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474.トリク祭り
「え、トリク祭り!?」
トライプールのギルド職員メロウさんから、トリク祭りについてはちょっとだけ教えてもらったから存在は知ってた。ただ日程がはっきりとは決まってなくて、多分その時期にあたるんじゃないかなーぐらいの説明だったんだよね。
異世界のお祭りって雰囲気が違うのかなーってちょっと気になってたんだけど、さすがに日程が分からないと参加はできないと思ってたんだ。
そのトリク祭りが、まさかの今日から?
「ええ今日からです。これに合わせてイーシャルに来られるという方も多いんですよ」
「なるほど、それで混んでるのか」
「はい、お二人ともトリク祭りは初めてでしょうか?」
「はい!」
俺はすぐに頷いてから、ちらりとハルに視線を向けた。もしかして前にも来た事があるのかなと反応を伺っていたんだけど、ハルは笑って口を開いた。
「ああ、祭りに参加するのは初めてなんだ」
「そうですか。お二人がもしよろしければ、すこしだけトリク祭りについて説明しましょうか?」
「ああ、頼んで良いか?」
「お願いします!」
俺達の返事を聞くなり、お兄さんは嬉しそうにトリク祭りについて話しだした。
「トリク祭りが開催されるのは年に一度、今年は今日と明日の二日間だけです。これはイーシャル領の収穫を祝うために、はるか昔から今まで絶えず行われ続けている、伝統のあるお祭りです」
職業柄なのかやけに説明慣れしている様子のお兄さんは、流れるような口調で説明を続けた。
「祭りの期間中はイーシャルの街の至る所にトリクの花飾りが飾られます。街中にはたくさんの屋台や露店が並び、市場では珍しい果物や野菜なども特別価格で販売されますよ。それに、噴水広場では歌い手や踊り手の公演なども行われるんです!」
こちらは恋人同士や伴侶、伴侶候補の方に特に人気の場所ですので、もし興味があれば足を運んでみて下さいねとさらりと教えてくれる。
すっごく微笑ましそうに俺とハルを見つめてくれてるんだけど、あの、もしかして昨日の俺の恋人抱きでの移動を目撃してたりするんでしょうか?
あ、駄目だ。これは深く考えるのはやめておこう。
「他に、何か質問はありますか?」
「あのー日程がはっきり決まってないって聞いたんですけど、何か基準はあるんですか?」
ただの興味本位での質問だったけれど、お兄さんは嬉しそうに笑って答えてくれた。
「ええ、日程がはっきりと決まってないというのは事実ですよ。前提としてジャムなどに加工されるトリクの花は、イーシャルの北側にある大きな農場で栽培されています」
え、なんで急に農場の話になったんだろう?俺はゆるく首を傾げた。
「そこの農場のトリクの花が満開になるだろう日を目安にして、開催されるんですよ」
「ああ、なるほど、それで毎年日程が違うのか」
そういう決め方だとは俺も知らなかったなと、ハルも興味深そうに呟いている。
毎年同じ日に花が満開になるわけじゃないから、お祭りの日も毎年ずれてるって事なのか。
「メロウにもこの基準を教えてやらないとな」
ぽつりと呟いたハルの言葉に、俺は笑って頷いた。
「説明はこんな所でしょうか」
「説明、ありがとう」
「ありがとうございました!」
「いえいえ、また気になる事があれば、何でもお気軽にお尋ねくださいね。お勧め屋台からお勧めの店まで何でも答えますから」
丁寧に言葉を添えてくれた男性は、忙しそうな受付カウンターの中へと消えていった。
「ハル、お祭りだって」
「トリク祭りは俺も初めてだ。とりあえずは歩きながらどこに行くか決めようか」
「うん、そうだね」
「アキト、手つなごうか」
きっと街中はここ以上に混みあってると思うからと差し出された手を、俺はすぐにきゅっと握り返した。
イーシャルの街は、驚くべき事にたった一晩で様変わりしていた。
鮮やかな青色のリボンで束ねられたまるで花束のようなトリクの花が、街灯や街路樹に大きく飾られている。これがあのお兄さんが言ってたトリクの花飾りってやつかな。
よくよく見てみれば、それぞれの家や店の入口などにも同じ色のリボンが結ばれているみたいだ。
「飾り付けすごいね」
「ああ、本当にすごいな。昨夜は確実に無かったから…今朝つけたのか」
「昨日は一個も無かったもんね」
「無かった…よな?」
ハルも思わず記憶に自信を無くすぐらい、たくさんの飾りが使われている。
ふと視線を動かすと、水路を流れる透き通った水の表面を、トリクの花の花びらを模した紙のようなものがゆっくりと流れていくのが見えた。
「ハル、あれ見て!水路!」
「あれって何を流してるんだろう?」
「んー何なのかは分からないけど、綺麗だね」
「ああ、綺麗だ」
まるで水路に落ちた花びらが、ゆっくりと流れてるみたいに見えるんだ。桜の時期を思いだすなぁ。
「あっちは人が多いね」
「あれが屋台とか露店の辺りかな。行く?」
「うん、見て回りたい!」
俺達は手を繋いだまま、人ごみへと足を進めた。
トライプールのギルド職員メロウさんから、トリク祭りについてはちょっとだけ教えてもらったから存在は知ってた。ただ日程がはっきりとは決まってなくて、多分その時期にあたるんじゃないかなーぐらいの説明だったんだよね。
異世界のお祭りって雰囲気が違うのかなーってちょっと気になってたんだけど、さすがに日程が分からないと参加はできないと思ってたんだ。
そのトリク祭りが、まさかの今日から?
