708 / 1,561
707.ハルの本音
ゆっくりとこちらを振り返ったハルは、俺の真っ赤な顔を見るなり大きく目を見開いて固まった。
うん、まあついさっきまで普通に会話してた相手が、何の前触れもなくこんなに真っ赤になってたらそりゃあ慌てるよね。
頭の中の妙に冷静な部分で、そんな事を考えた。
「え、アキト、どうしたの?大丈夫?さっきまでは元気だったし、ご飯もちゃんと食べれてたのけど…急に具合が悪くなったりした?もしかして急に熱でも出たのかな」
我に返ったハルは、早口で喋りながら一気に俺に近づいてきた。
心配そうに覗き込んできたハルの手が、俺の頬に優しく伸ばされる。手のひら全体で俺の頬にそっと触れると、ハルは眉間にしわを寄せてぼそりと呟いた。
「うん、かなり熱いね。やっぱり熱かな…」
心配してくれているのが、その指先や表情からひしひしと伝わってくる。
もちろん頬が熱いのは熱があるとか体調が悪いとかじゃなくて、ただ顔から火が出そうなぐらい恥ずかしいせいだ。自分が昨日の夜にしでかしてた事を何故か急に思い出しちゃったせいで、今は恥ずかしさとハルへの申し訳なさでいっぱいってだけだから。
できる事なら誤魔化して隠れたい気分だ。
今の俺の状況を説明するなら、こんな所かな。これをそのまま伝えれば、きっと誤解が解けるっていうのは分かってるんだけど、さすがにこれはちょっと言い難いよね。
いっそこのまま体調不良と言う事にしたらと一瞬だけよぎった考えを、俺はぶんぶんと首を振って振り払った。本気で心配してくれてるハルに、そんなひどい事はできないし、したくない。
急に首を振った俺を心配そうに見つめているハルを見返して、覚悟を決めてから口を開いた。
「あの、大丈夫だよ。別に具合が悪いとかじゃない…から…」
そこまで言ってから、さてここからどう説明すれば良いのかと思わず考えこんでしまった俺を、ハルは頬に手を触れたまままじまじと見つめてくる。
少しだけ考えてからハルはゆっくりと口を開いた。
「あー…アキト、もしかして昨夜の事、思い出したの?」
察しの良いハルならきっと自力で俺の頬が赤い理由に気づいちゃうんだろうなーとは思ってたけど、まさかここまで早いとはさすがに思ってなかった。心の準備も出来てないんだけどと思いながらも、俺はコクリとひとつ頷いた。
「そうか、それで恥ずかしくてそんな風に…」
そこで言葉を切ると、ハルはふふっと楽しそうに小さく笑った。動揺してる俺を馬鹿にしてるとか、揶揄ってるとかそんな笑顔ってわけじゃない。まるで愛おしいと告げられているような、大事な宝物を見つめるようなそんな笑顔だった。
蕩けるような甘い笑顔に思わず見惚れてしまった俺に、ハルはそっと顔を近づけてきた。
「…かわいいね、アキト」
耳元で甘く囁いてくるハルに、俺はぐっと息をのんだ。
ちょっとだけ頬の熱さがマシになってきたかなーとか思ってたのに、今のでまた真っ赤に逆戻りだよ。
ただでさえ格好良い王子様みたいな顔をしたハルに、蕩けるような笑顔を見せられた上に、かわいいねと囁かれたら頬が熱くなるのも仕方ないと思わない?
「普段が格好良いのに、こういう時は可愛いんだから…たまらない」
駄目押しのように更にそう囁いてくるハルに、俺はううと小さく呻いた。大人の色気を乗せて囁くのはやめて欲しい。俺の心臓がもたない。
そーっと視線を上げてみれば、ハルはいつも通りの優しい笑みで俺を見つめていた。
「あの…俺、昨日ひどかったよね」
「ひどかった…かな?」
酔っぱらって勝手にストリップを始めて、ディープキスしたのまではまあ良いんだ。本当は良くないし恥ずかしいんだけど、相手がハルだから良い。
でも誘惑しといて寝落ちは駄目だろう。
しかも律儀におやすみとか言った記憶が、うっすらとあるんだよ。
ハルに誘惑されて、そういう事するのかなってその気になったタイミングで、寝落ちされたら絶対ショックだと思うんだよ。
「俺、恥ずかしい事…した後、勝手に寝落ちしたし」
「ああ、それが気になってたのか」
「うん…呆れたかなーって」
「呆れては無いよ」
ハルはあっさりとそう断言すると、むしろあそこで寝落ちしてなかったらきっと手を出してたから寝落ちして良かったんだよなんて言ってくれた。
ちょっと人が出来すぎてない?
