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608.【ハル視点】依頼のお誘い
冒険者ギルドへの報告は、結局クリス達にまかせる事に決まった。俺達も馬車で移動組なんだし体力はまだ残ってる。ギルドにも一緒に行こうか?とは聞いたんだがな、カーディさんに苦笑しながら断られた。
報告が終わったらクリスはすぐに店に戻って作業に入るから、と言うのがその理由だ。あの魔石、よっぽど早く加工したいんだろうな。
クリスは魔道具の研究となると他が見えなくなるから、間違いなく迷惑をかける。そう断言したカーディさんは、愛おしそうに目を細めて笑っている。愛されているな、クリス。
「今度はストファー魔道具店にも遊びに来てくれよな」
「うん、魔道具にも興味があるし、絶対行く!」
嬉しそうにアキトはカーディさんと約束を交わしている。
「ハルも、何かあればいつでも頼ってくださいよ?」
「ああ…俺は友人には遠慮なく頼るぞ」
良いんだなと尋ねれば、クリスはむしろ嬉しそうに笑って答えた。
「お待ちしてます」
クリスとカーディさんはこのまま冒険者ギルドへ向かうからと、あっさりと手を振って去っていった。
「ルセフ達はどうするんだ?」
「そうだな…今日はもうさすがに帰るか」
このところ依頼に次ぐ依頼だったから、パーティーメンバーで借りている家に帰ってのんびりと過ごしたいらしい。
とにかく寝たいよなと既に眠そうな表情のウォルターと、お腹減った…としょんぼりしているブレイズ。何故かその隣では、ファリーマが次の魔法の理論を考えたいと目を輝かせている。元気だな、ファリーマは。
「まったくそれは明日にしろよ、魔法馬鹿」
「えー…?でもさぁ、思いついた事があって…」
研究者気質というか、こういう奴は中々周りの説得には耳を貸さないんだよな。
「明日はパーティ全員休みにするからな。寝てから考えた方が効率が良いだろ」
「あー…それもそうか。うん、じゃあそうする!」
おお、やるな、ルセフ。効率を口にして意見を変えさせるとは。感心しながらちらりと視線を向ければ、ルセフからは疲れたような苦笑が返ってきた。ああ、これもいつもやってるやりとりなんだな。
「じゃあ、ここでお別れだね」
アキトはそう口にするなり、しょんぼりと明らかに寂しそうな表情を浮かべた。友人との別れだから無理も無いか。
「アキトーもうお別れなんて寂しいよー!」
「うわっ…!」
急にそんな事を叫びながら抱き着いたブレイズを、アキトは慌てて受け止めた。いや、受け止めようとした――だな。ブレイズの長身を支え切れずに後ろ向きに転びかけた所を、俺はそっと抱きとめた。
「ブレイズ―、お前自分とアキトの身長差考えろ!」
ウォルターはそう言いながら、俺に向かって悪いなと目くばせを送ってくる。別に心配しなくても、ブレイズに怒ったりしないぞ。何もせずにアキトをこけさせるつもりも無いしな。
「そうだぞ!体重だって全然違うんだからな!」
ファリーマの言葉に、アキトはむっと眉間にしわを寄せた。軽いとか華奢とか言われるのを、アキトは嫌がるんだよなぁ。その華奢さを羨ましいと思う奴もたくさんいると思うんだが。
明らかに拗ねてしまったアキトの背中を、俺はそっと優しく撫でた。撫でているうちに眉間のしわが目に見えて減っていくのが嬉しい。
「アキト。また会えたら声かけるからね!」
「うん!俺も声かけるね!」
元気にそう言い合っていたアキトとブレイズだったが、別れが寂しいのか気づけばそのまま二人揃ってうつむいてしまった。
「おいおい、二人してしょんぼりすんなよ!同じ街にいて、しかも同じ冒険者稼業だろう?また会えるさ」
「そうそう」
「今回だって、思ったよりも早く会えたしね」
「そうだよ、アキト」
口々にそう慰めれば、アキトとブレイズはくっついたままクスクスと笑い出した。
「あ、そうだ。ハルとアキトさえ良ければ、一緒に依頼を受けたりもしたいんだけど」
「えっ、依頼っ!」
嬉しそうに顔を上げたのに、アキトはルセフの言葉には何も答えずにじっと俺を見つめてきた。勝手に答えたら駄目だとか思ってるんだろうな。
「…ハル?」
恐る恐る俺の名前を呼ぶアキトに、俺は安心させるようににっこりと笑いながら答えた。
「ルセフ達のパーティーとなら、俺もぜひ参加してみたいよ」
面白そうだしと即答すれば、アキトはパァッと満面の笑顔を浮かべた。
「おっ、じゃあハルの戦いっぷりが近くで見れるって事か!」
「あ、アキトの魔法がまた見れる!?」
「うわー楽しみ!」
「あのな…期待させて悪いけど、そうすぐに良い依頼があるとは限らないからな?」
ルセフは苦笑しながらも、盛り上がる仲間たちをなだめている。分かってるってと返しているが、本当に分かってくれているかは怪しいな。
もし良さそうな依頼がなければ、一緒に討伐依頼を受けるとかでも良いんじゃないか?アキトはルセフ達と一緒に依頼って事に興味があるだけだろうしな。それならどこに行けば良いだろうか。何を狩るのが良いだろうか。
