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497.南国っぽい室内
外から見た時は確かに赤レンガの建物だったけど、今俺達がいる室内の壁は一面が木に覆われていた。部屋のあちこちに飾られている植物は、大きな葉っぱや原色の花が多い。
何より俺が南国っぽさを感じたのは、謎の仮面のようなものが壁の一部に飾られている所だ。どこかの民族とかが作ってそうな仮面って言ったら通じるかな。
もしかしたらこの世界にあるどこかの国とかどこかの地域の由緒ある仮面なのかもしれないけれど、それを知らない俺からしたらただ南国っぽい飾りとしか思えない。
「まさかあの建物の外観で、中はこんな内装になってるとは思わなかったな」
「ね、びっくりした!」
そんな風に話しながら、俺達は部屋の真ん中に置かれているテーブルへと足を進めた。テーブルの上にも原色の花が飾られていて、とっても華やかだ。
「わざわざ壁まで変えてあるんだな」
「うん、でもこの雰囲気、俺は好きだな」
異国情緒っていうのかな。ちょっと旅行に来た気分になれるっていうか。ワクワクしながらそう答えた俺を、向かい側に座ったハルは優しく微笑んで見つめていた。
「それに、個室なのも嬉しいな。ドアは無いみたいだが」
そう、個室だけどドアは無いんだよね。代わりにこれまた南国っぽい薄いカーテンみたいなのがかけられていて、雰囲気はすごく良いんだけど。
ハルはドアが無いのがちょっと気になってるみたいだけど、飲食店の個室ってそういうものだよねと思うから俺は特に気にならない。
「でもゆっくりできそうで良いよね」
「ああ、それに周りの奴らにアキトを見られずに済むしな」
さらりとそんな恥ずかしい事を言ってのけたハルに、俺は頬を赤く染めながらううーと唸る事しかできなかった。
周りの奴らに俺を見られずに済むってなんだよ。俺なんかよりハルの方が、どこに行っても男女問わずに視線を集めてるくせに。
そんな事を考えていると、不意にハルが口を開いた。
「いったいどんな料理なんだろうな」
「うん、気になるね」
「アッシュは舌が肥えてるから、期待はできると思うんだが」
「店に入った時の香りからして、絶対に美味しいよね」
そんな風にのんびりと話していると、不意にカーテンの向こうから声がかかった。
「入って良いー?」
「ああ、どうぞ」
ハルの返事を待っていたらしい店員さんは、さらりとカーテンをかき分けるとトレイ片手に部屋の中へと入ってきた。
「まずはこれをどうぞーこれはトリク祭りだけの無料サービスなんだよー」
うちだけの配合にしてあるから試してみてねーと笑った店員さんは、まず俺の前にグラスを置いてくれた。ひょこっと中を覗いてみれば、シャルの果実水独特の淡いピンク色がゆらりと揺れていた。この色合いも綺麗で、ついつい見つめてしまうんだよね。
「あ、もしシャルの果実水が苦手なら、他のに変更もできるよー?」
あまりにまじまじ見ていたからか気を利かせてそう聞いてくれたお兄さんに、俺は慌ててブンブンと首を振った。ただの癖で見つめていたのに、気を使わせてしまった。
「あ、いえ、シャルの果実水はすごく好きです!ただ色が綺麗だなーって見てしまっただけなので…すみません」
「いえいえ、好きなら良かったーどうぞー」
「ありがとうございます」
「はいそちらの方もどうぞー」
「ああ、ありがとう」
愛想よく笑ったお兄さんは、手に持っていたトレイをエプロンのポケットに無造作に押しこんだ。
うん、絶対入らないだろうって大きさの物が目の前で消えていく光景は、何度見ても慣れないな。魔導収納鞄と同じような作りなんだって知ってても、やっぱりびっくりする。
店員さんは同じポケットから小さな紙を取り出すと、さっとテーブルの上に載せた。
「これ一応うちのメニューだよー」
一応?と首を傾げながら視線を向けてみれば、そこには肉の種類、魚の種類、貝の種類、野菜の種類、そして果物の種類がずらりと並んでいた。一番上に串焼きとは書いてあるけど、これって素材の名前だよね。
「一応というのはどういう意味だ?」
率直に聞き返したハルに、お兄さんは笑って答えた。
「うちのお客さんはメニューあんまり使わないんだよねー」
せっかく作ったんだけどねーと笑ったお兄さんいわく、この店の串焼きはとにかくサイズが大きいから一種類だけ食べたいって人以外には向かないらしい。
