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574.ファリーマさんの分析
それでなとファリーマさんは楽し気に続けた。
「俺はまだ感覚派の魔法は使いこなせるとまでは言えないけど、分析は色々としてみたんだ」
「分析…ですか?」
ちょっと予想外の言葉に驚いたけど、ファリーマさんによると理論派の魔法使いは知識と経験を元にして思考を巡らせ、分析や研究をするものなんだだって。
何だかそれって魔法使いというよりも、まるで研究者みたいだな。新しい魔法を開発する研究か。ファリーマさんにはぴったりかもしれない。
「ああ、理論派には実現させるのが難しいけれど、感覚派の魔法使いになら容易く発動できる。そんな魔法ができないかなーと思ってな」
「そう言うって事は、何か良い案が思いついたんですか?」
少しだけワクワクしながら、俺はファリーマさんに直球でそう尋ねてみた。
これが話せないような内容なら、そもそもファリーマさんは話題に出したりしないだろうからね。もし万が一うっかり話してしまっただけで本当に秘密の内容だーなんて事になったら、ちゃんと断ってくれるだろうし。
俺の質問に、ファリーマさんは嬉しそうに笑って口を開いた。
「まだ理論だけで、実験はできていないんだが…アキトの得意な土魔法でつぶてを作るとするだろう?」
「はい。一番使いやすい気がしたので、俺はずっとつぶてでやってますね」
「例えばの話だけど、そのつぶてに、そこら辺にある木の枝を使ってみるのはどうだろうと思いついたんだ」
「木の枝…?」
「ああ、採取先にもダンジョンにもいくらでも存在しているだろう?」
うん、確かに木の枝はどこにでもある気がする。ここの停留場だって、数歩進めばもう森の中だもんな。自然に囲まれているのが当たり前の世界だから、倒木や木の枝ぐらいはいくらでも手に入る。
「確かに、どこでも手軽に手に入りやすい素材ですね」
ただ理論派的には、木ってかなり使いにくい素材なんだよねとファリーマさんは苦笑を浮かべる。
「理論派の考え方なら、使う木の種類、密度、重量、質、中に含まれている水分量…他にもたくさんあるね。計算すべき事はあげだしたらきりが無いんだ」
「え、そんなに計算してるんですか…」
うん、やっぱり俺には無理だな。理論派の魔法使いの皆さん、心から尊敬します。
「でも感覚派なら一瞬でできると思うんだよね」
「できる…のかなぁ?」
木の枝でつぶてを作るのは、想像だけでもかなり難しそうに感じてしまうんだけど。考えるよりもやってみるかと魔力を練ろうとした瞬間、すぐにファリーマさんに止められてしまった。
「あ、アキト、今試すのは駄目だからな」
あれ?駄目なんだ?ファリーマさんなら楽しそうに観察するかと思ったのに。そんなファリーマさんの反応を不思議に思ったのは、どうやら俺だけじゃないみたいだ。
「え、ファリーマさんがそんな事言うとは思わなかった」
「いや、さすがに止めるよ。アキトが魔力を練ったりしたら、少なくともルセフとハルは絶対に起きてくるぞ?」
「あ…そうだね。絶対に起きてくるよ」
ブレイズも納得してるみたいだから、どうやら本当に俺が魔力を練っただけで起きてきちゃう可能性があるみたいだ。挑戦する前に止めてもらえて良かった。
「あと、あっちの護衛にも心配させる事になるからな」
ファリーマさんは、そう言うとちらりと奥の馬車に視線だけを向けてみせた。そっか。あっちからしたらいきなり魔力を練り上げたりしだしたら、警戒するよね。
「ファリーマさん、止めてくれてありがとうございます」
さっきからファリーマさんにお礼ばっかり言ってる気がするな。俺はちょっと、いやだいぶ浮かれてるみたいだ。もうちょっと落ち着こう。
「ああ、やっぱりやろうとしてたか。まあ理論を聞いたら即実験ってのは普段の俺なら大歓迎な行動なんだけどなー残念だよ…」
「あの、明日の朝、出発前なら良いですか?」
「お、それは良いな」
あっちが出発した後なら少しぐらい実験できるかもなと、ファリーマさんは嬉しそうに答えてくれた。
「俺がやりたいのは、まだそれで終わりじゃないんだ」
「え、まだやりたい事があるんですか?」
「もちろん。木のつぶて作りに成功したら、今度はその木のつぶてに油か何かをしみ込ませる事を想像してもらって、それも成功したら最終的には火を付けてもらいたいんだよ」
木でつくったつぶてに、油をしみ込ませて、火をつける。簡単では無いかもしれないけど、実現したらかなり攻撃力があがりそうだ。火が苦手な相手なら、さらに効果的だったりするかもしれない。
「このあいだファーレスウルフと戦ったんですけど…これが使えたら、もうちょっと楽だったかもしれないですよね」
「「は?」」
あれ、どうしたんだろうと思ったけれど、二人はびっくり顔で俺を見つめていた。
「ファーレスウルフって…倒したのか…?二人だけで?」
「はい。二人でした。えっと、最終的には、ハルが倒しました」
俺を狙われて怒ったハルが、本気で暴れましたって言って良いのかな。
「ええー、詳しく教えてー」
「アキトはどんな魔法を使ったんだ?」
