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695.メロウさんの質問
目に見えて肩を落としたメロウさんの反応に、さすがのハルもすこし申し訳なさそうにしながら口を開いた。
「あー…うん。それは…俺が悪かったな」
「いえ…勝手に勘違いしたのは私ですから。こちらこそすみません。ファーレスウルフの素材を冒険者ギルドに引き取らせて頂けるなら、それで問題はありません」
気持ちを切り替えたのかすっと背筋を伸ばしたメロウさんは、では後ほどファーレスウルフを解体所にお願いしますと続けた。
少しだけ耳が赤かったのは、俺もハルももちろん指摘なんてしなかったよ。
「それでは、そろそろ次のお話を始めて良いでしょうか」
「次の話…?」
ハルの不思議そうな声を聞きながら、俺も一緒になって首を傾げた。
護衛依頼の達成報酬と、手に入れた素材の引き取りについてのやりとりは終わったし…他に何かあったっけ?
「他に何かあったか?」
「これは冒険者ギルドの一員としての話というわけではなく、ただの個人的な疑問なんですが、お二人にいくつか質問をしても良いですか?」
「ああ、もちろんだ」
むしろ気になるから早く言ってくれと急かすハルを綺麗に無視して、メロウさんは俺に視線を向けた。
「アキトさんもよろしいですか?」
「ええ、何でしょう?」
「お二人は…伴侶候補になったんですか?」
そう言ったメロウさんは、今はテーブルの下になっているから見えない筈の俺達の腕輪にちらりと視線を向けた。
うわーさすがメロウさんだな。今は全く見えないって事は、受付カウンターに行った時点で気づいたのかな。それともこの部屋に来るまでの移動中に気づいていたんだろうか。
「はい!」
「ああ、伴侶候補になった」
そう言ってハルと二人で伴侶候補の腕輪を見せれば、メロウさんはやっぱりそうでしたかとひとつ頷いてから続けた。
「アキトさん、質問しても良いですか?」
「はい、メロウさんの質問なら喜んで」
少しも悩まずに即答した俺に、メロウさんは一瞬だけ嬉しそうに笑みを浮かべてから、一転して真剣な表情で俺を見つめながら口を開いた。
「アキトさんは本当にこの人で良かったんですか?」
「おい、いきなりなんて事を聞くんだ。やめてくれ!」
慌てて口を挟んだハルを綺麗に無視して、メロウさんはさらりと続ける。
「お互いに納得して伴侶候補になったなら、何の問題も無い質問でしょう?」
「いや、まあそうなんだが…」
「アキトさんなら、他にも選択肢はたくさんあったと思うんです」
他にも選択肢がたくさんあった…か。それについてはよく分からないけど、こんなに好きになれる相手なんてそうそういるわけが無いと、俺はそう思う。
ハルに出会えた事も、幽霊から生身の人間になった事も、俺の事を好きになってくれた事も、全てが奇跡のような出来事だ。
もし万が一メロウさんのいう他の選択肢なんてものがあったとしても、俺の答えはもう決まってる。
「選択肢とかはよく分からないんですけど…俺が、ハルが良いんです。ハルじゃないと駄目なんです」
自分がこんなに誰かを好きになれるとは、正直に言えば思ってなかった。いや、むしろ俺には無理だと思ってた気がするな。
ハルは普段から頼りになって強くて格好良いけど、意外にもこどもっぽい所もあったりするんだよね。そういう所は本当に可愛いなってしみじみ思う。いつでも俺を信じてくれるし、いつでも俺を気づかってくれてる。
毎日、毎日、ハルへの気持ちはどんどん膨らんでいくんだ。こんな相手なかなかいないよ。
まっすぐにメロウさんの目を見返しながら、俺は今の素直な気持ちを答えた。ここは恥ずかしいとか照れるとか言ってる場合じゃないなと思ったから。
メロウさんは俺の言葉を最後まで聞くと、不意にふわりと笑みを浮かべた。さっきまでの固い表情から一転して、本当に嬉しそうな笑みだった。
「アキトさん、良い覚悟ですね。伴侶候補おめでとうございます」
「ありがとうございます」
なるほど。メロウさんは俺の覚悟を知りたくてわざと選択肢がどうとかいう聞き方をしたのか。たぶん聞かずにはいられなかったんだろうな。
ハルはそう簡単には認めてくれなさそうだけど、メロウさんも良い友人なんだな。
「ハルさんも、伴侶候補おめでとうございます」
「ああ、ありがとう、メロウ」
「どういたしまして」
「あー…うん。それは…俺が悪かったな」
「いえ…勝手に勘違いしたのは私ですから。こちらこそすみません。ファーレスウルフの素材を冒険者ギルドに引き取らせて頂けるなら、それで問題はありません」
気持ちを切り替えたのかすっと背筋を伸ばしたメロウさんは、では後ほどファーレスウルフを解体所にお願いしますと続けた。
少しだけ耳が赤かったのは、俺もハルももちろん指摘なんてしなかったよ。
「それでは、そろそろ次のお話を始めて良いでしょうか」
「次の話…?」
ハルの不思議そうな声を聞きながら、俺も一緒になって首を傾げた。
護衛依頼の達成報酬と、手に入れた素材の引き取りについてのやりとりは終わったし…他に何かあったっけ?