「ああ、あと本音を言うとね」
「うん」
やっと本音を教えてくれるのか。どんな本音でも受け止めるよと覚悟を決めた俺に、ハルは満面の笑顔で続けた。
「アキトが誘惑しながら脱いでいくのを見るのは、結構嬉しかったな」
うん、まあついさっきまで普通に会話してた相手が、何の前触れもなくこんなに真っ赤になってたらそりゃあ慌てるよね。
頭の中の妙に冷静な部分で、そんな事を考えた。
「え、アキト、どうしたの?大丈夫?さっきまでは元気だったし、ご飯もちゃんと食べれてたのけど…急に具合が悪くなったりした?もしかして急に熱でも出たのかな」
我に返ったハルは、早口で喋りながら一気に俺に近づいてきた。
心配そうに覗き込んできたハルの手が、俺の頬に優しく伸ばされる。手のひら全体で俺の頬にそっと触れると、ハルは眉間にしわを寄せてぼそりと呟いた。
「うん、かなり熱いね。やっぱり熱かな…」
心配してくれているのが、その指先や表情からひしひしと伝わってくる。
もちろん頬が熱いのは熱があるとか体調が悪いとかじゃなくて、ただ顔から火が出そうなぐらい恥ずかしいせいだ。自分が昨日の夜にしでかしてた事を何故か急に思い出しちゃったせいで、今は恥ずかしさとハルへの申し訳なさでいっぱいってだけだから。
できる事なら誤魔化して隠れたい気分だ。
今の俺の状況を説明するなら、こんな所かな。これをそのまま伝えれば、きっと誤解が解けるっていうのは分かってるんだけど、さすがにこれはちょっと言い難いよね。
いっそこのまま体調不良と言う事にしたらと一瞬だけよぎった考えを、俺はぶんぶんと首を振って振り払った。本気で心配してくれてるハルに、そんなひどい事はできないし、したくない。
急に首を振った俺を心配そうに見つめているハルを見返して、覚悟を決めてから口を開いた。
「あの、大丈夫だよ。別に具合が悪いとかじゃない…から…」
そこまで言ってから、さてここからどう説明すれば良いのかと思わず考えこんでしまった俺を、ハルは頬に手を触れたまままじまじと見つめてくる。
少しだけ考えてからハルはゆっくりと口を開いた。
「あー…アキト、もしかして昨夜の事、思い出したの?」
察しの良いハルならきっと自力で俺の頬が赤い理由に気づいちゃうんだろうなーとは思ってたけど、まさかここまで早いとはさすがに思ってなかった。心の準備も出来てないんだけどと思いながらも、俺はコクリとひとつ頷いた。
「そうか、それで恥ずかしくてそんな風に…」
そこで言葉を切ると、ハルはふふっと楽しそうに小さく笑った。動揺してる俺を馬鹿にしてるとか、揶揄ってるとかそんな笑顔ってわけじゃない。まるで愛おしいと告げられているような、大事な宝物を見つめるようなそんな笑顔だった。
蕩けるような甘い笑顔に思わず見惚れてしまった俺に、ハルはそっと顔を近づけてきた。
「…かわいいね、アキト」
耳元で甘く囁いてくるハルに、俺はぐっと息をのんだ。
ちょっとだけ頬の熱さがマシになってきたかなーとか思ってたのに、今のでまた真っ赤に逆戻りだよ。
ただでさえ格好良い王子様みたいな顔をしたハルに、蕩けるような笑顔を見せられた上に、かわいいねと囁かれたら頬が熱くなるのも仕方ないと思わない?
