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787.魔法陣の部屋
ギギギと音を立てながら石の扉が開くと、視界に飛び込んできた部屋は驚くほどに広かった。地下だからもっとこじんまりとした部屋を想像してたんだけど、これはたぶん軽く体育館ぐらいの広さはありそうだ。
先頭を歩く護衛隊長のストさんは、すこしの迷いもなくただまっすぐに進んでいく。ちょうど部屋の真ん中の辺りに一段高くなった場所があるから、目指してるのはあそこかな。
辿り着いた階段下には完全武装の護衛の人達が数人と、ローブ姿の人達が十数人も並んでいた。
「待たせたね」
「いえ、つい先ほど全ての準備を完了したところです。いつでも発動できます」
領主様の言葉に、代表してそう答えた人はローブ姿の人だった。多分このローブ姿の人達が。魔力を補充してくれてるっていってた魔法使いの人達だよね。
「ああ。みんな数日かけての魔法陣の準備、本当にありがとう」
領主様の労いの言葉に、ローブの人達はすっと揃って礼を返した。
「よし、それじゃあスト。あとは頼んだよ」
「はい」
名前を呼ばれたストさんはくるりと俺達の方へと振り返ると、真剣な表情で説明を始めた。
「これから魔法陣を使用した辺境領への移動を開始する。まず初めに注意事項だ」
そう前置きしてからストさんが続けたのは、体質に合わない人は移動後に具合が悪くなる事があるという話だった。これはどれだけ身体を鍛えている騎士や護衛だろうと、なる人はなるしならない人はならないものらしい。あと数回使用するとじわじわと慣れていく人もいるんだって。
ちなみに酷い人は立っていられなくなったり気絶したり、そのまま吐いてしまう人までいるんだそうだ。
「これを踏まえ、もし何があっても周りが支えられるように、初めて魔法陣を使用する人と過去に具合が悪くなった人、それに領主様を魔法陣の真ん中に配置する」
心当りがある人は前へ来てくれと呼びかけられて、まだ若そうな男性と、貫禄のあるおじさまが一歩前に出た。
「アキトも行っておいで」
そっと優しく背中を押されて前に出れば、ストさんはちらりとハルにも視線を向けた。
「客人も一緒に真ん中へどうぞ」
「…いいのか?」
過去に何度も魔法陣を使った事があるらしいハルは、すこし困り顔で尋ねたがストさんはこくりと頷いた。本当に?と言いたげに領主様に視線を向けたハルに、領主様はふふと笑ってから口を開いた。
「問題は無いよ。伴侶候補同士を引き裂いたりしないし、他の人にアキトくんを支えられたりしたらハルの嫉妬が怖いからね」
揶揄うような口調にハルは少しだけ考えてから口を開いた。
「……領主様のお言葉に甘えます。ありがとうございます」
「気にしなくていいよ」
「それでは領主様、どうぞ」
「ああ」
領主様が先頭に立って階段を上っていくのをストさんに促されるままに追っていけば、上がった先にはうっすらと神秘的な青い光を放つ魔法陣があった。
一枚の大きな石に直接彫り込まれているその魔法陣は、驚くほど繊細な線で描かれた曲線や文字、それに色々な図形が組み合わされて完成しているみたいだ。
まじまじと観察してみても、俺には何が書かれているのかはまったく理解できなかったけど、すごく綺麗だ。
正直俺のイメージする映画とかアニメ、ゲームなんかに出てくる魔法陣そのまま過ぎて、ちょっとテンションが上がる。
「アキト、こっちに」
「あ、ごめん」
魔法陣を観察してる場合じゃなかったね。俺はハルに手を引かれて、魔法陣の真ん中あたりへと足を進めた。
領主様と、俺、ハル、それに二人の護衛の人が円を描くようにして立ち、その周りに他の護衛の人達もずらりと並んでいく。
「よし、準備はできたぞ」
「それでは魔法陣の起動を始めます。3、2、1、0」
魔法陣の外からかけられていたカウントダウンが0になった瞬間、足元の魔法陣から眩いほどの真っ白な光が弾けた。
あまりの眩しさに目を開けていられなくなってぎゅっと目を瞑れば、次の瞬間ぎゅーっと全身に重力がかかるのを感じた。ぐぐぐっと上から押さえられているような感覚から、今度は一転してふわりと胃が浮いたような感覚へと変わっていく。
あーなるほど。これは苦手な人は苦手かもしれない。