そんな計画をこっそりと立ててしまった。アキトが喜ぶなら、どっちでも良いな。
報告が終わったらクリスはすぐに店に戻って作業に入るから、と言うのがその理由だ。あの魔石、よっぽど早く加工したいんだろうな。
クリスは魔道具の研究となると他が見えなくなるから、間違いなく迷惑をかける。そう断言したカーディさんは、愛おしそうに目を細めて笑っている。愛されているな、クリス。
「今度はストファー魔道具店にも遊びに来てくれよな」
「うん、魔道具にも興味があるし、絶対行く!」
嬉しそうにアキトはカーディさんと約束を交わしている。
「ハルも、何かあればいつでも頼ってくださいよ?」
「ああ…俺は友人には遠慮なく頼るぞ」
良いんだなと尋ねれば、クリスはむしろ嬉しそうに笑って答えた。
「お待ちしてます」
クリスとカーディさんはこのまま冒険者ギルドへ向かうからと、あっさりと手を振って去っていった。
「ルセフ達はどうするんだ?」
「そうだな…今日はもうさすがに帰るか」
このところ依頼に次ぐ依頼だったから、パーティーメンバーで借りている家に帰ってのんびりと過ごしたいらしい。
とにかく寝たいよなと既に眠そうな表情のウォルターと、お腹減った…としょんぼりしているブレイズ。何故かその隣では、ファリーマが次の魔法の理論を考えたいと目を輝かせている。元気だな、ファリーマは。
「まったくそれは明日にしろよ、魔法馬鹿」
「えー…?でもさぁ、思いついた事があって…」
研究者気質というか、こういう奴は中々周りの説得には耳を貸さないんだよな。
「明日はパーティ全員休みにするからな。寝てから考えた方が効率が良いだろ」
「あー…それもそうか。うん、じゃあそうする!」
おお、やるな、ルセフ。効率を口にして意見を変えさせるとは。感心しながらちらりと視線を向ければ、ルセフからは疲れたような苦笑が返ってきた。ああ、これもいつもやってるやりとりなんだな。
「じゃあ、ここでお別れだね」
アキトはそう口にするなり、しょんぼりと明らかに寂しそうな表情を浮かべた。友人との別れだから無理も無いか。
「アキトーもうお別れなんて寂しいよー!」
「うわっ…!」
急にそんな事を叫びながら抱き着いたブレイズを、アキトは慌てて受け止めた。いや、受け止めようとした――だな。ブレイズの長身を支え切れずに後ろ向きに転びかけた所を、俺はそっと抱きとめた。
「ブレイズ―、お前自分とアキトの身長差考えろ!」
ウォルターはそう言いながら、俺に向かって悪いなと目くばせを送ってくる。別に心配しなくても、ブレイズに怒ったりしないぞ。何もせずにアキトをこけさせるつもりも無いしな。
「そうだぞ!体重だって全然違うんだからな!」
ファリーマの言葉に、アキトはむっと眉間にしわを寄せた。軽いとか華奢とか言われるのを、アキトは嫌がるんだよなぁ。その華奢さを羨ましいと思う奴もたくさんいると思うんだが。
明らかに拗ねてしまったアキトの背中を、俺はそっと優しく撫でた。撫でているうちに眉間のしわが目に見えて減っていくのが嬉しい。
「アキト。また会えたら声かけるからね!」
「うん!俺も声かけるね!」
元気にそう言い合っていたアキトとブレイズだったが、別れが寂しいのか気づけばそのまま二人揃ってうつむいてしまった。
「おいおい、二人してしょんぼりすんなよ!同じ街にいて、しかも同じ冒険者稼業だろう?また会えるさ」
「そうそう」
「今回だって、思ったよりも早く会えたしね」
「そうだよ、アキト」
口々にそう慰めれば、アキトとブレイズはくっついたままクスクスと笑い出した。
「あ、そうだ。ハルとアキトさえ良ければ、一緒に依頼を受けたりもしたいんだけど」
「えっ、依頼っ!」
嬉しそうに顔を上げたのに、アキトはルセフの言葉には何も答えずにじっと俺を見つめてきた。勝手に答えたら駄目だとか思ってるんだろうな。
「…ハル?」
恐る恐る俺の名前を呼ぶアキトに、俺は安心させるようににっこりと笑いながら答えた。
「ルセフ達のパーティーとなら、俺もぜひ参加してみたいよ」
面白そうだしと即答すれば、アキトはパァッと満面の笑顔を浮かべた。
「おっ、じゃあハルの戦いっぷりが近くで見れるって事か!」
「あ、アキトの魔法がまた見れる!?」
「うわー楽しみ!」
「あのな…期待させて悪いけど、そうすぐに良い依頼があるとは限らないからな?」
ルセフは苦笑しながらも、盛り上がる仲間たちをなだめている。分かってるってと返しているが、本当に分かってくれているかは怪しいな。
もし良さそうな依頼がなければ、一緒に討伐依頼を受けるとかでも良いんじゃないか?アキトはルセフ達と一緒に依頼って事に興味があるだけだろうしな。それならどこに行けば良いだろうか。何を狩るのが良いだろうか。
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