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420.市場で買い物
齧りついた瞬間、口の中に広がったのは濃厚な甘みだった。
「美味しいっ!」
見た目はどう見ても巨大なライチだったけれど、高級なマンゴーみたいな味だった。マンゴーっていうと南国の果物ーっていうイメージがあるんだけど、この世界でも南で採れるんだな。
「ああ、これは確かにクセになる美味さだな」
ハルが名前は知ってたけど、俺も初めて食べたよと俺に微笑みかけてくる。その笑顔が格好良すぎて、思わず視線を反らしてしまった。
「ああ、これがカーディがよく話してたチルーですか…本当に美味しいですね」
俺達の感想を聞いたおばあさんとカーディは、視線を交わすと二人揃って誇らし気に笑みを浮かべた。
「地元の特産を褒められるってのは、こんなに嬉しいもんなんだねぇ」
「ああ、俺も嬉しかったよ」
地元の味を友人と伴侶に食べて貰えたんだからと、カーディは嬉しそうに笑っておばあさんにお礼を告げた。おばあさんは一瞬だけ大きく目を見開いてから、ふわりと幸せそうな笑みを浮かべた。
「ああ、売ってて良かった…って初めて思ったよ」
その言葉を聞いたクリスさんは、不思議そうにしながら尋ねた。
「え、初めて…ですか?」
これだけ美味しいなら人気があると思うんですが…?と、心底不思議そうなクリスさんに、おばあさんはふふと笑って続けた。
「チルーは味はそりゃあ美味しいけどね、値段もちょっと高めだし、見た目がほら…地味だからねぇ」
あ、そうか。この世界では果物も野菜もカラフルで色とりどりだから、茶色の皮が余計に地味に見えちゃうのか。
「だからあまり売れないんだよ」
味を知ってる旅人とか、南出身の人が懐かしいとたまーに買ってくれるぐらいなんだって。それでもずっと店に置き続けているのは、自分の故郷への思いからなんだとおばあさんは教えてくれた。
「そのおかげで食べられたんだから、感謝しないといけませんね」
「どういたしまして」
すっかり意気投合したおばあさんとカーディは、気づけば好きだった地元の食べ物の話で盛り上がっていた。そうして笑い合ってると、何だか本当のお婆さんと孫みたいに見えてくるな。クリスさんはそんなカーディを、嬉しそうに微笑みながら見守っている。
何だか邪魔しちゃいけない雰囲気だ。
「アキト」
こっそりとかけられた声に、俺はパッとハルの方を向いた。
「こっちの箱の果物、覚えてる?」
「赤と青のグラデーション…あ、ジウプの果実!?」
ハルと出会ってすぐの頃、ナルクアの森で見つけたあのド派手な果物だ。確か妊婦さんに良いという果物で、バラ―ブ村で買い取ってもらったのをはっきりと覚えてる。
「そうそう、なんだかすごく懐かしいなと思って」
「うん、懐かしいな。そういえば味も美味しかったよね」
こんな見た目なのに、味はシャキシャキの林檎だったんだよね。硬めの林檎が好きな俺には、たまらない味だった。
「買っていこうか?」
「うんっ!」
「あ、リオジュもある!こっちの紫の実がリオジュっていう果物なんだけど、これも美味しいんだ。俺も好きな果物だよ」
「へーじゃあそれも買おう!俺もハルの好きな味、食べてみたいし」
三人の会話の邪魔をしないように小声でひそひそと話し合いながら、俺達は買いたいものをリストアップし始めた。
「たくさんありがとうねぇ」
「いえ、こちらこそありがとうございました」
「ありがとう」
「チルー、美味しかったです!」
たっぷりと果物を買い込んだ俺達は、おばあさんに声をかけてから屋台を離れた。
すっかりおばあさんと仲良くなったカーディは、絶対にまた来るからそれまで元気でと約束まで交わしてたよ。クリスさんもコクコク頷いてたから、きっと二人で行くつもりなんだろうな。
「いらっしゃい!今朝採れたてのエリーアはどうだい?」
「そこのお兄さん、ちょっと見ていってよ」
そんな呼び込みの声を聞きながら、俺達は市場の中をどんどん移動していった。
ゆっくり見て回りたい気持ちはあるけど、これから歩いて移動する予定なんだからのんびりもしていられない。気になる果物があったら悩まずにすぐに購入して、それぞれの魔導収納鞄に詰め込んでいく。
これができるから、この世界の買い物は楽なんだよなぁ。荷物の重さを気にしなくて良いってすごい事だ。
「そろそろ終わりにしましょうか?」
「ああ、俺はそれで良いけど…アキトももう良いか?」
ハルが俺に向かって聞いてくれるのに、すぐに頷きを返す。
「うん、いっぱい買っちゃった」
「アキトもかー俺も買いまくったぞ」
後で交換しようなと笑うカーディに、クリスさんが声をかけた。
「カーディももう良いんですね?」
「ああ、満足だ」
「では、そろそろ行きましょうか?」
「おう」
「はい」
