生まれつき幽霊が見える俺が異世界転移をしたら、精霊が見える人と誤解されています

根古川ゆい

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566.鋭いルセフさん

 自分たちのせいでみんなが険悪になるのは嫌だけど、かといってこんなに真剣な表情で誰と組むかを相談してる所に、何て声をかけたら良いのかが分からない。

 どうしようかなと悩んでいたら、不意にルセフさんが俺とハルの方を振り返った。

 ぱちりと視線が合ったと思った瞬間、ルセフさんはニヤリと笑みを浮かべる。あれ、なんでそんなに悪戯っぽい笑顔なんだろう。

「まあでも、もしハルとアキトが一緒に組みたいっていうなら…俺達も譲るしかないけどなぁ?」
「え、なんで?ハルさんはアキトとずっと一緒なのに?」

 不思議そうにそう尋ねたブレイズに、ルセフさんはあっさりと楽し気に答える。

「そりゃあ伴侶候補の二人の邪魔は…さすがに俺達にもできないだろう?」

 笑いまじりのルセフさんの言葉にぴたりと動きを止めたみんなの視線が、俺とハルの腕に一気に集まった。ハルは嬉しそうに笑うと、さっと恋人握りでつないだ俺の手を、持ち上げるようにしてみんなに見せつけた。伴侶候補のお揃いの腕輪が、揺らめく焚火の火を反射してキラキラと輝いた。

「え、それって…?」
「え、おまえら、もう伴侶候補になったのか?」

 びっくり顔で驚いているファリーマさんとウォルターさんの隣で、ブレイズはパアッと満面の笑みを浮かべてから口を開いた。

「えー全然気づかなかった!アキト、ハルさん、おめでとう!」
「ああ、ありがとう、ブレイズ」
「ありがと」

 照れながらもそう返事をすれば、ファリーマさんとウォルターさん、それにルセフさんからもおめでとうと祝われてしまった。知らない人に祝ってもらうのとはまた違って、知ってる人に祝われるのはくすぐったいような照れくさいような、なんだか複雑な気分だ。祝ってもらえるのは、もちろん嬉しいんだけどね。

「おい、ルセフ。お前、いつから気づいてたんだ?」

 うん、そこ気になる。今話題に出しただけで、多分もっと前から気づいてたんだよね?一体いつから気づいてたんだろう。俺はウォルターさんの質問への答えをじっと待った。

「アキトとハルに再会した時からだけど…?」
「は?そんな前から?」
「あのな…お前らも、もっとちゃんと周りを観察する癖をつけろって普段から言ってるだろ?」

 ルセフさんは呆れた様子でウォルターさんを見かえすと、冷たい声でそう返した。

「俺だけかよ?ファリーマ、お前、気づいてたか?」

 ウォルターさんの質問に、ファリーマさんはふるふると首を振った。

「いや、全然」
「ブレイズは?」
「俺も、ぜーんぜん気づいて無かった…自分で気づきたかったな…」

 しょんぼりしながらそう口にしたブレイズの頭を、ルセフさんはそっと撫でた。

「ブレイズは、アキトとの再会に気を取られてたんだから仕方ないさ…ウォルターとファリーマはもう少ししっかりして欲しいけどな」
「あ、またブレイズだけ特別扱いかよ!」
「あーリーダーは、本当にブレイズにだけ甘いよなぁ」
「なー俺達には冷たいのになぁ」
「そうだよなー」

 ウォルターさんとファリーマさんの拗ねた会話にも少しも怯まずに、ルセフさんはにっこりと艶やかに笑ってみせた。

「年齢も冒険者歴も違うんだから、当然だろ」

 他に何か言いたい事があるなら聞くぞと尋ねるルセフさんに、二人はうっと言葉に詰まった、

「あー分かったよ。次からはもっとちゃんと観察する」
「俺も」
「よし。そんなことよりお前ら、言うべき事があるだろ?」
「ああ」
「そうだな」
「うん!」

 言うべき事?と二人揃って首を傾げた俺とハルに、ルセフさん達は四人ぞろってこちらに向き直った。

「「「「二人のこれからに祝福を!」」」」

 さすがにパーティーというべきか、打合せもしてないのに四人の言葉はきっちりとすこしのズレも無くピタリと重なった。突然の言葉に驚いてみんなを見れば、そこには温かい目が並んでいた。

 じわじわと嬉しさが湧き上がってくる。

「「ありがとう!」」

 俺とハルは顔を見合わせてから、満面の笑みを浮かべて答えた。
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