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758.【ハル視点】ルセフ達パーティーの家
そっと両手で口を押さえて固まったウォルターとファリーマを見て、ブレイズもぴたりとその場で動きを止めた。
自分に怒ってるわけではないと分かってはいても、反射的に止まってしまったんだろうな。その反応も仕方ないと思うぐらいには、ルセフの怒り方に迫力があったからな。
ふと視線を動かしてみれば、何故かアキトまで口を押さえて固まっているのが目に止まった。ブレイズの警戒っぷりを見て一緒に動いてしまったんだろうが、なんとも可愛い反応だ。
「あー驚かせて悪かったな」
俺の視線の先を目で追ったルセフは、アキトの反応をちらりと見てから申し訳なさそうにそう呟いた。
「いや、気にするな」
急に来て悪かったなと普段通りに答えた俺に、ルセフはホッとしたようにうっすらと笑みを浮かべた。
なんだ、俺がアキトを怯えさせるなと怒るとでも思っていたのか?アキトはびっくりしただけで怯えてるわけじゃないぞ。
そう視線だけで訴える俺に、ルセフはふうとひとつ息を吐いた。
「…それで、二人は何か用事があってきたんだよな?」
ルセフは仕切りなおすようにそう尋ねてきた。
「ああ、ちょっと報告しておきたい事があってな」
「そうか…もし二人さえ良ければ、中に入って話しをしないか?」
「いいのか?」
「いいんですか?」
思わず綺麗に声を重ねたアキトと俺に、ルセフは相変わらず二人は仲が良いなと楽し気に笑った。さらりとさすが伴侶候補と続けられた言葉に、ついつい笑みがこぼれてしまう。
「家に入った方が近所迷惑じゃないしな…報告がどんな内容だとしても、こいつらは絶対また叫ぶから」
賭けても良いと苦笑したルセフは、反射的に言い返そうと口を開きかけたウォルターをじろりと睨みつけた。
へぇ、ルセフは視線だけで牽制するのもうまいんだな。感心しながら見つめていると、ルセフは俺達に向かって笑いかけてきた。
「まあ、とりあえず入ってくれ」
パーティー全員で住んでいるという家の外観は、温かみのある可愛らしい作りの一軒家だった。さっきも思ったんだが、どこからどうみても男四人の冒険者が住んでいる家には見えない。実際この辺りはあまり冒険者が住む地域じゃないしな。
おそらくあの黒酒の酒店のオーナーかその親あたりが住んでいた家なんだろう。周りには普通の店や一般市民の家が多いようだ。
全員でぞろぞろと家の中に足を勧めれば、玄関には装備を置くための広い棚が設置されていた。黒鷹亭にもあるが、冒険者にはどうしても必要な家具だからな。
「悪い、ハル。鍵頼む」
ルセフの声かけに、俺はかちゃりと音を立てて鍵を閉めた。
「この家、防音結界が付いてるのか」
しかもかなり高性能なものだな。一般の家にここまでのものは珍しいなと視線を向ければ、ルセフは分かりやすく苦笑を洩らした。
「ああ、主にうるさい奴らのためにな。よーし、お前ら、喋って良いぞ」
「あー疲れた!って誰がうるさい奴らだよ!」
盛大に叫んだウォルターは、ガチャガチャと音を立てながら鎧を外し始めている。
「間違いなくお前がうるさい奴だよ!後ファリーマ!」
「えー俺ウォルターよりはだいぶ静かだと思うんだけどな…」
そう言い返しながらも、ファリーマは床に直接座り込んでしまった。
「あー…無事に帰り着いた…な…」
なんだか今日はかなり疲れてるようだ。
「悪いな、ちょっとだけ待っててくれ、ハル、アキト」
「ああ、俺達の事は気にするな」
律儀に俺達を気にして声をかけてくれるルセフに、俺は笑って手を振った。冒険者が装備を解除するのに、時間がかかるのは当然だ。
そう思ってアキトと笑い合っていると、不意に後ろから声がかかった。
「アキト!」
「ブレイズ!」
「せっかく来てくれたのにバタバタしててごめんね。数日かけた依頼がやっと終わって帰ってきたばっかりなんだ」
そう言いながら、ブレイズは慣れた手つきで装備を解除していく。
「え、俺達、よりによってそんな時に来ちゃったの…?」
「ううん。依頼前だったら話す時間もなかったかもだし、一番良い時に来てくれたよ!」
ブレイズは明るくそう言うと、俺も装備置いてくるから待っててーと元気に去っていった。アキトが気にしないようにきちんと言葉をかけてから移動しているのが、ブレイズらしいな。ブレイズは優しい良い子だ…って、こども扱いしてるのがバレたら怒られるだろうか。
「今日もいっぱい動いたなぁ」
装備を全て外したウォルターは、ぐいーっと伸びをしてからまだ座りこんでいるファリーマに視線を向けた。
「なあ、ファリーマ、俺の全身に浄化魔法かけてくれよ」
「えー今日は疲れてるから無理だよ…」
そもそも魔法使いまくってたの見てただろうがとファリーマは、珍しくそうぼやいている。魔法が使えるならっていつものこいつなら嬉々として使うだろうに、よほど疲れているんだな。
「あ、浄化魔法なら俺がかけましょうか?」
「いや、アキトそれはさすがに悪いから」
二人のやりとりをのんびりと眺めていたルセフは、アキトの提案に慌てた様子で口を挟んだ。
「え、でもファリーマさんも疲れてるみたいだし……ね。ハル、駄目?」
そこで俺に向かって上目遣いで聞いてくるんだね、アキトは。まあ可愛いからどんどんやって欲しいくらいだけど。