「分かった」
さあ、ここからは徒歩の移動だ。
「美味しいっ!」
見た目はどう見ても巨大なライチだったけれど、高級なマンゴーみたいな味だった。マンゴーっていうと南国の果物ーっていうイメージがあるんだけど、この世界でも南で採れるんだな。
「ああ、これは確かにクセになる美味さだな」
ハルが名前は知ってたけど、俺も初めて食べたよと俺に微笑みかけてくる。その笑顔が格好良すぎて、思わず視線を反らしてしまった。
「ああ、これがカーディがよく話してたチルーですか…本当に美味しいですね」
俺達の感想を聞いたおばあさんとカーディは、視線を交わすと二人揃って誇らし気に笑みを浮かべた。
「地元の特産を褒められるってのは、こんなに嬉しいもんなんだねぇ」
「ああ、俺も嬉しかったよ」
地元の味を友人と伴侶に食べて貰えたんだからと、カーディは嬉しそうに笑っておばあさんにお礼を告げた。おばあさんは一瞬だけ大きく目を見開いてから、ふわりと幸せそうな笑みを浮かべた。
「ああ、売ってて良かった…って初めて思ったよ」
その言葉を聞いたクリスさんは、不思議そうにしながら尋ねた。
「え、初めて…ですか?」
これだけ美味しいなら人気があると思うんですが…?と、心底不思議そうなクリスさんに、おばあさんはふふと笑って続けた。
「チルーは味はそりゃあ美味しいけどね、値段もちょっと高めだし、見た目がほら…地味だからねぇ」
あ、そうか。この世界では果物も野菜もカラフルで色とりどりだから、茶色の皮が余計に地味に見えちゃうのか。
「だからあまり売れないんだよ」
味を知ってる旅人とか、南出身の人が懐かしいとたまーに買ってくれるぐらいなんだって。それでもずっと店に置き続けているのは、自分の故郷への思いからなんだとおばあさんは教えてくれた。
「そのおかげで食べられたんだから、感謝しないといけませんね」
「どういたしまして」
すっかり意気投合したおばあさんとカーディは、気づけば好きだった地元の食べ物の話で盛り上がっていた。そうして笑い合ってると、何だか本当のお婆さんと孫みたいに見えてくるな。クリスさんはそんなカーディを、嬉しそうに微笑みながら見守っている。
何だか邪魔しちゃいけない雰囲気だ。
「アキト」
こっそりとかけられた声に、俺はパッとハルの方を向いた。
「こっちの箱の果物、覚えてる?」
「赤と青のグラデーション…あ、ジウプの果実!?」
ハルと出会ってすぐの頃、ナルクアの森で見つけたあのド派手な果物だ。確か妊婦さんに良いという果物で、バラ―ブ村で買い取ってもらったのをはっきりと覚えてる。
「そうそう、なんだかすごく懐かしいなと思って」
「うん、懐かしいな。そういえば味も美味しかったよね」
こんな見た目なのに、味はシャキシャキの林檎だったんだよね。硬めの林檎が好きな俺には、たまらない味だった。
「買っていこうか?」
「うんっ!」
「あ、リオジュもある!こっちの紫の実がリオジュっていう果物なんだけど、これも美味しいんだ。俺も好きな果物だよ」
「へーじゃあそれも買おう!俺もハルの好きな味、食べてみたいし」
三人の会話の邪魔をしないように小声でひそひそと話し合いながら、俺達は買いたいものをリストアップし始めた。
「たくさんありがとうねぇ」
「いえ、こちらこそありがとうございました」
「ありがとう」
「チルー、美味しかったです!」
たっぷりと果物を買い込んだ俺達は、おばあさんに声をかけてから屋台を離れた。
すっかりおばあさんと仲良くなったカーディは、絶対にまた来るからそれまで元気でと約束まで交わしてたよ。クリスさんもコクコク頷いてたから、きっと二人で行くつもりなんだろうな。
「いらっしゃい!今朝採れたてのエリーアはどうだい?」
「そこのお兄さん、ちょっと見ていってよ」
そんな呼び込みの声を聞きながら、俺達は市場の中をどんどん移動していった。
ゆっくり見て回りたい気持ちはあるけど、これから歩いて移動する予定なんだからのんびりもしていられない。気になる果物があったら悩まずにすぐに購入して、それぞれの魔導収納鞄に詰め込んでいく。
これができるから、この世界の買い物は楽なんだよなぁ。荷物の重さを気にしなくて良いってすごい事だ。
「そろそろ終わりにしましょうか?」
「ああ、俺はそれで良いけど…アキトももう良いか?」
ハルが俺に向かって聞いてくれるのに、すぐに頷きを返す。
「うん、いっぱい買っちゃった」
「アキトもかー俺も買いまくったぞ」
後で交換しようなと笑うカーディに、クリスさんが声をかけた。
「カーディももう良いんですね?」
「ああ、満足だ」
「では、そろそろ行きましょうか?」
「おう」
「はい」
「分かった」
さあ、ここからは徒歩の移動だ。
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