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542.【ハル視点】護衛のパーティー
あのウマを可愛いと言い放つアキトがよほど衝撃だったのか、クリスとカーディさんはきょとんとこちらを見たまま固まってしまった。
「えーと、クリス、案内してくれるんだろう?」
このまま放っておくのもなと声をかければ、クリスはハッと慌てた様子で顔を上げた。
「ええ、こちらです」
「ああ、端って言ってたけど、入口の方なんだな」
「ええ、出来るだけ早く出たいと交渉しましたから」
一番良い場所を確保しましたよと自慢げに言い放ったクリスに、カーディさんは明るく笑って答えた。
「うん、さすがクリスだな」
あーなるほどこうやって誘導してるのか。カーディさんもなかなかやるな。
「それほどでもないですよ」
口ではそう言いながらも、クリスの顔には満面の笑みが浮かんでいる。まあ大事な伴侶に感心したと言いたげに笑顔で見つめながら褒められたら、そうなるよな。無理も無い。
上機嫌なクリスの案内で、俺達は一番端に止められている大きな馬車へと近づいて行った。近距離移動ではあまり使わない上等な馬車だなと感心しながら近づいていくと、馬車の隣には三頭のウマが悠然と佇んでいた。
俺達に気づくと三頭揃ってちらりとこちらを見たが、すぐに周りの景色へと視線を反らした。御者と組まずに貸し出されるウマは、性格的に大人しいのが多いからな。問題の無さそうなウマたちだなと観察していると、不意にアキトが俺の服の袖を引っ張った。
「ハル、この馬車って三頭でひくの?」
不思議そうにしながらそう尋ねてきたアキトに、俺はすぐに首を振ってから答えた。
「あれは護衛が乗る馬だよ。一人は御者をして、他の三人は馬車の両隣と後ろを走るんだ」
「はーすごいな…俺も練習していつか乗れるようにならないと…かな?」
心配そうに尋ねてくるアキトに、俺は苦笑しながら口を開く。
「二人パーティーだとどうせ馬車の護衛任務は受けれないし、世間一般的には乗れない冒険者も多いから必須ってわけじゃないけど…」
「…けど?」
「アキトはウマが好きだから、乗れたら楽しいかなとは思うね。もちろん一人で乗らなくても、俺と一緒に乗ってくれても良いんだけどね」
騎乗は得意だし怖い思いはさせないよと笑って付け加えれば、アキトはちょっと考えてから答えた。
「うーん、いつかは自分でも乗れるようになりたいけど、ハルと一緒に乗るのもやりたいな」
ウマが大好きで好奇心旺盛なアキトなら、自分で乗ると即答するかと思っていたんだが。そうか、俺と一緒にウマに乗るのも楽しそうだと思ってくれたんだな。じわりと込み上げてくる嬉しさに、俺はにっこりと笑って答えた。
「それは光栄だな。今度相談して詳しい予定を決めようか」
「うん、そうだね」
二人乗りをしてはしゃぐアキトは間違いなく可愛いだろう。俺は絶対にこの予定を実現させる事をこっそりと決意しながら、前を歩くクリスの背中を追った。
「では、呼んできますね」
馬車の近くに着くなりクリスはそう言い置くと、木製のドアをココンッとリズミカルに軽く叩いてからそっとドアを開いた。本来なら護衛は馬車の中には入らないんだが、たぶんクリスが待っている間は中でくつろいでいてくれとでも言ったんだろうな。
「全員到着しました。紹介しますので、出てきて頂けますか?」
中に向かって声をかけたクリスが戻ってくると、すぐに馬車のドアがゆっくりと開いた。
「こんにちは、俺がこのパーティーのリー…は…?」
「リー…はってなんだよ、リー…はって」
戸惑う声も遠慮なく揶揄う声も、明らかに聞き覚えのある声だ。うん、やっぱりそうか。納得する俺の隣で、アキトは思わずといった感じで叫んだ。
「え、ルセフさん…?ウォルターさんも!」
「は?アキトか?」
馬車から飛び出してきたウォルターの後ろから、ひょこっとファリーマも顔を出した。
「何?アキトだって?」
「あ、ファリーマさん」
「あ、本当にアキトじゃないか!あれから新しい魔法は覚えたか?」
「ファリーマさん!早く下りて!」
流れるように魔法の話に持っていこうとするいつも通りなファリーマを押しのけるようにして、一番最後に下りてきたのはブレイズだった。
「ブレイズ!」
「わー本物のアキトだー!」
嬉しそうに駆け寄ってきたブレイズと視線を合わせて、アキトはニコニコと笑みを浮かべている。なんでここに?と言い合う二人の微笑ましいやりとりに、俺も自然と笑みを浮かべてしまった。
はしゃぐ二人を見つめていたクリスとカーディさんは。不意に声を上げて笑いだした。
「どうやらお互いの自己紹介の必要は無さそうですね」