「普段が格好良いのに、こういう時は可愛いんだから…たまらない」
駄目押しのように更にそう囁いてくるハルに、俺はううと小さく呻いた。大人の色気を乗せて囁くのはやめて欲しい。俺の心臓がもたない。
そーっと視線を上げてみれば、ハルはいつも通りの優しい笑みで俺を見つめていた。
「あの…俺、昨日ひどかったよね」
「ひどかった…かな?」
酔っぱらって勝手にストリップを始めて、ディープキスしたのまではまあ良いんだ。本当は良くないし恥ずかしいんだけど、相手がハルだから良い。
でも誘惑しといて寝落ちは駄目だろう。
しかも律儀におやすみとか言った記憶が、うっすらとあるんだよ。
ハルに誘惑されて、そういう事するのかなってその気になったタイミングで、寝落ちされたら絶対ショックだと思うんだよ。
「俺、恥ずかしい事…した後、勝手に寝落ちしたし」
「ああ、それが気になってたのか」
「うん…呆れたかなーって」
「呆れては無いよ」
ハルはあっさりとそう断言すると、むしろあそこで寝落ちしてなかったらきっと手を出してたから寝落ちして良かったんだよなんて言ってくれた。
ちょっと人が出来すぎてない?
「ああ、あと本音を言うとね」
「うん」
やっと本音を教えてくれるのか。どんな本音でも受け止めるよと覚悟を決めた俺に、ハルは満面の笑顔で続けた。
「アキトが誘惑しながら脱いでいくのを見るのは、結構嬉しかったな」
あなたにおすすめの小説
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
料理の上手さを見込まれてモフモフ聖獣に育てられた俺は、剣も魔法も使えず、一人ではドラゴンくらいしか倒せないのに、聖女や剣聖たちから溺愛される
向原 行人
ファンタジー
母を早くに亡くし、男だらけの五人兄弟で家事の全てを任されていた長男の俺は、気付いたら異世界に転生していた。
アルフレッドという名の子供になっていたのだが、山奥に一人ぼっち。
普通に考えて、親に捨てられ死を待つだけという、とんでもないハードモード転生だったのだが、偶然通りかかった人の言葉を話す聖獣――白虎が現れ、俺を育ててくれた。
白虎は食べ物の獲り方を教えてくれたので、俺は前世で培った家事の腕を振るい、調理という形で恩を返す。
そんな毎日が十数年続き、俺がもうすぐ十六歳になるという所で、白虎からそろそろ人間の社会で生きる様にと言われてしまった。
剣も魔法も使えない俺は、少しだけ使える聖獣の力と家事能力しか取り柄が無いので、とりあえず異世界の定番である冒険者を目指す事に。
だが、この世界では職業学校を卒業しないと冒険者になれないのだとか。
おまけに聖獣の力を人前で使うと、恐れられて嫌われる……と。
俺は聖獣の力を使わずに、冒険者となる事が出来るのだろうか。
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
【完結】転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
拾われたのはたぶん僕です 〜ポンコツ魔法使いと騎士団の平和な大事件〜
ニア。
BL
崖から落ちただけなのに、騎士団長に拾われました。
真面目に生きてきた魔法使いモーネ。
ただ薬草を採ろうとして滑落しただけなのに、なぜか王国最強の騎士団長イグラムに連れて行かれ、騎士団で暮らすことに。
しかしこの魔法使い、少しだけ普通ではありません。
回復魔法を使えば何かが増え、
補助魔法を使えば騎士団が浮き、
気づけば庭はプリンになります。
——本人はちゃんとやっています。
巻き込まれる騎士団と、なぜか楽しそうな団長。
さらに弟子や王子、ドラゴンまで加わって、騎士団は今日も平和に大騒ぎ。
これは、ポンコツ魔法使いが真面目に頑張るたびに世界が少し壊れる、騒がしくて優しいファンタジーです。
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
美形×平凡の子供の話
めちゅう
BL
美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか?
──────────────────
お読みくださりありがとうございます。
お楽しみいただけましたら幸いです。
お話を追加いたしました。
BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください
わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。
まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!?
悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。