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495.昔のハル?
「アッシュ、行き方教えてくれるか?」
「はい、えっとまずはこの階段から出て左側の…」
「なあ、その店、俺知らないんだけど…?」
アッシュさんの道案内の説明を遮ったのは、ティーさんの寂しそうな呟きだった。
「は?聞かれてもないのにいきなりお勧めの店を教えるっておかしいだろ?」
「えー…でも俺はこないだお勧めの店に連れていったのに?」
がっくりと肩を落としたティーさんに、アッシュさんは呆れ顔で答える。
「…あーもう、今度の休みにちゃんと連れて行ってやるから、今は黙ってろ」
「そうか!分かった!」
あ、連れていってくれると分かったらそれで良いのか。ティーさんはやっぱりワンコ系なんだななんて考えながら、俺はアッシュさんの説明に耳を傾けた。
お勧めのお店までの行き方を丁寧に説明してくれたアッシュさんは、手に持ったままだった時計の魔道具をちらりと見ると残念そうに口を開いた。
「ハルさん、アキトさん、そろそろ時間切れみたいです」
「うわっ、本当だ、やばい!」
「まだ予定時刻には遅れてないんだから、慌てるな」
また上司に怒られると騒ぎだしたティーさんを、アッシュさんは慣れた様子で宥めると俺達の方に向き直った。ハルが生暖かい目で二人を見てるから、これもいつものやりとりなんだろうな。
「お二人とお会いできてよかったです」
「俺も会えてよかったよ。あと、良い店を教えてくれてありがとな」
「ありがとうございました」
ハルのお礼の言葉に、俺も慌てて感謝の言葉を口にした。アッシュさんは俺とハルを見つめながら、ふわりと柔らかく笑ってくれた。
「ハルさん、雰囲気が柔らかくなりましたよね」
「え?そんなに変わった自覚は無いんだが…そんなに変わってるか?」
ハルは少し不思議そうに聞き返していたけれど、ティーさんも隣でコクコクと頷いているから二人の共通認識みたいだ。
昔のハルか。俺は二人の言葉から昔のハルの姿をちょっとだけ想像してみた。
えっと、柔らかくなったって事は、昔はもっと鋭い雰囲気だったって事だよね。それとも今みたいに柔らかく笑ってなかったって事だろうか。
鋭い雰囲気をまとったハルと柔らかく笑わないハルか。
あーうん、それはそれで絶対格好良い。それだけは間違いないな。
「ええ、すごく変わりましたよ。間違いなく、アキトさんのおかげでしょうね」
「あー…うん、そうだな」
アキトのおかげで今までは何とも思わなかった景色も綺麗に思えるし、今は毎日が楽しいよとハルは笑って続けた。
あの、それは直球の惚気じゃないですか。後ろで聞いてる俺の方が恥ずかしいんだけど。
「正直…こんなハルさんを見れる日が来るとは、思ってもみなかったですね」
「ああ、俺もまさかこんな日が来るとは思ってなかったからな。誰かを本気で好きになって、伴侶になって欲しいと思うなんてなぁ」
「ははー幸せそうでなによりだよなー」
楽し気に笑ったティーさんは、ハッと不意に声をあげた。
「アッシュ!時間、本気でやばい!今度こそ怒られる!」
「あー確かに時間はやばいな。でも巡回しながら本部まで戻れば大丈夫だ!お前じゃ無理だけど、俺が報告すれば通るだろう」
「は?アッシュ、おまえ天才か…?」
わーわーと言い合う二人に、ハルは笑って声をかけた。
「引き留めてすまなかったな。仕事、頑張ってくれ」
「ありがとうございます!」
「じゃあ、二人ともまたなー」
本当にすぐにでもまた会えそうなぐらいの軽い口調で、ティーさんは声をあげた。
「ああ、またな」
「また会いましょう」
「はい、また」
再会の約束を交わした後、二人はしっかりと周りを見回しながら去っていった。一瞬で真剣な表情に変わった二人は、間違いなく頼れる衛兵さんだった。
「行っちゃったね」
「ああ」
「二人とも良い人達だったね」
「ああ、まさか二人ともここで働いているとは思わなかったけど…あいつらは全然変わってなかったな」
まさか生身で会えるとは思ってなかったからとぽつりと呟いたハルは、どうやら幽霊だった頃の事を思い出していたみたいだ。
「会えてよかったね」
「そうだな」
二人の去っていった方をぼんやりと見つめていたハルは、不意に俺を振り返るとふわりと柔らかい笑みを浮かべた。
「じゃあ次はアッシュのお勧めの店まで行ってみようか?」
「うん!えーっとこっちであってる?」
「ああ、そっちであってるよ」
俺達はどちらともなく手を繋ぐと、そのままゆっくりと歩き出した。
