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619.スラテール商会へ
じっくりと考えながら選んだ俺達は、無事に会計を終わらせた。
俺とハル用にはお勧めされてた木の実のケーキと、白と茶色に…黒のキャラメルを購入したよ。
そう、黒のキャラメル買っちゃったんだよ。
あんな理由を聞いちゃったら、さすがに黒は恥ずかしいから止めてって言いたかったんだよ。言いたかったんだけど、駄目なのかってしょんぼりと肩を落としたハルに寂しそうに言われたら、俺に拒否できるわけがないんだよね。
やっぱり買っていいよっていったら一瞬で笑顔になってたけどね。あの笑顔が可愛かったから、俺の恥ずかしさぐらい我慢できる。
あ、もちろん今夜の食事会のための、差し入れ用お菓子もちゃんと選んだよ。
選択肢が多くてかなり悩んだけど、最終的に選ばれたのは淡いピンク色の生地に真っ白なアイシングが施された細長いケーキだった。
このケーキはかなり甘めらしいけど、このお店で一二を争うぐらい人気の商品なんだそうだ。ハルと店員さんいわく、薄目に切って食べるのがお勧めの食べ方なんだって。
「ありがとうございました、またお待ちしております」
店員さんの声に見送られながら店を出れば、ドアの横には遠くかでも目につきそうな派手な看板が立っていた。
「あ、看板出てるね」
「これがさっき言ってたやつ?」
「そうそう、今日は早く来て良かったね」
ハルとそんな話をしながら、それぞれの魔導収納鞄へと手分けして荷物を押し込んだ。
「よし、差し入れも買えたし、次行こうか?」
「うん、行こう!」
次の目的地は、スラテール商会のカルツさんの所だ。
街の北側に位置するスラテール商会に向かうには、いくつかの路地を通る必要があるらしい。ハルの説明によると大通りから向かう事もできるけど、そっちはかなりの遠回りになるんだって。
ハルの案内で歩く路地は、見た事のある場所もあれば初めてだと思う場所もあった。それぞれの道はぼんやり覚えていても、残念ながら頭の中で繋がってない感じだ。
トライプールに来たばかりの頃に比べたら俺もだいぶ道も覚えられるようになってきたと思うんだよね。今度トライプールの街をもっといっぱい歩いてみようかな。そんな事を考えながら、俺達はどんどん路地を通り抜けて行った。
ハルの案内で辿り着いたのは、ハルが生身を手に入れてからカルツさんと再会したスラテール商会横の小道だった。さすがに周りの人目があるとカルツさんと喋れないもんね。
もしここにいなかったらスラテール商会の中に買い物に行くしか無いなってハルと相談してたんだけど、カルツさんはそこにぽつりと佇んでいた。声をかけて良いかなと視線を向ければ、気配を探っていたハルは笑って頷いてくれた。
「こんにちは、カルツさん」
小声で声をかけると、カルツさんはバッとこちらを振り返った。
「おや、ハルさん、アキトさん。お久しぶりですね」
「お久しぶりです」
ぺこりと目礼したハルに、カルツさんも同じように目礼を返した。
「カルツさんは何してたんですか?」
「つい先ほどまで息子のネオルがここで商品の仕分けをしていたんですよ」
スラテール商会の製品は、太陽の光の下で仕分けをする方が違いが分かりやすいんだそうだ。天気が良い日にまとめて仕分けをするものなんですよと、カルツさんは穏やかな声で続けた。
「今日は何か用事があってこられたんですか?それとも通りすがりでしょうか?」
どこまでも穏やかな声で、カルツさんはそう尋ねてきた。
「今日はカルツさんに用事があって来ました」
「私に用でしたか…お聞きしますよ?」
柔らかい笑顔のカルツさんに、俺はすこし照れながらも口を開いた。
「あの、俺とハルが…伴侶候補になった事を報告したくて…」
「これが証拠です」
ハルは俺とつないだままの手を、カルツさんが見えやすいようにとくいっと持ち上げてみせた。
「おめでとうございます、お二人とも」
「あまり驚いていないな」
「ええ、お二人ならいずれと思っていましたから…それに…」
ふわりと笑ったカルツさんは、次の瞬間少し困ったように眉を下げた。
