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460.デートスポット
「これもこの街の名物の一つなんだよ」
ハルは綺麗にライトアップされている水路を見つめながら、こっそりと耳元でそう教えてくれた。
「は―…これだけ綺麗だったら、そりゃあ名物にもなるよね」
光に照らされている水面が風でゆらりと揺れると、反射した光もまたゆらゆらと揺れるんだ。この揺れる光を見ているだけでも、リラックス効果とかあるんじゃないかな。
そんな事を考えながらハルと一緒に水路を見つめていると、背後からはカーディとクリスさんの会話が聞こえてきた。
「この水路、カーディはきっと好きだと思ってました」
「ああ、確かにこれは好きだなーどんっと派手な色じゃなくて控え目な光なのがまた、この街に合ってると思う」
「確かに派手な色だと雰囲気台無しになりそうです」
想像してしまったのかふふと笑ったクリスさんに、カーディは急に真剣な声で話しかけた。
「クリス、ところでこの光って…魔道具なのか?」
「ええ、これは照明の魔導具の応用なんですよ。普通の照明の魔道具と同じくロゲの魔石を使ってるんですが、そこに合わせる素材を変えてあって…」
「そうなのか、じゃあ…」
楽し気に会話する二人の口からは、専門用語や聞いた事の無い素材の名前がポンポンと飛び出してくる。さすが魔道具店の二人だな。会話の内容は俺にはよく分からないけれど、この水路の光が魔道具のおかげだって事だけは分かったよ。
「そこの媒体をハンの石に変えたら…」
「いえ、それは…」
白熱し始めた二人の会話から意識を反らして、俺はちらりとハルを見上げた。やけに静かだなと気になったからちょっとだけ盗み見るつもりだったんだけど、結論から言うと俺の試みは失敗した。
というのも顔を上げた瞬間、バチリとハルと俺の視線が交差したからだ。
しかもただ偶然目があっただけーとかそういう種類の視線じゃないよね、これ。明らかに甘い空気を含んだ、愛おしそうな視線だった。
それぐらいは恋愛初心者な俺でも分かるんだよ。ハルにこういう甘い目で見られるのは、正直に言うと嬉しい。本当に俺の事を好きでいてくれるんだなーって実感が湧いてくからね。
でもいくら嬉しくても、その視線にどう返せば良いのかはまだ分からない。俺も笑って答えたら良いんだろうか。それとも視線を反らしても良いものなのか?
焦ったせいか、どんどん頬が熱くなってくる。俺は慌ててぶんぶんと首を振ると、ごまかすように口を開いた。
「ハル、夕陽の下のトリクの花も綺麗だと思ったけど、この光だと神秘的に見えるね!」
「うん、確かにそうだね」
「綺麗だねー」
「ああ、アキトと一緒に見てるからか、今まで見たなかで一番綺麗に見えてるよ」
ハルがさらりと言ってのけた言葉を、俺が理解するまで少し時間がかかってしまった。
「なっ…え?」
「アキトと一緒だと、景色が変わって見えるんだ。これは俺の本心だよ?」
耳元で囁かれた吐息混じりのその言葉に、俺はビクッと身体を揺らした。ハルは普段からびっくりするぐらい恰好良いけど、今は更にそれに加えて色気まで足されてる気がする。
「そろそろ移動するぞー二人とも!」
何と返すべきか悩んでいた俺を助けてくれたのは、カーディの言葉だった。いつの間にか魔道具談義は終わっていたみたいで、クリスさんと二人でこちらを見つめている。
「悪い、すぐ行く!」
ハルはそう答えると、すぐに俺の手を引いて歩き出した。人混みの中で前を行く二人を追いながら、ハルはそっと口を開いた。
「アキト、急にあんな事言ってごめんね」
「いや…えっと…嬉しいんだよ、嬉しいけどどう反応したら良いか悩んだだけで…」
慣れてなくてごめんねと返せば、ハルはそんなアキトも好きだよとさらりと続けた。だから甘い。いつも以上に甘い気がするんだけど。なんでだろうと見上げれば、ハルは苦笑しながら答えを教えてくれた。
「夜のイーシャルは恋人同士とか伴侶とかで来るのに人気な場所なんだ」
「あ、やっぱり?多いなーとは思ってたんだけど…」
やっぱり夜のイーシャルは、人気のデートスポットなのか。
「だから…その、ちょっとぐらい伴侶候補らしい事がしたかったと言うか」
頬を赤らめて視線を反らしたハルを見つめながら、俺は繋いでいない方の手にぐっと力を込めた。
普段はあんなに格好良くて強いのに、こういう可愛い所もあるんだよね。だから余計にハルが好きだなーと思うんだけど。
俺の伴侶候補が可愛い。そう叫ばないように俺はぐっと言葉を飲み込んだ。
