577 / 1,561
576.【ハル視点】ルセフ達の祝福
喧嘩とまではいかないがどちらも譲らずに主張を続けている周りを、アキトは心配そうに見つめている。どうしようかなと不安そうな顔を見ていると、ぎゅっと抱きしめて大丈夫だよと言いたくなってくるな。
そんな事を考えながら周りを見渡していると、不意にルセフが俺とアキトの方を振り返った。
アキトと視線を合わたルセフは、ニヤリと笑みを浮かべた。まるで何か面白い悪戯を思いついたこどものような笑顔だ。
「まあでも、もしハルとアキトが一緒に組みたいっていうなら…俺達も譲るしかないけどなぁ?」
「え、なんで?ハルさんはアキトとずっと一緒なのに?」
不思議そうにそう尋ねたブレイズに、ルセフはあっさりと楽し気に答える。
「そりゃあ伴侶候補の二人の邪魔は…さすがに俺達にもできないだろう?」
笑いまじりのルセフの言葉にぴたりと動きを止めた全員の視線が、アキトと俺の腕に一気に集まった。
ああ、あの笑顔はそういうことか。俺はにっこりと満面の笑みを返してから、アキトの手をきゅっと握りしめた。そのまま繋いだままの手を持ち上げて、全員によく見えるようにとわざと見せつける。
俺とアキトは伴侶候補になったんだよと、俺はいつでも自慢したいんだからな。伴侶候補のお揃いの腕輪は、揺らめく焚火の火を反射してキラキラと輝いた。
「え、それって…?」
「え、おまえら、もう伴侶候補になったのか?」
びっくり顔で驚いているファリーマとウォルターの隣で、ブレイズはパアッと笑みを浮かべてから口を開いた。
「えー全然気づかなかった!アキト、ハルさん、おめでとう!」
「ああ、ありがとう、ブレイズ」
「ありがと」
照れくさそうにしながらもお礼を返すアキトは、本当に可愛い。ファリーマとウォルター、それにルセフからもしっかりと祝われてしまった。うん、やっぱりこうして祝ってもらえるのってのは、何度経験しても嬉しいものだな。
「おい、ルセフ。お前、いつから気づいてたんだ?」
ウォルターは怪訝そうな顔でそう尋ねているが、多分ルセフは俺達と再会してすぐに気づいていただろうな。まあ、ただの予想だが。ルセフはどちらかと言うと、俺に近いタイプだしな。こういうタイプは周りをよく観察して情報を集めてから、それを活用するものだ。
「アキトとハルに再会した時からだけど…?」
やっぱりなと頷いた俺とは違い、ウォルターは大きく目を見開いた。
「は?そんな前から?」
「あのな…お前らも、もっとちゃんと周りを観察する癖をつけろって普段から言ってるだろ?」
ああ、そうだな。依頼を達成するためにも、自分の身を守るためにも大事な事だ。ルセフは呆れた様子でウォルターを見かえすと、冷たい声でそう返している。
「俺だけかよ?ファリーマ、お前、気づいてたか?」
ウォルターの質問に、ファリーマはふるふると首を振った。
「いや、全然」
「ブレイズは?」
「俺も、ぜーんぜん気づいて無かった…自分で気づきたかったな…」
しょんぼりしながらそう口にしたブレイズの頭を、ルセフはそっと優しく撫でている。
「ブレイズは、アキトとの再会に気を取られてたんだから仕方ないさ…ウォルターとファリーマはもう少ししっかりして欲しいけどな」
「あ、またブレイズだけ特別扱いかよ!」
「あーリーダーは、本当にブレイズにだけ甘いよなぁ」
「なー俺達には冷たいのになぁ」
「そうだよなー」
ウォルターとファリーマのわざとらしい拗ねた会話にも少しも怯まずに、ルセフはそれはもうにっこりと艶やかに笑ってみせた。この迫力と威圧感のある笑顔は、少しだけ冒険者ギルドのメロウに似てるな。
「年齢も冒険者歴も違うんだから、当然だろ」
他に何か言いたい事があるなら聞くぞと尋ねるルセフに、二人はうっと言葉に詰まった、
「あー分かったよ。次からはもっとちゃんと観察する」
「俺も」
「よし。そんなことよりお前ら、言うべき事があるだろ?」
「ああ」
「そうだな」
「うん!」
言うべき事?と二人揃って首を傾げたアキトと俺に、ルセフ達は四人ぞろってこちらに向き直った。
「「「「二人のこれからに祝福を!」」」」
さすがにパーティーというべきか、打合せもしてないのに四人の言葉はきっちりとすこしのズレも無くピタリと重なった。突然の言葉に驚いてみんなを見れば、そこには温かい目が並んでいた。
じわじわと嬉しさが湧き上がってくる。
「「ありがとう!」」
俺とアキトは顔を見合わせてから、満面の笑みを浮かべて答えた。