「ああ、アキトとハルなら俺達も安心だよ」
そう言いきったルセフは、心底楽しそうな笑みを浮かべた。
「えーと、クリス、案内してくれるんだろう?」
このまま放っておくのもなと声をかければ、クリスはハッと慌てた様子で顔を上げた。
「ええ、こちらです」
「ああ、端って言ってたけど、入口の方なんだな」
「ええ、出来るだけ早く出たいと交渉しましたから」
一番良い場所を確保しましたよと自慢げに言い放ったクリスに、カーディさんは明るく笑って答えた。
「うん、さすがクリスだな」
あーなるほどこうやって誘導してるのか。カーディさんもなかなかやるな。
「それほどでもないですよ」
口ではそう言いながらも、クリスの顔には満面の笑みが浮かんでいる。まあ大事な伴侶に感心したと言いたげに笑顔で見つめながら褒められたら、そうなるよな。無理も無い。
上機嫌なクリスの案内で、俺達は一番端に止められている大きな馬車へと近づいて行った。近距離移動ではあまり使わない上等な馬車だなと感心しながら近づいていくと、馬車の隣には三頭のウマが悠然と佇んでいた。
俺達に気づくと三頭揃ってちらりとこちらを見たが、すぐに周りの景色へと視線を反らした。御者と組まずに貸し出されるウマは、性格的に大人しいのが多いからな。問題の無さそうなウマたちだなと観察していると、不意にアキトが俺の服の袖を引っ張った。
「ハル、この馬車って三頭でひくの?」
不思議そうにしながらそう尋ねてきたアキトに、俺はすぐに首を振ってから答えた。
「あれは護衛が乗る馬だよ。一人は御者をして、他の三人は馬車の両隣と後ろを走るんだ」
「はーすごいな…俺も練習していつか乗れるようにならないと…かな?」
心配そうに尋ねてくるアキトに、俺は苦笑しながら口を開く。
「二人パーティーだとどうせ馬車の護衛任務は受けれないし、世間一般的には乗れない冒険者も多いから必須ってわけじゃないけど…」
「…けど?」
「アキトはウマが好きだから、乗れたら楽しいかなとは思うね。もちろん一人で乗らなくても、俺と一緒に乗ってくれても良いんだけどね」
騎乗は得意だし怖い思いはさせないよと笑って付け加えれば、アキトはちょっと考えてから答えた。
「うーん、いつかは自分でも乗れるようになりたいけど、ハルと一緒に乗るのもやりたいな」
ウマが大好きで好奇心旺盛なアキトなら、自分で乗ると即答するかと思っていたんだが。そうか、俺と一緒にウマに乗るのも楽しそうだと思ってくれたんだな。じわりと込み上げてくる嬉しさに、俺はにっこりと笑って答えた。
「それは光栄だな。今度相談して詳しい予定を決めようか」
「うん、そうだね」
二人乗りをしてはしゃぐアキトは間違いなく可愛いだろう。俺は絶対にこの予定を実現させる事をこっそりと決意しながら、前を歩くクリスの背中を追った。
「では、呼んできますね」
馬車の近くに着くなりクリスはそう言い置くと、木製のドアをココンッとリズミカルに軽く叩いてからそっとドアを開いた。本来なら護衛は馬車の中には入らないんだが、たぶんクリスが待っている間は中でくつろいでいてくれとでも言ったんだろうな。
「全員到着しました。紹介しますので、出てきて頂けますか?」
中に向かって声をかけたクリスが戻ってくると、すぐに馬車のドアがゆっくりと開いた。
「こんにちは、俺がこのパーティーのリー…は…?」
「リー…はってなんだよ、リー…はって」
戸惑う声も遠慮なく揶揄う声も、明らかに聞き覚えのある声だ。うん、やっぱりそうか。納得する俺の隣で、アキトは思わずといった感じで叫んだ。
「え、ルセフさん…?ウォルターさんも!」
「は?アキトか?」
馬車から飛び出してきたウォルターの後ろから、ひょこっとファリーマも顔を出した。
「何?アキトだって?」
「あ、ファリーマさん」
「あ、本当にアキトじゃないか!あれから新しい魔法は覚えたか?」
「ファリーマさん!早く下りて!」
流れるように魔法の話に持っていこうとするいつも通りなファリーマを押しのけるようにして、一番最後に下りてきたのはブレイズだった。
「ブレイズ!」
「わー本物のアキトだー!」
嬉しそうに駆け寄ってきたブレイズと視線を合わせて、アキトはニコニコと笑みを浮かべている。なんでここに?と言い合う二人の微笑ましいやりとりに、俺も自然と笑みを浮かべてしまった。
はしゃぐ二人を見つめていたクリスとカーディさんは。不意に声を上げて笑いだした。
「どうやらお互いの自己紹介の必要は無さそうですね」
「ああ、アキトとハルなら俺達も安心だよ」
そう言いきったルセフは、心底楽しそうな笑みを浮かべた。
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