまう。香りと記憶って繋がるものなんだろうか。
「触るよ」
「んっ……」
滑りを帯びた指先がひだを撫でるように触れるだけで、自然と声が漏れた。
この前はガチガチに緊張しまくってた俺だけど、今回は緊張というよりも期待の方が大きい気がする。だって、俺はもう後ろでも気持ちよくなれる事を知ってるからね。
俺が緊張していない事に気づいているのか、それとも初めてじゃなくなったからか、ハルの指の動きも前よりもかなり大胆な気がする。特製ポーションの滑りを借りてゆっくりと、けれど確実に押し入ってくる指先に、びくびくと体が跳ねた。
「ぁっ…ん…う」
押さえきれない声を洩らした俺の体を、ハルは宥めるように優しく撫でてくれた。
足してくれたポーションのおかげか痛みは全くないし、やっぱり前よりも気持ち良い気がする。埋められた指が抜けていくのを感じながら、俺はぼんやりとそんな事を考えていた。
じわじわと嬉しさが込み上げてきた俺は、抱きこまれたままの体をぐいっと精一杯伸ばして、ハルの唇に口づけた。無理な体勢のせいで本当に触れるぐらいの軽いキスになっちゃったけど、ちゃんと届いて良かった。
ハルは小さく身じろいでから、無言のままじっと俺を見つめてきた。
「ハル、しよ?」
はっきりとそう告げた瞬間、ハルの目の色が変わったのが分かった。明らかに欲望の色が滲んでいるその目に見つめられると、それだけでたまらなく興奮する。
うっすらと開いたハルの唇が近づいてくるのを、俺も同じくうっすらと口を開いて受け入れる。
「んぅ…む…う…」
遠慮なく舌を絡めとってくる深い深い口づけに翻弄されている間に、ハルの手にはいつの間にか小さな瓶が握られていた。前も気になってたけど、それってどこから出したんだろう。
「ね…ハル」
「ん?どうしたの?」
少し唇が離れた瞬間にそっと声をかければ、ハルはすぐに応えてくれた。
「それさ…どこから、出したの?」
「ああ、言ってなかったね」
ハルはそう言うと、俺の目の前にそっと左手をかざして見せた。お揃いの伴侶候補の腕輪と並んでいる細い腕輪を、ハルの指先がそっと撫であげる。
ん?それってハルがずっと前からつけてる腕輪だよね。たしか騎士団で眠ってた時もつけてた気がする。ハルに似合ってるなと思って観察した事があるから、印象深かったんだ。
「この腕輪はね、ダンジョン産の魔道具なんだけど…実はこれには魔導収納鞄みたいな機能があるんだよ」
「え…そうなの?それはすごいね!?」
「あー、まあ容量はすごく小さいんだけどね」
この腕輪には両手に乗せれる程度の物しか入らないらしいけど、それでも十分すごいものだよね。ぱっと見は普通の腕輪なのに、荷物が収納できるなんて夢のアイテムだと思う。
「ダンジョンで見つけてからずっと愛用してるんだ。あ、他の人には内緒にしてね?」
ハルは運よく自分で見つけたらしいけど、こういう腕輪の形の魔導収納機能のある魔道具はかなり珍しい物なんだって。市場にも滅多に出回らないものらしい。
だから今までは誰にも言わず、存在をひた隠しながらこっそり使ってきたんだそうだ。
「えっと、それって…家族にも言ってないの?」
「ああ、ファーガス兄さんも似たようなものは持ってたけど、言った事は無いよ」
もしかしたら見抜かれてるかもしれないけどねと、ハルは苦笑しながらそう続けた。
家族にも教えてないような大事な物を、俺には教えてくれるんだ。
「教えてくれてありがと、ハル」
「どういたしまして」
「ちゃんと秘密にするからね」
「うん、ありがとう…でも今は…」
爽やかに笑ったハルは、流れるように呪文を唱えてみせた。え、と思う間もなく、ハルの指先が淡いオレンジ色の光をまとう。
「後ろ、触って良い?」
律儀にそう尋ねられて、俺はやっとその指先の光が浄化魔法の光だと気づいた。こくこくと頷いてそっと控え目に足を開けば、俺の後孔にハルの指がそっと優しく触れた。
すぐにホワッと体内が温かくなる。きちんと浄化されたみたいだ。
「アキト、無理だと思ったら、ちゃんと止めてね?」
「ん、分かった」
相変わらずハルは優しいなと思いながら素直に頷けば、ハルは瓶の蓋を片手で器用に開けてみせた。蓋を開けるだけでまるで爽やかな森のような香りが、ふわりと室内に広がっていく。
うん、やっぱりこの香り好きだな。前はこの香りでリラックスできたんだけど、今は何だかドキドキしてしまう。香りと記憶って繋がるものなんだろうか。