そんな事を考えながら周りを見渡していると、不意にルセフが俺とアキトの方を振り返った。
アキトと視線を合わたルセフは、ニヤリと笑みを浮かべた。まるで何か面白い悪戯を思いついたこどものような笑顔だ。
「まあでも、もしハルとアキトが一緒に組みたいっていうなら…俺達も譲るしかないけどなぁ?」
「え、なんで?ハルさんはアキトとずっと一緒なのに?」
不思議そうにそう尋ねたブレイズに、ルセフはあっさりと楽し気に答える。
「そりゃあ伴侶候補の二人の邪魔は…さすがに俺達にもできないだろう?」
笑いまじりのルセフの言葉にぴたりと動きを止めた全員の視線が、アキトと俺の腕に一気に集まった。
ああ、あの笑顔はそういうことか。俺はにっこりと満面の笑みを返してから、アキトの手をきゅっと握りしめた。そのまま繋いだままの手を持ち上げて、全員によく見えるようにとわざと見せつける。
俺とアキトは伴侶候補になったんだよと、俺はいつでも自慢したいんだからな。伴侶候補のお揃いの腕輪は、揺らめく焚火の火を反射してキラキラと輝いた。
「え、それって…?」
「え、おまえら、もう伴侶候補になったのか?」
びっくり顔で驚いているファリーマとウォルターの隣で、ブレイズはパアッと笑みを浮かべてから口を開いた。
「えー全然気づかなかった!アキト、ハルさん、おめでとう!」
「ああ、ありがとう、ブレイズ」
「ありがと」
照れくさそうにしながらもお礼を返すアキトは、本当に可愛い。ファリーマとウォルター、それにルセフからもしっかりと祝われてしまった。うん、やっぱりこうして祝ってもらえるのってのは、何度経験しても嬉しいものだな。
「おい、ルセフ。お前、いつから気づいてたんだ?」
ウォルターは怪訝そうな顔でそう尋ねているが、多分ルセフは俺達と再会してすぐに気づいていただろうな。まあ、ただの予想だが。ルセフはどちらかと言うと、俺に近いタイプだしな。こういうタイプは周りをよく観察して情報を集めてから、それを活用するものだ。
「アキトとハルに再会した時からだけど…?」
やっぱりなと頷いた俺とは違い、ウォルターは大きく目を見開いた。
「は?そんな前から?」
「あのな…お前らも、もっとちゃんと周りを観察する癖をつけろって普段から言ってるだろ?」
ああ、そうだな。依頼を達成するためにも、自分の身を守るためにも大事な事だ。ルセフは呆れた様子でウォルターを見かえすと、冷たい声でそう返している。
「俺だけかよ?ファリーマ、お前、気づいてたか?」
ウォルターの質問に、ファリーマはふるふると首を振った。
「いや、全然」
「ブレイズは?」
「俺も、ぜーんぜん気づいて無かった…自分で気づきたかったな…」
しょんぼりしながらそう口にしたブレイズの頭を、ルセフはそっと優しく撫でている。
「ブレイズは、アキトとの再会に気を取られてたんだから仕方ないさ…ウォルターとファリーマはもう少ししっかりして欲しいけどな」
「あ、またブレイズだけ特別扱いかよ!」
「あーリーダーは、本当にブレイズにだけ甘いよなぁ」
「なー俺達には冷たいのになぁ」
「そうだよなー」
ウォルターとファリーマのわざとらしい拗ねた会話にも少しも怯まずに、ルセフはそれはもうにっこりと艶やかに笑ってみせた。この迫力と威圧感のある笑顔は、少しだけ冒険者ギルドのメロウに似てるな。
「年齢も冒険者歴も違うんだから、当然だろ」
他に何か言いたい事があるなら聞くぞと尋ねるルセフに、二人はうっと言葉に詰まった、
「あー分かったよ。次からはもっとちゃんと観察する」
「俺も」
「よし。そんなことよりお前ら、言うべき事があるだろ?」
「ああ」
「そうだな」
「うん!」
言うべき事?と二人揃って首を傾げたアキトと俺に、ルセフ達は四人ぞろってこちらに向き直った。
「「「「二人のこれからに祝福を!」」」」
さすがにパーティーというべきか、打合せもしてないのに四人の言葉はきっちりとすこしのズレも無くピタリと重なった。突然の言葉に驚いてみんなを見れば、そこには温かい目が並んでいた。
じわじわと嬉しさが湧き上がってくる。
「「ありがとう!」」
俺とアキトは顔を見合わせてから、満面の笑みを浮かべて答えた。
あなたにおすすめの小説
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。
かざみはら まなか
BL
24歳の英雄公爵✕29歳の日本に帰りたい異世界転移した青年
料理の上手さを見込まれてモフモフ聖獣に育てられた俺は、剣も魔法も使えず、一人ではドラゴンくらいしか倒せないのに、聖女や剣聖たちから溺愛される