そうして、魔物と魔法と依頼の話をしている間に、あっという間に見張りの担当時間は過ぎていった。
「俺はまだ感覚派の魔法は使いこなせるとまでは言えないけど、分析は色々としてみたんだ」
「分析…ですか?」
ちょっと予想外の言葉に驚いたけど、ファリーマさんによると理論派の魔法使いは知識と経験を元にして思考を巡らせ、分析や研究をするものなんだだって。
何だかそれって魔法使いというよりも、まるで研究者みたいだな。新しい魔法を開発する研究か。ファリーマさんにはぴったりかもしれない。
「ああ、理論派には実現させるのが難しいけれど、感覚派の魔法使いになら容易く発動できる。そんな魔法ができないかなーと思ってな」
「そう言うって事は、何か良い案が思いついたんですか?」
少しだけワクワクしながら、俺はファリーマさんに直球でそう尋ねてみた。
これが話せないような内容なら、そもそもファリーマさんは話題に出したりしないだろうからね。もし万が一うっかり話してしまっただけで本当に秘密の内容だーなんて事になったら、ちゃんと断ってくれるだろうし。
俺の質問に、ファリーマさんは嬉しそうに笑って口を開いた。
「まだ理論だけで、実験はできていないんだが…アキトの得意な土魔法でつぶてを作るとするだろう?」
「はい。一番使いやすい気がしたので、俺はずっとつぶてでやってますね」
「例えばの話だけど、そのつぶてに、そこら辺にある木の枝を使ってみるのはどうだろうと思いついたんだ」
「木の枝…?」
「ああ、採取先にもダンジョンにもいくらでも存在しているだろう?」
うん、確かに木の枝はどこにでもある気がする。ここの停留場だって、数歩進めばもう森の中だもんな。自然に囲まれているのが当たり前の世界だから、倒木や木の枝ぐらいはいくらでも手に入る。
「確かに、どこでも手軽に手に入りやすい素材ですね」
ただ理論派的には、木ってかなり使いにくい素材なんだよねとファリーマさんは苦笑を浮かべる。
「理論派の考え方なら、使う木の種類、密度、重量、質、中に含まれている水分量…他にもたくさんあるね。計算すべき事はあげだしたらきりが無いんだ」
「え、そんなに計算してるんですか…」
うん、やっぱり俺には無理だな。理論派の魔法使いの皆さん、心から尊敬します。
「でも感覚派なら一瞬でできると思うんだよね」
「できる…のかなぁ?」
木の枝でつぶてを作るのは、想像だけでもかなり難しそうに感じてしまうんだけど。考えるよりもやってみるかと魔力を練ろうとした瞬間、すぐにファリーマさんに止められてしまった。
「あ、アキト、今試すのは駄目だからな」
あれ?駄目なんだ?ファリーマさんなら楽しそうに観察するかと思ったのに。そんなファリーマさんの反応を不思議に思ったのは、どうやら俺だけじゃないみたいだ。
「え、ファリーマさんがそんな事言うとは思わなかった」
「いや、さすがに止めるよ。アキトが魔力を練ったりしたら、少なくともルセフとハルは絶対に起きてくるぞ?」
「あ…そうだね。絶対に起きてくるよ」
ブレイズも納得してるみたいだから、どうやら本当に俺が魔力を練っただけで起きてきちゃう可能性があるみたいだ。挑戦する前に止めてもらえて良かった。
「あと、あっちの護衛にも心配させる事になるからな」
ファリーマさんは、そう言うとちらりと奥の馬車に視線だけを向けてみせた。そっか。あっちからしたらいきなり魔力を練り上げたりしだしたら、警戒するよね。
「ファリーマさん、止めてくれてありがとうございます」
さっきからファリーマさんにお礼ばっかり言ってる気がするな。俺はちょっと、いやだいぶ浮かれてるみたいだ。もうちょっと落ち着こう。
「ああ、やっぱりやろうとしてたか。まあ理論を聞いたら即実験ってのは普段の俺なら大歓迎な行動なんだけどなー残念だよ…」
「あの、明日の朝、出発前なら良いですか?」
「お、それは良いな」
あっちが出発した後なら少しぐらい実験できるかもなと、ファリーマさんは嬉しそうに答えてくれた。
「俺がやりたいのは、まだそれで終わりじゃないんだ」
「え、まだやりたい事があるんですか?」
「もちろん。木のつぶて作りに成功したら、今度はその木のつぶてに油か何かをしみ込ませる事を想像してもらって、それも成功したら最終的には火を付けてもらいたいんだよ」
木でつくったつぶてに、油をしみ込ませて、火をつける。簡単では無いかもしれないけど、実現したらかなり攻撃力があがりそうだ。火が苦手な相手なら、さらに効果的だったりするかもしれない。
「このあいだファーレスウルフと戦ったんですけど…これが使えたら、もうちょっと楽だったかもしれないですよね」
「「は?」」
あれ、どうしたんだろうと思ったけれど、二人はびっくり顔で俺を見つめていた。
「ファーレスウルフって…倒したのか…?二人だけで?」
「はい。二人でした。えっと、最終的には、ハルが倒しました」
俺を狙われて怒ったハルが、本気で暴れましたって言って良いのかな。
「ええー、詳しく教えてー」
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