「触るよ」
「んっ……」
滑りを帯びた指先がひだを撫でるように触れるだけで、自然と声が漏れた。
この前はガチガチに緊張しまくってた俺だけど、今回は緊張というよりも期待の方が大きい気がする。だって、俺はもう後ろでも気持ちよくなれる事を知ってるからね。
俺が緊張していない事に気づいているのか、それとも初めてじゃなくなったからか、ハルの指の動きも前よりもかなり大胆な気がする。特製ポーションの滑りを借りてゆっくりと、けれど確実に押し入ってくる指先に、びくびくと体が跳ねた。
「ぁっ…ん…う」
押さえきれない声を洩らした俺の体を、ハルは宥めるように優しく撫でてくれた。
足してくれたポーションのおかげか痛みは全くないし、やっぱり前よりも気持ち良い気がする。埋められた指が抜けていくのを感じながら、俺はぼんやりとそんな事を考えていた。
あなたにおすすめの小説
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
料理の上手さを見込まれてモフモフ聖獣に育てられた俺は、剣も魔法も使えず、一人ではドラゴンくらいしか倒せないのに、聖女や剣聖たちから溺愛される
向原 行人
ファンタジー
母を早くに亡くし、男だらけの五人兄弟で家事の全てを任されていた長男の俺は、気付いたら異世界に転生していた。
アルフレッドという名の子供になっていたのだが、山奥に一人ぼっち。
普通に考えて、親に捨てられ死を待つだけという、とんでもないハードモード転生だったのだが、偶然通りかかった人の言葉を話す聖獣――白虎が現れ、俺を育ててくれた。
白虎は食べ物の獲り方を教えてくれたので、俺は前世で培った家事の腕を振るい、調理という形で恩を返す。
そんな毎日が十数年続き、俺がもうすぐ十六歳になるという所で、白虎からそろそろ人間の社会で生きる様にと言われてしまった。
剣も魔法も使えない俺は、少しだけ使える聖獣の力と家事能力しか取り柄が無いので、とりあえず異世界の定番である冒険者を目指す事に。
だが、この世界では職業学校を卒業しないと冒険者になれないのだとか。
おまけに聖獣の力を人前で使うと、恐れられて嫌われる……と。
俺は聖獣の力を使わずに、冒険者となる事が出来るのだろうか。
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
【完結】転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
拾われたのはたぶん僕です 〜ポンコツ魔法使いと騎士団の平和な大事件〜
ニア。
BL
崖から落ちただけなのに、騎士団長に拾われました。
真面目に生きてきた魔法使いモーネ。
ただ薬草を採ろうとして滑落しただけなのに、なぜか王国最強の騎士団長イグラムに連れて行かれ、騎士団で暮らすことに。
しかしこの魔法使い、少しだけ普通ではありません。
回復魔法を使えば何かが増え、
補助魔法を使えば騎士団が浮き、
気づけば庭はプリンになります。
——本人はちゃんとやっています。
巻き込まれる騎士団と、なぜか楽しそうな団長。
さらに弟子や王子、ドラゴンまで加わって、騎士団は今日も平和に大騒ぎ。
これは、ポンコツ魔法使いが真面目に頑張るたびに世界が少し壊れる、騒がしくて優しいファンタジーです。
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
美形×平凡の子供の話
めちゅう
BL
美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか?
──────────────────
お読みくださりありがとうございます。
お楽しみいただけましたら幸いです。
お話を追加いたしました。
BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください
わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。
まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!?
悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。