ハルは綺麗にライトアップされている水路を見つめながら、こっそりと耳元でそう教えてくれた。
「は―…これだけ綺麗だったら、そりゃあ名物にもなるよね」
光に照らされている水面が風でゆらりと揺れると、反射した光もまたゆらゆらと揺れるんだ。この揺れる光を見ているだけでも、リラックス効果とかあるんじゃないかな。
そんな事を考えながらハルと一緒に水路を見つめていると、背後からはカーディとクリスさんの会話が聞こえてきた。
「この水路、カーディはきっと好きだと思ってました」
「ああ、確かにこれは好きだなーどんっと派手な色じゃなくて控え目な光なのがまた、この街に合ってると思う」
「確かに派手な色だと雰囲気台無しになりそうです」
想像してしまったのかふふと笑ったクリスさんに、カーディは急に真剣な声で話しかけた。
「クリス、ところでこの光って…魔道具なのか?」
「ええ、これは照明の魔導具の応用なんですよ。普通の照明の魔道具と同じくロゲの魔石を使ってるんですが、そこに合わせる素材を変えてあって…」
「そうなのか、じゃあ…」
楽し気に会話する二人の口からは、専門用語や聞いた事の無い素材の名前がポンポンと飛び出してくる。さすが魔道具店の二人だな。会話の内容は俺にはよく分からないけれど、この水路の光が魔道具のおかげだって事だけは分かったよ。
「そこの媒体をハンの石に変えたら…」
「いえ、それは…」
白熱し始めた二人の会話から意識を反らして、俺はちらりとハルを見上げた。やけに静かだなと気になったからちょっとだけ盗み見るつもりだったんだけど、結論から言うと俺の試みは失敗した。
というのも顔を上げた瞬間、バチリとハルと俺の視線が交差したからだ。
しかもただ偶然目があっただけーとかそういう種類の視線じゃないよね、これ。明らかに甘い空気を含んだ、愛おしそうな視線だった。
それぐらいは恋愛初心者な俺でも分かるんだよ。ハルにこういう甘い目で見られるのは、正直に言うと嬉しい。本当に俺の事を好きでいてくれるんだなーって実感が湧いてくからね。
でもいくら嬉しくても、その視線にどう返せば良いのかはまだ分からない。俺も笑って答えたら良いんだろうか。それとも視線を反らしても良いものなのか?
焦ったせいか、どんどん頬が熱くなってくる。俺は慌ててぶんぶんと首を振ると、ごまかすように口を開いた。
「ハル、夕陽の下のトリクの花も綺麗だと思ったけど、この光だと神秘的に見えるね!」
「うん、確かにそうだね」
「綺麗だねー」
「ああ、アキトと一緒に見てるからか、今まで見たなかで一番綺麗に見えてるよ」
ハルがさらりと言ってのけた言葉を、俺が理解するまで少し時間がかかってしまった。
「なっ…え?」
「アキトと一緒だと、景色が変わって見えるんだ。これは俺の本心だよ?」
耳元で囁かれた吐息混じりのその言葉に、俺はビクッと身体を揺らした。ハルは普段からびっくりするぐらい恰好良いけど、今は更にそれに加えて色気まで足されてる気がする。
「そろそろ移動するぞー二人とも!」
何と返すべきか悩んでいた俺を助けてくれたのは、カーディの言葉だった。いつの間にか魔道具談義は終わっていたみたいで、クリスさんと二人でこちらを見つめている。
「悪い、すぐ行く!」
ハルはそう答えると、すぐに俺の手を引いて歩き出した。人混みの中で前を行く二人を追いながら、ハルはそっと口を開いた。
「アキト、急にあんな事言ってごめんね」
「いや…えっと…嬉しいんだよ、嬉しいけどどう反応したら良いか悩んだだけで…」
慣れてなくてごめんねと返せば、ハルはそんなアキトも好きだよとさらりと続けた。だから甘い。いつも以上に甘い気がするんだけど。なんでだろうと見上げれば、ハルは苦笑しながら答えを教えてくれた。
「夜のイーシャルは恋人同士とか伴侶とかで来るのに人気な場所なんだ」
「あ、やっぱり?多いなーとは思ってたんだけど…」
やっぱり夜のイーシャルは、人気のデートスポットなのか。
「だから…その、ちょっとぐらい伴侶候補らしい事がしたかったと言うか」
頬を赤らめて視線を反らしたハルを見つめながら、俺は繋いでいない方の手にぐっと力を込めた。
普段はあんなに格好良くて強いのに、こういう可愛い所もあるんだよね。だから余計にハルが好きだなーと思うんだけど。
俺の伴侶候補が可愛い。そう叫ばないように俺はぐっと言葉を飲み込んだ。
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