生まれつき幽霊が見える俺が異世界転移をしたら、精霊が見える人と誤解されています

根古川ゆい

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584.【ハル視点】情報交換

「盾自体を使って攻撃をするのか…その発想は無かったな」
「ウォルター」
「どうしたルセフ?」
「直観で良いんだが…盾を使っての攻撃、お前はできると思うか?」

 そう尋ねるルセフは真剣な目だ。パーティーを率いるリーダーの顔だな。まあいざという時に盾を使っての攻撃ができるなら、パーティーの戦略も立ち回りも変わってくるから当然か。

「できる…と思う」

 すこし考えこみながらそう答えたウォルターは、危険な状況で盾を使った体当たり程度ならした事があるから多分なと続けた。

「あー、でもまあ絶対にできるって自信は無いから、実際にやってみたいな」
「訓練は大事だからな。いきなり強敵相手に実践なんて事はいくら俺でも言わないさ」

 盾の訓練を行うならどういう場所の依頼を選ぶべきか、魔物を相手にするならどの程度の強さ
の魔物を選ぶのが最善か。そんな会話が二人の間でぽんぽんと交わされていく。

「よし、じゃあ決まりだな」
「ああ、ファリーマとブレイズには明日話を通そう」

 どうやらこの依頼が終わったら、ルセフ達のパーティーは難易度低めの依頼を受けて盾の訓練を行う事に決まったみたいだ。確かに訓練は大事だな。

「ちなみに俺の知ってる盾使いは、盾自体も改造してたぞ」

 一応これも言っておかないとなと口を開けば、ウォルターはああなるほどとすぐに納得した。

「扱い方が変わるから、殴ったりするために改造するって事か」

 当たり前の事だが、盾は殴る事を想定して作られていないからな。うまく使わないと盾が変形してしまう可能性だってある。

「ああ、そうだ。盾の外周にあえて尖った装飾を足して攻撃力をあげるって奴もいれば、盾の外周だけを強度が上がるように材質から変えるって奴もいるぞ」
「ルセフ…?」
「ああ、盾の改造費用な。パーティー資金から出すのは良いが…ほどほどにしてくれよ」
「ああ、分かった」
「一応言っておくが、先に今の盾で訓練をしてから…だからな?」

 ルセフは慌てた様子で分かってるよなと続けた。もしどうしても盾を使っての攻撃が合わないなら、改造も必要が無くなるからな。

「分かってるって…あー早く試してみたいな」

 ギラギラと輝く目をしながら、ウォルターはぽつりとそう呟いた。伸び悩んでいたのを抜けられるかもと思えたなら良かった。

「ありがとうな、ハル」
「俺からもありがとう」
「どういたしまして」

 俺はにっこりと笑って二人の感謝の言葉を受け取った。



 少しずつ飲み続けていた花茶は、気づけばすっかり無くなってしまっていた。空になってしまったカップをそっと置いて、俺は魔導収納鞄から花茶の容器を取り出した。

「ルセフ、ウォルター。俺はもう一杯飲むけど花茶の追加はいるか?」
「ああ、頼む」
「ハル、俺も欲しい」

 即答で答えるなり、二人は揃ってカップを差し出してくる。俺の花茶を本当に気に入ってくれてるんだな。差し出されたカップにゆっくりと花茶を足しながら、俺はルセフにちらりと視線を向けた。

「それで?ルセフのしたかった情報交換ってのはどういう内容だったんだ?」

 何か今求めている情報があるのかと探りを入れれば、ルセフはすぐに笑って首を振った。

「ああ、特にこの情報が欲しいとかは無いんだが、ハルがトリク祭りで気になった事とかがあったら聞きたいなと思ってな」
「トリク祭りでか…」

 何かあったかなと考えていると、ルセフはすぐに自分が提供する情報を口にした。

「俺からは依頼で行った南地域の情報を出すつもりだ」
「そうか…それなら」

 情報交換は順調に進んでいった。俺がトリク祭りの日程の決め方の法則を話せば、それは知らなかったなと二人は驚いてくれた。これはメロウにも報告するつもりだと伝えれば、そうした方が良いと即答が返ってきた。

 俺の話を聞いたルセフは、南地域の領主間の対立について教えてくれた。相変わらずあそこの領主たちはいがみ合っているのか。

 呆れながらもトリク祭りで見つけた珍しい素材の話をすれば、ルセフは南の街で売り切れていた品の話をしてくれる。

 横から会話に参加してくれたウォルターも一緒になって、最終的には情報交換と言うよりもただの世間話になったような気がするが、充実した楽しい時間だった。
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