「はい、えっとまずはこの階段から出て左側の…」
「なあ、その店、俺知らないんだけど…?」
アッシュさんの道案内の説明を遮ったのは、ティーさんの寂しそうな呟きだった。
「は?聞かれてもないのにいきなりお勧めの店を教えるっておかしいだろ?」
「えー…でも俺はこないだお勧めの店に連れていったのに?」
がっくりと肩を落としたティーさんに、アッシュさんは呆れ顔で答える。
「…あーもう、今度の休みにちゃんと連れて行ってやるから、今は黙ってろ」
「そうか!分かった!」
あ、連れていってくれると分かったらそれで良いのか。ティーさんはやっぱりワンコ系なんだななんて考えながら、俺はアッシュさんの説明に耳を傾けた。
お勧めのお店までの行き方を丁寧に説明してくれたアッシュさんは、手に持ったままだった時計の魔道具をちらりと見ると残念そうに口を開いた。
「ハルさん、アキトさん、そろそろ時間切れみたいです」
「うわっ、本当だ、やばい!」
「まだ予定時刻には遅れてないんだから、慌てるな」
また上司に怒られると騒ぎだしたティーさんを、アッシュさんは慣れた様子で宥めると俺達の方に向き直った。ハルが生暖かい目で二人を見てるから、これもいつものやりとりなんだろうな。
「お二人とお会いできてよかったです」
「俺も会えてよかったよ。あと、良い店を教えてくれてありがとな」
「ありがとうございました」
ハルのお礼の言葉に、俺も慌てて感謝の言葉を口にした。アッシュさんは俺とハルを見つめながら、ふわりと柔らかく笑ってくれた。
「ハルさん、雰囲気が柔らかくなりましたよね」
「え?そんなに変わった自覚は無いんだが…そんなに変わってるか?」
ハルは少し不思議そうに聞き返していたけれど、ティーさんも隣でコクコクと頷いているから二人の共通認識みたいだ。
昔のハルか。俺は二人の言葉から昔のハルの姿をちょっとだけ想像してみた。
えっと、柔らかくなったって事は、昔はもっと鋭い雰囲気だったって事だよね。それとも今みたいに柔らかく笑ってなかったって事だろうか。
鋭い雰囲気をまとったハルと柔らかく笑わないハルか。
あーうん、それはそれで絶対格好良い。それだけは間違いないな。
「ええ、すごく変わりましたよ。間違いなく、アキトさんのおかげでしょうね」
「あー…うん、そうだな」
アキトのおかげで今までは何とも思わなかった景色も綺麗に思えるし、今は毎日が楽しいよとハルは笑って続けた。
あの、それは直球の惚気じゃないですか。後ろで聞いてる俺の方が恥ずかしいんだけど。
「正直…こんなハルさんを見れる日が来るとは、思ってもみなかったですね」
「ああ、俺もまさかこんな日が来るとは思ってなかったからな。誰かを本気で好きになって、伴侶になって欲しいと思うなんてなぁ」
「ははー幸せそうでなによりだよなー」
楽し気に笑ったティーさんは、ハッと不意に声をあげた。
「アッシュ!時間、本気でやばい!今度こそ怒られる!」
「あー確かに時間はやばいな。でも巡回しながら本部まで戻れば大丈夫だ!お前じゃ無理だけど、俺が報告すれば通るだろう」
「は?アッシュ、おまえ天才か…?」
わーわーと言い合う二人に、ハルは笑って声をかけた。
「引き留めてすまなかったな。仕事、頑張ってくれ」
「ありがとうございます!」
「じゃあ、二人ともまたなー」
本当にすぐにでもまた会えそうなぐらいの軽い口調で、ティーさんは声をあげた。
「ああ、またな」
「また会いましょう」
「はい、また」
再会の約束を交わした後、二人はしっかりと周りを見回しながら去っていった。一瞬で真剣な表情に変わった二人は、間違いなく頼れる衛兵さんだった。
「行っちゃったね」
「ああ」
「二人とも良い人達だったね」
「ああ、まさか二人ともここで働いているとは思わなかったけど…あいつらは全然変わってなかったな」
まさか生身で会えるとは思ってなかったからとぽつりと呟いたハルは、どうやら幽霊だった頃の事を思い出していたみたいだ。
「会えてよかったね」
「そうだな」
二人の去っていった方をぼんやりと見つめていたハルは、不意に俺を振り返るとふわりと柔らかい笑みを浮かべた。
「じゃあ次はアッシュのお勧めの店まで行ってみようか?」
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「ああ、そっちであってるよ」
俺達はどちらともなく手を繋ぐと、そのままゆっくりと歩き出した。
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