「他に何かあったか?」
「これは冒険者ギルドの一員としての話というわけではなく、ただの個人的な疑問なんですが、お二人にいくつか質問をしても良いですか?」
「ああ、もちろんだ」
むしろ気になるから早く言ってくれと急かすハルを綺麗に無視して、メロウさんは俺に視線を向けた。
「アキトさんもよろしいですか?」
「ええ、何でしょう?」
「お二人は…伴侶候補になったんですか?」
そう言ったメロウさんは、今はテーブルの下になっているから見えない筈の俺達の腕輪にちらりと視線を向けた。
うわーさすがメロウさんだな。今は全く見えないって事は、受付カウンターに行った時点で気づいたのかな。それともこの部屋に来るまでの移動中に気づいていたんだろうか。
「はい!」
「ああ、伴侶候補になった」
そう言ってハルと二人で伴侶候補の腕輪を見せれば、メロウさんはやっぱりそうでしたかとひとつ頷いてから続けた。
「アキトさん、質問しても良いですか?」
「はい、メロウさんの質問なら喜んで」
少しも悩まずに即答した俺に、メロウさんは一瞬だけ嬉しそうに笑みを浮かべてから、一転して真剣な表情で俺を見つめながら口を開いた。
「アキトさんは本当にこの人で良かったんですか?」
「おい、いきなりなんて事を聞くんだ。やめてくれ!」
慌てて口を挟んだハルを綺麗に無視して、メロウさんはさらりと続ける。
「お互いに納得して伴侶候補になったなら、何の問題も無い質問でしょう?」
「いや、まあそうなんだが…」
「アキトさんなら、他にも選択肢はたくさんあったと思うんです」
他にも選択肢がたくさんあった…か。それについてはよく分からないけど、こんなに好きになれる相手なんてそうそういるわけが無いと、俺はそう思う。
ハルに出会えた事も、幽霊から生身の人間になった事も、俺の事を好きになってくれた事も、全てが奇跡のような出来事だ。
もし万が一メロウさんのいう他の選択肢なんてものがあったとしても、俺の答えはもう決まってる。
「選択肢とかはよく分からないんですけど…俺が、ハルが良いんです。ハルじゃないと駄目なんです」
自分がこんなに誰かを好きになれるとは、正直に言えば思ってなかった。いや、むしろ俺には無理だと思ってた気がするな。
ハルは普段から頼りになって強くて格好良いけど、意外にもこどもっぽい所もあったりするんだよね。そういう所は本当に可愛いなってしみじみ思う。いつでも俺を信じてくれるし、いつでも俺を気づかってくれてる。
毎日、毎日、ハルへの気持ちはどんどん膨らんでいくんだ。こんな相手なかなかいないよ。
まっすぐにメロウさんの目を見返しながら、俺は今の素直な気持ちを答えた。ここは恥ずかしいとか照れるとか言ってる場合じゃないなと思ったから。
メロウさんは俺の言葉を最後まで聞くと、不意にふわりと笑みを浮かべた。さっきまでの固い表情から一転して、本当に嬉しそうな笑みだった。
「アキトさん、良い覚悟ですね。伴侶候補おめでとうございます」
「ありがとうございます」
なるほど。メロウさんは俺の覚悟を知りたくてわざと選択肢がどうとかいう聞き方をしたのか。たぶん聞かずにはいられなかったんだろうな。
ハルはそう簡単には認めてくれなさそうだけど、メロウさんも良い友人なんだな。
「ハルさんも、伴侶候補おめでとうございます」
「ああ、ありがとう、メロウ」
「どういたしまして」
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