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770.ローガンさんにご挨拶
部屋に入ると真っ先に目に飛び込んできたのは、所せましと山のような食材が並べられたテーブルだった。
どっさりと積み上げられた食材の山に驚いてその場に立ち尽くす俺とハルに、レーブンさんは苦笑を浮かべた。
「あー初めて見たらびっくりするか。いつもの事なんだが…ほら、こっちだ」
言われるがままについていくと、山のような食材の向こう側には埋もれるようにして作業中のローガンさんの姿があった。
「よう、何か俺に用事があるんだって?ちょっと待ってくれよー」
軽やかに喋りながらも、ローガンさんの手は流れるように食材を仕分けしている。
「これ、レーブンの分な」
ローガンさんは巨大な肉の塊を切り分けて何かの葉っぱで包みなおすと、そのままレーブンさんに差し出した。元々があまりに巨大な肉の塊だったせいか、切り分けた状態でもスイカぐらいの大きさだ。
ハルと視線を交わしてしまうぐらいには大きなお肉だったけど、レーブンさんは慣れた様子ですっと受け取るとすぐにテーブルの隅に置いてあったカゴの中へとしまい込んだ。
あ、あれって前に市場に買い物に行く時に使ってた、レーブンさんの買い出し用の魔導収納鞄だよね。
「おう、ありがとう。代金はいくらだ?」
「いや、これはこないだの酒の分にしてくれ」
「…いいのか?」
俺の方が得だろう?と尋ねたレーブンさんに、ローガンさんはからりと笑って答えた。
「ああ、あれはうまかったからな、気にすんな」
「分かった。それなら遠慮なく」
「よし、あとはこれを渡せば…」
さくさくと仕分けを続けていたローガンさんの動きに見惚れている間に、テーブルの上の物は綺麗に無くなっていった。
「アキト、ハル。すまない、待たせたな」
「いや、急に割り込んだのは俺達の方だからな」
「それで…何かあったのか?」
心配そうなローガンさんの質問に、ハルはちらりとレーブンさんに視線を向けた。
「レーブン、何も話してないのか?」
「ひでぇだろー聞いても何も教えてくれなかったんだぞ」
不服そうにそう続けたローガンさんに、レーブンさんは仕方ないだろうがと軽く返した。
「自分たちで説明したいから、こいつに会いたいって言ったんだろ?」
あーなるほど。レーブンさんは俺達が自分で言いたいだろうと、尋ねられても何も言わずにいてくれたのか。
「まあ、レーブンが落ち着いてるからそこまでひどい話しじゃないんだろうと、ある程度想像はついてるんだが…な」
それでも心配しないわけじゃないんだと続けたローガンさんに、俺は慌てて声をあげた。
「あの、俺とハルはハルのご家族に挨拶するために辺境領に行く事になったんです!」
ローガンさんは一瞬だけきょとんとしてから、次の瞬間には満面の笑みを浮かべた。
「おお、そうなのか。それはめでてぇな!おめでとう、アキト、ハル」
「ありがとう」
「ありがとうございます」
「ただ…今の時期だと谷経由は危なくねぇか?」
「いや、領主様と一緒に行くから…」
ハルの言葉にちらりとドアを見て防音結界を確認したローガンさんは、ニヤリと笑みを浮かべた。
「領主様の魔法陣か」
「正解だ」
「それなら危険度は下がるな」
ホッとした様子のローガンさんは、辺境領は危険もある場所ではあるが思いっきり楽しんで来いよと笑って続けた。
きっとアキトなら楽しめるぞと、ローガンさんはレーブンさんと二人がかりで辺境領のお勧めのお店を教えてくれた。ハルも横からあれこれと教えてくれるから、余計に辺境領が楽しみになってきたよ。
「あー…帰って仕込みをしなくて良いなら、このまま食事でもと言いたいとこなんだが…」
白狼亭の営業のためには、帰ったら仕込みを始めないと駄目なんだそうだ。ローガンさんは残念そうに肩を落として呟いた。
「だな。ちなみにこいつら明後日出発らしいぞ」
「…明日も店休むか…?」
真剣な目でそうぶつぶつと呟き出したローガンさんに、ハルが慌てて声をあげる。
「待て待て、白狼亭の常連は店休日あけの営業を心待ちにしてるんだからやめてくれ」
俺達のせいで店を休ませたら常連たちに申し訳ないだろうと、ハルは必死に説得を始めた。
さすがハル本人も白狼亭の常連さんだっただけあって、他の人の気持ちも良く分かってるんだな。もしかしたらハルも店休日あけにはいそいそとお店に通ってたりしたのかもしれない。そう思うと何だか微笑ましくなってしまった。
「明後日は見送りにはこれないと思うが…ハル、アキト、絶対揃って帰ってこいよ」
「ああ、分かってる」
「はい!」
「帰ってきたら、また四人で食事会しようや!」
「楽しみにしてる」
その時はステーキも焼いてやろうなー常連に免じてとハルを揶揄っていたローガンさんは、不意に俺とハルに向き直った。
