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548.【ハル視点】勘違いを解くには
まずはアキトが話しをしやすい空気したいな。そう考えた俺は、あえて明るい声を作って続けた。
「じゃあまずは前提から話そうか。俺はちょっと前まで魔物から食らった毒のせいで意識がなくてね」
「「「は?」」」
ウォルターとファリーマ、ブレイズの三人の声が綺麗に重なった。クリスとルセフ、それにカーディさんはああその話かと納得してるようだ。なるほど、カーディさんも俺が眠ってた事は知ってたみたいだな。反応を見て推測しながら口を開く。
「まあ正確に言うと意識が無いというより…身体をベッドの中に置いたまま、俺は幽霊になってたんだよ」
あっさりとそう続ければ、さっきは驚いていなかった三人まで一緒になって大きく目を見開いた。まあ俺だって自分が経験していなかったら、そう簡単には信じられない話だから無理も無い。
「原因は俺も分からないんだ。何かの奇跡なのか、それともあの毒の副作用なのかは――とにかく俺は幽霊になって一人で色んな場所を旅してたんだ」
そこまで話した俺は、ちらりとアキトの方へと視線を向けた。さあどうぞと視線だけで促せば、アキトはぐっと手を握りしめてから口を開いた。
「えっと、俺は生まれつき不思議なスキルを持っていて、幽霊が見えるんです」
「そんなスキルが…あるのか?」
ルセフの口にした当然の疑問に、アキトは冷静に答えた。
「俺の父親も同じスキルを持っていました。幽霊が見えるし、声が聞こえるスキルです」
「あ、いや否定に聞こえたならすまない。知らないスキルがまだまだたくさん存在してる事は知ってるし、アキトとハルがこんな嘘を言うとは思ってないよ」
そう言ったルセフは以前と何も変わらない温かい目でアキトを見ると、ニコリと笑みを浮かべた。体質を知ったからと急に態度を変えるような奴では無いと思ってはいたが、この反応はアキトに勇気を与えたみたいだ。
「もう予想は付いてると思うけど、俺は幽霊の状態でアキトにあったんだ」
「ああ、なるほど。そんな出会いだったんですね」
クリスの言葉に、俺はすぐに頷いた。
「あー、一応言っておくけど、アキトは両親以外にはこのスキルの事は隠して暮らしてきたらしい。だからこの前は適当な出会いを話したんだ、悪かったな」
頭を下げて謝罪した俺に、アキトも慌てて口を開いた。
「待って、ハルが謝る事じゃないよ…みんな、ごめんね」
「いや、気にするな」
「そうそう。そもそもスキルは秘匿するものだからそれで正しいよ」
気にしてないよと口々に言ってくれる皆に、アキトは嬉しそうに微笑んでいる。
「出会った時が幽霊だったってだけで全部が嘘でも無いんでしょう?」
そう言って笑うクリスは、惚気話は全部本当の事だろうと言いたげだ。
「ああ、出会った時が幽霊だったってだけでそこは嘘じゃない。俺はアキトに出会うまでは一人でふらふらしてたんだが、アキトに出会ってからはいつも一緒にいたんだ」
「は?いつも?」
「ああ、だから俺はカーディさんが黒鷹亭で働いてたのも知ってるし、その後のクリスとカーディとアキトの飲み会も知ってる」
クリスとカーディさんはびっくり顔で俺を見つめた。
「ブレイズとアキトが昇級試験を受けた時も、ルセフたちのパーティーとの冒険もな」
「あー…俺のあの失態もか」
ルセフは苦い顔でぽつりとそう呟いた。あの毒キノコの事だな。あれはルセフの失態ってわけじゃないだろう。あれは不運が招いた、避けられないただの事故だ。
「あれは仕方ないさ」
「あ、もしかしてあの時の薬って…?」
ハッと顔を上げたファリーマの質問を俺は笑って流そうとしたんだが、アキトは嬉しそうに声をあげた。
「うん、ハルが教えてくれたんです!」
「あーそうか…あの時はありがとうな」
「いや、アキトがいなかったら、対処法を伝える事すら出来なかったんだからな」
それでも助かったよと笑ったルセフは、すぐにアキトもありがとうなと言葉を重ねた。すぐにアキトにもお礼を言えるのが、ルセフの良い所だな。
あの時はこんな事があったななんて思い出話をし始めていたその瞬間、ブレイズがいきなり叫んだ。
「え…待って!じゃあもしかしてハルさんは…ハルさんは、精霊じゃないって事!?」
しんと静まり返った中、全員の視線がブレイズに集中した。
ブレイズの勘違いを最初から知ってた俺とアキトは、俺が精霊じゃないって事が無事に伝わって良かったなと喜んだ。
でもブレイズの勘違いを全く知らなかった皆は、あまりに予想外の言葉に心底驚いたみたいだ。俺とハル、ブレイズ以外の全員が、大きく目を見開いたまま固まっていた。
いち早く我に返ったのは、やっぱりパーティーのリーダーであるルセフさんだった。
「あーブレイズ、なぜそんな発想が出てきたのか説明してくれるか?」
「えっと…アキトの通り名…から想像して?」
「おい、嘘吐くなよ、ブレイズ。お前そんなに想像力豊かな奴じゃないだろ」
ばっさりとウォルターさんにそう断言されてしまったブレイズは、ウォルター兄ちゃんがひどいと拗ねた声で呟いた。
「だからお前の兄ちゃんじゃないっての」