「うん、まあアキトがしたいなら別に良いんじゃないか?」
好きにして良いよとあっさりと答えれば、アキトはキラキラと目を輝かせてくれた。
自分に怒ってるわけではないと分かってはいても、反射的に止まってしまったんだろうな。その反応も仕方ないと思うぐらいには、ルセフの怒り方に迫力があったからな。
ふと視線を動かしてみれば、何故かアキトまで口を押さえて固まっているのが目に止まった。ブレイズの警戒っぷりを見て一緒に動いてしまったんだろうが、なんとも可愛い反応だ。
「あー驚かせて悪かったな」
俺の視線の先を目で追ったルセフは、アキトの反応をちらりと見てから申し訳なさそうにそう呟いた。
「いや、気にするな」
急に来て悪かったなと普段通りに答えた俺に、ルセフはホッとしたようにうっすらと笑みを浮かべた。
なんだ、俺がアキトを怯えさせるなと怒るとでも思っていたのか?アキトはびっくりしただけで怯えてるわけじゃないぞ。
そう視線だけで訴える俺に、ルセフはふうとひとつ息を吐いた。
「…それで、二人は何か用事があってきたんだよな?」
ルセフは仕切りなおすようにそう尋ねてきた。
「ああ、ちょっと報告しておきたい事があってな」
「そうか…もし二人さえ良ければ、中に入って話しをしないか?」
「いいのか?」
「いいんですか?」
思わず綺麗に声を重ねたアキトと俺に、ルセフは相変わらず二人は仲が良いなと楽し気に笑った。さらりとさすが伴侶候補と続けられた言葉に、ついつい笑みがこぼれてしまう。
「家に入った方が近所迷惑じゃないしな…報告がどんな内容だとしても、こいつらは絶対また叫ぶから」
賭けても良いと苦笑したルセフは、反射的に言い返そうと口を開きかけたウォルターをじろりと睨みつけた。
へぇ、ルセフは視線だけで牽制するのもうまいんだな。感心しながら見つめていると、ルセフは俺達に向かって笑いかけてきた。
「まあ、とりあえず入ってくれ」
パーティー全員で住んでいるという家の外観は、温かみのある可愛らしい作りの一軒家だった。さっきも思ったんだが、どこからどうみても男四人の冒険者が住んでいる家には見えない。実際この辺りはあまり冒険者が住む地域じゃないしな。
おそらくあの黒酒の酒店のオーナーかその親あたりが住んでいた家なんだろう。周りには普通の店や一般市民の家が多いようだ。
全員でぞろぞろと家の中に足を勧めれば、玄関には装備を置くための広い棚が設置されていた。黒鷹亭にもあるが、冒険者にはどうしても必要な家具だからな。
「悪い、ハル。鍵頼む」
ルセフの声かけに、俺はかちゃりと音を立てて鍵を閉めた。
「この家、防音結界が付いてるのか」
しかもかなり高性能なものだな。一般の家にここまでのものは珍しいなと視線を向ければ、ルセフは分かりやすく苦笑を洩らした。
「ああ、主にうるさい奴らのためにな。よーし、お前ら、喋って良いぞ」
「あー疲れた!って誰がうるさい奴らだよ!」
盛大に叫んだウォルターは、ガチャガチャと音を立てながら鎧を外し始めている。
「間違いなくお前がうるさい奴だよ!後ファリーマ!」
「えー俺ウォルターよりはだいぶ静かだと思うんだけどな…」
そう言い返しながらも、ファリーマは床に直接座り込んでしまった。
「あー…無事に帰り着いた…な…」
なんだか今日はかなり疲れてるようだ。
「悪いな、ちょっとだけ待っててくれ、ハル、アキト」
「ああ、俺達の事は気にするな」
律儀に俺達を気にして声をかけてくれるルセフに、俺は笑って手を振った。冒険者が装備を解除するのに、時間がかかるのは当然だ。
そう思ってアキトと笑い合っていると、不意に後ろから声がかかった。
「アキト!」
「ブレイズ!」
「せっかく来てくれたのにバタバタしててごめんね。数日かけた依頼がやっと終わって帰ってきたばっかりなんだ」
そう言いながら、ブレイズは慣れた手つきで装備を解除していく。
「え、俺達、よりによってそんな時に来ちゃったの…?」
「ううん。依頼前だったら話す時間もなかったかもだし、一番良い時に来てくれたよ!」
ブレイズは明るくそう言うと、俺も装備置いてくるから待っててーと元気に去っていった。アキトが気にしないようにきちんと言葉をかけてから移動しているのが、ブレイズらしいな。ブレイズは優しい良い子だ…って、こども扱いしてるのがバレたら怒られるだろうか。
「今日もいっぱい動いたなぁ」
装備を全て外したウォルターは、ぐいーっと伸びをしてからまだ座りこんでいるファリーマに視線を向けた。
「なあ、ファリーマ、俺の全身に浄化魔法かけてくれよ」
「えー今日は疲れてるから無理だよ…」
そもそも魔法使いまくってたの見てただろうがとファリーマは、珍しくそうぼやいている。魔法が使えるならっていつものこいつなら嬉々として使うだろうに、よほど疲れているんだな。
「あ、浄化魔法なら俺がかけましょうか?」
「いや、アキトそれはさすがに悪いから」
二人のやりとりをのんびりと眺めていたルセフは、アキトの提案に慌てた様子で口を挟んだ。
「え、でもファリーマさんも疲れてるみたいだし……ね。ハル、駄目?」
そこで俺に向かって上目遣いで聞いてくるんだね、アキトは。まあ可愛いからどんどんやって欲しいくらいだけど。
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