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781.【ハル視点】席を譲ってくれたのは
食べながら寝るという行為は、アキトにとってはこどもみたいでかなり恥ずかしい事らしい。騎士団でも慣れていない新入りが食べながら寝てしまう事は普通にあったから、俺にとっては何て事ない日常なんだが。
こどもみたいだと言われるよりも、むしろ新入りみたいだの方が納得できるぐらいだ。
きちんとそれを説明した方が良いか、それとも騎士のイメージを守るためにも言わない方が良いかと悩んでいる間に、アキトはパッと顔をあげた。
「どう?落ち着いた?」
「うん…だいぶ落ち着いた」
頬はまだ赤いままだが、落ち着いたと言いきるアキトが可愛くてたまらない。ついつい手を伸ばして、アキトの赤い頬を指先でそっと撫でてしまった。ただそれだけの行動でまた赤くなる頬が、アキトの俺への気持ちの証明のようでくすぐったい気分になる。
「それじゃあまずは身支度してから…レーブンの作った朝食、食べに行こうか?」
「うん、行こう!レーブンさんが作ってくれた朝食嬉しいよねー」
元気に返事を返したアキトに、俺は眉を下げながら返事を返した。
「そうだね。明日からはまたしばらく、レーブンの料理が食べられなくなる…からね…」
俺の言葉に驚いた表情を一瞬だけ見せたアキトは、あ、そうかと小さな声で呟いた。寂しそうなその反応に何と声をかけようかと考えている間に、アキトはにっこりと笑みを浮かべて俺を見つめてきた。
「よし、それじゃあさっさと身支度しよーお腹空いたよ」
「…ああ、そうだな」
俺が気にすると思って誤魔化してくれたんだなと理解はしていたが、何と言えば良いのかが分からない。俺はただ小さく頷いて身支度を始めた。
アキトの浄化魔法で身支度を終えてゆっくりと黒鷹亭の階段を下りて行くと、階下からはざわめきが聞こえてきた。
二人揃って入口の所から食堂内を覗き込めば、そこは驚くほどの人で賑わっていた。
「わーすっごく混んでる!」
アキトの口からぽろりとこぼれた感想に、俺は本当だねと頷いた。
「そういえば…あんまりこの時間帯に食堂に来た事って無いかも?」
「ああ、この時間は元々結構混んではいるんだけど…それにしてもここまで混むのは珍しいな」
アキトはキョロキョロと視線を動かして空席を探してくれたが、残念ながら今のところ満席のようだ。どうやら滅多にない混雑する時間帯に、運悪く当たってしまったらしいな。
「どうする?時間をずらして出直しても良いとは思うんだが…」
部屋で少し時間を潰そうかという提案にアキトが頷きかけた瞬間、不意に俺達に声がかかった。
「アキト、ハル!」
俺達の名前を呼びながらぶんぶんと手を振っているのは、昨日もレーブンの代わりにカウンターに入っていた、冒険者であり宿泊客のルタスだった。
俺とアキトは二人で顔を見合わせてから、そっとルタスのいるテーブルへと近づいていった。どうやらルタスには連れがいたらしく、向かいには筋肉質の長髪男性が座っていた。この筋肉のつき方からして連れは前衛だろうなと、ついついそんな事を考えてしまった。
「ルタスさん、おはようございます」
「おはよう」
「ああ、おはよう、二人とも。ここもう空くぞー」
「え、座って良いんですか?」
「おう、昨日は二人のおかげで、俺とこいつもうまい飯が食えたからなー」
ちょっとしたお礼だと笑ったルタスは、あ、こいつ俺の相棒のワルトなとさらりと紹介を挟んできた。慌てて初めましてと挨拶を交わすアキトと俺とワルトを、ルタスは楽し気に笑いながら見守っている。
昨日のレーブンからの報酬は、ルタスだけのものではなかったらしい。
「ルタス、お前なもうちょっと紹介の仕方考えろよ」
ぶつぶつと文句を言いながらも、ワルトはすっと立ち上がって俺達に席を譲ってくれた。
「悪い悪い。それじゃあ二人ともごゆっくりー」
「またな」
「あ、席、ありがとうございます!」
「ああ、またな」
ぶんぶんと手を振るルタスの後ろで、ワルトはひらりと控え目に手を振ってくる。相棒ということは、二人で冒険者をやっているんだろうか。
アキトと俺は譲られた椅子に腰を下ろして注文をすませると、自然と見つめ合って笑い合った。
「ね、良い人達だったね」
「ああ、ルタスとワルトか。また知り合いが増えたな」