じゃれ合う二人のやりとりをじっと見ていた俺は、そっと手を挙げた。多分ブレイズはまだ俺との約束を守ろうとしてくれてるんだって、理解したから。
「じゃあまずは前提から話そうか。俺はちょっと前まで魔物から食らった毒のせいで意識がなくてね」
「「「は?」」」
ウォルターとファリーマ、ブレイズの三人の声が綺麗に重なった。クリスとルセフ、それにカーディさんはああその話かと納得してるようだ。なるほど、カーディさんも俺が眠ってた事は知ってたみたいだな。反応を見て推測しながら口を開く。
「まあ正確に言うと意識が無いというより…身体をベッドの中に置いたまま、俺は幽霊になってたんだよ」
あっさりとそう続ければ、さっきは驚いていなかった三人まで一緒になって大きく目を見開いた。まあ俺だって自分が経験していなかったら、そう簡単には信じられない話だから無理も無い。
「原因は俺も分からないんだ。何かの奇跡なのか、それともあの毒の副作用なのかは――とにかく俺は幽霊になって一人で色んな場所を旅してたんだ」
そこまで話した俺は、ちらりとアキトの方へと視線を向けた。さあどうぞと視線だけで促せば、アキトはぐっと手を握りしめてから口を開いた。
「えっと、俺は生まれつき不思議なスキルを持っていて、幽霊が見えるんです」
「そんなスキルが…あるのか?」
ルセフの口にした当然の疑問に、アキトは冷静に答えた。
「俺の父親も同じスキルを持っていました。幽霊が見えるし、声が聞こえるスキルです」
「あ、いや否定に聞こえたならすまない。知らないスキルがまだまだたくさん存在してる事は知ってるし、アキトとハルがこんな嘘を言うとは思ってないよ」
そう言ったルセフは以前と何も変わらない温かい目でアキトを見ると、ニコリと笑みを浮かべた。体質を知ったからと急に態度を変えるような奴では無いと思ってはいたが、この反応はアキトに勇気を与えたみたいだ。
「もう予想は付いてると思うけど、俺は幽霊の状態でアキトにあったんだ」
「ああ、なるほど。そんな出会いだったんですね」
クリスの言葉に、俺はすぐに頷いた。
「あー、一応言っておくけど、アキトは両親以外にはこのスキルの事は隠して暮らしてきたらしい。だからこの前は適当な出会いを話したんだ、悪かったな」
頭を下げて謝罪した俺に、アキトも慌てて口を開いた。
「待って、ハルが謝る事じゃないよ…みんな、ごめんね」
「いや、気にするな」
「そうそう。そもそもスキルは秘匿するものだからそれで正しいよ」
気にしてないよと口々に言ってくれる皆に、アキトは嬉しそうに微笑んでいる。
「出会った時が幽霊だったってだけで全部が嘘でも無いんでしょう?」
そう言って笑うクリスは、惚気話は全部本当の事だろうと言いたげだ。
「ああ、出会った時が幽霊だったってだけでそこは嘘じゃない。俺はアキトに出会うまでは一人でふらふらしてたんだが、アキトに出会ってからはいつも一緒にいたんだ」
「は?いつも?」
「ああ、だから俺はカーディさんが黒鷹亭で働いてたのも知ってるし、その後のクリスとカーディとアキトの飲み会も知ってる」
クリスとカーディさんはびっくり顔で俺を見つめた。
「ブレイズとアキトが昇級試験を受けた時も、ルセフたちのパーティーとの冒険もな」
「あー…俺のあの失態もか」
ルセフは苦い顔でぽつりとそう呟いた。あの毒キノコの事だな。あれはルセフの失態ってわけじゃないだろう。あれは不運が招いた、避けられないただの事故だ。
「あれは仕方ないさ」
「あ、もしかしてあの時の薬って…?」
ハッと顔を上げたファリーマの質問を俺は笑って流そうとしたんだが、アキトは嬉しそうに声をあげた。
「うん、ハルが教えてくれたんです!」
「あーそうか…あの時はありがとうな」
「いや、アキトがいなかったら、対処法を伝える事すら出来なかったんだからな」
それでも助かったよと笑ったルセフは、すぐにアキトもありがとうなと言葉を重ねた。すぐにアキトにもお礼を言えるのが、ルセフの良い所だな。
あの時はこんな事があったななんて思い出話をし始めていたその瞬間、ブレイズがいきなり叫んだ。
「え…待って!じゃあもしかしてハルさんは…ハルさんは、精霊じゃないって事!?」
しんと静まり返った中、全員の視線がブレイズに集中した。
ブレイズの勘違いを最初から知ってた俺とアキトは、俺が精霊じゃないって事が無事に伝わって良かったなと喜んだ。
でもブレイズの勘違いを全く知らなかった皆は、あまりに予想外の言葉に心底驚いたみたいだ。俺とハル、ブレイズ以外の全員が、大きく目を見開いたまま固まっていた。
いち早く我に返ったのは、やっぱりパーティーのリーダーであるルセフさんだった。
「あーブレイズ、なぜそんな発想が出てきたのか説明してくれるか?」
「えっと…アキトの通り名…から想像して?」
「おい、嘘吐くなよ、ブレイズ。お前そんなに想像力豊かな奴じゃないだろ」
ばっさりとウォルターさんにそう断言されてしまったブレイズは、ウォルター兄ちゃんがひどいと拗ねた声で呟いた。
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