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516.【ハル視点】明日からの予定
「あーつまりもう予定は全部終わったって事だよな?」
カーディさんに抱き着いていたクリスが落ち着くのを待ってから、俺はそう切り出した。
「ええ、そうですね」
「そうか。トライプールへの帰りは、いつ出発にするつもりだ?」
クリスならもう考えているだろうと思ったんだが、質問を聞いたクリスは少し困った顔で考え込んでしまった。
「まだ未定なら未定でも良いんだが…」
「あ、いえ、すみません。今考えているのは…そうですね、二つの案があります」
まず一つ目は明日の昼までトリク祭りを楽しんで、そのまま馬車に乗ってトライプールに向けての移動を開始するという案。
もう一つは明日のトリク祭りをたっぷり一日満喫、その後数日はイーシャルでのんびりと過ごしてから移動を開始するという案らしい。
「あー…なるほど。トリク祭りが終わると一気に混みあうから…か」
「ええ、今はイーシャルにはトリク祭りのためにたくさんの人が集まってますからね」
個人的には納得のできる理由だったが、カーディさんとアキトは不思議そうな顔で俺達を見つめていた。
「え、そんなに混むのか?」
「そうなんです。多分カーディが今想像してる以上の混み具合ですよ」
そう言って笑ったクリスば、トリク祭りにはかなり遠方の人まで集まってきているからと説明をし始めた。祭りが終わると普段とは比べ物にならないほどの人数が、一気にイーシャルから各地へ出発する事になる。
「ですから、祭りが終わる前に早めに出発するか、それとも数日経ち落ち着いてから出発するかの実質二択になるんです」
「混雑の中で帰るのは駄目なのか?」
カーディさんの質問に、俺は苦笑しながら口を挟んだ。
「混雑の中での移動は、とにかく警戒対象が増えるんだ」
ただの混雑だけならまだ良いんだが、わざわざ盗難目的で人混みにまぎれてる奴もいるんだよな。衛兵が取り締まってはいるが、それでも一人もいないとは断言できない。
「あーそれは困るな」
「もちろんそれでもどうしても移動すると言うなら、依頼だから護衛はするが…」
そこで言葉を切った俺に、クリスは笑って答えた。
「まともな依頼人ならそんな無理はさせないんですよ。あ、当然ですが、私たちはまともな依頼人ですよ?」
「ああ、そういう理由なら納得だし、無理は言わないぞ」
元冒険者だけあって、カーディさんはまあそういう依頼人もいるよなと苦笑を洩らしている。
「では二つの案から選ぶという事で。アキトさんとカーディは、どちらの案が良いと思いますか?」
「うーん…俺は夕方から色々見て回れたし、もう結構満足してるかな」
カーディさんは一つ目の案に一票と軽く答えた。自然とアキトに視線が集まると、アキトは何故か手をあげてから口を開いた。
「今日一日ハルと一緒にお祭りを満喫したので、俺も一つ目の案に一票でお願いします」
二人の意見を聞いた俺とクリスは、そっと顔を見合わせた。
「二人がこう言ってるなら、予定は決まりだな」
「そうですね」
それじゃあ細かい所をすり合わせるかと思った瞬間、慌てた様子でアキトが声をあげた。
「え、まだ二票なのに!?」
「そうだよ。クリスとハルがゆっくりしたいなら、俺達はそれでも良いんだぞ?」
カーディさんも大慌てでそう声をかけてくる。
「いや、二人の意見を聞く前から、俺は早めの出発の方が良いと思ってたから問題無いよ」
クリスとカーディさんは仕事もしてたけど、俺とアキトは一日休みだったからなと俺は笑って続けた。
「クリスは?クリスも明日帰るって案で良いのか?」
「ええ、私もその案の方が良いと思ってましたから」
「本当に?」
まっすぐカーディさんに見つめられたクリスは、困ったように視線を反らした。
「自分の意見をちゃんと言ってくれないと、拗ねるぞ?」
怒るとか嫌いになるとかじゃなくて、拗ねるって言うあたりがカーディさんらしいな。まあクリスには効果は抜群のようだが。
クリスはふうと一つ息を吐いてから、苦笑しながら口を開いた。
「本当にそう思ってますよ。正直に言うとですね…私は早くトライプールに帰って、やっと手に入ったあの竜種の魔石を加工したいんです」
手に入った素材にワクワクして早く帰りたいなんて子どもみたいだから言うつもりは無かったのにと、クリスは恥ずかしそうに頬を染めながらそう続けた。
「あー…そうか、そうだな。クリスならそう言うわ」
「分かってくれて何よりです」
「アキトとハルも本当に良いんだよな?」
もう一度確認してくれたカーディさんに、俺とアキトはすぐに返事を返した。
「うん」
「ああ、問題ない」