店員さんがそんな事言って良いのかってちょっと心配になったけど、本当の事だからねーと明るく言われてしまった。
何より俺が南国っぽさを感じたのは、謎の仮面のようなものが壁の一部に飾られている所だ。どこかの民族とかが作ってそうな仮面って言ったら通じるかな。
もしかしたらこの世界にあるどこかの国とかどこかの地域の由緒ある仮面なのかもしれないけれど、それを知らない俺からしたらただ南国っぽい飾りとしか思えない。
「まさかあの建物の外観で、中はこんな内装になってるとは思わなかったな」
「ね、びっくりした!」
そんな風に話しながら、俺達は部屋の真ん中に置かれているテーブルへと足を進めた。テーブルの上にも原色の花が飾られていて、とっても華やかだ。
「わざわざ壁まで変えてあるんだな」
「うん、でもこの雰囲気、俺は好きだな」
異国情緒っていうのかな。ちょっと旅行に来た気分になれるっていうか。ワクワクしながらそう答えた俺を、向かい側に座ったハルは優しく微笑んで見つめていた。
「それに、個室なのも嬉しいな。ドアは無いみたいだが」
そう、個室だけどドアは無いんだよね。代わりにこれまた南国っぽい薄いカーテンみたいなのがかけられていて、雰囲気はすごく良いんだけど。
ハルはドアが無いのがちょっと気になってるみたいだけど、飲食店の個室ってそういうものだよねと思うから俺は特に気にならない。
「でもゆっくりできそうで良いよね」
「ああ、それに周りの奴らにアキトを見られずに済むしな」
さらりとそんな恥ずかしい事を言ってのけたハルに、俺は頬を赤く染めながらううーと唸る事しかできなかった。
周りの奴らに俺を見られずに済むってなんだよ。俺なんかよりハルの方が、どこに行っても男女問わずに視線を集めてるくせに。
そんな事を考えていると、不意にハルが口を開いた。
「いったいどんな料理なんだろうな」
「うん、気になるね」
「アッシュは舌が肥えてるから、期待はできると思うんだが」
「店に入った時の香りからして、絶対に美味しいよね」
そんな風にのんびりと話していると、不意にカーテンの向こうから声がかかった。
「入って良いー?」
「ああ、どうぞ」
ハルの返事を待っていたらしい店員さんは、さらりとカーテンをかき分けるとトレイ片手に部屋の中へと入ってきた。
「まずはこれをどうぞーこれはトリク祭りだけの無料サービスなんだよー」
うちだけの配合にしてあるから試してみてねーと笑った店員さんは、まず俺の前にグラスを置いてくれた。ひょこっと中を覗いてみれば、シャルの果実水独特の淡いピンク色がゆらりと揺れていた。この色合いも綺麗で、ついつい見つめてしまうんだよね。
「あ、もしシャルの果実水が苦手なら、他のに変更もできるよー?」
あまりにまじまじ見ていたからか気を利かせてそう聞いてくれたお兄さんに、俺は慌ててブンブンと首を振った。ただの癖で見つめていたのに、気を使わせてしまった。
「あ、いえ、シャルの果実水はすごく好きです!ただ色が綺麗だなーって見てしまっただけなので…すみません」
「いえいえ、好きなら良かったーどうぞー」
「ありがとうございます」
「はいそちらの方もどうぞー」
「ああ、ありがとう」
愛想よく笑ったお兄さんは、手に持っていたトレイをエプロンのポケットに無造作に押しこんだ。
うん、絶対入らないだろうって大きさの物が目の前で消えていく光景は、何度見ても慣れないな。魔導収納鞄と同じような作りなんだって知ってても、やっぱりびっくりする。
店員さんは同じポケットから小さな紙を取り出すと、さっとテーブルの上に載せた。
「これ一応うちのメニューだよー」
一応?と首を傾げながら視線を向けてみれば、そこには肉の種類、魚の種類、貝の種類、野菜の種類、そして果物の種類がずらりと並んでいた。一番上に串焼きとは書いてあるけど、これって素材の名前だよね。
「一応というのはどういう意味だ?」
率直に聞き返したハルに、お兄さんは笑って答えた。
「うちのお客さんはメニューあんまり使わないんだよねー」
せっかく作ったんだけどねーと笑ったお兄さんいわく、この店の串焼きはとにかくサイズが大きいから一種類だけ食べたいって人以外には向かないらしい。
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