生まれつき幽霊が見える俺が異世界転移をしたら、精霊が見える人と誤解されています

根古川ゆい

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577.【ハル視点】見張りの順番

 やっぱり祝福の言葉っていうのは、嬉しいものだな。しかもアキトを可愛がっている人達から言われるのは特別だ。俺がアキトに相応しいと認めて貰えたんだなと思えば、じわじわと胸が温かくなってくる。

「よし、無事にお祝いの言葉も言えた事だし…見張り当番の話に戻すぞー」

 ルセフの仕切り直すための一言に、俺達は揃って頷いた。さすがはリーダーだなと感心していると、ルセフの視線が俺達の方へと向いた。

「とりあえず、まずはアキトとハル二人の意見を聞きたいな。今夜の見張り番で誰と組みたいかを言ってくれ」

 遠慮はしなくて良いからなと続けたルセフの言葉に、アキトは俺の方へとちらりと視線を向けた。うん、これはどうしようとか考えてるんだろうな。俺と一緒に見張りをしたい気持ちもあるけれど、みんなとも交流したいってところだろうか。

 もしここにアキトに下心があるような奴がいるなら絶対に譲る気は無いが、今回はその心配は無いからな。このままアキトを困らせたくは無いなと、俺は笑って口を開いた。

「そうだな。愛しの伴侶候補様と一緒に組みたい気持ちはもちろんあるが…俺はこれからもいつでも一緒にいられるんだから、ここはみんなに譲るよ」

 アキトは人気者だからねと俺は明るく笑って続けた。ルセフは意外そうに片眉をあげている。反応からして、俺が断るだろうと予想してたみたいだな。

「わ、ありがとう、ハルさん!」

 やったーと無邪気に喜ぶブレイズに、ファリーマはまだアキトと誰が組むかは決まってないんだからなと牽制の声をあげている。

「大人げないぞ、ファリーマ」
「うるさいな」

 ニヤニヤと笑いながら揶揄いだしたウォルターを、ファリーマは冷たい視線で睨みつけた。お前だって譲る気無いくせにと言い返している。

「アキトは?」
「あ、俺もその…もちろんハルと一緒にいたい気持ちもあるんですけど、でも、みんなと過ごす時間も大事にしたいなと思ってます」

 俺と一緒にいたい気持ちもあると断言してくれたアキトに、自然と笑みがこぼれてしまう。変な所で恥ずかしがりなアキトが、俺のために言葉にしてくれたんだよな。ああ、可愛いなぁ。

「さて、二人は離れても良いって言ってくれたけど…つまり話の最初に戻ったわけだが…」
「俺はアキトと組みたい!お土産交換!」
「俺もアキトが良い!魔法談義!」
「前衛の話とか戦術の話なんかをハルとしてぇな」
「ハルと情報交換がしたいな」

 ああ、確かに最初に戻ったな。これ以上待つのも面倒だから、口を挟ませてもらうか。

「それなんだけどな、さっきから考えてたんだが…見張り番の人数にこだわるのをやめて、3人ずつで組むっていうのはどうだろう?」

 俺の提案に、ウォルターが不思議そうに答えた。

「は、三人ずつで組むのか?」

 通常は二人で組むのが定番ではあるが、別に絶対に守るべき規則ってわけじゃないからな。ただそれが一番効率が良いと言うだけの話だ。

「ああ、担当する時間だけは伸びるけど、このまま平行線の話し合いをするよりは良いと思うんだ」
「あーうん、まあ確かに」

 ファリーマも納得してくれたのか、今はうんうんと頷いている。

「アキトとブレイズとファリーマでお土産交換と魔法談義、ルセフとウォルターと俺で前衛と戦術、それに情報交換でどうだろう?」

 みんなに見せるように指を折りながらそう説明すれば、ルセフをのぞく全員がなるほどと揃って納得の声をあげた。

「ルセフは反対か?」
「いや、俺も二人が離れる事を受け入れてくれるなら、そう提案しようかと思ってた所だ」

 だからこそ驚いてしまって黙ってしまったんだけどと、ルセフはあっさりと続けた。

「そうか、それじゃあ3人ずつで2組を作るってので決定だな」
「それで、どっちから見張りにする?」

 俺をじっと見つめながら、ルセフは不意にそう尋ねてきた。

「なんだ、俺が決めて良いのか?」
「ああ」
「いいよ」
「どうぞ」
「うん」

 全員が認めてくれるのか。俺に選択肢を委ねてもらえるなら、答えは一つだけだな。俺はアキトをじっと見つめながら、口を開いた。

「なあ、アキト。一つ聞いても良いかな?」
「うん、何でも聞いて?」
「今、眠かったりする?」

 よほど予想外の質問だったのか、え?と首を傾げたアキトは、何でそんな事を聞かれたのかと不思議そうだ。

「ううん」

 語尾にはてなマークがあるような答えだったが、とりあえず眠くは無いんだな。

「よし、じゃあアキトとブレイズとファリーマが先って事で頼む」

 全てはアキト次第だからな。そう思って答えれば、ルセフのチームメンバーからは生暖かい視線が向けられた。まあ、どんな目で見られても、アキトのためなら受け入れるさ。
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