冷静にそんな事を考えている間に、目をつむっていても感じるほどの光が一瞬で掻き消えた。最後にぎゅんっと高速で移動するような圧力を感じたけど、それで移動は終わったらしい。
先頭を歩く護衛隊長のストさんは、すこしの迷いもなくただまっすぐに進んでいく。ちょうど部屋の真ん中の辺りに一段高くなった場所があるから、目指してるのはあそこかな。
辿り着いた階段下には完全武装の護衛の人達が数人と、ローブ姿の人達が十数人も並んでいた。
「待たせたね」
「いえ、つい先ほど全ての準備を完了したところです。いつでも発動できます」
領主様の言葉に、代表してそう答えた人はローブ姿の人だった。多分このローブ姿の人達が。魔力を補充してくれてるっていってた魔法使いの人達だよね。
「ああ。みんな数日かけての魔法陣の準備、本当にありがとう」
領主様の労いの言葉に、ローブの人達はすっと揃って礼を返した。
「よし、それじゃあスト。あとは頼んだよ」
「はい」
名前を呼ばれたストさんはくるりと俺達の方へと振り返ると、真剣な表情で説明を始めた。
「これから魔法陣を使用した辺境領への移動を開始する。まず初めに注意事項だ」
そう前置きしてからストさんが続けたのは、体質に合わない人は移動後に具合が悪くなる事があるという話だった。これはどれだけ身体を鍛えている騎士や護衛だろうと、なる人はなるしならない人はならないものらしい。あと数回使用するとじわじわと慣れていく人もいるんだって。
ちなみに酷い人は立っていられなくなったり気絶したり、そのまま吐いてしまう人までいるんだそうだ。
「これを踏まえ、もし何があっても周りが支えられるように、初めて魔法陣を使用する人と過去に具合が悪くなった人、それに領主様を魔法陣の真ん中に配置する」
心当りがある人は前へ来てくれと呼びかけられて、まだ若そうな男性と、貫禄のあるおじさまが一歩前に出た。
「アキトも行っておいで」
そっと優しく背中を押されて前に出れば、ストさんはちらりとハルにも視線を向けた。
「客人も一緒に真ん中へどうぞ」
「…いいのか?」
過去に何度も魔法陣を使った事があるらしいハルは、すこし困り顔で尋ねたがストさんはこくりと頷いた。本当に?と言いたげに領主様に視線を向けたハルに、領主様はふふと笑ってから口を開いた。
「問題は無いよ。伴侶候補同士を引き裂いたりしないし、他の人にアキトくんを支えられたりしたらハルの嫉妬が怖いからね」
揶揄うような口調にハルは少しだけ考えてから口を開いた。
「……領主様のお言葉に甘えます。ありがとうございます」
「気にしなくていいよ」
「それでは領主様、どうぞ」
「ああ」
領主様が先頭に立って階段を上っていくのをストさんに促されるままに追っていけば、上がった先にはうっすらと神秘的な青い光を放つ魔法陣があった。
一枚の大きな石に直接彫り込まれているその魔法陣は、驚くほど繊細な線で描かれた曲線や文字、それに色々な図形が組み合わされて完成しているみたいだ。
まじまじと観察してみても、俺には何が書かれているのかはまったく理解できなかったけど、すごく綺麗だ。
正直俺のイメージする映画とかアニメ、ゲームなんかに出てくる魔法陣そのまま過ぎて、ちょっとテンションが上がる。
「アキト、こっちに」
「あ、ごめん」
魔法陣を観察してる場合じゃなかったね。俺はハルに手を引かれて、魔法陣の真ん中あたりへと足を進めた。
領主様と、俺、ハル、それに二人の護衛の人が円を描くようにして立ち、その周りに他の護衛の人達もずらりと並んでいく。
「よし、準備はできたぞ」
「それでは魔法陣の起動を始めます。3、2、1、0」
魔法陣の外からかけられていたカウントダウンが0になった瞬間、足元の魔法陣から眩いほどの真っ白な光が弾けた。
あまりの眩しさに目を開けていられなくなってぎゅっと目を瞑れば、次の瞬間ぎゅーっと全身に重力がかかるのを感じた。ぐぐぐっと上から押さえられているような感覚から、今度は一転してふわりと胃が浮いたような感覚へと変わっていく。
あーなるほど。これは苦手な人は苦手かもしれない。
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