「今度会えたらお礼言わないと、だね!」
「うん、そうだな」
頼んだ朝食が運ばれてくるまでの間、俺達はトライプールに帰ってきたらしたい事を話し合った。こういう何げない時間がすごく大切だと感じるようになったのも、アキトと出逢ってからだな。
こどもみたいだと言われるよりも、むしろ新入りみたいだの方が納得できるぐらいだ。
きちんとそれを説明した方が良いか、それとも騎士のイメージを守るためにも言わない方が良いかと悩んでいる間に、アキトはパッと顔をあげた。
「どう?落ち着いた?」
「うん…だいぶ落ち着いた」
頬はまだ赤いままだが、落ち着いたと言いきるアキトが可愛くてたまらない。ついつい手を伸ばして、アキトの赤い頬を指先でそっと撫でてしまった。ただそれだけの行動でまた赤くなる頬が、アキトの俺への気持ちの証明のようでくすぐったい気分になる。
「それじゃあまずは身支度してから…レーブンの作った朝食、食べに行こうか?」
「うん、行こう!レーブンさんが作ってくれた朝食嬉しいよねー」
元気に返事を返したアキトに、俺は眉を下げながら返事を返した。
「そうだね。明日からはまたしばらく、レーブンの料理が食べられなくなる…からね…」
俺の言葉に驚いた表情を一瞬だけ見せたアキトは、あ、そうかと小さな声で呟いた。寂しそうなその反応に何と声をかけようかと考えている間に、アキトはにっこりと笑みを浮かべて俺を見つめてきた。
「よし、それじゃあさっさと身支度しよーお腹空いたよ」
「…ああ、そうだな」
俺が気にすると思って誤魔化してくれたんだなと理解はしていたが、何と言えば良いのかが分からない。俺はただ小さく頷いて身支度を始めた。
アキトの浄化魔法で身支度を終えてゆっくりと黒鷹亭の階段を下りて行くと、階下からはざわめきが聞こえてきた。
二人揃って入口の所から食堂内を覗き込めば、そこは驚くほどの人で賑わっていた。
「わーすっごく混んでる!」
アキトの口からぽろりとこぼれた感想に、俺は本当だねと頷いた。
「そういえば…あんまりこの時間帯に食堂に来た事って無いかも?」
「ああ、この時間は元々結構混んではいるんだけど…それにしてもここまで混むのは珍しいな」
アキトはキョロキョロと視線を動かして空席を探してくれたが、残念ながら今のところ満席のようだ。どうやら滅多にない混雑する時間帯に、運悪く当たってしまったらしいな。
「どうする?時間をずらして出直しても良いとは思うんだが…」
部屋で少し時間を潰そうかという提案にアキトが頷きかけた瞬間、不意に俺達に声がかかった。
「アキト、ハル!」
俺達の名前を呼びながらぶんぶんと手を振っているのは、昨日もレーブンの代わりにカウンターに入っていた、冒険者であり宿泊客のルタスだった。
俺とアキトは二人で顔を見合わせてから、そっとルタスのいるテーブルへと近づいていった。どうやらルタスには連れがいたらしく、向かいには筋肉質の長髪男性が座っていた。この筋肉のつき方からして連れは前衛だろうなと、ついついそんな事を考えてしまった。
「ルタスさん、おはようございます」
「おはよう」
「ああ、おはよう、二人とも。ここもう空くぞー」
「え、座って良いんですか?」
「おう、昨日は二人のおかげで、俺とこいつもうまい飯が食えたからなー」
ちょっとしたお礼だと笑ったルタスは、あ、こいつ俺の相棒のワルトなとさらりと紹介を挟んできた。慌てて初めましてと挨拶を交わすアキトと俺とワルトを、ルタスは楽し気に笑いながら見守っている。
昨日のレーブンからの報酬は、ルタスだけのものではなかったらしい。
「ルタス、お前なもうちょっと紹介の仕方考えろよ」
ぶつぶつと文句を言いながらも、ワルトはすっと立ち上がって俺達に席を譲ってくれた。
「悪い悪い。それじゃあ二人ともごゆっくりー」
「またな」
「あ、席、ありがとうございます!」
「ああ、またな」
ぶんぶんと手を振るルタスの後ろで、ワルトはひらりと控え目に手を振ってくる。相棒ということは、二人で冒険者をやっているんだろうか。
アキトと俺は譲られた椅子に腰を下ろして注文をすませると、自然と見つめ合って笑い合った。
「ね、良い人達だったね」
「ああ、ルタスとワルトか。また知り合いが増えたな」
「今度会えたらお礼言わないと、だね!」
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