向原 行人
ファンタジー
母を早くに亡くし、男だらけの五人兄弟で家事の全てを任されていた長男の俺は、気付いたら異世界に転生していた。
アルフレッドという名の子供になっていたのだが、山奥に一人ぼっち。
普通に考えて、親に捨てられ死を待つだけという、とんでもないハードモード転生だったのだが、偶然通りかかった人の言葉を話す聖獣――白虎が現れ、俺を育ててくれた。
白虎は食べ物の獲り方を教えてくれたので、俺は前世で培った家事の腕を振るい、調理という形で恩を返す。
そんな毎日が十数年続き、俺がもうすぐ十六歳になるという所で、白虎からそろそろ人間の社会で生きる様にと言われてしまった。
剣も魔法も使えない俺は、少しだけ使える聖獣の力と家事能力しか取り柄が無いので、とりあえず異世界の定番である冒険者を目指す事に。
だが、この世界では職業学校を卒業しないと冒険者になれないのだとか。
おまけに聖獣の力を人前で使うと、恐れられて嫌われる……と。
俺は聖獣の力を使わずに、冒険者となる事が出来るのだろうか。
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
【完結】転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
拾われたのはたぶん僕です 〜ポンコツ魔法使いと騎士団の平和な大事件〜
ニア。
BL
崖から落ちただけなのに、騎士団長に拾われました。
真面目に生きてきた魔法使いモーネ。
ただ薬草を採ろうとして滑落しただけなのに、なぜか王国最強の騎士団長イグラムに連れて行かれ、騎士団で暮らすことに。
しかしこの魔法使い、少しだけ普通ではありません。
回復魔法を使えば何かが増え、
補助魔法を使えば騎士団が浮き、
気づけば庭はプリンになります。
——本人はちゃんとやっています。
巻き込まれる騎士団と、なぜか楽しそうな団長。
さらに弟子や王子、ドラゴンまで加わって、騎士団は今日も平和に大騒ぎ。
これは、ポンコツ魔法使いが真面目に頑張るたびに世界が少し壊れる、騒がしくて優しいファンタジーです。
田舎育ちの天然令息、姉様の嫌がった婚約を押し付けられるも同性との婚約に困惑。その上性別は絶対バレちゃいけないのに、即行でバレた!?
下菊みこと
BL
髪色が呪われた黒であったことから両親から疎まれ、隠居した父方の祖父母のいる田舎で育ったアリスティア・ベレニス・カサンドル。カサンドル侯爵家のご令息として恥ずかしくない教養を祖父母の教えの元身につけた…のだが、農作業の手伝いの方が貴族として過ごすより好き。
そんなアリスティア十八歳に急な婚約が持ち上がった。アリスティアの双子の姉、アナイス・セレスト・カサンドル。アリスティアとは違い金の御髪の彼女は侯爵家で大変かわいがられていた。そんなアナイスに、とある同盟国の公爵家の当主との婚約が持ちかけられたのだが、アナイスは婿を取ってカサンドル家を継ぎたいからと男であるアリスティアに婚約を押し付けてしまう。アリスティアとアナイスは髪色以外は見た目がそっくりで、アリスティアは田舎に引っ込んでいたためいけてしまった。
アリスは自分の性別がバレたらどうなるか、また自分の呪われた黒を見て相手はどう思うかと心配になった。そして顔合わせすることになったが、なんと公爵家の執事長に性別が即行でバレた。
公爵家には公爵と歳の離れた腹違いの弟がいる。前公爵の正妻との唯一の子である。公爵は、正当な継承権を持つ正妻の息子があまりにも幼く家を継げないため、妾腹でありながら爵位を継承したのだ。なので公爵の後を継ぐのはこの弟と決まっている。そのため公爵に必要なのは同盟国の有力貴族との縁のみ。嫁が子供を産む必要はない。
アリスティアが男であることがバレたら捨てられると思いきや、公爵の弟に懐かれたアリスティアは公爵に「家同士の婚姻という事実だけがあれば良い」と言われてそのまま公爵家で暮らすことになる。
一方婚約者、二十五歳のクロヴィス・シリル・ドナシアンは嫁に来たのが男で困惑。しかし可愛い弟と仲良くなるのが早かったのと弟について黙って結婚しようとしていた負い目でアリスティアを追い出す気になれず婚約を結ぶことに。
これはそんなクロヴィスとアリスティアが少しずつ近づいていき、本物の夫婦になるまでの記録である。
小説家になろう様でも2023年 03月07日 15時11分から投稿しています。