「すみません。実はお二人が伴侶候補になった事は既に知っていたんです」
俺とハル用にはお勧めされてた木の実のケーキと、白と茶色に…黒のキャラメルを購入したよ。
そう、黒のキャラメル買っちゃったんだよ。
あんな理由を聞いちゃったら、さすがに黒は恥ずかしいから止めてって言いたかったんだよ。言いたかったんだけど、駄目なのかってしょんぼりと肩を落としたハルに寂しそうに言われたら、俺に拒否できるわけがないんだよね。
やっぱり買っていいよっていったら一瞬で笑顔になってたけどね。あの笑顔が可愛かったから、俺の恥ずかしさぐらい我慢できる。
あ、もちろん今夜の食事会のための、差し入れ用お菓子もちゃんと選んだよ。
選択肢が多くてかなり悩んだけど、最終的に選ばれたのは淡いピンク色の生地に真っ白なアイシングが施された細長いケーキだった。
このケーキはかなり甘めらしいけど、このお店で一二を争うぐらい人気の商品なんだそうだ。ハルと店員さんいわく、薄目に切って食べるのがお勧めの食べ方なんだって。
「ありがとうございました、またお待ちしております」
店員さんの声に見送られながら店を出れば、ドアの横には遠くかでも目につきそうな派手な看板が立っていた。
「あ、看板出てるね」
「これがさっき言ってたやつ?」
「そうそう、今日は早く来て良かったね」
ハルとそんな話をしながら、それぞれの魔導収納鞄へと手分けして荷物を押し込んだ。
「よし、差し入れも買えたし、次行こうか?」
「うん、行こう!」
次の目的地は、スラテール商会のカルツさんの所だ。
街の北側に位置するスラテール商会に向かうには、いくつかの路地を通る必要があるらしい。ハルの説明によると大通りから向かう事もできるけど、そっちはかなりの遠回りになるんだって。
ハルの案内で歩く路地は、見た事のある場所もあれば初めてだと思う場所もあった。それぞれの道はぼんやり覚えていても、残念ながら頭の中で繋がってない感じだ。
トライプールに来たばかりの頃に比べたら俺もだいぶ道も覚えられるようになってきたと思うんだよね。今度トライプールの街をもっといっぱい歩いてみようかな。そんな事を考えながら、俺達はどんどん路地を通り抜けて行った。
ハルの案内で辿り着いたのは、ハルが生身を手に入れてからカルツさんと再会したスラテール商会横の小道だった。さすがに周りの人目があるとカルツさんと喋れないもんね。
もしここにいなかったらスラテール商会の中に買い物に行くしか無いなってハルと相談してたんだけど、カルツさんはそこにぽつりと佇んでいた。声をかけて良いかなと視線を向ければ、気配を探っていたハルは笑って頷いてくれた。
「こんにちは、カルツさん」
小声で声をかけると、カルツさんはバッとこちらを振り返った。
「おや、ハルさん、アキトさん。お久しぶりですね」
「お久しぶりです」
ぺこりと目礼したハルに、カルツさんも同じように目礼を返した。
「カルツさんは何してたんですか?」
「つい先ほどまで息子のネオルがここで商品の仕分けをしていたんですよ」
スラテール商会の製品は、太陽の光の下で仕分けをする方が違いが分かりやすいんだそうだ。天気が良い日にまとめて仕分けをするものなんですよと、カルツさんは穏やかな声で続けた。
「今日は何か用事があってこられたんですか?それとも通りすがりでしょうか?」
どこまでも穏やかな声で、カルツさんはそう尋ねてきた。
「今日はカルツさんに用事があって来ました」
「私に用でしたか…お聞きしますよ?」
柔らかい笑顔のカルツさんに、俺はすこし照れながらも口を開いた。
「あの、俺とハルが…伴侶候補になった事を報告したくて…」
「これが証拠です」
ハルは俺とつないだままの手を、カルツさんが見えやすいようにとくいっと持ち上げてみせた。
「おめでとうございます、お二人とも」
「あまり驚いていないな」
「ええ、お二人ならいずれと思っていましたから…それに…」
ふわりと笑ったカルツさんは、次の瞬間少し困ったように眉を下げた。
「すみません。実はお二人が伴侶候補になった事は既に知っていたんです」
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