「いってらっしゃい、良い旅をな」
「「はいっ!」」
どっさりと積み上げられた食材の山に驚いてその場に立ち尽くす俺とハルに、レーブンさんは苦笑を浮かべた。
「あー初めて見たらびっくりするか。いつもの事なんだが…ほら、こっちだ」
言われるがままについていくと、山のような食材の向こう側には埋もれるようにして作業中のローガンさんの姿があった。
「よう、何か俺に用事があるんだって?ちょっと待ってくれよー」
軽やかに喋りながらも、ローガンさんの手は流れるように食材を仕分けしている。
「これ、レーブンの分な」
ローガンさんは巨大な肉の塊を切り分けて何かの葉っぱで包みなおすと、そのままレーブンさんに差し出した。元々があまりに巨大な肉の塊だったせいか、切り分けた状態でもスイカぐらいの大きさだ。
ハルと視線を交わしてしまうぐらいには大きなお肉だったけど、レーブンさんは慣れた様子ですっと受け取るとすぐにテーブルの隅に置いてあったカゴの中へとしまい込んだ。
あ、あれって前に市場に買い物に行く時に使ってた、レーブンさんの買い出し用の魔導収納鞄だよね。
「おう、ありがとう。代金はいくらだ?」
「いや、これはこないだの酒の分にしてくれ」
「…いいのか?」
俺の方が得だろう?と尋ねたレーブンさんに、ローガンさんはからりと笑って答えた。
「ああ、あれはうまかったからな、気にすんな」
「分かった。それなら遠慮なく」
「よし、あとはこれを渡せば…」
さくさくと仕分けを続けていたローガンさんの動きに見惚れている間に、テーブルの上の物は綺麗に無くなっていった。
「アキト、ハル。すまない、待たせたな」
「いや、急に割り込んだのは俺達の方だからな」
「それで…何かあったのか?」
心配そうなローガンさんの質問に、ハルはちらりとレーブンさんに視線を向けた。
「レーブン、何も話してないのか?」
「ひでぇだろー聞いても何も教えてくれなかったんだぞ」
不服そうにそう続けたローガンさんに、レーブンさんは仕方ないだろうがと軽く返した。
「自分たちで説明したいから、こいつに会いたいって言ったんだろ?」
あーなるほど。レーブンさんは俺達が自分で言いたいだろうと、尋ねられても何も言わずにいてくれたのか。
「まあ、レーブンが落ち着いてるからそこまでひどい話しじゃないんだろうと、ある程度想像はついてるんだが…な」
それでも心配しないわけじゃないんだと続けたローガンさんに、俺は慌てて声をあげた。
「あの、俺とハルはハルのご家族に挨拶するために辺境領に行く事になったんです!」
ローガンさんは一瞬だけきょとんとしてから、次の瞬間には満面の笑みを浮かべた。
「おお、そうなのか。それはめでてぇな!おめでとう、アキト、ハル」
「ありがとう」
「ありがとうございます」
「ただ…今の時期だと谷経由は危なくねぇか?」
「いや、領主様と一緒に行くから…」
ハルの言葉にちらりとドアを見て防音結界を確認したローガンさんは、ニヤリと笑みを浮かべた。
「領主様の魔法陣か」
「正解だ」
「それなら危険度は下がるな」
ホッとした様子のローガンさんは、辺境領は危険もある場所ではあるが思いっきり楽しんで来いよと笑って続けた。
きっとアキトなら楽しめるぞと、ローガンさんはレーブンさんと二人がかりで辺境領のお勧めのお店を教えてくれた。ハルも横からあれこれと教えてくれるから、余計に辺境領が楽しみになってきたよ。
「あー…帰って仕込みをしなくて良いなら、このまま食事でもと言いたいとこなんだが…」
白狼亭の営業のためには、帰ったら仕込みを始めないと駄目なんだそうだ。ローガンさんは残念そうに肩を落として呟いた。
「だな。ちなみにこいつら明後日出発らしいぞ」
「…明日も店休むか…?」
真剣な目でそうぶつぶつと呟き出したローガンさんに、ハルが慌てて声をあげる。
「待て待て、白狼亭の常連は店休日あけの営業を心待ちにしてるんだからやめてくれ」
俺達のせいで店を休ませたら常連たちに申し訳ないだろうと、ハルは必死に説得を始めた。
さすがハル本人も白狼亭の常連さんだっただけあって、他の人の気持ちも良く分かってるんだな。もしかしたらハルも店休日あけにはいそいそとお店に通ってたりしたのかもしれない。そう思うと何だか微笑ましくなってしまった。
「明後日は見送りにはこれないと思うが…ハル、アキト、絶対揃って帰ってこいよ」
「ああ、分かってる」
「はい!」
「帰ってきたら、また四人で食事会しようや!」
「楽しみにしてる」
その時はステーキも焼いてやろうなー常連に免じてとハルを揶揄っていたローガンさんは、不意に俺とハルに向き直った。
「いってらっしゃい、良い旅をな」
「「はいっ!」」
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