生まれつき幽霊が見える俺が異世界転移をしたら、精霊が見える人と誤解されています

根古川ゆい

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576.【ハル視点】ルセフ達の祝福

 喧嘩とまではいかないがどちらも譲らずに主張を続けている周りを、アキトは心配そうに見つめている。どうしようかなと不安そうな顔を見ていると、ぎゅっと抱きしめて大丈夫だよと言いたくなってくるな。

 そんな事を考えながら周りを見渡していると、不意にルセフが俺とアキトの方を振り返った。

 アキトと視線を合わたルセフは、ニヤリと笑みを浮かべた。まるで何か面白い悪戯を思いついたこどものような笑顔だ。

「まあでも、もしハルとアキトが一緒に組みたいっていうなら…俺達も譲るしかないけどなぁ?」
「え、なんで?ハルさんはアキトとずっと一緒なのに?」

 不思議そうにそう尋ねたブレイズに、ルセフはあっさりと楽し気に答える。

「そりゃあ伴侶候補の二人の邪魔は…さすがに俺達にもできないだろう?」

 笑いまじりのルセフの言葉にぴたりと動きを止めた全員の視線が、アキトと俺の腕に一気に集まった。

 ああ、あの笑顔はそういうことか。俺はにっこりと満面の笑みを返してから、アキトの手をきゅっと握りしめた。そのまま繋いだままの手を持ち上げて、全員によく見えるようにとわざと見せつける。

 俺とアキトは伴侶候補になったんだよと、俺はいつでも自慢したいんだからな。伴侶候補のお揃いの腕輪は、揺らめく焚火の火を反射してキラキラと輝いた。

「え、それって…?」
「え、おまえら、もう伴侶候補になったのか?」

 びっくり顔で驚いているファリーマとウォルターの隣で、ブレイズはパアッと笑みを浮かべてから口を開いた。

「えー全然気づかなかった!アキト、ハルさん、おめでとう!」
「ああ、ありがとう、ブレイズ」
「ありがと」

 照れくさそうにしながらもお礼を返すアキトは、本当に可愛い。ファリーマとウォルター、それにルセフからもしっかりと祝われてしまった。うん、やっぱりこうして祝ってもらえるのってのは、何度経験しても嬉しいものだな。

「おい、ルセフ。お前、いつから気づいてたんだ?」

 ウォルターは怪訝そうな顔でそう尋ねているが、多分ルセフは俺達と再会してすぐに気づいていただろうな。まあ、ただの予想だが。ルセフはどちらかと言うと、俺に近いタイプだしな。こういうタイプは周りをよく観察して情報を集めてから、それを活用するものだ。

「アキトとハルに再会した時からだけど…?」

 やっぱりなと頷いた俺とは違い、ウォルターは大きく目を見開いた。

「は?そんな前から?」
「あのな…お前らも、もっとちゃんと周りを観察する癖をつけろって普段から言ってるだろ?」

 ああ、そうだな。依頼を達成するためにも、自分の身を守るためにも大事な事だ。ルセフは呆れた様子でウォルターを見かえすと、冷たい声でそう返している。

「俺だけかよ?ファリーマ、お前、気づいてたか?」

 ウォルターの質問に、ファリーマはふるふると首を振った。

「いや、全然」
「ブレイズは?」
「俺も、ぜーんぜん気づいて無かった…自分で気づきたかったな…」

 しょんぼりしながらそう口にしたブレイズの頭を、ルセフはそっと優しく撫でている。

「ブレイズは、アキトとの再会に気を取られてたんだから仕方ないさ…ウォルターとファリーマはもう少ししっかりして欲しいけどな」
「あ、またブレイズだけ特別扱いかよ!」
「あーリーダーは、本当にブレイズにだけ甘いよなぁ」
「なー俺達には冷たいのになぁ」
「そうだよなー」

 ウォルターとファリーマのわざとらしい拗ねた会話にも少しも怯まずに、ルセフはそれはもうにっこりと艶やかに笑ってみせた。この迫力と威圧感のある笑顔は、少しだけ冒険者ギルドのメロウに似てるな。

「年齢も冒険者歴も違うんだから、当然だろ」

 他に何か言いたい事があるなら聞くぞと尋ねるルセフに、二人はうっと言葉に詰まった、

「あー分かったよ。次からはもっとちゃんと観察する」
「俺も」
「よし。そんなことよりお前ら、言うべき事があるだろ?」
「ああ」
「そうだな」
「うん!」

 言うべき事?と二人揃って首を傾げたアキトと俺に、ルセフ達は四人ぞろってこちらに向き直った。

「「「「二人のこれからに祝福を!」」」」

 さすがにパーティーというべきか、打合せもしてないのに四人の言葉はきっちりとすこしのズレも無くピタリと重なった。突然の言葉に驚いてみんなを見れば、そこには温かい目が並んでいた。

 じわじわと嬉しさが湧き上がってくる。

「「ありがとう!」」

 俺とアキトは顔を見合わせてから、満面の笑みを浮かべて答えた。
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