「ええ今日からです。これに合わせてイーシャルに来られるという方も多いんですよ」
「なるほど、それで混んでるのか」
「はい、お二人ともトリク祭りは初めてでしょうか?」
「はい!」
俺はすぐに頷いてから、ちらりとハルに視線を向けた。もしかして前にも来た事があるのかなと反応を伺っていたんだけど、ハルは笑って口を開いた。
「ああ、祭りに参加するのは初めてなんだ」
「そうですか。お二人がもしよろしければ、すこしだけトリク祭りについて説明しましょうか?」
「ああ、頼んで良いか?」
「お願いします!」
俺達の返事を聞くなり、お兄さんは嬉しそうにトリク祭りについて話しだした。
「トリク祭りが開催されるのは年に一度、今年は今日と明日の二日間だけです。これはイーシャル領の収穫を祝うために、はるか昔から今まで絶えず行われ続けている、伝統のあるお祭りです」
職業柄なのかやけに説明慣れしている様子のお兄さんは、流れるような口調で説明を続けた。
「祭りの期間中はイーシャルの街の至る所にトリクの花飾りが飾られます。街中にはたくさんの屋台や露店が並び、市場では珍しい果物や野菜なども特別価格で販売されますよ。それに、噴水広場では歌い手や踊り手の公演なども行われるんです!」
こちらは恋人同士や伴侶、伴侶候補の方に特に人気の場所ですので、もし興味があれば足を運んでみて下さいねとさらりと教えてくれる。
すっごく微笑ましそうに俺とハルを見つめてくれてるんだけど、あの、もしかして昨日の俺の恋人抱きでの移動を目撃してたりするんでしょうか?
あ、駄目だ。これは深く考えるのはやめておこう。
「他に、何か質問はありますか?」
「あのー日程がはっきり決まってないって聞いたんですけど、何か基準はあるんですか?」
ただの興味本位での質問だったけれど、お兄さんは嬉しそうに笑って答えてくれた。
「ええ、日程がはっきりと決まってないというのは事実ですよ。前提としてジャムなどに加工されるトリクの花は、イーシャルの北側にある大きな農場で栽培されています」
え、なんで急に農場の話になったんだろう?俺はゆるく首を傾げた。
「そこの農場のトリクの花が満開になるだろう日を目安にして、開催されるんですよ」
「ああ、なるほど、それで毎年日程が違うのか」
そういう決め方だとは俺も知らなかったなと、ハルも興味深そうに呟いている。
毎年同じ日に花が満開になるわけじゃないから、お祭りの日も毎年ずれてるって事なのか。
「メロウにもこの基準を教えてやらないとな」
ぽつりと呟いたハルの言葉に、俺は笑って頷いた。
「説明はこんな所でしょうか」
「説明、ありがとう」
「ありがとうございました!」
「いえいえ、また気になる事があれば、何でもお気軽にお尋ねくださいね。お勧め屋台からお勧めの店まで何でも答えますから」
丁寧に言葉を添えてくれた男性は、忙しそうな受付カウンターの中へと消えていった。
「ハル、お祭りだって」
「トリク祭りは俺も初めてだ。とりあえずは歩きながらどこに行くか決めようか」
「うん、そうだね」
「アキト、手つなごうか」
きっと街中はここ以上に混みあってると思うからと差し出された手を、俺はすぐにきゅっと握り返した。
イーシャルの街は、驚くべき事にたった一晩で様変わりしていた。
鮮やかな青色のリボンで束ねられたまるで花束のようなトリクの花が、街灯や街路樹に大きく飾られている。これがあのお兄さんが言ってたトリクの花飾りってやつかな。
よくよく見てみれば、それぞれの家や店の入口などにも同じ色のリボンが結ばれているみたいだ。
「飾り付けすごいね」
「ああ、本当にすごいな。昨夜は確実に無かったから…今朝つけたのか」
「昨日は一個も無かったもんね」
「無かった…よな?」
ハルも思わず記憶に自信を無くすぐらい、たくさんの飾りが使われている。
ふと視線を動かすと、水路を流れる透き通った水の表面を、トリクの花の花びらを模した紙のようなものがゆっくりと流れていくのが見えた。
「ハル、あれ見て!水路!」
「あれって何を流してるんだろう?」
「んー何なのかは分からないけど、綺麗だね」
「ああ、綺麗だ」
まるで水路に落ちた花びらが、ゆっくりと流れてるみたいに見えるんだ。桜の時期を思いだすなぁ。
「あっちは人が多いね」
「あれが屋台とか露店の辺りかな。行く?」
「うん、見て回りたい!」
俺達は手を繋いだまま、人ごみへと足を進めた。
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