「よし。じゃあ明日出発って事で頼む」
「「分かった」」
カーディさんに抱き着いていたクリスが落ち着くのを待ってから、俺はそう切り出した。
「ええ、そうですね」
「そうか。トライプールへの帰りは、いつ出発にするつもりだ?」
クリスならもう考えているだろうと思ったんだが、質問を聞いたクリスは少し困った顔で考え込んでしまった。
「まだ未定なら未定でも良いんだが…」
「あ、いえ、すみません。今考えているのは…そうですね、二つの案があります」
まず一つ目は明日の昼までトリク祭りを楽しんで、そのまま馬車に乗ってトライプールに向けての移動を開始するという案。
もう一つは明日のトリク祭りをたっぷり一日満喫、その後数日はイーシャルでのんびりと過ごしてから移動を開始するという案らしい。
「あー…なるほど。トリク祭りが終わると一気に混みあうから…か」
「ええ、今はイーシャルにはトリク祭りのためにたくさんの人が集まってますからね」
個人的には納得のできる理由だったが、カーディさんとアキトは不思議そうな顔で俺達を見つめていた。
「え、そんなに混むのか?」
「そうなんです。多分カーディが今想像してる以上の混み具合ですよ」
そう言って笑ったクリスば、トリク祭りにはかなり遠方の人まで集まってきているからと説明をし始めた。祭りが終わると普段とは比べ物にならないほどの人数が、一気にイーシャルから各地へ出発する事になる。
「ですから、祭りが終わる前に早めに出発するか、それとも数日経ち落ち着いてから出発するかの実質二択になるんです」
「混雑の中で帰るのは駄目なのか?」
カーディさんの質問に、俺は苦笑しながら口を挟んだ。
「混雑の中での移動は、とにかく警戒対象が増えるんだ」
ただの混雑だけならまだ良いんだが、わざわざ盗難目的で人混みにまぎれてる奴もいるんだよな。衛兵が取り締まってはいるが、それでも一人もいないとは断言できない。
「あーそれは困るな」
「もちろんそれでもどうしても移動すると言うなら、依頼だから護衛はするが…」
そこで言葉を切った俺に、クリスは笑って答えた。
「まともな依頼人ならそんな無理はさせないんですよ。あ、当然ですが、私たちはまともな依頼人ですよ?」
「ああ、そういう理由なら納得だし、無理は言わないぞ」
元冒険者だけあって、カーディさんはまあそういう依頼人もいるよなと苦笑を洩らしている。
「では二つの案から選ぶという事で。アキトさんとカーディは、どちらの案が良いと思いますか?」
「うーん…俺は夕方から色々見て回れたし、もう結構満足してるかな」
カーディさんは一つ目の案に一票と軽く答えた。自然とアキトに視線が集まると、アキトは何故か手をあげてから口を開いた。
「今日一日ハルと一緒にお祭りを満喫したので、俺も一つ目の案に一票でお願いします」
二人の意見を聞いた俺とクリスは、そっと顔を見合わせた。
「二人がこう言ってるなら、予定は決まりだな」
「そうですね」
それじゃあ細かい所をすり合わせるかと思った瞬間、慌てた様子でアキトが声をあげた。
「え、まだ二票なのに!?」
「そうだよ。クリスとハルがゆっくりしたいなら、俺達はそれでも良いんだぞ?」
カーディさんも大慌てでそう声をかけてくる。
「いや、二人の意見を聞く前から、俺は早めの出発の方が良いと思ってたから問題無いよ」
クリスとカーディさんは仕事もしてたけど、俺とアキトは一日休みだったからなと俺は笑って続けた。
「クリスは?クリスも明日帰るって案で良いのか?」
「ええ、私もその案の方が良いと思ってましたから」
「本当に?」
まっすぐカーディさんに見つめられたクリスは、困ったように視線を反らした。
「自分の意見をちゃんと言ってくれないと、拗ねるぞ?」
怒るとか嫌いになるとかじゃなくて、拗ねるって言うあたりがカーディさんらしいな。まあクリスには効果は抜群のようだが。
クリスはふうと一つ息を吐いてから、苦笑しながら口を開いた。
「本当にそう思ってますよ。正直に言うとですね…私は早くトライプールに帰って、やっと手に入ったあの竜種の魔石を加工したいんです」
手に入った素材にワクワクして早く帰りたいなんて子どもみたいだから言うつもりは無かったのにと、クリスは恥ずかしそうに頬を染めながらそう続けた。
「あー…そうか、そうだな。クリスならそう言うわ」
「分かってくれて何よりです」
「アキトとハルも本当に良いんだよな?」
もう一度確認してくれたカーディさんに、俺とアキトはすぐに返事を返した。
「うん」
「ああ、問題ない」
「よし。じゃあ明日出発って事で頼む」
「「分かった」」
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